この映画は、多分女性ならすごく好きだと思います。
男性は気にいるかどうか、わかりません。
はっきり言って、ハーレクインの世界です。
しかし、イギリスの代表的女流作家ジェーン・オースティン(1775~1817年)の作品。
そこらのハーレクインとは格が違います。
女性の生きる目的が結婚にしかなかった、そのような時代背景をまず承知しておくべきでしょう。
ただ、それは過ぎ去った遠い昔の話ではなく、やはり今も根強くあることですよね。
だから、今もってなお、多くの女性たちに共感を持って読まれ、また、ドラマや映画になっているのだと思います。
さて、プライドが高くて、つい、冷たい態度に出てしまう。
実は、すごく好きなのに、つい、いじめてしまう・・・、ありますよねえ、そういうの。
この作品では、どうもエリザベスも、ダーシーも、そのような性格らしい。
この一見暗くて冷たそうなダーシーが、やっと愛を告白するシーンは、いいですよお~。
はじめ、エリザベスが1人でいるところへあたふたと駆け込んでくるダーシー。
いけ、告白だ・・・!
でも、思い切りが付かず、切り出しかねているところへ、じゃまが入ってそのまま帰ってしまうダーシー。
あの人はいったい何をしにきたの?
次のトライは雨の野外。今度は言えました!
この時代、愛の告白=プロポーズです。
ちょっと付き合ってみる、なんてそんなのは無し。
ただし、そのときは、彼についてよくないうわさをいろいろ聞いていて、
実はちょっと気になりながらも、強く拒絶してしまうエリザベス。
何と、「あなたなんかこの世で一番結婚したくない相手だ」と。
その後誤解がとけ、さらには、エリザベスの家族の窮地をも救ってくれた彼にいよいよ愛を感じるのですが、自分が言ってしまった言葉を取り返しがつかなく思い、後悔に駆られるエリザベス。
この辺の悶々とした感じ、切ない感じがビンビン伝わってきます。
最後に、眠れぬ一夜を明かし、早朝1人で散歩に出たエリザベスとダーシーが、ばったり出会います。
思わず胸がきゅんとなってしまうシーン。
いい年して、やっぱりこういうのが好きなのです。
これは、イギリスはワーキングタイトルの作品。うん、やっぱりね。女心をよく分かっていらっしゃる。
あの、適度にひなびた、生活感のある、あの家がすてきでした。
犬やアヒルが庭を走り回っている。洗濯物がたくさん干してある。
堀で囲まれた家は5人姉妹を守る島。
彼は下品と称したあの家族も、なんとも温かみがあり、いい雰囲気です。
実在の、17世紀に作られた、大庭園のあるお屋敷でロケが行われたそうです。
ナイスですね。
ダーシーの大邸宅も実在するもので、観光の名所であるとか。
観光客を追い出すことも出来ないので、内部のシーンは別のところで撮影したそうです。イギリスの田園風景は以前からあこがれておりまして、やっぱり、行ってみたい。
それから、2人の出会いの場であるダンスパーティー。
気軽に男女が付き合って話をするなどということのない、この時代、重要な出会いの場であったわけですね。
2人だけで手をとって踊るあの、いわゆる社交ダンスとはまた違って
なんとも優雅で印象的なダンスです。
ちょっとテンポの速い、皆で盛り上がりそうなあのダンスもなんだか楽しそう。
ずっと雑然と人が入り乱れているシーンなのですが、そのちょっと高揚した場の雰囲気がすごくよく出ていたと思います。
プライドと偏見 [DVD] | |
キーラ・ナイトレイ,マシュー・マクファディン,ドナルド・サザーランド,ロザムンド・パイク,ジュディ・デンチ | |
ジェネオン・ユニバーサル |
2005年/イギリス/127分
監督:ジョー・ライト
出演:キーラ・ナイトレイ、マシュー・マクファディン、ブレンダ・ブレッシン、ドナルド・サザーランド、ジュディ・デンチ