広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

やっとシニアアキカ

2022-12-26 19:59:46 | 秋田のいろいろ
65歳以上の秋田市民が、秋田市内の路線バス(秋田中央交通の一般路線と、廃止代替の秋田市マイ・タウンバス)に1回100円均一で乗車できる「高齢者コインバス事業」。秋田市が発行する、顔写真入り資格証明書を提示して、現金100円を支払う方式だった。
2022年春から始まった、地域連携Suicaの1つ「AkiCA(アキカ)」から遅れること半年、2022年10月には、高齢者コインバス用のAkiCA「シニアアキカ」も始まった。証明書不要で、乗車時と降車時に専用カードをタッチすれば、チャージ額から100円が差し引かれる。
2023年3月31日までの半年間を移行期間とし、来春以降は紙の証明書+現金払いは使えなくなる。

2022年7月上旬には、対象年齢のすべての秋田市民に申込用紙が郵送され、返送すれば2022年9月下旬以降、シニアアキカカードが送付されるという手はずだった。
ここまでは7月に記事にしていた


10月には予定通りシニアアキカがスタート。秋田駅前でテープカットが行われ、春のAkiCAスタート時には代理出席だった、中央交通の社長もついに登場。
なのだが…
遅くはない時期(例えば7月中)に申込用紙を返送したにもかかわらず、10月1日時点でカードが届かない市民が少なからずいた。10月後半になっても、11月になっても。

小さく報道されたり、中央交通100周年記念作文コンクールの新聞広告の片隅、車内掲示で告知されたように、カードの発送が遅れているという。
9月24日の新聞広告より
どのくらい申し込みがあって、どのくらいカード発送済み/未発送なのかは不明。
ただし、10月9日付 秋田魁新報の社説によれば、「高齢者コインバス事業の対象者は約9万5千人。(注・申し込み者数ではないので、65歳以上の市民の人口?)」で、「9月末時点で発送が済んだのは1万人余りにとどまる。」。
「見込み以上の申し込みがあり」と理由付けた新聞記事もあったかと思うが、半年後に紙証明書が使えなくなると期限を示されたのだから、その半年に、少なくとも現在の紙証明書所有者の大多数から申し込みが殺到するのは当然では?
紙証明書はまだ有効なこともあり、大きな問題にはなっていないが、テープカットまでしておきながら、なんだかなぁと思う。
マイ・タウンバス車内ではチャージできないとか、使いかたが不安な人もいる(市民サービスセンターで説明会は開催)なども問題とされたが、カードがなければそれ以前の問題。

上の写真の、中央交通の新聞広告では「(カードの)到着が遅延する場合があります」と、遅れは限定的かのような言い回し。実際には、そんなもんじゃない。我が家の申し込み者も一向に届かない。
コールセンターへ個別に問い合わせれば教えてくれそうだが、それも手間だし、さらに業務を滞らせそう。そこで、11月に秋田市役所へ「送付状況について、見込みや目安を公表してはどうか」と提案した。10日ほどすると、
秋田市サイト ページ番号1034693より
「シニアアキカ発送の見通し」を掲載してくれた。全戸配布の広報あきたにも掲載。
「申込書受領時期」ごとの発送予定を掲載。「申込書受領」とは、委託した東京多摩郵便局のトッパン・フォームズの私書箱に届いた日だろうから、秋田市からだと投函後2~3日はかかろう。
11月9日時点で発送済みなのは、最初の10日ほどに送った人だけ。それ以降、7月中に送っても、届くのは年明け1月下旬になる人がいるとは。ほんとになんだか。マイナンバーカードよりも遅い。

コインバス事業は、秋田市役所が主体であり、当初は高齢者カードは市が発行主体になると聞いていた。しかし、実際には、一般AkiCAと同じく、シニアアキカも秋田中央交通が発行元になった。その両者の連携がうまく行っていない、互いに遠慮なのか牽制なのか押し付けなのか、そんなような感じがしなくもない。
結局のところ、発行遅延の責任の所在はどこ(どっち)なのか分からないが、不安になる市民もいるのだから、もう少し状況説明や親身な対応が、あってもいいのではないか。


