20歳と78歳の友情
* * * * * * * *
竹本京子、20歳。
就職を機に引っ越した先で、変わり者のお婆さん、杉田万寿子に出会います。
彼女のアパートの直ぐとなりに住む万寿子さん。
ご近所づきあいはちゃんとしなくちゃ、と思う京子は、
庭仕事をしていた万寿子さんに「おはようございます」と声をかけるのですが、反応なし。
そればかりか、「より目」とか「ブス」とか京子の一番気にしていることを言われて
大ショック。
こういう最悪の出会いをした二人なのですが、
なぜか次第に親しくなり、友人関係を結んでいく。
20歳と78歳の友情。
まあ、あまりないですね。
20歳から見た78歳は、一緒に遊ぶというよりは既に見守るべき存在。
万寿子さんは気持ちがとても若いので、年寄り扱いされるのがすごく嫌なのです。
だからむやみに近づいて、親切の押し売りをするような人には警戒心を抱いている。
始め、京子もそういう人だと思われてしまった、ということなのでしょう。
夫に先立たれ、一人暮らしの万寿子さんは、
毎日庭の花の世話をしています。
よくわからないうちに何故か手伝いをさせられている京子なのですが、
今まで知らなかった植物のことなども覚え、この作業は案外嫌いではないと思う。
そんな中で時折万寿子さんの意識が、遠くへ行ってしまうことがある。
惚けというヤツです。
ある時から急にその惚けの時間が増えていき、何も解らない状態が続く。
部屋は荒れ放題、汚物はまき散らす・・・。
これまでのかくしゃくとした様子を知っているだけに、ショックの大きい京子。
彼女は、唯一の友人である私が何とかしなければ・・・と、
会社を仮病で休み、万寿子さんに付き添う日が続くのですが・・・・・・
このように人格の崩壊する"老い"は辛いですね。
本人も意識の途切れた間のことは恐怖だと思います。
でも、このようなときに、親しい家族や友人が付いていれば、
それは嫌かも知れないけれどでも安心には違いない。
どうも、今の社会は若い人と老人を隔離する方向にあるような気がするのです。
ケア付きのシルバーマンションというのがありますが、
どうしてあのように老人ばかり固めてしまうのでしょう。
私は若干のお助け要員という感じで、
若い人も同じマンションにやや低価格で入ってもらうといいのに、と思ったりします。
隣近所のおつきあいなどほとんどない昨今、
こういうことを期待するのは無理なことなのかなあ・・・。
この本の帯には感涙のロングセラーとありましたが、私は泣けませんでした。
切実過ぎて、泣けない・・・?
京子の奮闘はすごいと思いますが、
会社をサボってまでして一人で抱え込んでしまうというのも
何だか違うような気がしてしまったのですが。
どうなのでしょう。
でもこんなことまでは期待しないものの、
是非隣近所のお年寄りとの自然な交流がもっとあるといいですね。
昨今は肉親でさえあてにならないようなので・・・。
満足度★★★☆☆
万寿子さんの庭〔文庫〕 (小学館文庫) | |
黒野 伸一 | |
小学館 |
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竹本京子、20歳。
就職を機に引っ越した先で、変わり者のお婆さん、杉田万寿子に出会います。
彼女のアパートの直ぐとなりに住む万寿子さん。
ご近所づきあいはちゃんとしなくちゃ、と思う京子は、
庭仕事をしていた万寿子さんに「おはようございます」と声をかけるのですが、反応なし。
そればかりか、「より目」とか「ブス」とか京子の一番気にしていることを言われて
大ショック。
こういう最悪の出会いをした二人なのですが、
なぜか次第に親しくなり、友人関係を結んでいく。
20歳と78歳の友情。
まあ、あまりないですね。
20歳から見た78歳は、一緒に遊ぶというよりは既に見守るべき存在。
万寿子さんは気持ちがとても若いので、年寄り扱いされるのがすごく嫌なのです。
だからむやみに近づいて、親切の押し売りをするような人には警戒心を抱いている。
始め、京子もそういう人だと思われてしまった、ということなのでしょう。
夫に先立たれ、一人暮らしの万寿子さんは、
毎日庭の花の世話をしています。
よくわからないうちに何故か手伝いをさせられている京子なのですが、
今まで知らなかった植物のことなども覚え、この作業は案外嫌いではないと思う。
そんな中で時折万寿子さんの意識が、遠くへ行ってしまうことがある。
惚けというヤツです。
ある時から急にその惚けの時間が増えていき、何も解らない状態が続く。
部屋は荒れ放題、汚物はまき散らす・・・。
これまでのかくしゃくとした様子を知っているだけに、ショックの大きい京子。
彼女は、唯一の友人である私が何とかしなければ・・・と、
会社を仮病で休み、万寿子さんに付き添う日が続くのですが・・・・・・
このように人格の崩壊する"老い"は辛いですね。
本人も意識の途切れた間のことは恐怖だと思います。
でも、このようなときに、親しい家族や友人が付いていれば、
それは嫌かも知れないけれどでも安心には違いない。
どうも、今の社会は若い人と老人を隔離する方向にあるような気がするのです。
ケア付きのシルバーマンションというのがありますが、
どうしてあのように老人ばかり固めてしまうのでしょう。
私は若干のお助け要員という感じで、
若い人も同じマンションにやや低価格で入ってもらうといいのに、と思ったりします。
隣近所のおつきあいなどほとんどない昨今、
こういうことを期待するのは無理なことなのかなあ・・・。
この本の帯には感涙のロングセラーとありましたが、私は泣けませんでした。
切実過ぎて、泣けない・・・?
京子の奮闘はすごいと思いますが、
会社をサボってまでして一人で抱え込んでしまうというのも
何だか違うような気がしてしまったのですが。
どうなのでしょう。
でもこんなことまでは期待しないものの、
是非隣近所のお年寄りとの自然な交流がもっとあるといいですね。
昨今は肉親でさえあてにならないようなので・・・。
満足度★★★☆☆