映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

僕らの世界が交わるまで

2025年02月22日 | 映画(は行)

結局は似たもの親子

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DV被害にあった人々のためのシェルターを運営する母・エヴリン(ジュリアン・ムーア)。
そしてネットのライブ配信で人気を集める高校生の息子・ジギー(フィン・ウルフハード)。
これは、このわかり合えない2人の物語。

母、エヴリンはその仕事から分かるとおり、
社会問題に常に目を向けていて、そんな中で自分のできる限りのことをしたいと思う、
言ってみればまっすぐな強い信念を持ち、これまで歩んできた女性。

しかし、最近息子とわかり合えないところで、
シェルターに母と住む高校生男子が妙に気になってしまいます。
彼は母親思いの真面目な子。
エヴリンは彼のために進学先の大学のことまで心配をはじめます。

一方、息子ジギーは自分のフォロワーのことで頭がいっぱいのZ世代。
しかし最近、同じ高校の女の子のことが妙に気になっています。
彼女は頭が良くて、社会問題に興味を持ち、よくその種の集会にも参加し、
友人たちとディスカッションをしています。
そんな話題にはまったくついて行けないジギー・・・。

互いにぜんぜん似ていないと思う母と息子は、
それぞれ無い物ねだりの相手にひかれて暴走し空回り・・・。
そんなところは実はそっくりなのでした。

 

世代間の断絶のストーリーも、
こんな風にちょっぴりユーモアを交えて描かれるとちょっと楽しい。

この家にはちゃんと夫というか父親もいるのですが、
いつもいがみ合う2人のことに口出ししてとばっちりを受けたくないのか、
傍観を決め込んでいるようです。
しかしたった一度怒ったのは、彼の「授賞式」の日に、妻も息子も来てくれなかったこと。
そうやって怒るというよりもすねているお父さん、ちょっとカワイイ。
そして「怒ってるね・・・」と、ここだけは意見が一致した母と息子もステキです。

そして結局2人それぞれの奮闘は、撃沈ということになってしまいますが、
そのことから始まる何かもあるようで・・・。

ステキな物語でした。
・・・と、監督・脚本がジェシー・アイゼンバーグということに今さら気づいて驚き!

 

<Amazonプライムビデオにて>

「僕らの世界が交わるまで」

2022年/アメリカ/88分

監督・脚本:ジェシー・アイゼンバーグ

出演:ジュリアン・ムーア、フィン・ウルフハード、アリーシャ・ボー、
   ジェイ・O・サンダース、ビリー・ブリック

親子の断絶度★★★★☆

満足度★★★★☆


フィガロに恋して

2025年02月15日 | 映画(は行)

オペラ歌手への夢

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私、日頃オペラを聴くような趣味はないものの、
ときおり映画などで聞くオペラはいいものだなあ・・・と思います。

 

ミリーは、ロンドンの金融会社で実力を認められ、昇進を打診されるまでになりました。
しかしミリーは、元々オペラ歌手になりたいという夢を持っていて、
この度仕事をあっさり辞めて、夢を実現するために動き出そうと決心したのです。

そもそもオペラ歌手になるためには、ほとんどの人は若い頃から音楽学校で学ぶものですが、
ミリーはもういい年ですし、オペラを好きなことは間違いがないけれど、全くのドシロウト。
そんな彼女を受け入れて指導してくれそうな人を彼女は探し、やっと見つけたのです。
オペラ教師メーガンはスコットランドの片田舎に住んでいて、
ミリーは指導を受けるためにそちらに赴き、長期滞在することに。
(実はメーガンはお金ほしさで教師を引き受けたのですが・・・)

メーガンの元には、もうひとりオペラの指導を受けるマックスがいて、
ふたりは、オペラ歌手への登竜門である
ザ・シンガー・オブ・レナウンのコンテスト出場を目指し、練習に励みます。

 

ミリーにはロンドンで同居する恋人がいたのですが、
一応彼の応援を得て、スコットランドにやって来ます。
彼はオペラには興味もなく、ミリーの夢を果たそうとする思いも道楽のようなもの・・・
と捉えているようです。

そんな中、ミリーとマックスは次第に心を寄せて行くに違いない・・・というのが物語の常道ですので、
まあ、やはりそのようになっていきますね。

 

このスコットランドの田舎の風景がなんともステキです。
村でたった一軒の旅館も兼ねるパブ。
そこに滞在するミリーは、少しずつパブに訪れる村人たちと親しくなって、
応援されるようになっていきます。
まあ、ほとんど変わったことの起こらない退屈な村で、
このような客人は好奇心のマトですよね。

マックスは、オペラの力量も技術も人並み以上なのだけれど
「情感」がないなどと評されていて、
だからほら、ミリーを恋するというところでその叙情性を身につけていくわけです。