ただ、着々と順次、送付はされているようだ。
バスに乗り合わせた高齢者を拝見していると、シニアアキカで乗る人は、10月初めではほぼ見かけなかったが、11月辺りから増えてきた。まだ慣れず、乗車後にあわてて財布からカードを出すような人もいるけれど。

そして我が家にも、クリスマスにやっと届いた。
長形3号封筒でゆうパック
封筒は「秋田市役所 長寿福祉課」と「秋田中央交通 株式会社」の連名。
ゆうパックの送り状は、ご依頼主として「秋田中央交通株式会社」とその住所、品名欄に「秋田市長寿福祉課」。

申込書を引き受けた、トッパン・フォームズが引き続き発送までするのだと思いこんでいたが、そうではないのか?
送り状の番号から、「郵便追跡サービス」で履歴を調べてみると、

秋田中央郵便局で引き受けているから、中央交通で送っているらしい。(同じ局区内なのに、配達に3日もかかるのか!)

封筒の中身
「シニアアキカが届いたら…」のリーフレットと、バス車内やサイトにもある「シニアアキカご利用ガイド」、そして厚めの紙=これが台紙でカードが収まっている。
3つ折り
カードは裏向きにくっ付けられ、ほかにレシート状の「カードご案内」という紙2枚も。一般AkiCAを買った時に渡された紙に似ているか?
また、台紙の左下には、「番号」欄として、手書きで「CA+10桁の数字」。送り状の品名欄にも同じものが印字され、リーフレットにはその一致を確認せよとのこと。ほかに、カード裏面の「E」で始まるカード番号(地域連携カードとしての番号)が、ご案内のそれと一致していることも確認。いずれも中央交通側でのチェック欄もある。
【26日補足・以前、他人のカードと取り違えても、(カード番号を自主的にメモしない限り)気付きようがないのではと不安を呈したが、チェックとご案内の記載により、その可能性は低いことになる。それでも、使用開始後に番号をよく確認せずに、夫婦間でうっかり入れ替わるようなケースはあり得る。】

レシートは、「取扱日時」として郵便局に渡される3日前の日時。
発行した機械の個体番号と思われる「福祉課 6号機」とも。

少し前の魁の市議会の記事では、シニアアキカに手作業でデータを登録していて、それで発送が遅れているようなことが書いてあったが、それを裏付けている。※新聞記事では「磁気情報」を登録とあったが、Suicaは磁気は使わない。ICチップへのデータ書き込み。
中央交通に福祉課という部署があり、少なくとも6台を使って1枚1枚カードにデータを登録して、手書きもして、チェックして、送ってと、せっせと何万枚も繰り返しているのだろうか。ご苦労さまです。

カードご案内の1枚目は、ありふれた内容。一方、2枚目。
「定期情報」が記載される。

発行種別:事前、定期券種:定額収受券、割引種別:無割引、通勤/通学:通勤、片道/往復:往復、利用可能日:全日。
利用可能区間/エリア 高齢者コインバス。
有効期間 (取扱日)~2099年12月31日

なるほど。
シニアアキカは、システム上、定期券の一種(100円を差し引き、設定されたエリア内で利用可能で、有効期間がものすごく長い)として扱われるらしい。

2枚とも、上部の注意事項には、「本紙を常にICカードと一緒に携帯してください。」とある。
このペラペラの感熱紙をいつも持ち歩いていたら、印字が薄れたり(※)、擦り切れたり破れたりしそう。
※「印字面を内側にして保管してください。」ともあるが、分かりにくい言い回し。「『折って』印字面を内側に~」とするべきでは?

