映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ザ・ファブル 殺さない殺し屋

2022年02月28日 | 映画(さ行)

殺してないけど、他の理由で死んでいく人も多い・・・(?)

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シリーズ第2作。
前作は見たのに、そういえばこちらをまだ見ていなかった、ということで。

裏社会で誰もが恐れる伝説の殺し屋・ファブル(岡田准一)。
一年間誰も殺さず普通に暮らすように、とボスから命じられ、
素性を隠し、佐藤アキラと名乗って相棒・ヨウコ(木村文乃)と
兄妹を装って暮らしています。
・・・という前提のママなので、前作からまだ一年経っていないということなのでしょう。

さて、この度登場するのは、
表向きNPO団体「子どもたちを危険から守る会」代表の宇津帆(堤真一)。
彼は綿密な計画で若者を騙し拉致して、
家族から身代金を巻き上げた上で殺害するという、なんともイヤラシイ悪人。
しかも宇津帆は何やらファブルに対して恨みを抱いているらしい・・・。

一方アキラは、過去に彼が関係した事件で、
巻き込まれて歩けなくなった少女・ヒナコ(平手友梨奈)と出会いますが・・・。

先日見た「フライ,ダディ,フライ」で共演した堤真一さんと岡田准一さん。
ここでまたの共演を見るということに、ちょっと感慨を覚えてしまいました。
今の岡田准一さんは、さすがにすでに「オジサン」ではあるけれど、それもまた良し。
触ると切れそうな感じの若い頃ももちろんいいけれど、
そうした時代を経た大人もまたいいものです。

さて本作、冒頭の暴走する車から少女を助け出すシーンとか、
終盤の、マンションの足場が崩れていく中のアクションとか、
なかなか迫力があって楽しめました。
日本のこうしたアクションシーンも、なかなかバカにできなくなってきました。

殺さない殺し屋とはいえ、ここまでやったら実は何人かは死ぬのでは?
と思ったりもしますが。
おとぼけ変人のアキラにファブルのスイッチが入った時の変化。
こういうのも楽しいんだなあ・・・。
この、ファブル休業中の一年がもっと長く続いて、
また続編があればいいなあ、と思いました。

 

<WOWOW視聴にて>

「ザ・ファブル 殺さない殺し屋」

2021年/日本/131分

監督:江口カン

原作:南勝久

出演:岡田准一、木村文乃、平手友梨奈、安藤政信、堤真一、山本美月、佐藤二朗

 

アキラとファブルのギャップ度★★★★★

アクション度★★★★☆

満足度★★★★☆

 


「われらが痛みの鏡 上・下」ピエール・ルメートル

2022年02月27日 | 本(ミステリ)

これぞ、物語 

 

 

 

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戦禍におびえる1940年のパリ。
戦争で顔の半 分を失ったエドゥアールが身を寄せた下宿先 の娘ルイーズを主人公に、
数奇な運命に翻弄 される人々の姿を生き生きと描く傑作巨篇!

* * * * * * * * * * * *

ピエール・ルメートルによる、「天国でまた会おう」、「炎の色」に続く
歴史ミステリ3部作の完結編。
圧巻です!!

 

一作目、戦争(第一次世界大戦)で顔の半分を失ったエドゥアールが
身を寄せていた下宿先の少女・ルイーズ。
本作はその後、30歳になったルイーズが描かれます。
1940年。
ドイツ軍がフランスに迫っています。

小学校の教師となり、休日にはカフェでバイトもするルイーズ。
その彼女が常連である客の老人に不可思議な依頼を受けます。
よせばいいのに、まるで飛んで火に入る夏の虫のように依頼を引き受けてしまった彼女は、
とんでもないものを目撃することに。

・・・というショッキングなつかみから始まりますが、
実はこの老人が、単なる行きずりの人ではなかった・・・。

さて、本作にはこのルイーズだけではなく、
群像的に他の登場人物たちのことも交互に描かれています。

 

戦場に駆り出されたのはいいけれど、一向にドイツ軍は動かない。
前線でじりじりしながら不安な日々を過ごす兵士ガブリエル。
そして彼がいつも忌々しく思っているランドラード。
ランドラードは粗暴で抜け目がなく、軍の物資を横流しして儲けています。
けれど気弱なガブリエルは何も言えず、なるべく関わらないようにしているだけ。
ところが、いよいよドイツ軍の侵攻が始まってから、
2人の関係が変化していきます。
とはいえ、無謀なランドラードの行動に巻き込まれて、
ガブリエルはランドラードと共に軍事刑務所に入ることになってしまうのですが・・・。

 

そして一方、ドイツ軍の侵攻によってこの軍事刑務所の囚人たちをどうするかが問題になります。
やむなく、全員を他へ移送することになるのですが、
その任務に駆り出されたのが機動憲兵隊のフェルナン。
行く先もまだ定かでなく食料等も全く不十分のまま出発した彼らの道は、苦難の道。
街道は、パリから避難する人々であふれかえっています。

