武田じゅうめい 愛と誠と正義

色即是空とは、すべての存在は虚無であると知る。
旗印は日本愛、 日本人には日の丸が足りない

新宿酒場ロン 6・1

2007年06月02日 | 人生の意味
新宿酒場ロン 6・1
島、絵美、銀さんが喋っている。
絵美は熊本の阿蘇から帰ってきたばかりだ。
「松岡が自殺する3日前の25日金曜日に、農水省で松岡大臣の定例会見があったが、緑資源のことを聞いたら、松岡はしどろもどろになったので居合わせた我々は皆びっくりした」と島が語る。
「後で分かったが、そのときには、自分の右腕が10日くらい前に自殺していた」
「動揺したんだろうね」
「右腕?」
「地元熊本での林野、農地、建設関係のフィクサーだった男」
「松岡の同級生で、地元では有名よ」
「緑資源機構は、要するに農水省・林野庁の天下り役所で、土木・建設会社の談合しきり役だった」
「その緑資源機構の逮捕者は、既に6人も出ている」
「農水省からの建設補助金が、阿蘇だけで150億円も出ているんだそうだ」
「半端じゃないね」
「松岡の地元阿蘇にある小国町の小国郷の河川土木、林道建設に使われている」
「林道は既に20キロほど完成しているけど、F!レースでもできそうな立派な道路でびっくり」絵美ガ実際に見てきたらしい。
「甘い蜜に群がった蟻の集団、禁断の甘い誘惑」
「だから6人も逮捕されて、3人の中心人物が自殺したってことか」
「東京地検特捜部の本命は、やはり松岡だった?」
「しかし、黒幕が次々に自殺するとは特捜も予測していなかったと思う」
「周りの証拠をかためて、本丸に行く頃にはがんじがらめにして・・・」
「もう言い逃れはできない」
「しかし、その裏情報は松岡の耳に入っていた。もう逃げられないと観念した」
「ダービーは農水大臣が皇太子と安倍総理夫妻を招待していながら、本人がドタキャンして熊本へ帰った」
{その時点でホゾを決めて、最後の墓参りか}
「その頃、ダービーで昭恵夫人は単勝を当てた、安倍は複勝」
「安倍の性格が出てるね」
「そして最後に国会、自民本部、農水省を棺桶が回って、日航機で里帰りをしたが」
「自殺して棺桶が国の中枢を回るなんて少し驚いた」
「越すに越されぬ田原坂か」
「何それ?」
「いや、何ね、ちょっと、男の死に際を考えたのさ」
琥珀色のシーバスを角氷がゆらして音をきしませた。
洋子ママがそれに気づいて、ハンカチでグラスのまわりを拭いてくれた。
島が「少し空気を変えようぜ、ママ、歌って」とせがんだ。
うれしそうに微笑むと「負けないで」を歌い始めた。
待てよ、それを歌った泉水も、あれは自殺だったんじゃないの。
女は幸せな生きものだ。そういうことには無頓着らしい。
今夜は酔いそうだ。
(ムラマサ、静かだ)

コメント
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