映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

おもかげ

2024年08月21日 | 映画(あ行)

2人の間にあったものは何?

* * * * * * * * * * * *

スペインに住むエレナは、元夫と旅行中の6歳の息子から
「パパが戻ってこない」という電話を受けます。
しかし、人気のないフランスの海辺からかかってきたその電話が、
息子の声を聞いた最後になってしまいました・・・。

10年後。
エレナはそのフランスの海辺のレストランで働いています。
いきなりスペインからやって来て、住み着いてしまったエレナを
周囲は変人と見ているようなのですが・・・。

ある日海岸を散歩中に、エレナはどこか息子の面影を持つ少年ジャンと出会います。
エレナに興味を持ったジャンは、彼女の元を頻繁に訪れるように。
この2人の関係は、周囲の人々に混乱と戸惑いをもたらします。

 

冒頭、1人海岸に取り残された息子は映像には現れず、
電話を受ける母エレナがひたすらパニックに陥っていく様子が描かれるのみ。
その後どうなったのかには一切触れられず、いきなり10年後になります。

おそらくそのまま息子は見つかることがないか、あるいは遺体が見つかって、
エレナはせめて息子を偲ぶ場所にいたいと思い、この地に移住してきたのでしょう。
そんなエレナが、生きていれば調度このくらいか、心なしか顔も似ている
あどけない笑顔をした少年と出会うのです。
それはもちろん、母が子供を思う感情。

でもジャンからするとそれはどうなのか。
エレナが自分に興味を抱いていることは伝わる。
そうして次第に親しくなって・・・。
そばにいて安らぎを感じる相手というのは分るのですが・・・。

私は、実は息子は生きていて、それがジャンだったなどという
いかにもドラマチックなストーリーかと思ったのですが、そうではありませんでした。
そうした疑惑をエレナが持たなかったところを見ると、
やはり息子の死は実際に確認されていたのでしょうね。

ジャンは家族とともに夏のバカンスとしてこの地に来ていたのです。
だから特別愛情に飢えた子供というわけでもない。

 

結局この2人の間にあったものは何だったのか。

イマイチ私には分りませんでした・・・。
それとも、分らないのが正解なのか・・・?

 

<Amazon prime videoにて>

「おもかげ」

2019年/スペイン、フランス/129分

監督:ロドリゴ・ソロゴイェン

脚本:ロドリゴ・ソロゴイェン、イザベル・ペーニャ

出演:マルタ・ニエト、ジュール・ポリエ、アレックス・ブレンデミュール、アンヌ・コンシニ

 

緊張感度★★★★☆

満足度★★★☆☆