しかしその恋は一朝一夕ではならず・・・。
長期熟成で行くところがまた気に入りました。

ステキなストーリーでした。

 

<Amazonプライムビデオにて>

「フィガロに恋して」

2020年/オーストラリア・アメリカ・イギリス/104分

監督:ベン・リューイン

出演:ダニエル・マクドナルド、ヒュー・スキナー、シャザド・ラティフ、
   ビッキー・ペッパーダイン、レベッカ・ベンソン、ジョアンナ・ラムレイ

音楽性★★★★☆

ラブストーリー度★★★☆☆

満足度★★★★☆


ファーストキス

2025年02月12日 | 映画(は行)

運命は変えられるのか

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硯駈(すずりかける)(松村北斗)と、硯カンナ(松たか子)は、
ラブラブの時期を経て結婚しました。
それから15年。
倦怠期に突入し、互いへの関心も薄れて、離婚寸前。
そんなある日、夫・駈が事故で亡くなってしまいます。
どちらにしても別れるはずだったとは思うものの、
気持ちの持って行き場のないカンナ。

そんなある時、カンナは15年前へタイムスリップ。
それは若き日の駈と自分が初めて出会う日。
夜2人が初対面するその直前。
40代カンナは20代駈と対面することになります。
若き日の駆への思いをよみがえらせるカンナ。
そして、15年後に起こる事故から駈を救うことを決意します!

作中のタイムスリップは、現在から15年前の特定の場所、特定の1日にしか行くことができません。
が、繰り返し行くことができるのです。
だから、カンナは必死に何度も何度もやり直し、トライ。
でも現在に戻るとやはりそこには夫の遺影が待ち受けている。
つまり、カンナの試みは失敗。

何度も若き駈と出会うことで、ますます駈を好きになって、
決してあんな事故で死なせてはならないと思うカンナ。

若き駈にとっては、40代のカンナは「おばちゃん」であってもおかしくないのですが、
どうも駈にとっても憎からず感じてしまうものらしい。
そりゃあね、松たか子さんだから、恋愛対象として、ぜんぜんアリですよ!!

カンナは、ついには駈が自分と結婚したのがそもそも間違いだったのではと思い、
大学教授の娘(吉岡里帆)を、駈に勧めたりもするのですが・・・。

なんというか、キュンとさせるところ、ホロリとさせるところ、
さすが坂元裕二さんはツボを良く心得ていらっしゃる。
最後の駈の決断は、まさに涙・・・涙・・・。

かき氷屋さんの行列の後ろにいた女子たちがナイスでした!!

ラブラブの結婚でも、その状態を保っていくことがいかに難しいか・・・
というのも、ほとんど冷や汗もので身にしみます・・・。

タイムスリップという現実離れした出来事を扱いながらも、描き出されるのはやはり人の心。
これぞドラマですよね。

いつも思うのです。
松村北斗くんはいい作品に当たるなあ・・・。
あ、でも今期のTVドラマはあまり良くない・・・
(演技じゃなくて、脚本が)。

<シネマフロンティアにて>

「ファーストキス」

2025年/日本/124分

監督:塚原あゆ子

脚本:坂元裕二

出演:松たか子、松村北斗、吉岡里帆、森七菜、リリー・フランキー

恋愛度★★★★☆

根性度★★★★★

満足度★★★★★


晴れたらいいね

2025年02月01日 | 映画(は行)

戦時中、フィリピンのジャングルで

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テレビ東京開局60周年特別企画ドラマ。

「晴れたらいいね」といえば、ドリカムのあの曲でしょう・・・と思ったのですが、
ストーリーはそれとはまったく関係しません。
が、しかし、太平洋戦争の戦時下が舞台のこの作品で、
そのドリカムの曲が出てくるという驚き。
やってくれますね。

 

令和6年、夏。
高橋紗穂(永野芽郁)は、中堅の看護師。
仕事はすっかり習熟しているものの、きついばかりで報われることは少なく、
テンションが低くむなしさを感じています。
この病院の入院患者に、かつてここの名誉婦長だった雪野サエがいて、
今は寝たきりとなっています。
紗穂はある時、サエに一方的に自身の悩みを吐露していたのですが、
そんな時に大きな地震が発生。
紗穂は意識を失って、目を覚ますとそこは病室ではなくて、ジャングルの中。
見慣れない白衣を着た女性たちが紗穂をのぞき込んでいて、
「サエ」と呼びかけるのです。

 

紗穂は昭和20年のフィリピンにタイムスリップ。
なぜか若き雪野サエの姿になっていたのです。

彼女らは従軍看護婦としてこのフィリピンの戦場に来ていて、
負傷した兵士の看護に当たっていたのでした。

過酷な環境で、ろくな設備もない。
けれど使命感に満ちて懸命に仕事に立ち向かおうとする彼女たちを見て
紗穂も意識が変わっていく・・・。

 

紗穂が自分がタイムスリップしたと気づいたときに思うことがステキ。

これはあれ、夏になるとよくテレビで放送するヤツで、
現代の若者がタイムスリップして戦時中に迷い込んじゃうっていうベタなヤツ・・・?

