光山鉄道管理局・アーカイブス

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むかしの「とれいん」の広告に思うこと

2016-11-06 05:36:35 | 書籍
 先日KOUさんから頂いたコメントに関連して「とれいん」の1976年2月号を久しぶりに再読しました。

 お目当てはコメントの主題だった故・吉村忠晃氏の寄稿とそれに関連した記事だったのですが、これについてはまたの機会に触れる事にして、
 今回久しぶりに40年前の同誌を読んでいて気付いた事があります。

 それは広告欄。

 鉄道模型の雑誌である以上は模型メーカーや小売店なんかの広告がメインに来るのは当然なのですが。
 それらに混じって本誌の巻末には「撮影のお待ち合わせに お仲間との語らいに」というキャッチフレーズのもと「新宿の寿司屋さん」の広告が載っているのです。
 更に巻頭の広告には篠原模型店やアダチ製作所のそれと同じくらいの大きさで「喫煙具専門店」が「ダンヒルフェアー開催」なんて広告を出していたりします。

 裏表紙にはメルクリンミニクラブの広告もありますが「誕生日おめでとう…おとうさん!」というキャッチでバースデーケーキを周回するZゲージを囲む成年家族のカットが。
 目次脇のイベント情報では「ドイツ映画を観る会」とか称して「コーヒーとケーキ、もしくはビールつきの中学生以下おことわりの鉄道映画上映会」なんて告知まであったりします。

 なんだか鉄道模型誌というよりも「太陽」か「サライ」でも読んでいる気分になります。
 あの頃はあまり気負うことなく「大人の趣味としての鉄道模型を愉しむ」というスタンスで雑誌が作れていた事が伺えます。

 この辺りが当時のとれいんがTMSと異なるアプローチで読者を獲得した秘密の一端だったような気もしますし、そうした空気は90年代に「サライ」とか「ラピタ」の様な大人向け趣味誌が持っていたそれに共通するものがあったと思います。
 (そういえばこの2誌も時折鉄道模型の特集を組んでいましたが当時の「専門誌」よりもよほど面白かったと思います)

 その空気をひとことで言うなら「優雅」とか「粋」という奴でしょうか。

 最近、帰省とか上京などの折の電車で読む本(笑)で昔の「とれいん」を読むことが多いという話を書きましたが、実際列車のボックスシートでコーヒーでもすすりつつ眺めるには70年代の「とれいん」は実によく似合います。

 そうした優雅さや粋というものを端的に示していたのがこうした広告だったとも言えます。

 翻ってみると今の専門誌にこうした優雅さは(広告を含めて)どれだけあることか。
 今の専門誌に寿司屋さんやパイプ屋さんが出稿した日には「鉄道に関係ない広告は載せるな」とか非難する人がいっぱいいそうです(笑)
 が、新製品の紹介や●割引なんかを売り物にした広告ばかりになっている今の現状を見るとこれはこれでなんだか窮屈な気もします。

 尤もこれは鉄道模型に限った話ではなく他の趣味系の専門誌全般にも言える事ですし、一方で読む物の視野を広げてくれるような「総合趣味誌」と言う物が絶滅状態になってしまった、良くも悪くも専門馬鹿雑誌化している現状も象徴している気がします。

 ですが「鉄道模型が売り場の8割を占めてしまった書道用品屋さん」とか「Nスケールのジオラマ教室をやっている美容室」「日本で唯一を名乗るバスの専門店を兼業している花屋さん」「古民家を改造した鉄道中古ショップ」なんてのが現実にあったりするのを目にするにつけ、雑誌の世界もそういう自由さや優雅さを再び取り戻せないかとか思ったりもします。
(写真は本題と関係ありません)


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