映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「グイン・サーガ136 イリスの炎」 宵野ゆめ

2015年06月02日 | グイン・サーガ
もつれる後継者問題

イリスの炎―グイン・サーガ〈136〉 (ハヤカワ文庫JA)
天狼プロダクション
早川書房


* * * * * * * * * *

さて、サイロンですね。
アキレウス大帝亡き後、後継者問題が未だに決着を見ない。
私達からすると、グインでいいじゃん、って思っちゃうんだけど、そうは行かないのね・・・。
グインは「一代限りの王」ということだったんじゃなかたっけ?
 後継者となれば、グインの人格だの功績は別の話で、やっぱり血筋がきちんとしていないと、国民としては納得出来ないのだろう・・・。
 誰もいないのならともかく、オクタヴィアもいることだし・・・。
オクタヴィアがあとを継いで、後見人としてグインがそのまま「王」でいいじゃないのねえ。
まあ、そう思うんだけどね・・・。
 しかしグインの立場の正当性を裏付けるもう一人正当な跡取り、「シルヴィア」がいないわけだし・・・。
 っていいたいけど、いるんだよね、これが。
せっかくアウロラに救われ、記憶もないままにつかの間平穏な日々を過ごしていたのに・・・。
全く、この人は記憶を失ったままのほうが幸せだったよね。
それがまたとんでもない運命の始まりで、何者かの陰謀でなんとパロへいって、
 王位継承の名乗りを上げるなんてことになってしまってる。
・・・どうなっちゃうのだろうね。
すご~く、気になるね。


そしてまた、彼女が産み落としたこどもが・・・。
いるんだよね。けど。洪水でどうなっちゃったかもわからないのだけれど・・・。
まあ、ここで死んでしまっては話がつまらないから、きっと生きながらえて、
 思いも寄らないところでまた登場するんだよ。
 だってこの子だって王位継承権はあるんだから。
ではグインの双子たちはどうなっちゃうのだろ?


うーん、物語は本当に主要人物の二世たちが主役に移り変わっていくのかもしれない。
これじゃあと100巻あっても足りなそうだよ、ホント・・・。
私はねえ、もしかしたらどこかにナリスの隠し子がいてもおかしくないような気がする・・・。
怪しげな「ナリスの復活」はなしにして欲しいけど、ナリス2世ならいいなあ・・・。
 けど、それってもちろんリンダの子じゃないよね・・・?
あたり前でしょ。リンダは処女なんだし・・・。
 その結婚の前に、ナリスは相当浮き名を流していたようじゃない。
それなら、もう結構な年だよね・・・?
だからさ。出てくれば面白いでしょ。


それで、前の時に、なんだかグインがいても安心感がない
 ・・とか言っていたんだったような気がするけど。
それなんだけどね、やっぱりそういう印象は拭えないような・・・。
 継承問題なんかさ、とにかく今はオクタヴィアしかいないわけだから
 「彼女が後を継ぐ、自分が補佐する」って一言いえば済むだけだと思うけど。
 なんだか他人事みたいに黙ってるだけで・・・。
ちっとも頼りにならない感じ・・・?
まあ、今後に期待しましょう・・・。

「グイン・サーガ136 イリスの炎」宵野ゆめ ハヤカワ文庫
満足度★★★☆☆

「グイン・サーガ 135 紅の凶星」 五代ゆう

2015年02月26日 | グイン・サーガ
詰め込みすぎ?

紅の凶星 (ハヤカワ文庫JA)
天狼プロダクション
早川書房


* * * * * * * * * *

イグ・ソッグの体をもってヤガの神殿に潜入したブランは、
その深奥でおのれの眼を疑うような、ミロクの神秘を体験する。
一方、クリスタルの災厄から逃れたリギアたちに迫る
不吉な足音の正体は?
そしていまだクリスタルに居座るイシュトヴァーンを
諌めるためにやってきた、宰相カメロンに襲いかかる忌まわしき敵とは?
さらに一方、スーティとスカールの、
黄昏の道を往く旅の行方に待つものは?
謎が謎を誘う幻惑の物語。

* * * * * * * * * *

さて、新作が出ましたねえ。
本巻は、色々なシーンがめまぐるしく交差していきます。

★前巻、その展開に思わずのけぞり、ぎゅっと引きつけられた、ブランのその後。
 ヤガでの出来事ですね。
 ミロクの中心部で一体何が起こっているのか。

★クリスタルから脱出したリギア、マリウス、
 そしてアッシャの魔導の力を制御する訓練を始めたヴァレリウス。
 しかし、アッシャの憎悪の力は暴発する危険も潜んでいて・・・

★パロの街をめちゃくちゃにしたイシュトヴァーンのもとに、
 ようやく辿り着いた宰相カメロンは、
 もうこんなことはやめて、故郷に帰って楽しく暮らそうと言うのでしたが・・・

★黄昏の国をゆく、スーティとスカール。
 思わぬ危機に襲われるが・・・


うーん、確かに見どころいっぱいなんだけどね・・・
なんだか先を急ぎすぎというか、詰め込みすぎというか。
 欲張りすぎというか。
もう少しじっくり進めてもいいのじゃないかなあ、という気はしました。
あっちもこっちも危機一髪では疲れてしまうよね。
 そんな中でも一大事は、あんた、なんとカメロンが!!
きゃー、ヒトゴロシー!!
いいの、ほんとにいいの?こんなことしちゃって。
 もう誰もイシュトを止められないじゃないの。
いや、もう誰も五代ゆうさんを止められないって感じ?
やっちゃったねえ・・・、ホントに。
パロの災厄はいつまで続くのか・・・


リギアとヴァレリウスのところは、なんとなくユーモラスタッチなのは、
 まあいいかという気はするね。

それと、最後のスーティとスカールのシーンには泣かされちゃいました。
スカールの最愛の妻リー・ファとのシーンだね。
 確かに、ここはシビれる。
結局この二人はどっちに行こうとしてるんだろう?
うーん、それは予想がつかないね。
 どこか思いもよらないところにつながっていくんじゃないかな。
 まあ、先を楽しみにしますか。
もう面倒臭いからやめようかなんていってたくせに・・・。
イヤもうグインの新刊を買うのは殆ど習慣なんで。
 けどやっぱり外伝は「パス」させてもらってます。