 

確かに、そういうベタな設定なので、
脚本家もそのようにコメントを入れるしかなかったのか・・・? 
あ、ちなみに岡田惠和さん脚本です。
そのベタな設定の中で、いかに人々のつながりや自身のあり方を問うていくのかが、
腕の見せ所というわけですね。

実際、ちょっと泣かされるシーンもあったりして、感動的なドラマでした。

 

<Amazon prime videoにて>

「晴れたらいいね」

2025年/日本/111分

監督:深川栄洋

原作:藤岡陽子

脚本:岡田惠和

出演:永野芽郁、芳根京子、萩原利久、江口のりこ、稲垣吾郎

 

絆度★★★★★

満足度★★★★☆

 


白蛇:縁起

2025年01月03日 | 映画(は行)

時を超え、巡り会う

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中国古代の4大民間伝説の一つ「白蛇伝」のヒロイン、白娘の前世の物語。
中国・米国合作、フル3DCGで描く長編アニメです。

2019年9月に中国語版(日本語字幕)で小規模公開。
2021年に、日本語吹き替え版が公開されました。

その主人公の吹き替えをSnow Manの佐久間大介さん(さっくん)が担当していまして、
まあつまり、それを目当てに視聴したというわけ。

本作、この1月10日から一週間のみ、
へび年にちなんで上映されると言うニュースがありまして、
ぜひ見に行こうと思っていたのですが、
何のことはない、Amazon prime videoですぐにでも見ることができるのでした。

前置きばかり長くなりました。

舞台は唐の時代末期、国師が、人々に蛇を大量に捕まえさせていました。
美しい少女、しかし白蛇の妖怪である白(ハク)は、
国師を殺害しようとするも、失敗。
辛くも逃げ出しますが、記憶をなくしてしまいます。

白は、捕蛇村の少年宣(セン)に救われ、
記憶を取り戻すために宣と共に旅に出ます。
そうして2人は次第に心を接近させていく・・・。

まずは、映像が素晴らしく美しくて魅了されます。
ひらひらと風に揺れる布の表現がステキ。
特に、白がまとう薄物が美しい・・・。
3Dアニメのお醤油顔の美青年も、いいものですね♡♡♡

もとより白は妖怪なので、永遠に近い生があるのです。
しかし、人間である宣の命には限りがある。
でも輪廻により、時を超えていつしかまた2人は巡り会う・・・。
東洋の思想が根底にある美しい物語。

宣が歌をうたうシーンもあって、そこはもうさっくんお手の物。
吹き替えもまったく違和感なく、ステキでした。

特にさっくんに興味がないという方もぜひどうぞ。

中国語版のエンディングのあとに、日本語版のエンディングがあって、
そこにSnow Manの曲「由縁」が流れますので、お聞き逃しなく。
いい曲ですよ~♡

<Amazon prime videoにて>

「白蛇:縁起」

2019年/中国・アメリカ/99分

監督:ホアン・ジャカン・チャオ・ジー

出演(日本語版吹き替え):三森すずこ、佐久間大介、杉田智和、悠木碧、佐倉綾音

 

映像美★★★★★

東洋度★★★★☆

満足度★★★★☆


蛇の道

2024年12月27日 | 映画(は行)

復讐の意味

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黒沢清監督が1998年に手がけた同名作品をフランスに舞台を移して、
セルフリメイクしたもの。

 

8歳の娘を何者かに惨殺された父、アルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)。
偶然知り合った精神科医、新島小夜子(柴咲コウ)の助けを借りながら、
犯人を突き止めて、復讐を果たそうとしていました。

2人は、この犯罪がとある財団の児童売買に関係していることを突き止め、関係者を拉致。
しだいに真相が明らかになっていきます・・・。

本作は、人身売買の実態を明らかにして糾弾しようとするものではなくて、
復讐という行為の意味、どこまで人は非情になれるのか、
そういうことを描いています。

本作の復讐者、アルベールと小夜子は、アルベールが主導で協力者が小夜子という風に
一見思えるのですが、でもそうではないことが次第に分ってきます。

首謀者は小夜子。
アルベールは彼女に操られているだけ。
では、この謎めいた精神科医の本当の目的はなんなのか。
そこが問題なのであります。

拉致され、監禁された人を見る彼女の目。
冷たく、まさに「蛇のよう」だと、作中で言われています。
ひたすら感情を抑え、淡々と残酷な仕打ちを仕掛ける。
これがいわゆるサイコパスであるならば、喜悦の表情があっても良さそうだけれど、
彼女は明らかにそれとも違うのです。