 

そしてさらにもう1人の登場人物は稀代のペテン師、デジレ。
彼は医師や弁護士などになりすまし、周囲の人をすっかり信用させ賞賛さえ受けるまでになり、
しかし時期を見て巻き上げたお金を抱えてさっさとトンズラする、
ということを繰り返していました。
ここでは新聞社に潜り込み、フランス軍は優勢、ドイツ軍などクズ同然、
というような、フランス人にとって耳に優しいことばかりを
いかにもな口調で書き散らし、人気を得ているのでした。

ところが、さすがにいよいよドイツ軍がフランスに侵入を始めてからは、
また姿を消してしまいます。
・・・こんなしょうもない人物が、この先登場人物たちとどのように絡んでくるのかと、
不安になってしまうのですが、
なんと、次に登場する彼の姿に驚かされてしまうのです。

ペテン師には違いない。
けれど、こんなこともできるわけか・・・。
善悪を超えた存在の確かさに感動を覚えてしまいます。

 

これらの人物が、運命の糸に操られるように一つの所に収束していきます。
これぞ、「物語」と言うべきでしょう。
読後、しばらくぼーっとしてしまいました。
3部作の中で最高傑作だと思います。

「われらが痛みの鏡 上・下」ピエール・ルメートル ハヤカワ文庫

満足度★★★★★

 


フライ,ダディ,フライ

2022年02月26日 | 映画(は行)

父よ、立ち上がれ!

 

 

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平凡なサラリーマンの鈴木一(堤真一)。
ある日、高校生の愛娘・遥(星井七瀬)が
ある男にボコボコに殴られ傷を負ってしまいます。
その男は、衆議院議員の息子でボクシング高校総体2年連続制覇中の石原(須藤元気)。
全く反省の色のない石原に、鈴木は復讐を誓うけれども、
対決する勇気も腕力もない・・・。

そんな時、鈴木は高校生・朴(岡田准一)とその仲間たちゾンビーズに出会い、
彼らから戦い方を教えてもらうことにします。
鈴木は40日の長期休暇を取り、基礎体力作りから始まる地獄のような特訓を開始。
一日も休まずやってくる鈴木を見て、高校生たちも本気モードになっていきます・・・。

 

復讐を誓う男が、特訓で力をつけて相手を打ちのめす。
そういう物語は多くありますが、本作はそれ以上に「ハート」があるような気がしました。
格闘に関してはプロ級の腕を持つ朴。
この、岡田准一さんがなんともカッコイイのだわー。
20年近い前の作品なので、若いのはもちろんだけれど、
しなやかな体、シュッとしてハリのある肌、顔。
いや~ん、クールだわあ・・・。
その彼が、鈴木に力を貸そうと思ったのは、
実は彼自身の子どもの頃の苦い体験があったからこそ。
そういうことが終盤語られていまして、
すごく強いけれども、実はまだ娘と同じ高校生、
本当は親の庇護が必要なときなのに・・・と鈴木は気づきます。
でも朴はナイスな友人たちに囲まれて、
なかなか良い青春時代を送っているようで、良かった,良かった・・・。

 

朴は言う。
勝つことよりもその先が難しい。
握りこぶしじゃなくて、翼が欲しい。
真の「勇者」ですね。

 

鈴木が体を鍛える様子を見て、回りの人々も心を動かされ、
勇気づけられていくというのもいいです。
仕事に疲れて抜けがらのように帰りのバスに乗るおじさんたちが、
バスを追いかけて走っている鈴木の、次第に力をつける様子を見て、
ついみんなで応援を始めます。

なんだか、力を分けてもらえるような気がする、ステキな作品。

ゾンビーズの一員に、青木崇高さんがいました!

 

<WOWOW視聴にて>

「フライ,ダディ,フライ」

2005年/日本/121分

監督:成島出

原作:金城一紀

出演:岡田准一、堤真一、青木崇高、愛華みれ、星井七瀬、須藤元気

 

特訓度★★★★★

勇気度★★★★★

満足度★★★★☆

 


パラダイス・ネクスト

2022年02月25日 | 映画(は行)

楽園の果て

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台湾が舞台のノワール・サスペンス。

世間から身を隠すように台北でひっそり暮らすヤクザの島(豊川悦司)。
そんな彼の元に、お調子者のなれなれしい青年・牧野(妻夫木聡)が現れます。

島には見覚えのない相手ながら、牧野の方は
島が台湾に来るきっかけになった事件の真相を知っている様子。
島はいぶかしく思うものの、なんとなく牧野は島の元に居着いてしまいます。
ところが島は、日本のヤクザ仲間から牧野を殺すようにといわれてしまいます。
もはやそれを実行する気はなく、
島と牧野はこの地を離れ、東海岸の街、花蓮へ。