「グイン・サーガ 135 紅の凶星」五代ゆう ハヤカワ文庫
満足度★★★☆☆

「グイン・サーガ 134 売国妃シルヴィア」 宵野ゆめ 

2014年12月03日 | グイン・サーガ
グインの力強いオーラは何処

売国妃シルヴィア (グイン・サーガ134巻)
天狼プロダクション
早川書房


* * * * * * * * * *

ケイロニアの皇女シルヴィアの行方が知れなくなった。
幽閉されていた闇が丘の館が何者かに襲撃され、
地下の水路深くへとその姿は消え失せてしまったのだ。
そして、死霊の口が語る彼女の大罪をめぐり、
シルヴィアには、"売国妃"の汚名が冠されることとなる。
また、大帝アキレウスの病状が思わしくなく、継承問題も持ち上がっていた。
容赦なくふりそそぐ多様な艱難に対処すべく、
グインはまた一歩前へ踏み出すのであった。


* * * * * * * * * *

「グイン・サーガ続編プロジェクト」も、もう第4弾になるんだね。
この表紙、シルヴィアなんだよね。
 可愛らしすぎ~って気がするけど。
まあ、そう醜いわけでもないんでしょうよ。
 仮にも、グインが好きになったんだからさ。


本作には、オリジナルにはない人物が登場するね。
 結構重要そうな役で。
地下水路から流されて、息も絶え絶えになっていたシルヴィアを救う人物、
 男装の麗人アウロラ。
 男装の麗人といえば、グイン・サーガのごくごく始めの方に登場したアムネリスがそうでした。
 金色の髪をなびかせ、勇壮に馬を駆る彼女に、
 私はすっかりオスカルのイメージを重ねたものだったんだけど・・・。
その後のアムネリスの運命を思うと、気の毒でな~んも言えないわ-・・・。
こちらのアウロラも色々とワケありの人物のようだけれど、
 まだ詳しくは語られない。
私は栗本グインから離れていってしまうようで、
 オリジナルに出てこない新登場人物が出てくるのは、
 なんだか寂しい気がするよ・・・。
そうだね、でもしかたのないことだよ。
 いつまでも同じ登場人物を使いまわしていては、ストーリーが膨らまないもんね。


シルビアはいっそ記憶を失くしたままのほうが幸せなのにね。
しかしこの物語は、彼女がささやかにでも幸せに安住することを許さないのだな。
う~ん、そもそもグインに愛されるなんて、これ以上安心なことはなかったのにね。
 ひねくれた嬢ちゃんだから困るよ・・・。
まあ、自業自得の部分はあるね・・・
というかすべて自分で蒔いたタネなんだよっ!!
 しばらく地下牢でおとなしくしててほしかったよね、実のところは。
だけど、ケイロニアも受難続きで、大帝アキレウスの病状重く、
 その生命も風前の灯。
 誰がそのあとを継ぐのか。
 後継者問題で頭を抱えるハゾス。
う~ん、このへんで物足りなく思うのは、
 今まで、グインさえいればこの物語はものすごい安心感があったんだよね。
 なにがあっても絶対大丈夫。
 グインがいるから、と。
 それは、グイン自身が何かに悩んだり記憶を失っていてさえも
 感じられる強いオーラのようなもの。
 でもなんだかこの辺り、心細く感じるんだよね・・・。
グインのオーラが薄れてますか・・・。
 でもそれはね、最も心強い後ろ盾、栗本薫さんがいないのだから仕方ないといえば仕方ない・・・。
グインのオーラが薄れたのは、栗本氏のオーラがないから・・・、
 そういうことかあ・・・。
 でも、それじゃだめじゃん!!
 オーラの薄れたグインなんて、そんなのグイン・サーガじゃない!
まもなくグインの愛妾に子供が生まれるわけだから、
 きっとそこから息を吹き返しますよ!!
 それを楽しみにしましょう・・・。


それにしても、イシュトヴァーンの2人の子供。
 シルヴィアの産み落とした子供。
 ケイロニアとパロの王家の血をひく子供。
 そしてグインの子供・・・。
 この子たちがやがてまたいつか不思議な縁で巡りあい、
 数奇な運命をたどっていくと思われるのだけど、
 そんな話になるまでは、あと100巻くらいでも全然足りない気がするね・・・。
 なんだかこっちの寿命が心配になってきたよ。
とりあえず、次巻を待ちましょう・・・。

「グイン・サーガ 134 売国妃シルヴィア」宵野ゆめ ハヤカワ文庫
満足度★★★☆☆


「グイン・サーガ133 魔聖の迷宮」 五代ゆう

2014年08月30日 | グイン・サーガ
独自の道を歩み始めた・・・

魔聖の迷宮 (ハヤカワ文庫JA)
天狼プロダクション
早川書房


* * * * * * * * * *

ヤガを脱出しようとして捕らわれの身となったフロリーが、
見知らぬ場所で目を覚ます
──グイン・サーガ130巻『見知らぬ明日』はそんなシーンで幕を閉じました。
そしてそれは栗本薫によるグイン・サーガの最後の場面でもありました。
しかし今、途絶したその場所から物語が動きはじめます! 
〈新しきミロク〉に捕らわれたフロリーとヨナを救出すべく、
スカールが、ブロンが、イェライシャが、ヤガの神秘の深奥にいどむ!