けれどこの組織が幼い子どもに対してどんなことをしていたのか、
それが明らかになるにつれて、その報いは受けるべきだという気持ちも湧いてきます。
それはたとえその実行者でなくても、組織の一員としてそのような行為が容認されていた、
そのことの責任でもある・・・。

どこへも持って行き場のない怒りを、関係者の命で贖おうとする。

小夜子は蛇というよりもむしろ鬼なのかも知れません・・・。

<WOWOW視聴にて>

「蛇の道」

2024年/フランス・日本・ベルギー・ルクセンブルグ/113分

監督・脚本:黒沢清

出演:柴咲コウ、ダミアン・ボナール、マチュー・アマルリック、グレゴワール・コラン、西島秀俊、青木崇高

復讐度★★★★★

満足度★★★☆☆

 


不思議の国のシドニ

2024年12月16日 | 映画(は行)

日本は不思議の国?

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「雨月物語」などで知られる溝口健二監督へのオマージュを込めた作品。

 

フランスの作家シドニ(イザベル・ユペール)のデビュー小説「影」が
日本で再販されることになり、出版社に招かれて訪日します。

大阪の空港で、寡黙な編集者、溝口健三(伊原剛志)に出迎えられ、
数日間通訳と案内をしてもらうことに。

シドニは家族を亡くし天涯孤独。
喪失の闇から救出してくれた夫のおかげで「影」を執筆できた、と語ります。
しかしその夫もまた、事故で亡くなったところだったのです。
そんなわけで、この訪日もあまり気が進むものではなかったのですが・・・。

溝口に案内されながら京都、奈良、直島・・・と各地を巡るうちに、
シドニの前に亡き夫、アントワーヌ(アウグスト・ディール)の幽霊が現れるようになります。

 

 

夫を亡くして、失意の底から立ち直れずにいたシドニ。

日本に来てから、夫の幽霊が現れ、話すらもできるようになります。
地元フランスではそんなことはなかったのに・・・。
溝口は言う。
日本では、幽霊の姿を見ることができる人が多い、と。

う~む、そのあたりからちょっと首をひねりたくなってきましたが・・・。

なんというか本作は、欧米の人が日本のエキゾチックな情緒とか神秘性とかに
魅力を感じる方が見るべき作品なのでしょうね。
当の日本人からすると、なんだかなあ・・・という感じ。
あの極端な欧米から見た日本のイメージ、フジヤマとかゲーシャとか、
そういう描き方はされていないものの、やはり日本人が見るとピンとこない。
ホテルの人たちの応対とか、描かれる現代の日本文化は
概ね不自然なところはなかったのですが・・・。

そもそも桜の季節の京都なんて、観光客でごった返していて、
のんびり歩いてなどいられないのでは・・・?

女性が持つハンドバッグまで、預かって持とうとする溝口も相当変なヤツ・・・。
日本人がみんなそうだと思われちゃうじゃないの。

<シアターキノにて>

「不思議の国のシドニ」

2023年/フランス・ドイツ・スイス・日本/96分

監督:エリーズ・ジラール

出演:イザベル・ユペール、アウグスト・ディール、伊原剛志

 

現代の日本描写度★★★★☆

満足度★★★☆☆


パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ

2024年12月13日 | 映画(は行)

逆境からの・・・

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22歳でパティスリー世界選手権チャンピオンの座を仕留めた
天才パティシエ、ヤジッド・イシェムラエンの自伝をもとにしています。

母親に育児放棄され、過酷な環境で暮らすアラブ系の少年、ヤジッド。
でも幸いによい里親に巡り会うことができました。
里親の家で団らんしながら、手作りのスイーツを食べることが唯一の楽しみ。
いつしか自分も最高のパティシエになろうと夢見ます。

やがて児童養護施設で暮らし始めたヤジッドは、
パリの高級レストランで見習いとして雇ってもらうことができました。
田舎町エペルネから180キロ離れたパリへ通い始めます。
時には野宿で夜を明かすことも。
そうではありますが、厳しくも愛ある先輩と心許せる仲間もいて、
充実した日々送るヤジッド。
しかし、彼に嫉妬した同僚の策略により、仕事を失ってしまうのです・・・。

フランス作品では、移民系の人物が底辺近くの暮らしから這い上がる
という話はとても多いです。
つまりは、そうした格差や差別が依然としてあって、
なかなか解消には至らないということの裏返しなのでしょう。

そんな中で本作は実話をもとにしているということで、力があります。
一流のパティシエを目指すという物語なら多くあるけれど、
逆境の環境からのスタートというのが又大変さを増します。
よほどの奇跡かもしくは才能がなければならない・・・。

最終の世界大会のシーン、ヤジッドは氷像担当。
つまり、氷を削って造形。
お菓子作りと関係ないじゃん、とつい私は思ってしまいましたが、
手先の器用さと造形センスは、
お菓子作りの重要なスキルであることは確かですものね・・・。
まあその味覚センスも、もちろん保証済みではあります。

次第に見ているだけでは物足りなくなって、
ひたすら食べてみたいなあ・・・と思わせられる、魅惑のスイーツの数々でした!!