そこで2人はシャオエン(ニッキー・シエ)という女性と出会いますが、
彼女は2人がこんな場所にいるきっかけとなった女性にそっくりでした。
ここで3人は、追われる身なのも忘れて、気ままで平和なひとときを過ごすのです。

しかし、追っ手は密かに迫っている・・・。

台湾の都会、ごみごみした裏町の様子、
そして都会を離れ風光明媚でのどかな土地。
どちらも台湾の雰囲気たっぷりですね。

島と牧野が危機を忘れ(忘れたフリをして)、過ごすパラダイスのような日々・・・。
それがほんのひとときであるからこそ、後に切なく思い返されるのでしょう。

ノワールということで、ハッピーエンドは望めず・・・、
やはりちょっとものたりないかな?

<Amazon prime videoにて>

「パラダイス・ネクスト」

2019年/日本・台湾/100分

監督・脚本:半野善弘

出演:妻夫木聡、豊川悦司、ニッキー・シエ、カイザー・チュアン、マイケル・ホアン、大鷹明良

 

ノワール度★★★★☆

台湾度★★★★★

満足度★★.5

 


「信長協奏曲 22」石井あゆみ

2022年02月24日 | コミックス

最終段階へ秒読み開始!

 

 

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サブロー、つい”あの地”に!!

備中高松で戦う秀吉からサブローの元へ援軍の要請!
信長が西国へ赴くという事、それは織田と毛利の全面対決を意味していた。
そんな中、秀吉の裏の思惑を察知した光秀が、サブローに進言する事とは!?
そして、天正十年五月二十九日、ついに「その地」に至る…!!

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「信長協奏曲」、新刊です。

なんといよいよ、ついに、秀吉の援軍依頼を受けた信長が京都の本能寺に入ります。
その前に、長く慣れ親しんだ家臣や妹・お市とその娘たちと別れを交わす。
もちろんこれが最後と思っているわけではないのですが。
私たちとしてはなかなか切なく感じてしまう。

そしてこの次の巻がいよいよ最終巻だそうです。
そうですよね、そうなりますよね。
それでまあ、私でなくてもほとんどの方は予測がついていると思うのですが、
おそらく、明智光秀こと本物の信長が、
サブロー信長と入れ替わって死ぬつもりなのではないかと・・・。

となると本能寺に攻め入ってくるのはいったい誰なのかって、
それはもちろん秀吉か秀長ですよね。
ちょっとヘンテコな歴史になってしまうけれど。
いや、それは彼らの陰謀で、攻めてきたのは光秀
ということにされてしまうのかも知れない。

となると、サブロー信長はどうなるのでしょう? 
気になるのは、あえてこの度、帰蝶を伴って京都入りしてしまったこと。
よしてよ~、危険じゃん、と思うけれど、
そういうことになってしまった・・・。

本作中、この時代にタイムスリップして来た人物が他にもいるのですが、
元の時代には戻れず、ここで命を全うした模様。
それなので、今さらサブローが現代に戻るというのはないのだろうなあ・・・。

 

ホントに、どうなるんでしょ。
待たれる次巻!!

 

「信長協奏曲 22」石井あゆみ ゲッサン少年サンデーコミックス

満足度★★★★☆

 


「詩歌川百景 2」吉田秋生

2022年02月22日 | コミックス

類の内心に注目!

 

 

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”親を選べなかった子供”がもう一人・・・

山間の小さな温泉町の老舗旅館で湯守見習いとして働く青年・和樹(かずき)は、
友人たちや大女将の孫娘・妙(たえ)とともに
様々な大人たちと関わりながら過ごしている。
ある日、東京の大学に進学しそのまま就職した「まーこ姉ちゃん」が帰ってきて・・・?

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待ってました!「詩歌川百景」第2弾。

前巻で、この小さな温泉町の老舗旅館で湯守見習いとして働く和樹と、
その周囲の人々のおよその人となりや関係性が表わされました。
そして2巻目の本作は、いよいよ1人ずつの内面に踏み込んでいきます。

和樹が最も親しくしている友人は、
2人合わせて「森林組合」と呼ばれる森野剛と林田類。
剛は、幼なじみである妙のことが好きで、告白すべきかどうか迷っています。
類はぜひ告白すべきと焚きつける。
でも、和樹はもしかすると類も妙のことが好きなのでは?と思う。

いやいやいや、この展開はどうなのか、と思いますよね。
だって、どう見ても本作としては妙と和樹がいい感じになりそうに思う。
これが三角関係ならぬ四角関係になってしまったら、
いくら何でもやり過ぎではないの!