* * * * * * * * * *

語り継がれる「グイン・サーガ」の第3弾。
実は五代ゆうさんの著による「131巻」を、
 私らはさんざんけなしちゃったよね・・・。
まあね。悪いけど、「品格がない。デフォルメしすぎ。」
 なんて感じでね。
だから実のところ本巻を読むのも若干躊躇があったのだけれど、
 気になるものは気になるのだ!!
で、今回は?
なんというか以前ほどの違和感はないような気がする。
 というか、緊迫した場面が多くて
 おちゃらけている場合でなくなったのかもしれないけれど・・・。


場面は大きく3つだね。


スカールはスーティーとともに、黄昏の国へ。
 大鴉のザザと銀狼ウーラに出会う。
なるほど、この展開は悪くないよね。
 これまでのグインの世界がちゃんと生きてる。
 スーティーは無邪気で賢くて可愛くて・・・。
 きっと大物になるよね。
 この物語の将来を握っているのはこの子なのさ!
そしてこの二人はザザに導かれ、また一つ長い旅を始めようとするのか・・・。
それもまた不思議な縁の不思議なストーリーになりそうだな。


それから、ヴァレリウス、リギア、マリウスの一行。
パロを脱出して、ケイロニアを目指しているところだね。
 まあ、こちらはメンバー的にもさほど心配はないのだけれど、
 特筆すべきはアッシャという少女の登場。
不思議な力を持っているらしい・・・。
 と、このあたりで栗本グインから離れていきそうなんだけど、
 それもいいかな?という気にさせられました。
そうなんだよね。いずれ、新たな道を行かねばならないのだから・・・。


さて問題は、ブロンとイエライシャという意外な組み合わせの二人が、
 ヤガのミロク教の本拠へ乗り込む所。
 力技では無理なのはわかっているけど、この手は、あまりにもブロンが気の毒というか・・・。
いや~、びっくりしたよね。
 恐れ入りました。
五代ゆうさん、あなたは栗本薫に並ぶ奇想の持ち主です!
前回けなしたことは謝りますです!!
なんでもいいから、フロリーとヨナを助けてあげて・・・


というわけで、ストーリー的にはとてもおもしろくなってきてしまった(?)ので、
 続きもきっと読むと思います。
ただ、描写がかなりグロテスクなところがあって・・・
 そこまでしなくてもって、思わなくもない。
それもメリハリの内、と思うことにしますか・・・

「グイン・サーガ133 魔聖の迷宮」五代ゆう
奇想度★★★★☆
満足度★★★★☆

「グイン・サーガ132 サイロンの挽歌」 宵野ゆめ

2013年12月24日 | グイン・サーガ
これこそグイン!

サイロンの挽歌 (ハヤカワ文庫JA)
天狼プロダクション
早川書房


* * * * * * * * * *

ケイロニアの都サイロンが、黒死病の恐怖に続いて、
強力な魔道を操る黒魔道師たちに脅かされた『七人の魔道師』事件から一年。
豹頭王グインの指揮のもと、復興を目指すサイロンを、
またしても未曾有の災厄が襲った!
発端はトルクの影、"まじない小路"の異変。
そして幽閉された皇女シルヴィアをめぐって暗躍する不可解な男。
忍び寄る見えざる脅威から再び都を守るべく、
豹頭王は心を奮いたたせて走り出すのだった!


* * * * * * * * * *

栗本薫さんを引き継ぐシリーズの第二弾。
ということで、やっぱりぴょこぴょこコンビでお届けしま~す。


前回はパロの物語。
今回は著者が交代してサイロンの物語ですね。
パロにも大変な災難が降りかかったのですが、こちらサイロンも大変なことになっていきます。
まあ、このへんはお二方の意気込みといいますか、
まず大きな事件から入らなければ書き出せないという事情があったのではないでしょうか。
物語は緩急が大事だから、パロにしてもサイロンにしても
こう立て続けに災難に巻き込まれるのはどうも大変すぎ・・・と思わなくもないのですが、
仕方のないところでしょう・・・。
で、この度のサイロン、
ようやく黒死病が収まったと思ったのに、今度は大量のトルクが襲いかかります。
トルク、つまりネズミなんですね。
そのトルクを笛を吹いてあやつる謎の男・・・。
ハーメルンの笛吹きをも思わせる、なかなか面白い設定ではないの。
また、「シルヴィアこそが、このサイロンに災いを呼び起こした張本人だ」との噂が蔓延し、
群衆が彼女の幽閉された塔へ押し寄せるという事態に・・・。
いやほんとに、難儀なことです。
が、つまりこれらは当然「魔導」に導かれているわけで、
影で糸を操っているのは一体何者なのか。
そういう大きな謎があるわけなんですね。
そういうこと。


でもこの本でよかったのは、それに対峙するのがほかならぬ"グイン"であること。
慌てず騒がず、冷静な判断と的確な指示。
グインがいれば大丈夫、そう思わせてくれます。
実はそれこそがグインのグインたるところ。
立派にグインが帰ってきました! 
宵野さん、ありがとう!!
そうなんだよね、申し訳ないけど、前131巻はいかにも登場人物たちにニセモノ感がつきまとったのですが、
こちらは割といい線行っていたように思うのです。
少なくとも、グインはホンモノだ。
で、でもね、最後の最後に、結局又シルヴィアを苦境に陥れてしまったのはグイン、
ということになるのでは・・・?
う~む、でも多分シルヴィアはここであっさり死んだりはしないと思う。
でもどんなに頑張ってもグインはシルヴィアの心を救えないというか、
皮肉な結果にしかならない、というのはもうお約束なのだよ、きっと・・・。
彼女は生き抜いて、たったひとつのグインの弱みで在り続けるわけなんだ。
なるほどねー、そういうことか。
少し気を取り直したので、やはり続きも読んでいくことにしましょう。

「グイン・サーガ132 サイロンの挽歌」宵野ゆめ
満足度★★★☆☆

「グイン・サーガ 131」 五代ゆう 

2013年12月01日 | グイン・サーガ
グイン・サーガ再始動!!

パロの暗黒 (ハヤカワ文庫JA)
天狼プロダクション
早川書房


* * * * * * * * * *

聖女王リンダをめぐって暗躍する、殺戮王イシュトヴァーンが、
パロに恐るべき喧騒を巻き起こす。
イシュトヴァーンは、女王リンダへの求婚をいったんあきらめ、
フロリーを追ってヤガへと軍を進める。
しかしそれは見せかけで、魔道師による追跡の目をあざむいてパロへ戻り、
身分を隠してクリスタルへ侵入するのだった。
しかしヴァレリウスは対抗手段を講じていた。
世界最大最高のファンタジイ・ロマン、満を持してここに再開幕!


