若い頃の山の記憶です。
8月下旬、一日の山歩きを終えてバス停までの最後の道を歩く。
出来ればその道は渓谷沿いの道ならなお良いのだが、、
バスの時間に終われるように歩く足は疲れているが
とにかくバスをつかまえないと一日の山は終わらない。
振り返ると先ほど登った山にはまだ夏の雲が残っているが
山影の道に入るとどこからともなく涼しい風が吹いてくる。
ハッとするような涼しさ。その風は夏のものではない。
夏将軍がどんないに威張ってみても
その手の影から涼しい風がもれてくる。
そこには権力者の凋落の予兆が見えるようで
暑さ嫌いの私でもその時期の山は案外好きだった。
その時期は間違いなく晩夏、、、、
考えてみれば、最近は8月の下旬にそのような山の姿を見ることはなくなったようだ。
8月の下旬も9月にはいってもいつまでも続く夏。
その夏があるだけではないのか?
暑さ嫌いの私が案外好きだった夏の終わりの山歩き。
日が傾くころ夏将軍の目を盗むようにして吹いてきたハッとするような涼しい風。
そのような風を感じなくなったのは私の感性が鈍ってきたからなのか?
それとも季節のうつろいが変ってきたからなのか?
若き日の山を懐かしんでいる今日のタカ長です。