・・・ところがです。
本巻の最終ページで、やられた!と思います。
勘の良い方なら気づいたでしょうか。
私はそこまで思い至りませんでした。
成績優秀な類が、大学進学を止めてまでこの町に残った理由。
そして自分の思いは決して本人に告げないと決めている理由。

なんとも切ないではありませんか・・・!
ぐっと、この先が楽しみになってきました。

 

そして妙はやはり和樹が好きなのだと思います。
いつも和樹に対しては上から目線の物言いになってしまうのは、
きっとあれですよね。
好きな子をついいじめてしまうというガキ大将的な・・・。
でも和樹がそうした思いに気づくのはもう少し先のことになりそうです。
今は、仕事を覚えるのに精一杯。

そして今回新たに登場したのは、まーこ姉ちゃんこと、摩耶子。
えーと、妙にとってはイトコということになりますか。
彼女もまた、毒母から逃れるのに苦労し、
他の人よりも一層自立心が芽生えたクチのようです。
私は、こういう人物が好き♡

というわけで、次巻まで、また首を長~くして待つことにしましょう。

 

「詩歌川百景 2」吉田秋生 フラワーズコミックス

満足度★★★★★


グランド・ジャーニー

2022年02月21日 | 映画(か行)

渡り鳥と共に旅する

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鳥類研究家で気象学者でもあるクリスチャン・ムレクが
実際に飛んだ超軽量飛行機でのノルウェー~フランスの旅を元にしたストーリーです。

渡り鳥のガンの研究をしている風変わりな気象学者・クリスチャン。
超軽量飛行機を使って絶滅危惧種の渡り鳥に
安全な飛行ルートを教えるというプロジェクトに夢中です。
彼の息子・トマは、離婚した妻とともに暮らしているのですが、
夏休みの間、クリスチャンの元で過ごすことになりました。
都会育ちのトマはオンラインゲームに夢中。
電波も届かず、自然の他に何もないこんな地で過ごすことに不満いっぱいです。
ところが、ガンが卵から孵化するときにトマが居合わせたことから、
ガンの「父親」になってしまったトマ。
次第に父のプロジェクトに引き込まれて行きます。

 

私、以前に多分「グース」という作品だったと思うのですが、
本作同様、渡り鳥を飛行機で誘導するストーリーを見たことがありまして、
いたく感動したのでした。
だからまあ、その二番煎じとも思える本作はあえて見なくてもいいかなあ
・・・と思ってはいたのですが、やはり結局見てしまい、
そしてまた、改めて感動したのでした!!

ノルウェー~フランスというと、地図でいえばすぐ近く。
でも実際はガンが夏を過ごす北極圏~南フランスまでで、
相当な距離になります。

父親とトマが力を合わせながら飛んでいくのだろう、と思ったら、
なんといきなりトマ1人での旅立ちとなってしまうという展開。
スリルたっぷりです。

そしてこれは現代の話なので、
そんな様子を目撃した人の動画がSNSで瞬く間に拡散されて、
トマは行く先々で人々の歓迎と援助を受けるようになっていくのです。
心温まります。

鳥たちの中には一羽だけ異種のガンが混じっています。
孵化させるための卵に、別のものが混じってしまっていたらしい。
父親とその友人は異種のガンを一緒にしてはダメ、というのですが、
トマは聞き入れません。
「なんで差別するの?」というその言葉は、
多様性が問われる今、逆らいがたい力がありますね・・・。

実際には、繁殖の問題があって、
自然界に人の手が加わった変化をもたらすべきではないという考えがあるのだと思います。

さて、鳥たちを引き連れた旅が成功したとして、
渡りの時期に実際に鳥たちがその道をたどって飛んでいくことができるのか・・・? 
そこが本当は重要な所なのです。

さあ、どうなるでしょう。
お楽しみに!

 

大自然の中で生きる動物と人との関わり、そして少年の成長、
どれも私のツボなので感動の渦でした。

 

<Amazon prime videoにて>

「グランド・ジャーニー」

2019年/フランス・ノルウェー/113分

監督:ニコラ・バニエ

出演:ジャン=ポール・ループ、メラニー・ドゥーテ、ルイ・バスケス、フレッド・ソレル

 

冒険度★★★★★

規則破り度★★★★★

(でもやっぱり規則は守ろうよ・・・!)

満足度★★★★☆


SNS少女たちの10日間

2022年02月20日 | 映画(あ行)

危険すぎる・・・

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ドキュメンタリーなのですが、実に、「胸クソ」が悪くなってしまう作品。

巨大な撮影スタジオに作られた3つの子供部屋。
幼い顔立ちの18歳以上の3人の女優を集め、
12歳の女子という設定の元、SNSで友だち募集をします。
その結果、彼女たちにコンタクトしてきたのは10日間で2458人の成人男性。
そのほとんどが下心丸出しで“少女”たちに語りかけてきます。
始めから卑猥な言葉を投げかけ、その欲望を隠そうともしないものもいます。
自分の局部の写真を送りつけたり、少女の裸の写真を要求したり・・・。
思うように行かなくなると、今度は写真をSNSに公開する等と脅しをかけて来るのです。

なんともおぞましい行為のオンパレード、不気味で具合悪くなりそう・・・。
こんなこともたまにはあるのかもしれない、などとこれまで私は思っていましたが、
こんなに多いとは・・・!