* * * * * * * * * *

グインの物語は、「グイン・サーガ・ワールド」で、
外伝がいろいろな人に書き継がれているのは知っていましたが、
もう読む気がしなくてそちらは読んでいませんでした。
だからグインからはしばらく遠ざかっていて何も知らなかったもので、
このたび書店の店頭でこの本を見つけてびっくり!
だって、だって、外伝ではなくて「131巻」ということで、
正編の続きなんですもんね。
本巻は、五代ゆうさんが書いていますが、
次巻は宵野ゆめさん。
天狼プロダクションが監修を行っている・・・と。


続きと聞けばうれしいのですが、
なんとも複雑な気持ちがすることも否めません。
本当に、期待通りならばいいけれど・・・。
いやいや、誰にだって栗本薫さんにはなれません。
はじめから高望みはやめようと割り切ったほうがいいのか・・・とか。
思いは千々に乱れるのですが、
これまで全巻読み通したファンとしては、やはりこれを見逃す手はありませんよね。
(実のところ、本作はすでに「グイン・サーガ・ワールド」に掲載済のものとのことです。)


今作の著者五代ゆうさんはあとがきでこのように言っています。

自分に課した「きまりごと」。
「栗本先生なら絶対にやらなかったことをあえてすること」
そして、「どうあろうと、あくまで『私の』グインを書こう」ということ。


確かに、こう思わなければとても書けないでしょうね。
どんな風に書いても、結局批判は当然あるでしょうし・・・。
だから、そういう意味ではまさしく、
栗本「グイン」ではなく、五代「グイン」として書き上がっているなあ・・・
というのが正直な感想です。


方向としては、全く私が期待したような「続き」にはなっていません。
戦乱で散々な目にあって、しかしようやく落ち着きを取り戻そうとしていたパロが、
またしてもとんでもない災厄に襲われる。
そして、なんと"あの方"が復活・・・!?
ホントに、栗本先生なら絶対にやらないことだと思います。
でもまあ、栗本薫氏自体が意外性の塊で、
そのストーリー展開に何度驚かされたか分からないくらいでもあるので、
100%ナシってわけでもないかもしれません。


ところで、
「ヤガへ旅だったはずのイシュトバーンが、リンダへの未練が捨てきれずパロに舞い戻ってくる」
という部分も、五代さんの創作かと思ったのですが、
この部分は確かに、130巻で書かれていたことでした。
そんなことも忘れているようなので、大きなことはいえない・・・。
第一考えてみたら、このブログで「グイン・サーガ」は
ぴょこぴょこコンビ でやってたはず。
それすら忘れてたくらいなので
文句をいえた義理ではありませんね・・・。


そして、まあ、面白くは読めましたよ・・・。
だけれども・・・。
ないものねだりはわかっているのですが、どうしても思わずにいられない。
ちょっと、登場人物に品格がありませぬ
ヴァレリウスはねずみ男だし、
イシュトはただのならず者。
リギアは破廉恥女で、
マリウスはまるで駄々っ子。
気持ちはわかります。
でもここまでデフォルメすると・・・、
そのわざとらしさは芸能人のものまね大会のよう・・・。
逆に、ホンモノへの思慕が積もってしまうではありませんか・・・。
しかし、これはあれですかね。
おなじみのアニメ主人公の声優が変わった時の違和感。
それが繰り返し見るうちに次第に馴染んで当たり前になっていく。
そんな感じで五代版に馴染んでいくしかないのでしょうか・・・。


ともあれ、私はここに脚を踏み込んでしまったので、
次の132巻も読んでみることにします。

「グイン・サーガ 131」五代ゆう ハヤカワ文庫
不満足度★★★★☆


「グイン・サーガ 130/見知らぬ明日」 栗本薫

2009年12月13日 | グイン・サーガ
見知らぬ明日―グイン・サーガ〈130〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
早川書房

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とうとう最終巻になってしまいました。
いつもなら300ページほどの分量があるのですが、この本はおよそ半分。
いかにも、未完ですね。
最後の最後まで執筆をしていらしたんだなあ・・・、というのがわかります。

栗本さんの気持ちをちょっぴり反映してか、この本は少しトーンが沈みがちですね。
そう、なぜか宰相などになってしまったけれど、本当は、こんなことがしたいわけじゃなかった。・・・と、物思うヴァレリウス。
いつか、ここを出て行ける日が来るのだろうか・・・。と。
リンダはリンダで、私はこのまま女としての幸せも知らずに、パロに一生をささげるのだろうか・・・と、
まだこない明日に暗澹とした思いを抱いている。
どちらも「明日」を見据えながら、ちっとも明るい希望が見えない。不確定・不安に満ちた「見知らぬ明日」なんです。
でも、やはりそれでも、栗本さんはそれだけでは終わらせない。
イシュトのとった意外な行動。
とっとと、ヤガへ向かったはずなんですけどね。
なぜか秘密の精鋭部隊が、クリスタル方面へ逆戻りしている。
・・・・・・うわ~。
イシュトがこの先どうしようとしているのかは、永遠にわからない、ということですか。
ストレスですよね~。
いや、ストレスの素は数え始めたら、キリがナイのですけれど・・・。

ほんと、イシュトヴァーンの考えていることは、常識じゃ計り知れませんから。
この先のストーリーは、公募してコンテストで決めてはどうでしょう・・・。
これまでのストーリーをよ~くわかっていないとダメですよね。
矛盾が生じてはいけないし・・・。
ああ、栗本さんは、汲んでも汲んでも尽きない、ストーリーの泉を持っていたんでしょうね。
・・・当たり前のように思ってしまっていました。
誰にもまねできそうにない。

勝手な想像をするとすれば、イシュトはリンダをかっさらにいくのではないでしょうか。
・・・いいね、それ。
そうして、リンダともどもヤガへ向かう。
ヤガのごたごたというか、異変は、リンダがそこへいくことでしか解決しない。
イシュト+リンダって、何かをやり遂げそうな感じがするでしょ。
パワフルだ。
ふむふむ・・・。でも、そこにフロリーもいるんだよ。
気まずくない?
う~ん、悪いけど、フロリーはここで命を亡くすのだな。
スーティを守って。
そんな、勝手な・・・。
やっぱり、だんだん怪しくなってきたね。あんたじゃムリ。


私にとって、まさに生涯を通じた愛読書だったのですが。
こういう形で最終巻を迎えるとは思いませんでした。

栗本先生、長い間たくさんの冒険とロマンをどうもありがとうございました。

満足度★
・・・満足なんてできるわけありません!


