時間の不思議に浸ろう
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アンソロジーシリーズ「不思議の扉/時をかける恋」に気をよくして
この第2弾も読んでみました。
こちらも時間に絡んだ興味深いストーリーの数々ですが、
ラブストーリーよりは、時間の不思議さ、奇妙さにメインがあります。
著者は大槻ケンヂ、筒井康隆、フィッツ・ジェラルド、星新一など
実にバラエティに富んでいまして、
確かに、こういう本ででもなければまず読みそうもないものも多いので、
こういうチョイスはうれしいですね。
さて、この本で気づいたのは、時間ループものが結構多いということ。
つまり、同じ時間がぐるぐるとエンドレスでつながってしまうという事象です。
時間のループが10分で一回りしてしまい、
しかし、記憶だけはきちんとあるというのが筒井康隆の「しゃっくり」。
まさに時間のしゃっくりのような反復。
10分というのはあまりにも短いですね。
しかし、永遠にこの10分が繰り返されるというのはやりきれない。
違う行動をすることは出来るのですが、所詮は10分。
たとえばバイクで思い切り遠くまで行っても、
10分後はまたスタート地点に戻ってしまうのです。
これでは発狂者も出ますよね。
谷川流の「エンドレスエイト」。
こちらは夏休みの終わりの2週間が繰り返し繰り返し永遠に続くというストーリーです。
しかし、こちらは記憶もリセットされてしまう。
なんとこのストーリーでは、15498回繰り返したというすさまじいことになっています。
さすがにみなさん不思議な既視感に襲われている。
う~ん、でも永遠に夏休みならいいのにって、ちょっと思うことはありますよね。
しかしさすがにここまで繰り返すのでは嫌になりそうだ・・・。
どうすればこのループから抜け出せるのか。
そこが問題なわけです。
そして星新一「時の渦」。
この作品では、ある一日が永遠に繰り返されます。
つまり未来が無くなってしまった。
この場合人々の記憶は残るのです。
しかし、夜になり、朝が来るとまた同じ一日が始まる。
天気はいつも晴れ。
季節は変わらない。
冷蔵庫の中のモノをいくら食べても、いくらお金を使っても、
翌朝にはすべてリセットされていて、元の通り。
一見ステキなようにも思えますが、買った物もなくなってしまう訳なので・・・、
じきにやる気をなくしますね。
どんなに働いてもムダ。
明日が無い。
さてそんな中でさらに不思議なことが起こるのです。
この同じ日が続いた2日目には二日前に死んだ人が、
3日目には3日前に死んだ人がよみがえる。
次第に人が増えていって・・・。
これがまた意外な展開を見せるので、油断できません。
このほか、まるで映画「BALLAD 名もなき恋のうた」のような、
大槻ケンヂ「戦国バレンタインデー」。
これも映画でおなじみフィッツ・ジェラルド「ベンジャミン・バトン」など、
お楽しみいっぱいです。
ベンジャミン・バトンは映画の方がよりロマンチックに脚色されていたようです。
原作はもっと淡々と年月が過ぎ、
ひたすらに若くなり続けるベンジャミン・バトンは、
誰に愛されることもなく、孤独の内に子供に返って行きます。
実は奥さんもいて、息子までいたんですね!
満足度★★★☆☆
![]() | 不思議の扉 時間がいっぱい (角川文庫) |
大森 望 | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
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アンソロジーシリーズ「不思議の扉/時をかける恋」に気をよくして
この第2弾も読んでみました。
こちらも時間に絡んだ興味深いストーリーの数々ですが、
ラブストーリーよりは、時間の不思議さ、奇妙さにメインがあります。
著者は大槻ケンヂ、筒井康隆、フィッツ・ジェラルド、星新一など
実にバラエティに富んでいまして、
確かに、こういう本ででもなければまず読みそうもないものも多いので、
こういうチョイスはうれしいですね。
さて、この本で気づいたのは、時間ループものが結構多いということ。
つまり、同じ時間がぐるぐるとエンドレスでつながってしまうという事象です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en4.gif)
しかし、記憶だけはきちんとあるというのが筒井康隆の「しゃっくり」。
まさに時間のしゃっくりのような反復。
10分というのはあまりにも短いですね。
しかし、永遠にこの10分が繰り返されるというのはやりきれない。
違う行動をすることは出来るのですが、所詮は10分。
たとえばバイクで思い切り遠くまで行っても、
10分後はまたスタート地点に戻ってしまうのです。
これでは発狂者も出ますよね。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en4.gif)
こちらは夏休みの終わりの2週間が繰り返し繰り返し永遠に続くというストーリーです。
しかし、こちらは記憶もリセットされてしまう。
なんとこのストーリーでは、15498回繰り返したというすさまじいことになっています。
さすがにみなさん不思議な既視感に襲われている。
う~ん、でも永遠に夏休みならいいのにって、ちょっと思うことはありますよね。
しかしさすがにここまで繰り返すのでは嫌になりそうだ・・・。
どうすればこのループから抜け出せるのか。
そこが問題なわけです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/kaeru_en4.gif)
この作品では、ある一日が永遠に繰り返されます。
つまり未来が無くなってしまった。
この場合人々の記憶は残るのです。
しかし、夜になり、朝が来るとまた同じ一日が始まる。
天気はいつも晴れ。
季節は変わらない。
冷蔵庫の中のモノをいくら食べても、いくらお金を使っても、
翌朝にはすべてリセットされていて、元の通り。
一見ステキなようにも思えますが、買った物もなくなってしまう訳なので・・・、
じきにやる気をなくしますね。
どんなに働いてもムダ。
明日が無い。
さてそんな中でさらに不思議なことが起こるのです。
この同じ日が続いた2日目には二日前に死んだ人が、
3日目には3日前に死んだ人がよみがえる。
次第に人が増えていって・・・。
これがまた意外な展開を見せるので、油断できません。
このほか、まるで映画「BALLAD 名もなき恋のうた」のような、
大槻ケンヂ「戦国バレンタインデー」。
これも映画でおなじみフィッツ・ジェラルド「ベンジャミン・バトン」など、
お楽しみいっぱいです。
ベンジャミン・バトンは映画の方がよりロマンチックに脚色されていたようです。
原作はもっと淡々と年月が過ぎ、
ひたすらに若くなり続けるベンジャミン・バトンは、
誰に愛されることもなく、孤独の内に子供に返って行きます。
実は奥さんもいて、息子までいたんですね!
満足度★★★☆☆