それにしても、こんな相手と言葉を交わし続ける少女たちが実際にいるというのがまた、驚きです。
つまりは、反抗期の少女たちはそうしたことが「大人」っぽく感じられ、
興味本位や好奇心ということもあるようです。
でも、本作を見ていたらやはりこれは、
少女に対する性的虐待に他ならないとはっきり思います。
ティーンエイジャーの親は、本作、ぜひ見るべきです。

本作に出演した女性たちはもちろん実際はもう「少女」ではありませんが、
こんな男たちと毎日会話したり、クレイジーな写真や動画を見せられたりして、
かなり心にダメージを受けたのでは?と思いました。
でも、精神科医や性科学者、弁護士など専門家のケアもあったそうで・・・。
本当に、そうでなければすっかり男性不信になりそうです。

こんな中でも、ごく稀にマトモな人物もいまして、
彼との会話では女優さんはつい泣いてしまっていましたが、
その気持ち、私もよく分かります。
ごく当たり前の発言をする男性が、このSNS上ではダイヤモンドのように輝いていました。

恐ろしい現実を白日に晒した、とんでもない作品だと思います。

 

<WOWOW視聴にて>

「SNS 少女たちの10日間」

2020年/チェコ/104分

監督:バーラ・ハルポバー、ビート・クルサーク

出演:テレザ・チェジュロー、アネジュカ・ピタルトバー、サビナ・ドロウハー

 

SNSの恐怖度★★★★★

男たちの変態度★★★★★

満足度★★★★☆


あの頃。

2022年02月19日 | 映画(あ行)

馬鹿馬鹿しくも、萌えた日々

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マネージャー、プロデューサー、ベーシスト等様々な遍歴を持つ
劔樹人の自伝的コミックエッセイ「あの頃・男子かしまし物語」を映画化したものです。

彼女もお金もなく、どん底生活を送る青年、劔(松坂桃李)。
ある時、松浦亜弥のミュージックビデオを見て、
「ハロー!プロジェクト」のアイドルに夢中になります。
イベントで知り合ったコズミン(仲野太賀)や、西野(若葉竜也)、
ロビ(山中崇)、ナカウチ(芹澤興人)ら個性的な仲間と共に、
くだらなくも愛おしい日々を謳歌します。

・・・しかし時は流れ、やがて仲間たちはアイドルよりも大切なものを見つけ、離ればなれに。
そんな時、コズミンがガンに冒されているという知らせが・・・。

本作でいう「あの頃」というのが、2000年代半ばくらい。
松浦亜弥とかモーニング娘がテレビを賑わしていた頃。
そんなアイドルたちを、こんなアイドルおたくの男子たちが支えていたということですね。
そういう文化には今も昔もなじみがない私なので、興味は半減ではありますが、
そういうものに熱中し、何でも笑いに変えて仲間との絆を深めていたという雰囲気は、
十分に伝わりました。

彼らは、コズミンの病や死すらも笑いに変えてしまいます。
でもそれは決して不謹慎ではなく、彼らなりの精一杯の対処であることも十分に伝わるのです。
それが彼らの友に対しての愛情表現。
そんなことは誰に対してもできることではないし、
若さだけでやっていた「あの頃」だからなのかも知れませんね。

こういうおかしくてくだらなくて切ない感情を表わすのに、うってつけのキャスト。
楽しめました。

<WOWOW視聴にて>

「あの頃。」

監督:今泉力哉

原作:劔樹人

出演:松坂桃李、仲野太賀、山中崇、若葉竜也、芹澤興人、山崎夢羽、西田尚美

 

男たちのポンコツ度★★★★☆

満足度★★★.5

 


「パラダイス・ガーデンの喪失」若竹七海

2022年02月18日 | 本(ミステリ)

海の見えるガーデンで

 

 

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海に臨む庭園での老女の自殺、所轄署のクラスター騒ぎ、
老人ホームを巡る不穏な噂、幼稚園児身代金誘拐
――総勢15名以上の住民の物語がパッチワークのように交錯する。
10年ぶりの〈葉崎市シリーズ〉は、とびきりビターな書き下ろし長編!