<WOWOW視聴にて>

「パリ・ブレスト 夢をかなえたスイーツ」

2023年/フランス/110分

監督:セバスチャン・テュラール

原作:ヤジッド・イシェムラエン

出演:リアド・ベライシュ、ルブナ・アビダル、フェニックス・ブロサール、エスティバン、
   クリスティーヌ・シテイ、パスカル・レジティミュス

魅惑のスイーツ度★★★★☆

這い上がり度★★★★☆

満足度★★★.5


バジーノイズ

2024年11月30日 | 映画(は行)

孤独の扉をこじ開けて

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マンションの住み込みの管理人をしている海野清澄(川西拓実)。
自分の頭の中に流れる音楽をPCで形にし、部屋で1人で奏でていました。
人付き合いは苦手で、自分の音楽を人に聴かせようとも思っていません。

ところが、清澄の上階に住む女性・潮(桜田ひより)が、
漏れ聞こえるその音楽を気に入ってしまったのでした。
清澄の拒否もものともせず、清澄の心の扉をこじ開けてやって来た潮。
潮は清澄の演奏動画を何気なくSNSに投稿。
清澄の世界が大きく変わりはじめます。

PCで作り上げる音楽をDTM(デスクトップミュージック)というのですね。
本作で清澄が作り出す音楽、確かに良い感じです。
知らず、体が揺れてくるような。

清澄も以前はとあるバンドに属してはいたのですが、あるできごとがあって、
それ以来ますます自分の世界に閉じこもってしまっていたのでした。

そんな彼の扉をこじ開けたのが潮。
そして、さらなる音楽の仲間もできはじめます。
でも潮自身は音楽を作ることはできない。
潮の前だけでなく、他の人々の前でも笑顔になる清澄を見て、
潮はもう清澄に自分は必要ないと思ってしまうわけで・・・。

あんなに強引に近づいてきたくせに、いざとなると尻込みしてしまう、
乙女チックな潮さんが愛おしい・・・。

軽いノリで見られる音楽青春ストーリー。
川西拓実さんは、JO1のメンバー。
・・・勉強になります。

<Amazon prime videoにて>

「バジーノイズ」

2024年/日本/119分

監督:風間太樹

原作:むつき潤

出演:川西拓実、桜田ひより、井之脇海、柳俊太郎、円井わん、奥野瑛太、佐津川愛美

音楽愛度★★★★☆

満足度★★★☆☆


本心

2024年11月11日 | 映画(は行)

バーチャル母は、ホンモノなのか?

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工場で働く、石川朔也(池松壮亮)。
独身、母(田中裕子)と同居。
その日、母から「大切な話をしたい」と言われるのですが、帰りが遅くなってしまいます。

帰り道、豪雨で氾濫しそうな川べりにたたずむ母を目撃。
そして不意に母の姿が消えてしまいます。
母を助けようと川に飛び込んだ朔也は、昏睡状態となり、
それから一年後に目覚めます。
そして、母が“自由死”を選択して死亡したことを知ります。

たった一年の間に、変貌している世界。
朔也の勤務先の工場はロボット化のため閉鎖。
やむなく朔也は、“リアル・アバター”の仕事に就きます。
それは、カメラを搭載したゴーグルを装着し、
遠く離れた依頼人の指示通りに働く、というもの。
でもそれは、いつもまともな依頼者とは限らないのです・・・。

そしてまたそんな頃、朔也は仮想空間に任意の人間を作るという
VF(バーチャル・フィギュア)の存在を知り、母を作ってもらうことにします。
生前の母のあらゆるデータを制作者に提供することによって、
ゴーグルを装着すればまるで生きた本人そのものがその場にいるように見えて、
話をすることもできるのです。

 

その母のデータ提供に協力してくれたのが、母の親友だったという三好(三吉彩花)。
三好は住むところがないというので、朔也は同居を提案。
バーチャル母を含めて3人の暮らしが始まります・・・。

近未来が舞台ではありますが、もうそれは未来ではなく
現在であってもおかしくないくらいですね。

まずは自由死とは・・・。
自分の意志で命を絶つことが「権利」として認められる、というようなことかな? 
そうすると、遺族に給付金があって、税金でも優遇されるとか。
今の老齢化社会の対策ですかね? 
希望すれば安楽死も。
そんなことがあってよいのかという批判はもちろんあるでしょうけれど、
私はちょっと魅力を感じたりもします・・・。