でも、これは秋田市と中央交通が決めたことではないようだ。
例えば、青森市企業局交通部(青森市営バス)のICカード「AOPASS(アオパス)」の「定期券ご利用の注意点」には、
「カードの券面にはご利用区間や有効期限が印字されません。お買い求めの際に「定期券明細書」を発行しますので、カードと一緒に必ず携帯してください。(乗務員が確認させていただく場合がございます。)」
とある。「定期券明細書」とはレシート状の紙ではないかと推測する。
地域連携Suicaの定期券では、目視でそのカードが定期券設定済みと分かる情報はないから、こうせざるを得ず、シニアアキカも定期券の仕組みを使う以上、こうなってしまうのだろう。【1月2日補足・紙を携帯させるのは、不正利用の防止およびチェックと、車載機器やカードの不具合により、電子的に確認ができなかった場合の対応用だと思われる。】
シニアアキカにしても、各地の定期にしても、(タテマエ上だけど)カード1枚だけでは乗れないとはスマートではない。JR東日本も関わって、検討の余地ありでは。


その定期券。AkiCAでも提供されるが、開始時期は後日とのことで、まだ明らかになっていない。【末尾の追記参照】
上記を踏まえて推測すると、シニアアキカの大量発行が落ち着いたら、始めるのではないだろうか。
「福祉課」に6台も発行機はいらないだろうから、それを窓口へ回すなどして。
また、仕組み上、すでに定期券となっているシニアアキカに、一般定期券(秋田市外の区間)を載せることはできないだろう。【31日補足・Suicaとして鉄道の定期券(券面印字あり)は搭載可能。】
シニアアキカとAkiCA
シニアアキカのオレンジ色は、印刷物では鮮やかなオレンジ色に見えた。実物は、光が当たらないとなんかくすんだ色に感じる。「エイジフレンドリーシティあきた」のマークは、シールではなく、印刷してある。

シニアアキカ裏面のご利用案内は、一般AkiCA(この記事参照)とまったく同一。秋田中央交通株式会社名で、「SF発行元」として東日本旅客鉄道株式会社。
ここには、個人情報を登録したカードでも、「持参人式定期券として利用する場合」は誰でも使える旨が書いてあった。シニアアキカは「持参人式ではない定期券である」ということで、矛盾はしないのだろう。

となると、一般AkiCAとシニアアキカの違いは、表面のデザインと、中に登録された定期券情報だけになりそう。
シニアアキカは、コインバス「専用」ICカードとされているが、それは見かけ上だけなのでは。つまり、他の定期券情報を書き込ませないロック機能みたいなのは装備されておらず、やろうと思えば、シニアアキカ情報を消して、一般AkiCAにできてしまうかもしれない。
反対に、一般AkiCAを使っている人が、対象年齢になったら、従前からのカードにシニアアキカ情報を書き込んで、引き続きシニアアキカとして使い続ける、というやりかたも可能だろう。将来的にはそうなるかも?
【2023年10月8日補足・イオンのG.G WAONについて】55歳以上に特典がある「G.G WAON」は、従来は専用のカードを売っていた。2022年頃になると、専用カードのほか、手持ちの一般WAONに「G.G特典をプラス(G.G WAONへの切替)」することができるようになっていた(WAONステーション設置店舗のサービスカウンターで手続き)。シニアアキカでも、同様のことはできるはず。(以上追記)


ところで、全国各地の交通系ICカードの収集を趣味とする人はけっこういらっしゃるようだ。2022年に東北各地で始まった地域連携Suicaも、各地を回って集めているというツイートなど見かける。
そんな方々にとって、シニアアキカは、収集不可能なレアカードだろう。

しかし、発行枚数としてはレアではない。
一般AkiCAは、9月30日付秋田魁新報によれば「発行枚数は9月25日時点で約7750枚。」
シニアアキカは、上記の通り「9月末時点で発送が済んだのは1万人余り」なのだから、現状ではダブルスコアは優に越えていそう。
バスは高齢者だけの乗り物ではないのだけど。※秋田市民でも、本家SuicaやモバイルSuicaで乗っている人もけっこういる。ポイントは一切付かないのに。