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若竹七海さん、10年ぶりの「葉崎市シリーズ」です。
そういえば、しばらくお目にかかっていなかった。

本作、2020年と、しっかりと現在を舞台としていまして、
コロナ禍にあり、皆マスク着用。
密を避け、換気やら消毒やらに追いまくられる日々。
それでも感染拡大の波が少し落ち着いた谷間にある頃の物語です。

登場人物として多くの住民が登場するのですが、
それぞれ個性たっぷりなので、割とわかりやすいです。
まずは、海の見える崖の上にあるガーデンで、
老女の自殺死体が発見されるのですが、身元が分かりません。
その後、幼児誘拐事件やら、老キルト作家殺人事件が立て続けに起こり、
警察署は大混乱。

そんな中、本作で事件を解決に導くのはおばちゃん警部補、二村。
ベテランです。
ノッシノッシと戦車が突進しているように歩く。
この時期、警察ではマスクをつけてさらにフェイスシールドをつけることが義務化されているのですが、
フェイスシールドの数が足りなかったようで、黒々と輝くサンバイザーを着用。
見るからに異様ですが、実はとてもキレる人。
いい感じです。

また本作ではガーデニングやパッチワークキルトが題材としてとりあげられていて、
これはもう、私のためにあるようなストーリーなのでした。
各章の題名が、キルトのパターン名となっているのもしゃれています。

海の見える崖の上に立つ老人ホーム。
おまけに、花々であふれるガーデン付き。
確かにこんな話があれば、私でも興味がわきます。
でも、作中ではこれは高齢者に狙いをつけた詐欺。
皆さん、気をつけましょう・・・。

ブラックなユーモア満載、楽しめました。

コロナ禍の描写については、後に、
「そうそう、こんなことがあったなあ・・・」と
懐かしく思える日が早く来るといいのですが。

 

<図書館蔵書にて>

「パラダイス・ガーデンの喪失」若竹七海 光文社

満足度★★★★☆

 


アザーズ

2022年02月16日 | 映画(あ行)

屋敷に潜む、何か

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ニコール・キッドマン主演の名作ホラー。

本作、公開時に見ていて、一番肝心の結末も覚えていたので、
興味半減ではありますが、当ブログ未掲載ということで、改めて見てみました。

 

1945年。英国ジャージー島の霧深い屋敷。

夫は未だに戦線から帰らず、
女主人・グレース(ニコール・キッドマン)は、
子供2人と3人の使用人とで暮らしています。
子どもたちは強度の日光アレルギーのため、
邸内、特に子どもたちがいる部屋は厚いカーテンが引かれ、常に暗いのです。
そんなある日、グレースは屋敷にいるはずのない
アザーズ(他者)の物音を耳にするようになる・・・。

 

謎めいた薄暗い屋敷、不気味な気配、物音。
子どもたちも、見えない何者かの気配に怯えるようになってきます。
誰もいないはずなのに鳴り出すピアノ。
そして、ついには窓のカーテンが残らず消え失せていて・・・。

なぜか使用人たちは、こんな不気味な出来事の意味を知っているようで・・・。

本作は、「シックス・センス」を見た人なら、結末は想像がつくかも知れません。
ラストに現れる驚きの真実・・・というパターンがこの頃、はやっていましたよね。
本作には血みどろの死体など出て来ず、雰囲気のあるいい作品だと思います。

帰ってきた夫の様子が謎めいて異常で、これもまたいいですよ。

 

<WOWOW視聴にて>

「アザーズ」

2001年/アメリカ・スペイン・フランス/104分

監督・脚本:アレハンドロ・アメナバール

製作:トム・クルーズ

出演:ニコール・キッドマン、フィオヌラ・フラナガン、クリストファー・エクルストン、
   アラキナ・マン、ジェームズ・ベントレー

 

ホラー度★★★★☆

逆転度★★★★☆

満足度★★★★☆


永遠の831

2022年02月15日 | 映画(あ行)

永遠の夏休みはアリ?

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WOWOW開局30周年として放送された、神山健治監督によるオリジナル長編アニメ。

 

「未曾有の大災厄」により世界中が混迷を極める時代。
東京で新聞奨学生として暮らすスズシロウ。
彼は高3の時に起こったある事件をきっかけに、
自分の意志とは無関係に時間を止めることができるようになります。
そのスイッチは「怒り」で、その時間停止がどのくらいの間続くのかも、
今のところコントロール不能。

そんな彼が、ある日、同じく時間を止めることができる少女・なずなと出会います。
しかし彼女のその力は、異母兄・芹によって犯罪に利用されているのです。
スズシロウは、なずなに手を差し伸べようとしますが・・・。

表題の数字、831はすなわち8月31日を表わしています。
夏休みの最後の日、永遠に続く夏休みを意味しているのですが・・・。

夏休みが永遠に続くなら「ラッキー」と私なら思ってしまいますが、
本作では社会や人々のそうした怠慢や、
新しいシステムに乗り出していく気概のなさを問題としているようです。
なずなの兄・芹は、こんな相変わらず資本家ばかりが優遇される世の中を
変えたいと思い、テロまがいの行為に出るわけですが・・・。