 

しかし、問題はそこではなくて、デジタルが人の生活にどこまで食い込んで、
人間性を剥奪していくのか、あるいはそうではないのか、ということ。

朔也は、あの日母が何を自分に言おうとしていたのか、
そしてなぜ自由死を選んだのかということを聞きたくて、母のVFを作ったのでした。

これまでのデータの蓄積で作られた「母」。
それは本当に母そのものの思考をするのか?
しかし、母そのものとはいったい何なのか? 
VFの母は、自分が思っていた母とは違うようでもあるのだけれど・・・。

 

母の本心とは・・・? 
というテーマではあるのですが、本作は、
三好の本心、そして朔也自身の本心も曖昧になってくるという罠がありますね。

ぐるぐる、色々と考えてしまう作品なのでした。

地味に、豪華キャストが出演してます。
三吉彩花さんが、三好彩花役って・・・?

リアルアバターの仕事は、真っ先にブラックバイトの餌食になりそうですよね・・・。

<シネマフロンティアにて>

「本心」

監督・脚本:石井裕也

原作:平野啓一郎

出演:池松壮亮、三吉彩花、水上恒司、仲野太賀、田中泯、綾野剛、妻夫木聡、田中裕子

末恐ろしさ★★★★☆

満足度★★★★☆

 


変な家

2024年11月09日 | 映画(は行)

単に児童虐待の話ではなく・・・

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オカルト専門の動画クリエイター、雨宮(間宮祥太朗)。
マネージャーから、購入予定の一軒家の間取りに不可解な点があると相談を受けます。
雨宮は、オカルトネタ提供者であるミステリー愛好家の設計士、
栗原(佐藤二朗)に意見を聞きます。

見取り図から浮かび上がる奇妙な違和感。
そしてそこから導き出される恐ろしい仮説・・・。
そして、その家のすぐ近くで、死体遺棄事件が発生。
雨宮はさっそくこれら一連の出来事を動画投稿しますが、
やがてその家に心当たりがあるという女性・柚希(川栄李奈)から連絡が来ます。

奇妙な家の見取り図。

それは私も気づいたのですが、
窓もなくトイレ付きで二重のドアを通らなければ入れない子ども部屋・・・。
それはどう考えても“監禁”のための部屋としか思えません。

しかし、一階に意味不明の空白の場所があるというのは、
実際、意味が分らなかったのですが、
作中では想像たくましい栗原が驚きの仮説を展開していきます。

単にとある一家の児童虐待の話かと思いきや、
とある一族の恐ろしい因習・・・というオカルト話に進んでいくのでした。

柚希役の川栄李奈さんが、イメージの違う怪しげで不気味な雰囲気を醸し出しつつ登場。
どうなることかと思いましたが、
そこそこ雨宮と心通い合う間柄になっていくので一安心。

なんとなく予想していたストーリーとは違うものの、面白く見ました。

 

なんとなく人が良さそうな栗原が実は・・・?などと言う展開も予想したのだけれど、
そうはならなかった・・・。

 

<Amazon prime videoにて>

「変な家」

2024年/日本/110分

監督:石川淳一

原作:雨穴

脚本:丑尾健太郎

出演:間宮祥太朗、佐藤二朗、川栄李奈、長田成哉、瀧本美織、斉藤由貴、高嶋政伸、石坂浩二

スリル度★★★☆☆

不気味度★★★★☆

満足度★★★.5


八犬伝

2024年10月29日 | 映画(は行)

虚と実

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山田風太郎の小説「八犬伝」を映画化したものです。
豪華キャストの大作。

おなじみ「南総里見八犬伝」のストーリーを追いながら、
それを描く作者・滝沢馬琴のことが描き出されていきます。

人気作家・滝沢馬琴(役所広司)のもとを、
ときおり友人の絵師・葛飾北斎(内野聖陽)が訪れます。
馬琴は構想中の新作小説について語り始めるのです。

里見家の呪いを解くため、8つの珠を持つ「八犬士」たちが
運命に導かれるように集結し、敵と戦っていく・・・。

そんな中で、小説とはまた別に、馬琴のひとり息子のことや妻のことが描き出されます。
なにしろ「八犬伝」は書き始めてから完結するまでに28年を要しているのです。
その間、もちろん馬琴自身も歳をとるけれど、
妻のこと、息子のことも様子が変わっていきます。

馬琴の書く小説にはまったく興味を示さず、いつも文句ばかりを投げつける妻(寺島しのぶ)。
父を尊敬する真面目な息子(磯村勇斗)。
馬琴は息子を医者にしたいと考えているのですが・・・。