「グイン・サーガ 129/運命の子」 栗本薫

2009年10月16日 | グイン・サーガ
運命の子 (ハヤカワ文庫 JA ク 1-129 グイン・サーガ 129)
栗本 薫
早川書房

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もう2ヶ月たっちゃったんですねえ。
グインの2ヶ月って、ほんとに早いです。

さて、この本では、ミロク教の本拠地、ヤガの怖ろしい姿が浮かび上がってきますね。
これはもう、心悪しき教祖に狂信的な信者が集まって、なんていう生易しいものじゃない。
完璧、"魔"が取り付いています。
これはキタイの触手なんですね?
そのようです。もう人間にはどうにもできません。
この巻を読んで心許ないのは、グインがいないっていうことだよね。
そうなんですよ~。
スカールは確かに心強いのだけれど、こういう相手には歯が立たない。
グインがいれば、こんな相手でも安心なんだけれど・・・。
お国許、ケイロニアで大変なことになっているみたいだし・・・。
ヨナに、フロリーに、スーティ・・・、守るべきものは多いのに、なんてこちらは無力なんでしょう!
そこにようやく現れたのが、ブランでした。
そうそう、これで一応ヤガを目指していたメンバーは全て終結したのかな。
そのようです。しかし、一度追っ手を逃れたかに見えたヨナはつかまってしまうし、
フロリーもスーティと離れ離れになって敵の本拠地に・・・。
絶体絶命・・・最悪の状況ですね。
う~む、この状況をどうのりきるのか。
グイン無しで・・・。
まあ、最後の頼みの綱が現れたので大丈夫だとは思うのですが・・・。

スーティーはますます、頼もしい子になって行きます。
あ~、しかし、私たちは永遠にこの子の成長した姿を知ることができない、ということですよね・・・。
そ、そうですね。なんとも残念・・・。
成長したこの子が誰と結婚することになるのか・・・なんていうのが、楽しみでもあったんだけど。
それを言ったら成り行きを知りたい話はいくらでもあるよ。
グインの子供ってどんなのかとか。
マリウスはいつまでもさすらいの吟遊詩人なのか、とか。
いつか、ゴーラとケイロニアは戦火を交えるのだろうか。
リンダは誰かと結婚するのか。
そもそも、グインってナニモノ???

あと一巻残っていますが、何も語られることなく終わってしまうのでしょうね。
はやく130巻を見たいような、見たくないような・・・。


満足度★★★☆☆

「グイン・サーガ 128/謎の聖都」 栗本 薫

2009年08月16日 | グイン・サーガ
謎の聖都―グイン・サーガ〈128〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
早川書房

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さて、新刊はうれしいのですが、だんだん残り少なくなってくるのも、いやですね。
ファンとしては複雑です。
冒頭、ケイロニア、シルヴィアの話がありますね。
もう、ストーリーの本筋からは外れたのかと思ったら、まだ出てくるんだ。
正直、この女には全く同情できないし、
好きになれないなあ・・・。
あんた、どこまでグインの足を引っ張るのさ!って、感じ。
まあ、まあ・・・。
とはいえ、この上まだ災いの元になりそうなんですもんねえ。
レムスもそうだったけど、「魔」というのは、人の仄暗い心に取り入るものなんだねえ。
まあねえ、だから彼女が怪しいものにつけ込まれるのは当然だね・・・。
・・・ということで、グインのケイロニアはこの先も安泰ではなさそうなわけです。
どこまでも苦労ばかりだ・・・。

そして、ヤガでの続きの話は、ますます異常なミロク教団、
いや、新ミロク教団というべきかな、その姿が見えてくるよね。
最も敬謙で穏やかだったはずのミロク教が姿を変え、
他国をも脅かす勢力を持ちかねない勢いだ。
宗教が暴走し、とんでもない様相を呈するというのは、
あることですもんね。
しかし、どうもこの新教団の中心には、また常の人間ではない何かの怪しい力が働いていそうな雰囲気だよね。
そうそう、その正体にまで、私たちはたどり着くことができるのでしょうか・・・。
ここでのストーリーはもっと長いものになるかと思ったのですが、
意外にも急転。
とりあえず、ヨナとスカールの脱出なるか???というところですね。
でも、それだとフロリーはどうなっちゃうんだろう。
ここに残しておくのは心配すぎるよ。
う~~む・・・。
何しろ、新しい展開があると、心配になってしまうよね。
そんなに膨らましても、その収束を知ることができなさそう
・・・と思うとつらい。
ヨナとフロリーはいい雰囲気になっちゃいましたが、
これだってハッピーエンドにこぎつけるにはもう時間がない・・・。

今回、もう栗本さんの後書きもなくなってしまいましたが、
栗本さんはあくまでも通常のペースで書いていたんだね。
もはやこれまでとあきらめて、少しでも物語を収束させようとはしていない。
ネバー・ギブアップ。最後まで、生き続ける気持ちで・・・書いていたんですね・・・。

スカールさん、頼みます。
無事ヨナを連れ帰って。ついでにフロリーとスーティもかっさらって・・・。

満足度★★★★☆



「グイン・サーガ127/遠いうねり」

2009年06月20日 | グイン・サーガ
遠いうねり―グイン・サーガ〈127〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
早川書房

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・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・

2ヶ月前の126巻の時には、まさかこんなことになっているとは思いませんでした。
敬愛する栗本薫さんのご逝去にあたり、謹んでご冥福をお祈りしたいと思います。
とうとう未完となってしまったこの「グイン・サーガ」。
でも、最後の最後まで楽しみたいと思います。
それがせめてものご供養ですね。