一方スズシロウは、自分のとった行動で自殺者を出すという重い過去があり、
そのため故郷を逃げ出して東京にいる。

どうもこの辺のスズシロウの心理と、芹の心理がうまく重ならず、
結局よく分からないストーリー運びだと感じました。

そしてまた、本作のアニメーションですが、
人物の動きはおそらくモーションキャプチャーを利用していると思われます。
だから人物の動きが確かにリアルではあります。
でも、例えば2人の会話シーン。
話をしている人物が動くのは分かる。
でも聞き手の方も絶えずほんの少し揺らいでいるのです。
それはリアルなのかも知れないけれど、妙に視線がそっちに行ってしまって、
しかもなんだかその揺らぎがキモチワルイ。
どうも必要のない動きに思えてしまう。
時間が止まったときの完全静止状態と区別をつけたかったのかも知れませんが・・・。

なんだか、私にはピンとこない一作でした・・・。

<WOWOW視聴にて>

「永遠の831」

2022年/日本

監督・脚本:神山健治

出演(声):斉藤壮馬、M・A・O、興津和幸、日笠陽子

満足度★★.5

 


約束の宇宙(そら)

2022年02月14日 | 映画(や行)

仕事を持つ女性としての立場、母としての立場

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欧州宇宙機関(ESA)で日々訓練に励むフランス人宇宙飛行士、サラ(エバ・グリーン)。

物理学者の夫とは離婚し、7歳の娘ステラと2人で暮らしています。
そしていよいよ、かつてからの夢であった
Proxima(プロキシマ)と名付けられたミッションのクルーに選ばれます。
しかし、国際宇宙ステーションに約一年滞在することとなり、
娘とは離ればなれになってしまうことになります。
まずは、訓練に参加するため打ち上げの2か月ほど前から、サラは娘と離れなければなりません。
過酷な訓練の合間、サラはステラと
「打ち上げ前に一緒にロケットを見る」という約束を交わしますが・・・。

本作は、自分の夢や職務を果たそうとする1人の人間としての立場と、
女で母親という立場の両立の難しさを描いています。

娘ステラは、しばらく父親と共に暮らすことになるのですが、
そのために転校をします。
母と別れ、おまけに見知らぬところで新しい生活を始める。
子供にとってはこれはかなりのストレスに違いありません。

しかしこのとき、同時に母・サラも同じ思いを味わっているのです。
訓練の場では同じチームの男性2人と組むことになります。
しかし初対面の彼らは、組むのが女性であることに不満を感じている様子。
内心「女なんか、頼りにならない」と思っているのがよく分かります。
慣れない環境で、見知らぬ人々とうまくやっていかなければならないストレスは娘と同じ。
電話で話す母子は双方泣きそう・・・。

訓練の合間にも娘を案じ、なかなか気が休まることのないサラ。
これが男性なら、まあ、普通は自分の仕事のことだけ考えていればいいですよね。
でもいくら昨今、男女の役割が平等になってきているとは言っても
「母」としての立場は、父親に丸投げできるモノではないのでしょう。
そこが実際辛いところ。

けれど、母親の心配をよそに、子供は実はたくましい力を秘めているモノ。
ほんの1・2か月離れている間に、
算数が得意になり、自転車に乗れるようになり、ボーイフレンドまでできたらしい・・・。
母も負けていられませんね。

・・・という風に、本作はロケットが打ち上げられたところでまでを描写するのみで、
宇宙で実際に活躍する母の姿はナシです。
母と子、それぞれの成長を描くという
そういうテーマなので、ここはそれで良しですね。

ところで、サラの最後の行動なのですが、
コロナ禍の今、それは絶対にしちゃいけないヤツのような気がします。
タブーです。
それがすごく気になってしまって、感動も半減。

<WOWOW視聴にて>

「約束の宇宙(そら)」

2019年/フランス/107分

監督:アリス・ウィンクール

脚本:アリス・ウィンクール、ジャン=ステファヌ・ブロン

出演:エバ・グリーン、ビリー・ブーラン=レメル、マット・ディロン、サンドラ・フラー

 

シングルマザー奮闘度★★★★★

満足度★★★☆☆


「アルモニカ・ディアボリカ」皆川博子

2022年02月13日 | 本(ミステリ)

恐るべき精神病者収容所

 

 

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18世紀英国。
愛弟子エドらを失った解剖医ダニエルが失意の日々を送る一方、
暇になった弟子のアルたちは盲目の判事の要請で
犯罪防止のための新聞を作っていた。
ある日、身元不明の屍体の情報を求める広告依頼が舞い込む。
屍体の胸には“ベツレヘムの子よ、よみがえれ!
アルモニカ・ディアボリカ”と謎の暗号が。
それは、彼らを過去へと繋ぐ恐るべき事件の幕開けだった。
『開かせていただき光栄です』続篇。