そしてまた、小説の「虚」と「実」についてのことも、掘り下げていきます。
馬琴は勧善懲悪を胸として、「正義は勝つ」結末を常に用意します。

でもある時彼は、鶴屋南北(立川談春)の怪談の舞台を見に行って衝撃を受けるのです。
いつも正しいことだけが勝つというのは、
それこそが「虚」ではないかと、南北は言う。
作中で、南北は舞台の奈落にいる馬琴を終始上から見おろすような形で話をするのです。
それこそが怪談めいているようで、どこか馬琴の平衡感覚を乱すようでもあり、
すごく練られたシーンでしたね。
そこは原作でもそうなっているのかどうか、ちょっと確かめてみたくなりました。

自分はこれまで人に迷惑をかけるでもなく、よい人間であったと思うけれど、
息子のことや自分の目のこと・・・不幸ばかりがつづく。
正しいことが勝つというのはやはり「虚」にしか過ぎないのか・・・、
晩年になってからそのようなことに思いを馳せてしまうのが、
なんとももの悲しいのですが・・・。

そして終盤では、馬琴の視力が失われてしまうのですが、
そんな絶望的状況に陥りながらも、物語を完成させることに執念を燃やす。
これぞ物書きというものでありましょう。

八犬伝の物語パートの方も面白いですよ。
私はやはり冒頭の、伏姫と魔犬・八房の下りが好きです。
八犬士たちの戦うシーンも迫力があってスバラシイ。

堪能しました。

 

<シネマフロンティアにて>

「八犬伝」

2024年/日本/149分

監督・脚本:曽利文彦

原作:山田風太郎

出演:役所広司、内野聖陽、磯村勇斗、寺島しのぶ、黒木華、立川談春、土屋太鳳、
   渡邊圭祐、板垣李光人、水上恒司、河合優実、栗山千明

八犬伝再現度★★★★☆

虚実を考える度★★★★☆

満足度★★★★☆


劇場版ブルーロック EPISODE凪

2024年10月19日 | 映画(は行)

エゴなサッカーとは?

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週刊少年マガジン連載の人気サッカー漫画を原作とした
テレビアニメ「ブルーロック」の劇場版です。

実は私、「ブルーロック」第2シーズンのエンディングテーマ曲が
Snow Manの「One」という曲であると発表されてから、
慌ててアニメを見始めまして・・・。
特別サッカーファンというわけではないのですが、本作、なかなか面白いのです。

 

ブルーロック(青い監獄)に集められた300人の高校生FW(フォワード)が、
世界一のストライカーを目指して闘うという物語。

これまでなら、チームの絆とかチームワークを重視したストーリーになるであろうところを、
本作は真っ向からそういうものを否定し、個人の圧倒的個性やエゴを重視するのです。

物語本編は、潔(いさぎ)世一というブルーロック入所時には300人のうち最下位に近い成績の持ち主が、
様々な試練を乗り越えつつ幾度も覚醒して、ストライカーとして成長していく様を描きます。

さて本作は、本編とは別に、潔とぶつかりながら成長していく凪誠士郎の視点から描かれています。

凪は、「めんどくさい」が口癖の無気力な高校生。
W杯優勝を夢見る同級生・御影玲王にサッカーの才能を見出され、
彼に誘われるまま、サッカーを始めます。
すると圧倒的なサッカーセンスを発揮。
ブルーロックプロジェクトの招待状が届きます。

本編では語られなかった凪と玲王側の事情が描かれているのが嬉しい。
他にも登場人物は大勢いるのですが、凪は中でも特別ユニークで天才でチャーミング♡なので、
ここでクローズアップされるのも納得。

ということで、本作はやはり「ブルーロック」本編を見てから見るべきです。
いきなりこちらを先に見るとよくわからないと思いますので・・・。

で結局、徹底的にエゴに徹するといいながらも、彼らは友情を結び互いを信頼しつつ己を高めていくわけで・・・。
しっかりスポーツマンシップしてますのでご安心を。

そうそう、ここで登場した玲王のばあやさんというのが、
まるでジブリアニメに出てくる魔女みたいな厳つい婆さんなのが気に入ってしまった!

とりあえず、これで安心して、シーズン2のアニメに入ることができます!!
エンディング曲のところまで、じっくり楽しんでくださいませ。

<WOWOW視聴にて>

「劇場版ブルーロック EPISODE凪」

2024年/日本/91分

監督:石川俊介

原作:金城宗幸・ノ村優介

作画:三宮宏太

出演(声):島崎信長、内田雄馬、興津和幸、浦和希、海渡翼

番外編の意義度★★★★★

凪くんLOVE度★★★★☆

満足度★★★★☆


ほかげ

2024年10月18日 | 映画(は行)

