理屈では説明のつかない不思議
* * * * * * * *
叔父夫婦の元に預けられた、おちか。
彼女はある事件を境に心を閉ざしてしまっていました。
ある日そこへ訪ねてきたお客の恐ろしい体験談に、引き込まれていく。
叔父の計らいで、次々に来る客が不思議な話をしていくのですが、
次第におちかの心もとけていくのです。
一夜のうちにたくさんの怖い話をつなげていくいわゆる「百物語」とは趣が異なりますが、
それにしてもちょっとぞっとする話が続きます。
私が一番怖いと思ったのは、手鏡の話。
亡くなった女性の残した手鏡を、ある女性が覗くと、
そこに吸い込まれ、閉じ込められてしまう・・・。
人の情念というのは、理屈では説明のつかない不思議を呼び起こすことがある・・・、
これは先日読んだ「小暮写真館」にもあるテーマですね。
読み進むうちに、おちかの身に起こった、悲しい事件も明らかになっていきます。
彼女の親しい人が2人亡くなっているのですが、
おちかはそうなってしまった元々の責任は自分にあると思っている。
でも一連のことを思い出すのがあまりにも辛いので、
思い出すことにもフタをして来たのです。
こうした思いを整理して、自分なりに納得するのは、大事なことなのかもしれません。
ちょっと現実離れした怪異も、江戸を舞台にするととても生きてきます。
電気のない時代の仄暗い闇の中になら、
こんなことがあってもおかしくないような気がしてしまいます。
冒頭作には曼珠沙華の花のことが書かれていますね。
北海道には彼岸花は自生していないんですよ。
だから、その赤い花の群れにはちょっとあこがれていたりもするのですが、
縁起のいい花ではないのですね。
その赤い花の間から、人の顔が覗いている・・・なんて、
うわ~、くわばらくわばら。
夜中に1人で読みたくはない本です。
満足度★★★☆☆
おそろし (新人物ノベルス) | |
宮部 みゆき | |
新人物往来社 |
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叔父夫婦の元に預けられた、おちか。
彼女はある事件を境に心を閉ざしてしまっていました。
ある日そこへ訪ねてきたお客の恐ろしい体験談に、引き込まれていく。
叔父の計らいで、次々に来る客が不思議な話をしていくのですが、
次第におちかの心もとけていくのです。
一夜のうちにたくさんの怖い話をつなげていくいわゆる「百物語」とは趣が異なりますが、
それにしてもちょっとぞっとする話が続きます。
私が一番怖いと思ったのは、手鏡の話。
亡くなった女性の残した手鏡を、ある女性が覗くと、
そこに吸い込まれ、閉じ込められてしまう・・・。
人の情念というのは、理屈では説明のつかない不思議を呼び起こすことがある・・・、
これは先日読んだ「小暮写真館」にもあるテーマですね。
読み進むうちに、おちかの身に起こった、悲しい事件も明らかになっていきます。
彼女の親しい人が2人亡くなっているのですが、
おちかはそうなってしまった元々の責任は自分にあると思っている。
でも一連のことを思い出すのがあまりにも辛いので、
思い出すことにもフタをして来たのです。
こうした思いを整理して、自分なりに納得するのは、大事なことなのかもしれません。
ちょっと現実離れした怪異も、江戸を舞台にするととても生きてきます。
電気のない時代の仄暗い闇の中になら、
こんなことがあってもおかしくないような気がしてしまいます。
冒頭作には曼珠沙華の花のことが書かれていますね。
北海道には彼岸花は自生していないんですよ。
だから、その赤い花の群れにはちょっとあこがれていたりもするのですが、
縁起のいい花ではないのですね。
その赤い花の間から、人の顔が覗いている・・・なんて、
うわ~、くわばらくわばら。
夜中に1人で読みたくはない本です。
満足度★★★☆☆