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皆川博子さん「開かせていただき光栄です」の続編です。

前作から5年ほどが過ぎて、
盲目の治安判事、ジョン・フィールディングや
解剖学をまい進するダニエル師も健在です。
ダニエルの弟子たちアル・ベン・クラレンスは、
ジョン判事のもと、犯罪摘発情報新聞の発行に携わり、
そして彼らの友人ネイサンも協力している、といったところです。
彼らの中で、前作の最後に姿を消したエドとナイジェルへの喪失感がようやく癒えてきた頃。

そんなところに、ナイジェルの死を表わしているかのような
不可思議な呼びかけを目にするのです・・・。

 

本作、前作では触れられていなかったナイジェルの出自の謎が明かされていきます。

前作では「刑務所」の恐るべき実態が表わされていたのですが、
本作では「精神病院」について。
いえ、精神病院ではありませんね。
精神病者収容所というべき場所です。
一度入るともうほとんど出ることはかなわない・・・。
精神的に問題のない人物でも権力者の思惑一つで、
閉じ込められ恐ろしい拷問のような「懲罰」を受けたりする・・・。

“人権”などと言う発想のない時代の話・・・。
あ、お金のある人にだけ人権はあるようですが。

 

それと本巻の解説を読んで初めて知りましたが、
本作の登場人物の何人かは実在の人物で、
刑務所や精神病院内の話についても史実に基づいているとのことで、
歴史上の事実とフィクションを見事に絡ませた作品なのでした。

本題の「アルモニカ・ディアボリカ」というのは「悪魔の楽器」と言った意味。
ワイングラスに水を入れて指でこすって音を出し、
メロディを奏でることができるのはご存じかと思います。
そのような現象を利用したガラスの楽器。
これは本作中にあるとおり、ベンジャミン・フランクリンが発明したものだそうで・・・。
とても繊細なメロディを奏でそうですね。
聞いてみたい。

ちょうど時代は、植民地であるアメリカで、
イギリスに対して暴動が起こっているというあたり。

とにかく何もかもが興味深く、するすると読み進んでしまいました。

 

「アルモニカ・ディアボリカ」皆川博子 ハヤカワ文庫

満足度★★★★.5

 


どん底作家の人生に幸あれ!

2022年02月12日 | 映画(た行)

貧乏はどん底ではあるけれど

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ディケンズの自伝的小説「デイヴィッド・コパフィールド」の映画化です。

優しい母と家政婦に見守られて幸せに暮らす少年・デイヴィッド。
周囲の変わった人たちや事柄を書きとめ、空想を巡らすのが大好きでした。
やがて、母が再婚。
ところが義父はとんでもない冷血漢で、デイヴィッドは工場に売り払われてしまいます。
そんなどん底の中で、たくましく成長したデイヴィッド(デブ・パテル)。
しかし、母の死をきっかけに彼は工場を脱走し、唯一の肉親である叔母を頼ります。

幸い叔母は裕福で、デイヴィッドは援助を受けて上流階級の名門校に通い始め、
その後法律事務所で働き始めますが・・・。

本作で最も特徴的なのは、多様性の重視。
人種お構いなしでキャスティングがなされていること。
なにしろ、英国人の主人公がまずデブ・パテルだし、
他の登場人物も、アフリカ系、東洋系、何でもあり。
英国貴婦人が黒人だったりするのに始めは戸惑いましたが、
そういうシステムだと分かれば、かえって人の区別がつきやすく、
これはこれでOKだと思えてきます。

それにしても、デイヴィッドの極端な人生の浮き沈み、
すべてお金があるかなきかということも切ないなあ・・・。
まあ、今でもあまり変わりはないと思うのですが。
借金が返せなければ監獄行き、というのもあんまりですね。
相続のこととか、児童福祉のこととか、
制度的には今の方がやはり少しマシかもしれません・・・。

などと、考え始めると深刻になっていきますが、
作品自体はコメディで、楽しいですよ。

ひどい人もいるけれど、愛すべき人々も多く登場します。
裕福な叔母さんが財産をなくしてしまい、
荷物一つでデイヴィッドの所に転がり込んできたりします。
しかも狭くてぼろいその部屋に、
さらにホームレスとなってしまっていた知人の大家族も転がり込んで来る。
実際すし詰め状態だけれど、それでも鷹揚に構えている叔母さん、大人物だなあ・・・!

貧しくても心が豊かな人がいっぱいというのは良いことです。
そしてこんな波乱に満ちた人生から、物語が生まれるというのは納得ですね。

<WOWOW視聴にて>

「どん底作家の人生に幸あれ!」

2019年/イギリス・アメリカ/120分

監督:アーマンド・イアヌッチ

原作:チャールズ・ディケンズ

出演:デブ・パテル、アナイリン・バーナード、ピーター・キャパルディ、
   ティルダ・スウィントン、ベン・ウィショー、ヒュー・ローリー

コメディ度★★★★☆

人生の浮き沈み度★★★★★

満足度★★★★☆