医療行政にもの申す!
* * * * * * * *
トントンと文庫化されるのがうれしい、海堂尊の田口・白鳥シリーズ。
前作はジェネラル・ルージュこと速見医師の活躍が鮮やかでしたが、
今回は医療現場を離れます。
なんと、田口医師が厚生労働省白鳥より呼び出しを受け、
医療事故調査委員会に出席するため、日本権力の中心地、霞ヶ関に乗り込む。
そこで繰り広げられる厚労省官僚、医学教授らの会議は、
それぞれの既得権だけを守ろうとする全く実りのない会議・・・。
医療行政はもう崩壊の一途をたどるしかないのか・・・。
しかしそこへ殴り込みをかけたのが彦根。
彼はほの暗い過去を背負いながら、すさまじいまでの理論で切り込んでゆく。
医療のあり方を根源から考え直し、構築し直す。
著者海堂尊氏のメッセージが熱く語られています。
実際、自民・公明党で「異常死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」というものが設置され、
海堂氏がそこで
「Aiセンターは21世紀の日本に必須のシステムである」という講演を行ったとのこと。
しかしこの話は、政権交代のため現在宙に浮いているということで、残念です。
でもこのように熱いメッセージが「フィクション」の形を通してでも広まっていくのは
なかなか意味のあることではないでしょうか。
私は、論議というのは苦手・・・。
考えがスルスルと言葉になって出てきてくれません。
口げんかなんて、すぐ言い負かされてしまって、
後になってからああ言えばよかったんだ、こういうふうに言えばよかったのに
・・・などと悔しい思いをする。
だから、じっくり考えられる文章の方が好きなんですよ。
TVなどでよくやっている政治討論会。
・・・さすが、しゃべるのが商売の方々はすごいですね。
感心してしまいます。
でもそれでさえも、そこまで人をうならせる理論を繰り広げられる方は、そう多くはないですが。
ここに登場する彦根氏には胸のすく思いがします。
この理論展開、切り返しの早さは相当頭がよくないとだめですね。
しかし、あまりにも攻撃的に理論を展開するので、
これでは理論では勝てても人はついてこないでしょう・・・。
まあこの場合、このように爆弾を投げ込むのが主目的なので、それでいいのでしょうけれど。
ということで、大変面白くは読みましたが、私が期待した方向とはちょっと違うような・・・。
どうも私は、先の「ブラック・ペアン」などのように、
白鳥の出てこない医療シリーズの方が好きみたいです。
田口センセは好きなんですが・・・。
ところで、これを読んで「あれ?」と思ったのは、なんだか読んだことがあるような・・・。
というのはたまたまですが、
2008年版「このミステリーがすごい!」に20周年記念寄稿として、
「東京都23区内外殺人事件」という短編が載っていたのです。
私はそれを読んでいたんですね。
この作品はこの短編をまるまる飲み込んで、元の作品の全面改稿という形で文庫化されています。
だから単行本でこの作品を読んだという方も、再度チェックしてみるのもいいと思います。
この短編部分がユーモラスで楽しいのですよ。
満足度★★★☆☆~★★★★☆(3.5ということで・・・)
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トントンと文庫化されるのがうれしい、海堂尊の田口・白鳥シリーズ。
前作はジェネラル・ルージュこと速見医師の活躍が鮮やかでしたが、
今回は医療現場を離れます。
なんと、田口医師が厚生労働省白鳥より呼び出しを受け、
医療事故調査委員会に出席するため、日本権力の中心地、霞ヶ関に乗り込む。
そこで繰り広げられる厚労省官僚、医学教授らの会議は、
それぞれの既得権だけを守ろうとする全く実りのない会議・・・。
医療行政はもう崩壊の一途をたどるしかないのか・・・。
しかしそこへ殴り込みをかけたのが彦根。
彼はほの暗い過去を背負いながら、すさまじいまでの理論で切り込んでゆく。
医療のあり方を根源から考え直し、構築し直す。
著者海堂尊氏のメッセージが熱く語られています。
実際、自民・公明党で「異常死死因究明制度の確立を目指す議員連盟」というものが設置され、
海堂氏がそこで
「Aiセンターは21世紀の日本に必須のシステムである」という講演を行ったとのこと。
しかしこの話は、政権交代のため現在宙に浮いているということで、残念です。
でもこのように熱いメッセージが「フィクション」の形を通してでも広まっていくのは
なかなか意味のあることではないでしょうか。
私は、論議というのは苦手・・・。
考えがスルスルと言葉になって出てきてくれません。
口げんかなんて、すぐ言い負かされてしまって、
後になってからああ言えばよかったんだ、こういうふうに言えばよかったのに
・・・などと悔しい思いをする。
だから、じっくり考えられる文章の方が好きなんですよ。
TVなどでよくやっている政治討論会。
・・・さすが、しゃべるのが商売の方々はすごいですね。
感心してしまいます。
でもそれでさえも、そこまで人をうならせる理論を繰り広げられる方は、そう多くはないですが。
ここに登場する彦根氏には胸のすく思いがします。
この理論展開、切り返しの早さは相当頭がよくないとだめですね。
しかし、あまりにも攻撃的に理論を展開するので、
これでは理論では勝てても人はついてこないでしょう・・・。
まあこの場合、このように爆弾を投げ込むのが主目的なので、それでいいのでしょうけれど。
ということで、大変面白くは読みましたが、私が期待した方向とはちょっと違うような・・・。
どうも私は、先の「ブラック・ペアン」などのように、
白鳥の出てこない医療シリーズの方が好きみたいです。
田口センセは好きなんですが・・・。
ところで、これを読んで「あれ?」と思ったのは、なんだか読んだことがあるような・・・。
というのはたまたまですが、
2008年版「このミステリーがすごい!」に20周年記念寄稿として、
「東京都23区内外殺人事件」という短編が載っていたのです。
私はそれを読んでいたんですね。
この作品はこの短編をまるまる飲み込んで、元の作品の全面改稿という形で文庫化されています。
だから単行本でこの作品を読んだという方も、再度チェックしてみるのもいいと思います。
この短編部分がユーモラスで楽しいのですよ。
満足度★★★☆☆~★★★★☆(3.5ということで・・・)