戦後の生活もまた苦渋

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戦後間もない頃。

焼け残った小さな居酒屋に1人住む女(趣里)。
売春を斡旋する男に言われるまま、体を売ってなんとか暮らしていましたが、
とにかく無気力で、男に逆らう気持ちもないようです。
そんな彼女のところへ、食べ物を盗みに来た少年と、
行き場のない復員兵が入り浸るようになり、居着いてしまいます。
やがて復員兵は去り、女は少年との交流を通して、
ほのかな光を見出すのですが・・・。

戦争は終わったものの、誰もがその大きな爪痕に押しつぶされそうになっているのです。
男は生きて帰っては来たものの、
家は焼けて跡形なく、両親もどうなったのかも分らない。
生きる希望も意欲もない。

少年は、つまりは戦災孤児なのでしょう。
生きるために、食べ物を盗んで入手するしかなかった。

そして女は、夫は戦地に行ったまま帰らない。
子どもは幼くして亡くなってしまった。
生きる気力をなくすのも当然ですね。

けれど、少年と暮らすうちに、生きる先に光を見出したように思うのですが・・・。
ままならない事情ができてしまいます。

そして本作にはもうひとり、重要人物がいまして、
これもとある復員兵(森山未來)。
彼は、少年が拾ったという拳銃が入り用で、
少年を連れ出し、ふたりでとある人物の元を訪れます。
彼の戦争体験は悲惨で、そのことをなにかで決着をつけない限り
この先生きていけないというくらいに思い詰めていたのです。

 

終戦間もなくは、平和のありがたみを感じるどころではなく、
多くの人は、亡くなった人、失った生活への思いに、
押しつぶされそうになっていたのかも知れません。
皆、その日食べるものを手に入れるだけで精一杯。

 

私たちはその後の高度成長で、その頃のことをすっかり忘れてしまったかのようです。

戦争で命を失った人を悲惨と思い、戦争はいけないと言うことは普通だけれど、
でも、戦争でもなんとか生き残った人たちも、
亡くなった人たちと変わらず苦しみを背負うようになる、
とも言えるかもしれません。

 

<WOWOW視聴にて>

「ほかげ」

2022年/日本/95分

監督・脚本:塚本晋也

出演:趣里、塚尾桜雅、河野宏紀、利重剛、森山未來

貧困度★★★★☆

悲惨度★★★★☆

満足度★★★☆☆


パリのちいさなオーケストラ

2024年10月15日 | 映画(は行)

音楽を楽しむのに出自は関係ない

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実話を基にしています。

パリ郊外の音楽院でビオラを学ぶザイア。
パリ市内の名門音楽院に最終学年で編入を認められ、そこで指揮者を目指すことになります。
女性指揮者は世界でわずか6%という困難な道のり。
おまけに、クラスに同じく指揮者志望のエリート、ジベールもいます。
ジベールはザイアを移民の子でしかも女のくせに・・・と見下して、
それに同調する者たちと共に、ザイアの指揮の練習をバカにしたり妨害したり・・・。

そんなある時ザイアは、特別授業に来た世界的指揮者、セルジュ・チェリビダッケに気に入られ、
指導を受けるようになり、道がわずかに開き始めます。

パリの名門音楽院、というのがクセモノなのです。
多くはお金持ちの子息・令嬢。
クラシックは富裕層のもの・・・というような
鼻持ちならない特権階級意識で固まっています。
もちろん、そうでない人たちもいますが。
彼らにとっては、移民でしかも田舎町の音楽学校に通っていた子なんて、
ゴミみたいに思っているのです。

ザイアの家は、確かにお金持ちではないけれど、
ご両親はとても音楽が好きのようです。

だからザイアとその双子の妹フェットゥマに音楽を習わせた。
でも決して強要ではなくて、好きならどうぞ、という感じ。
ちなみに弟は音楽ではなくて、水泳に夢中。
そんな普通に愛情深い家族で、でも裕福ではないので、アパート住まい。
近所から騒音の苦情が来るので、
ファットゥマは家ではチェロの練習が思うようにできないでいます。

そして、ザイアは思い立つのです。
自分のオーケストラを持ちたい、と。
庶民の子、エリート校の子、どちらでもOK。
音楽教室の子も入れたりして・・・。
階級も出自も様々、これぞ多様性、今のオーケストラ。

ザイアが、身の回りの音からリズムを拾い上げていくシーンがステキでした。
そしてまたラストシーンが、素晴らしいんですよ。

分る分らないとか、好き嫌いを越えて、心を揺さぶる「音楽」というもの。
その神髄を見たような気がします。
感動!!

<シアターキノにて>

「パリのちいさなオーケストラ」

2022年/フランス/114分

監督・脚本:マリー=カスティーユ・マンション=シャール

出演:ウーラヤ・アマムラ、リナ・エル・アラビ、ニエル・アレストリュプ

音楽の素晴らしさ★★★★★

多様性★★★★☆

満足度★★★★☆