自立して“生きていける”
* * * * * * * * * *
出生時に母親を亡くしたアメリカの少女デイジー(シアーシャ・ローナン)。
イギリスの叔母やいとこ達と一夏を過ごすために、単身イギリスへやってきます。
仕事に忙しい父親には愛されていないと感じており、
いつもヘッドホンで音楽を聞き、
けばい化粧で精一杯虚勢を張り、
人を受け入れようとしない・・・。
この冒頭、なんだか「思い出のマーニー」を思い出してしまいました。
このトゲトゲしいデイジーを変えていくのは、マーニーならぬ3人のいとこ達。
特に長兄のエディー(ジョージ・マッケイ)には、
出会ってまもなく恋心が芽生えます。
イギリスの美しい田園風景。
そして、あんなにおもいっきり嫌味でいけ好かない態度のデイジーを嫌いもせず、
遊びの誘いをするこの兄弟たちの純朴さ。
そういうものが彼女の凍りついた心を少しずつ溶かしていきます。
さて、ここまではどこにでもありそうなストーリー。
しかし、なんと突如ロンドンでの核爆発テロをきっかけに、
第3次世界大戦が勃発。
デイジーたちは軍に拘束され、離れ離れとなってしまいます。
「何があっても、きっとここに戻ってくるんだ。」
別れ際のエディーの言葉を胸に、
デイジーは軍の施設を脱出し、危険に満ちたサバイバルの旅に出る・・・。
いったい何がどうなって、どことどこが戦争になったのか。
そういうことは一切語られません。
つまり、政治や国際情勢などにはほとんど関心がない子どもたちにとっては、
戦争はそういうものなのかもしれません。
ある日突然やってくる地震や津波と同じようなもの・・・。
叔母は戦争が始まる前に出張で家を出ており、
この困難に子どもたちだけで立ち向かわなければならなかったのです。
というか、仕事に忙しい叔母は家事も何もかも、
子どもたちの世話もほったらかしで、
初めからいないのも同然でした。
にも関わらず、しっかりいい子たちに育ちましたよねえ・・・。
いや、そもそもこんなに多忙なこの人が、
なぜこんなど田舎に住んでいたのかが最大の謎・・・。
まあ、ネットで情報さえ入れば仕事には十分だった、ということか・・・。
もしかしたら本作は、
現在、オトナなどは少しも頼りにならないのだ。
だから自分で生きていかなければならないのだ
・・・という、少年少女に向けた密かなメッセージなのかも・・・。
それにしても、人ときちんと向きあおうともしなかったデイジーが、
まだ幼い従姉妹をかばいながら、生き抜くための旅をする
・・・この目覚ましい成長ぶりが胸を打ちます。
人を生かすのは愛と希望なのだなあ・・・。
ラストが甘くなり過ぎないところも、気に入っています。
無事エディと再開し、
今度はエディに頼りっきりの生活になる・・・
という流れを避けたかったのかもしれません。
デイジーはもはや誰の助けも必要とせずに、“生きていける”のでした。
エディー役のジョージ・マッケイは、
つい最近「サンシャイン 歌声がひびく街」にも出ていました。
一見してハッとするほどのハンサムではないけれど、なんかいいですよね。
こういう感じ、結構好きなのです。
また、別の作品でもぜひお会いしたい!!
「わたしは生きていける」
2013年/イギリス/101分
監督:ケビン・マクドナルド
原作:メグ・ローゾフ
出演:シアーシャ・ローナン、ジョージ・マッケイ、トム・ホランド、ハーリー・バード、ダニー・マケボイ
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出生時に母親を亡くしたアメリカの少女デイジー(シアーシャ・ローナン)。
イギリスの叔母やいとこ達と一夏を過ごすために、単身イギリスへやってきます。
仕事に忙しい父親には愛されていないと感じており、
いつもヘッドホンで音楽を聞き、
けばい化粧で精一杯虚勢を張り、
人を受け入れようとしない・・・。
この冒頭、なんだか「思い出のマーニー」を思い出してしまいました。
このトゲトゲしいデイジーを変えていくのは、マーニーならぬ3人のいとこ達。
特に長兄のエディー(ジョージ・マッケイ)には、
出会ってまもなく恋心が芽生えます。
イギリスの美しい田園風景。
そして、あんなにおもいっきり嫌味でいけ好かない態度のデイジーを嫌いもせず、
遊びの誘いをするこの兄弟たちの純朴さ。
そういうものが彼女の凍りついた心を少しずつ溶かしていきます。
さて、ここまではどこにでもありそうなストーリー。
しかし、なんと突如ロンドンでの核爆発テロをきっかけに、
第3次世界大戦が勃発。
デイジーたちは軍に拘束され、離れ離れとなってしまいます。
「何があっても、きっとここに戻ってくるんだ。」
別れ際のエディーの言葉を胸に、
デイジーは軍の施設を脱出し、危険に満ちたサバイバルの旅に出る・・・。
いったい何がどうなって、どことどこが戦争になったのか。
そういうことは一切語られません。
つまり、政治や国際情勢などにはほとんど関心がない子どもたちにとっては、
戦争はそういうものなのかもしれません。
ある日突然やってくる地震や津波と同じようなもの・・・。
叔母は戦争が始まる前に出張で家を出ており、
この困難に子どもたちだけで立ち向かわなければならなかったのです。
というか、仕事に忙しい叔母は家事も何もかも、
子どもたちの世話もほったらかしで、
初めからいないのも同然でした。
にも関わらず、しっかりいい子たちに育ちましたよねえ・・・。
いや、そもそもこんなに多忙なこの人が、
なぜこんなど田舎に住んでいたのかが最大の謎・・・。
まあ、ネットで情報さえ入れば仕事には十分だった、ということか・・・。
もしかしたら本作は、
現在、オトナなどは少しも頼りにならないのだ。
だから自分で生きていかなければならないのだ
・・・という、少年少女に向けた密かなメッセージなのかも・・・。
それにしても、人ときちんと向きあおうともしなかったデイジーが、
まだ幼い従姉妹をかばいながら、生き抜くための旅をする
・・・この目覚ましい成長ぶりが胸を打ちます。
人を生かすのは愛と希望なのだなあ・・・。
ラストが甘くなり過ぎないところも、気に入っています。
無事エディと再開し、
今度はエディに頼りっきりの生活になる・・・
という流れを避けたかったのかもしれません。
デイジーはもはや誰の助けも必要とせずに、“生きていける”のでした。
エディー役のジョージ・マッケイは、
つい最近「サンシャイン 歌声がひびく街」にも出ていました。
一見してハッとするほどのハンサムではないけれど、なんかいいですよね。
こういう感じ、結構好きなのです。
また、別の作品でもぜひお会いしたい!!
「わたしは生きていける」
2013年/イギリス/101分
監督:ケビン・マクドナルド
原作:メグ・ローゾフ
出演:シアーシャ・ローナン、ジョージ・マッケイ、トム・ホランド、ハーリー・バード、ダニー・マケボイ