AkiCAがスタートしても、秋田市も中央交通も、記念キャンペーンは何ひとつやってくれなかった。
だけど、JR東日本はやってくれる。春(この記事中ほど参照)に引き続き、「シニアアキカサービス開始記念! Suicaでスイスイお買いものキャンペーン」を実施。
ポスター
基本的にシニアアキカ限定。だけど、いちばん遅いものでの11月30日で終了。
このキャンペーンの恩恵にあずかれたシニアアキカユーザーはどれほどいたのだろう。

【27日追記】つい先日、政府が、マイナンバーカードと交通系ICカードを連携させ、地方自治体による住民対象の公共交通割引ができるサービスを、2023年度以降全国展開する方針であることが明らかになった(前橋市では実証実験中)。これが実現すれば、マイナンバーカードと手持ちのAkiCA(本家SuicaやPASMOでも?)を紐づけるだけで、郵送のやりとりなしで高齢者コインバス事業ができてしまうことになるのだろうか。

【2023年1月28日追記・IC定期開始延期について】バス車内に掲示が出ていた。ホームページでは告知なし。
2022年度中としていたIC定期導入は、「諸般の事情により」延期。2023年度上半期を予定しているとのこと。

【2023年4月25日追記・IC定期開始時期について2023年5月13日利用開始。発売は5月1日から。紙定期券は5月12日で発売終了(一部路線、種別等のみ継続)。

コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 町内のクリスマス会場 | トップ | なくなったもの'19~'22 秋田1 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
記名式をつくった (FMEN)
2022-12-29 17:29:54
マイナポイントが欲しくてつくりました。
給料などと兼ね合いながらやっと2万円チャージ。
さらなる何かが起きるのか。

それにしても、使い過ぎそうで怖い。
返信する
マイナポイント (taic02)
2022-12-29 23:22:25
マイナンバーカード取得分のマイナポイントは、2万円チャージしないともらえないのが、使い勝手としてイマイチですね。
Suicaなので、独自にさらに1000ポイントもらえるはずです。
返信する
Unknown (di2)
2023-10-01 04:30:11
 アキカ定期券のことに触れられていましたので、ここにコメントさせてください。
 手形から山王まで、定期券を使って通勤しているのですが、アキカ定期券を購入したところ、金額が値上がりしていました。6か月定期券でしたので、7千円以上の値上げで、驚きました。
 理由を聞いたところ、これまでの直通便利用の距離ではなく、秋田駅西口経由の距離に変えたためと説明を受けました。
 なお、秋田駅西口経由になると距離が700メートル増え、基準となる運賃が(私の場合)30円高くなりました(秋田駅西口は通過するだけで乗降しないと主張したら、これまでどおりの金額だったかもしれませんが)。

 アキカ定期券を購入した時に渡されるレシートには、定期券として利用することが可能な停留所の全てが記載されるのでありがたい反面、これまであいまいだった部分が厳密に処理されるようになったのだなと感じた次第です。
返信する
通しの定期券 (taic02)
2023-10-01 20:18:26
拝読して、たしかに明確化されたといえばそうですが、釈然としないものも感じました。
西口経由としたのはバス会社の都合のはずで、強制的にその遠回り分も加算するとは… 西口で乗降しないことを条件に、従来の値段で売ってもいいのではないでしょうか。駅で乗降した際は都度、別途支払いすればよく、それはICカードの得意分野ですし。
定期券の算定方法がほとんど明らかにされていないこともあり、ブラックボックス化してしまっています。

秋田市公共交通政策ビジョンでは、乗り継ぎ利用を促進する方向性のようですが、通常運賃・定期券問わず、こういう点を詰めないといけないでしょう。
返信する

コメントを投稿