結局は似たもの親子
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DV被害にあった人々のためのシェルターを運営する母・エヴリン(ジュリアン・ムーア)。
そしてネットのライブ配信で人気を集める高校生の息子・ジギー(フィン・ウルフハード)。
これは、このわかり合えない2人の物語。
母、エヴリンはその仕事から分かるとおり、
社会問題に常に目を向けていて、そんな中で自分のできる限りのことをしたいと思う、
言ってみればまっすぐな強い信念を持ち、これまで歩んできた女性。
しかし、最近息子とわかり合えないところで、
シェルターに母と住む高校生男子が妙に気になってしまいます。
彼は母親思いの真面目な子。
エヴリンは彼のために進学先の大学のことまで心配をはじめます。
一方、息子ジギーは自分のフォロワーのことで頭がいっぱいのZ世代。
しかし最近、同じ高校の女の子のことが妙に気になっています。
彼女は頭が良くて、社会問題に興味を持ち、よくその種の集会にも参加し、
友人たちとディスカッションをしています。
そんな話題にはまったくついて行けないジギー・・・。
互いにぜんぜん似ていないと思う母と息子は、
それぞれ無い物ねだりの相手にひかれて暴走し空回り・・・。
そんなところは実はそっくりなのでした。
世代間の断絶のストーリーも、
こんな風にちょっぴりユーモアを交えて描かれるとちょっと楽しい。
この家にはちゃんと夫というか父親もいるのですが、
いつもいがみ合う2人のことに口出ししてとばっちりを受けたくないのか、
傍観を決め込んでいるようです。
しかしたった一度怒ったのは、彼の「授賞式」の日に、妻も息子も来てくれなかったこと。
そうやって怒るというよりもすねているお父さん、ちょっとカワイイ。
そして「怒ってるね・・・」と、ここだけは意見が一致した母と息子もステキです。
そして結局2人それぞれの奮闘は、撃沈ということになってしまいますが、
そのことから始まる何かもあるようで・・・。
ステキな物語でした。
・・・と、監督・脚本がジェシー・アイゼンバーグということに今さら気づいて驚き!
<Amazonプライムビデオにて>
「僕らの世界が交わるまで」
2022年/アメリカ/88分
監督・脚本:ジェシー・アイゼンバーグ
出演:ジュリアン・ムーア、フィン・ウルフハード、アリーシャ・ボー、
ジェイ・O・サンダース、ビリー・ブリック
親子の断絶度★★★★☆
満足度★★★★☆