さて、この巻ですが。
ヴァレリウスとイシュトヴァーンの会話が多いのですが、これがなんとも面白い。
この二人は、完璧に陰と陽なんですね。
ヴァレリススは、ナリスさまの災難のもとを作ったイシュトが大嫌い。無学で乱暴なイシュトをちょっとバカにしていたのです。
でも、イシュトは確かに無学だけれど、バカではないのですよね。
そして怖ろしくカンがいい。
そうそう、そうでなければやはりここまで登りつめることはできないですよ。
それで、ヴァレリウスとしては、イシュトヴァーンには気づいて欲しくないことを、イシュトはズバズバ突いてくる。
それで、表面上は常に冷静のヴァレリウスも、内心目をシロクロ・・・、とこういう情景ですね。
だから、この二人の取り合わせは面白いんですよね~。


で、結局、ヴァレリウスが隠したかったフロリー母子の行方、ヨナの行方をすっかり気づかれてしまった、というわけなのです。
それで、また、意外な展開なんだけれど。どうもイシュトはリンダのことは後回しで、ヤガへ行くつもりみたいなんですね。
さすがのイシュトも恋人より、わが子なのか・・・?
本気でむちゃくちゃにリンダが好きというわけでもなさそうですよね。

まあ、それはさておき、物語のすべてがヤガへヤガへと方向を指し示している。
ミロク教の秘密。
これがこれからの大きなテーマとなるのは必至。
そしてまず、ヨナとスカールがヤガへ一番乗りするんですね。
この都市には大きな陰謀が潜んでいそう。
ここへイシュトが乗り込んでくるとなればまた、とんでもない流血騒ぎが起きそうだ・・・。
また大きく歴史の流れが変わることになりそうですね。
これまでは、こういうところに必ずグインが関わっていたのですが・・・。
ケイロニアではまた大変なことになっているし・・・。

う~ん、あと、8月10月12月の発刊分まで原稿はあるそうなんですが、このミロク教篇にきちんとケリがつくのかどうか・・・。
ちょっと不安になってきました。

前巻までの後書きでは、体調が悪いながらも、栗本さんは気丈に頑張っていらっしゃいましたが、
この巻ではさすがに体力が消耗し疲れを感じていたようです。
そこへ来てまたご主人のガンの手術という・・・。
天は、栗本さんに物書きの才能を与えた代わりに、命の炎を削ってしまったかのようです。

この先ヤガでは、きっと主要人物たちが集結しますね。
また2ヶ月、じっくり待つことにしましょう!

満足度★★★★☆

「グイン・サーガ126/黒衣の女王」 栗本薫

2009年04月13日 | グイン・サーガ
黒衣の女王 グイン・サーガ126
栗本 薫
早川書房

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「グイン・サーガ126/黒衣の女王」 栗本薫 ハヤカワ文庫

トントントンと、話は進みますね。
もう、イシュトバーンがパロに来てしまった。
 いよいよリンダとのゴタイメ~ンです。
といっても、あの若き日の二人の誓い以来ではなく、
 ナリスの死のときにも逢っているんだよね。
でも、そのときは大変な混乱の中で、
 ゆっくりした対面ではなかった。
 その時の話も含めて、
 初めて二人がじかに思いを話し合うことになったわけです。
リンダというのはこうしてみると
 ごく普通の「女」なんだなあ、という気がしますね。
イシュトバーンと結婚なんてとんでもない、と思っている。
 しかし、以前結婚を誓った仲でもあり、
 また、その頃よりいっそうたくましく男っぽくなったその彼に、
 魅力を感じてもいる。
 そしてまた、未だに結婚したいと思っているなどと聞かされては
 ついうれしくなってしまう。
・・・そういう心の揺れは、まさに、
 普通に女性の中にある気持ちだものねえ。
どちらかというと、
 あっさりとナリスと結婚してしまった時の方が意外な気がしたんですが・・・。
うん、あの時のほうがちょっと唐突感があったなあ・・・。
そういうのも、リンダの案外ないい加減さが出てる感じです・・・。
 しかし、本当にリンダはナリスが好きだったのでしょうか?
 献身的な愛は分かるのだけれど・・・。
 そんなにいつまでも喪服を着ていたくなるほど
 本当に愛していたとは思いがたい・・・。
う~ん、でもまあ、本人が愛とはそういうものだと信じているわけだから・・・。いいんじゃない?

よく考えると、ここでそんなにリンダが結婚を拒む理由もないような気もするんだけどね・・・。
そうそう。パロの歴史とはいっても、いつかは終わるものなんだから・・・。
いっそゴーラとパロがこの際一つになって平和になればOK、って言うのはダメなのかな???
パロの人たちの意地というのがあるんだろうねえ・・・。
この、普通の「女」のリンダには、普通の女の幸せをまっとうさせてあげたいねえ。
何しろ、未だに処女のはずです・・・。
 むごすぎます・・・。

いつまでたっても、国の格式だの礼儀作法だのにとらわれない、
 イシュトは好きですね。
まあ、そういう破天荒なところが魅力なので。
 これが変に常識人になってしまったら、目もあてられないです。
オオカミが飼い犬になっちゃいましたーってね。

それから、今回意外に思ってしまったのは、
 イシュトはマリウスがナリスの弟だということを知らなかったのですねー。
そういえば、そこはパロの中でもトップシークレットなのですね。 マリウスがケイロニアとも関係しているということも含めて。
読者としてはもう、当たり前すぎるくらいに当たり前のことだったのに、このイシュトがそれを知らなかったとは・・・。
しかし、そこにまた、面白みがあるわけか・・・。
う~む、結局イシュトとリンダって、どうなるのでしょう?
「このあとどうなってゆくんだか、私にもさっぱり読めない」
 と栗本さん自身言ってます・・・。
ひゃ~。
 地道に2ヶ月先を待ちましょう・・・。

満足度★★★★☆

いよいよ、TVアニメも始まりました!

グインサーガ予告トレーラー



「グイン・サーガ125/ヤーンの選択」 栗本 薫

2009年02月15日 | グイン・サーガ
ヤーンの選択―グイン・サーガ〈125〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
早川書房

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さて、また2ヶ月が過ぎましたね。
グインの発刊を待っていると2ヶ月ってすごく早いです。
こんな繰り返しで、もう30年。125巻だもんね・・・。
一番初めから、リアルタイムで読んでいたわけでもないんですよね。
そう、私が読み始めたのは30巻くらいまで出ていた頃。
そのときはまだ一気に30巻読めば追いついたけれど、いまなら大変だよね・・・。
当分退屈しないことは確か。

さて、今回は前巻の続きで、まずヨナとスカールのミロク教聖地ヤガへの旅が語られるんだね。
今まで馬になど乗ったことがないヨナが、スカール一行と共に、馬に乗って旅をします。
長時間馬に乗るのも大変だと聞いたことがあるけれど・・・、
確かに、相当苦労したようだけど、何とかサマになってきたみたいね。
ヨナって、今まで結構地味な存在だったよね。
そう、ここまでメインストーリーに浮上したのは初めて。
これがスカールとのツーショットというのが意外といいですね。
意外な組み合わせ・・・というのは、今後のストーリーの鍵のような気がするね。
何しろ、膨大な登場人物がいるんだから、組み合わせ自由のお楽しみ!
とりあえず、このあとヤガで、ブランとも出会うだろうし、当然フロリー親子も・・・。
もしかするとリギアも、ウワサを聞きつけて、こちらに来るかもしれないね。
ヤガではこういう人たちの出会いだけでなくて、
ミロク教の絡んだ何か大きな事件があるような気がするなあ・・・。
そうだね、このストーリーではかなり以前から、ミロク教のことに触れられていたからね。
やはり、世界を揺るがす大きな何かがおこるのかも。

そして、途中から舞台は変わってゴーラであります。
なんとなんと、イシュトは電光石火、もうパロに向かって飛び出してしまった!
怒り狂うカメロンがあとを追って、追いついてみれば、イシュトは・・・
カメロンを見るなり、にこりと笑った。手放しの警戒心など全くなさげな笑顔・・・。
う~ん、参りますよね。だからイシュトはずるい。
いや、初めからカメロンはイシュトには勝てないんだよ。
ほれた弱みというヤツ。
それどころか、丸め込まれて一緒にパロに行きかけた・・・。
うーん、でも、イシュトもいい年なんだから、もう少しくらい分別がついてもいいじゃないのさ。
けど、それだったら、もうイシュトじゃなくなっちゃうよ。
大体、この人のいい加減さが、このストーリーを支えているといってもいいんだから。
それもそうか・・・。
でも、そこに大変なニュースが飛び込んでくる。
ケイロニアのサイロンで大変なことが起きている、というんだね。
グインがいれば安泰なはずのサイロンで・・・。
これ、この時のサイロンの話。
「外伝」の一番初めの話なのではなかったでしょうか。
はあ~、やっとそこにつながるのか・・・。
栗本さんって、一体どこまで見通してストーリーを作っているのか・・・。
これって、ほとんど脅威ですね。
ホントに。行き当たりばったりでは絶対にここまでひっぱれません!
というわけで、ヤガでは何が起きるのか、イシュトは本当にパロにいってしまうのか、
乞うご期待!
また2ヶ月ですか・・・。
ああ、でもそのときはさすがの北海道も春ですよ!
やっと雪が消えたところで、何もないけどね・・・。

満足度★★★★☆


「グイン・サーガ124/ミロクの巡礼」 栗本 薫

2008年12月15日 | グイン・サーガ
ミロクの巡礼 グイン・サーガ124 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫
早川書房

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グイン・サーガの新刊が書店に並ぶとほっとします・・・。
さて、今回はカメロンが表紙ですね。
なんだかすごく久し振りって気がしますが。
でも、カメロンはすぐカメロンだって分かりますね。
この、ヒゲがね・・・。
ちょっとクラーク・ゲーブルのイメージかなあ・・・。大好きな海を離れてずいぶん遠くまで来てしまった・・・。イシュトに振り回されて苦労ばっかり・・・なーんて、哀愁漂う情景・・・。
今号はそのカメロンとブランの密談から始まりますね。
予感がしていたんだけど、やっぱりカメロンはスーティーの詳細をイシュトに告げずに隠しておくみたいですね。
それがいいと思いますよ~。
スーティーの行方にグインが絡んでいるなどと彼が知ったら、
またカ~ッと来て、何を始めるかわかりませんから・・・。
しかもそのグインは、そのこと自体すっかり忘れ果てているんだからもう、話がややこしい。
ブランはお腹の具合が悪くて、気の毒でした・・・。
これはヴァレリウスの策略だったですね・・・。
今回はミロク教の話が中心になりましたが。
そうなんだよね。無欲、質素、決して争わない・・・、
ものすごいお人よしの教義なんだけど、その信者が増えてきているという。
この宗教が、この世界で大変大きな影響を及ぼす、というのは、
何も、栗本さんが今思いついたことではなくて、
相当以前からその伏線はありましたよね。
いよいよ、そのときなのでしょうか。
結局ブランは再び国を離れて、ミロク教の聖地ヤガへ向かうことになるんだね。
一方、パロを出たヨナもまた、ヤガへ向かう旅に出る。
こういうオーバーラップはうまいなあ・・・。
そして、しばらくは私たちも、ヨナと一緒に珍しいダネイン大湿原を越える旅気分だね。
風光明媚とは言いがたいけど、未知の世界を旅する高揚感。
栗本さんはこういうところの描き方もうまいです。
物語の人物と一緒になって、ワクワクしてしまう。
これまで、ずいぶんいろいろなところを一緒に旅をしました・・・。
この本は、ちょっと幕間的な、こういう平和な旅行風景で終わるのかと思い始めたところで・・・
やっぱり来ましたね。大事件。
大惨事ですよ。
まことに、無常な世の中です。
あんなにミロクを信じた善良な人々が・・・。
神に祈る気も消えてしまいますよ・・・。
そこに登場した人物は・・・!
おお、待ってました!・・・まあ、考えてみたら地元ですから。
いても不思議ではない。
けど、本当はもうちょっと早く出てきてくれれば・・・、と思っちゃいました・・・。
それにしても、劇的な登場で、やっぱりストーリーテーラーなんだよなあ。
決して退屈させない。
様々な糸で不思議な出会いと別れを紡ぐ登場人物たち。
全く、目が離せません。
この調子で行くと、ブランとヨナの出会いもきっとあるはず・・・。
また、二ヶ月を、首を長くして待つことにしましょう。

満足度★★★★☆


グイン・サーガ123/風雲への序章

2008年10月12日 | グイン・サーガ
風雲への序章 (ハヤカワ文庫 JA ク 1-123 グイン・サーガ 123)
栗本 薫
早川書房

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さて、たまげましたね。
栗本さんの後書きですね。
はい、この本の題名が「序章」となってるんですが、つまり、これまでの123巻が、これからのさらに壮大な物語の序章であったなんていうんですよ。
ここまで、約30年ストーリーを語り続けてきたこともすごいですが、今、またさらに新たな海へ漕ぎ出そうというその心意気に感服します。
いま、健康を損ねている彼女の状況を考えると、もう壮絶といっていいような・・・。
ファンとしてはもう、ひたすら黙って読み続けるしかないです!

さて、この本は前半が、ケイロニアできっちりその地位を固め、腰を据えて国づくりに励もうとするグイン。後半が、お久しぶり、ゴーラにて傷も癒え、また新たなる野望に燃えるイシュトバーン。
たしかに、これからまた大変なことが起ろうとする序章、となっていますね。
ここからは、まさにケイロニア、ゴーラ、そしてパロという国と国同士の大きな抗争劇になるんですね。
栗本さんは、イメージとして三国志のようなものを持っているようですよ。
とりあえずイシュトは、またパロにいってリンダに求婚するなんていってる。
若き日の二人がいっそうロマンティックに思い出されますねえ・・・。
なんて遠くまで来てしまったのでしょう。
もちろんここでリンダがすぐにハイなんていうわけがない。
早速波乱が予想されます。
また、ここではとうとうイシュトが、自分のもう一人の息子のことを知ってしまいますね。
そうそう、そのスーティのことは、あれから全く触れられていない。一体どうしていることやら。
多分、また、あっと驚く意外なときに、意外な姿で登場して来るんだよ。
それまで、この物語が続けば良いですが・・・。
将来、ドリアンやマリニア、スーティ、そして外伝で誕生したグインの子どもがまた、新たな災いや幸いを生み出してゆくのだろうと想像されるけど・・・
それを考えると、やっぱり、ここまでは「序章」と思えるくらい、ストーリーはまだまだ続くことになっちゃいますね。
吟遊詩人も、こんな長いサーガは語りきれないですよ。
覚えられないし~。
でも、語るべき名シーンは、イヤになるくらいたくさんありそうです。
一体どのような展開になることやら、一巻先も予想がつかない。
だからこそ、読み続けているわけですが、また2ヶ月先を待ちたいと思います。
この先は一巻一巻が、とても貴重になりそうな気がする・・・。

満足度★★★★☆

 


「グイン・サーガ122/豹頭王の苦悩」 栗本 薫 

2008年08月12日 | グイン・サーガ

「グイン・サーガ122/豹頭王の苦悩」 栗本 薫 ハヤカワ文庫

こんにちはー、お邪魔します。さて、いきなりですが、めでたい!
な、なんですか、いきなり。
2009年春、「グイン・サーガ」テレビアニメーション化決定とのことです!
へー・・・。なんだかいまさらという気もしますけどねえ。
そうだよね、もっと早くからあっても良かったかも。
第一この長い話、どこまでやるんだろうねえ・・・、キャラクターデザインは誰?
あー、希望としては天野喜孝だけど。
なかなか、そうはいかないでしょうね・・・。
考えてみたら、タイガーマスクだよ、グインって。
いや、豹だからタイガーじゃないけど・・・。
似たようなもんです。・・・というより、一番初めにグインを読んだ時から、誰しも、そう思ったと思うけど。
まあ、そうだね。グインになじみすぎて忘れてたな。
グインはともかく、イシュトやナリス様がどんな感じで出てくるのかは、と~っても、興味ありますね!

さて、今回はどうですか?
はい、また陰気な巻ではあるのですが、結構読み応えはあった気がします。
ついにシルヴィアが出産しちゃうんですね。どこの誰とも知れない相手の子を・・・。
そこで、また、ハゾスの苦悩・・・。
今回、なんだか、ハゾスがヴァレリウスに似てきたような・・・。
そう、こんなことは性に合わない・・・とかぶつぶつ言いながら、陰謀を画策してるあたり。
ナンバー2はつらいのですよ・・・。
・・・でね、この今回の表紙は誰?
そりゃ、内容から図るに、シルヴィア以外ないでしょう。
え~!?だって、すごくキレイだよ・・・???
まあ、多分に美化してるよね。実際こんなシーンがあるわけでもないし。
イメージ画像って、わけか・・・。
わがままでしょうがない女・・・と前回も思ったのだけれど・・・
今号を読んでみれば、彼女も、なかなか不幸な子なんですよね。
ちょっと、しんみりしてしまった。
ハゾスはグインのことを女性の扱いをわかっていないとみるけれど、こういう優しさやはり、さすががグインなんですよ。
彼女をほったらかしにした自分の責任だ・・・と、あくまでも彼女を責めない、グイン。
しかし、想像妊娠にしてしまうなんて、強引な手だけどねえ。
この子が、再びストーリーに登場することはあるのでしょうか。
何かの因縁で、また出てくるような気がしますねえ。
そのために、両目の色がちがうなんて、忘れられない目印(?)がついてる・・・。
そういえば、シルヴィアが見たという夢って、ちょっと怪しくないですか?
というと?
あれだけ、シルヴィアを慄かせる夢ってね、なんだか魔道の気配を感じない?
ははあ・・・、例のあの人の魔道のなせる技?
どうなんでしょう?
・・・で、唐突にも、この巻以降、グインとシルヴィアは会うことがない・・・と。
ひえ~、そこまで思い切れるものなのか。
というか、シルヴィアが気の毒に思えちゃうくらいなんだけど。
・・・けど、それでようやく、外伝にあるグインの愛人の話も納得できるわけね。
そうなんだねえ・・・。
ああ、それから、今回のパリスの伏線はものすごーい以前に張られていたということだよね。
そうなんです。やっぱり行き当たりばったりの話ではない、と。まあ、あたりまえだけどね。おそるべし、栗本薫!

満足度★★★★