映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「きのこいぬ3」 蒼星きまま

2012年12月31日 | コミックス
思いきりふかふかのきのこいぬ抱き枕がほしい!!

きのこいぬ 3 (リュウコミックス)
蒼星 きまま
徳間書店


            * * * * * * * * *

まってました、第3巻。
またまた、きのこいぬの謎の生態が明らかにされます。
といっても、それを追求するというストーリーではありません。
ひたすらほたるが好きな、きのこいぬの行動を描くだけ。
単純で、一生懸命で、ほんのちょっぴりわがまま。
それは確かに犬そのものですよね。


きのこいぬの好物はたこ焼き。
でもある暑い夏、アイスクリームを食べるのですが、
なぜかきのこいぬの体はひんやり。
なんと、きのこいぬは変温動物(?)だったのですね! 
エアコンが壊れてしまった夏、
きのこいぬはせっせとアイスクリームを食べ、ほたるを冷やそうとします。
夏はアイスノン、冬は湯たんぽ代わりにもなって、いいですよねえ~。


ビニールプールではしゃいだり、
留守番でたそがれたり・・・
見てるだけで癒されます。
思いきりふかふかのきのこいぬ抱き枕がほしい!!


さしてストーリーに進展があるわけでもないのですが
やっぱり、次の巻を待ちわびてしまいます。

「きのこいぬ3」 蒼星きまま  徳間書店リュウコミックス
満足度★★★★☆


さて、皆様、大晦日です。
いつもこのブログに来ていただいている方、
コメントを頂いている方、
どうもありがとうございます。
来年もまた、このペースで行こうと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。

このお正月は少しゆっくり読書ができればいいなあ・・・と思っています。
実は電子書籍端末キンドルを購入しましたが
今のところ未読のペーパー版が山になっていて、
当分出番はなさそうです。

ではでは、良いお年をお迎えください!!

リリイ・シュシュのすべて

2012年12月30日 | 映画(ら行)
バーチャルの中でしか本音を晒し出せない



            * * * * * * * * *

 
中2の雄一はかつて親友だった星野からいじめを受けています。
昨年までは、学力優秀な星野を尊敬もし、気兼ねなく話せるいい友人であったのですが・・・。
変貌し、暴力、カツアゲ、窃盗、なんでもありになってしまった星野。
暗い灰色の毎日と感じる雄一ですが、
唯一の救いが歌手リリイ・シュシュの歌でした。
もともと星野に教えてもらった歌手でしたが。
青々とした緑の美しい畑の中で、雄一は一人リリイ・シュシュを聴きます。
体の中に“エーテル”が満たされていきます。
雄一はリリイ・シュシュのファンサイトを運営しますが、
その中で特に“青猫”の言葉に同調を感じ、
“フィリア”として、穏やかな信頼関係が結ばれていきます。
彼になら本音で悩みを打ち明けられる。
そう感じる雄一。
そんなある時、リリイ・シュシュのコンサートがあり・・・


こんな中学生活だったら、なんて生きづらい・・・と、思います。
いじめを受ける側もいじめる方も紙一重。
優秀であり過ぎてもダメだし、モテすぎたりもダメ。
特にあの女子たちの陰湿ないじめにはゾッとさせられます。
無論フィクションですから、かなり誇張されていますが、
揺れる14歳、気持ちの上では常にこんな不安を抱えているのではないかしら・・・と、
ある意味リアルを感じてしまうのです。
少なくとも、こんな状況はいけない、あるべきではないと十分わかっていながらも、
為す術がなく、膝を抱えて座り込んでいるしかない。
そんな閉塞感に満ちた14歳。


さりげない日常描写のストーリーかと思えば、
意外にもショッキングな方向に話が進んでいくのですが、
映像はあくまでも淡々と美しく穏やかです。
そのギャップのため、なんだか眼が離せなくなってしまうのです。
のどかな地方都市で、こんなにも皆心が荒んでしまうのはなぜなのか。
そんな中だからこそ、リリイ・シュシュに心酔をするのだけれど、
それもまた、雄一にとっては生身ではなくバーチャルの世界。
(結局雄一はナマのリリイ・シュシュをみませんよね。)
バーチャルの中でしか本音を晒すことができないという、希薄な人とのつながり。
雄一はそのバーチャル世界こそが真実と思い、それにすがったわけですが
その世界までが崩壊していく時、
もう信じるべきものがありません。
なんて切ないストーリーでしょう・・・


自立して強い久野さんが好きでした。
これくらい強くなければ、いまの世を生きられないのか
・・・と悲しくなりますが。

リリイ・シュシュのすべて [Blu-ray]
市原隼人,忍成修吾,伊藤歩,蒼井優,大沢たかお
ポニーキャニオン


リリイ・シュシュのすべて 通常版 [DVD]
岩井俊二
ビクターエンタテインメント



「リリイ・シュシュのすべて」
2001年/日本/146分
監督・原作:岩井俊二
出演:市原隼人、恩城修吾、伊藤歩、蒼井優、大沢たかお

グッモーエビアン!

2012年12月28日 | 映画(か行)
ロックだぜえい!!



            * * * * * * * * *

未婚の母アキ(麻生久美子)と中学生の娘ハツキ(三吉彩花)は二人暮らし。
そこへ海外放浪の旅をしていたヤグ(大泉洋)が2年ぶりに帰ってきます。
このヤグが、ハツキの父親かと思いきや、
そうではありません。
ヤグとアキは以前同じパンクバンドのメンバーで、
アキが妊娠している時にヤグと同居を始めました。
だから、ヤグはハツキが生まれた時から知っているし、世話もしてきたのです。
並の父親以上に。
だってここの家はアキの仕事の収入で成り立っていて、
ヤグはいわば居候なので・・・。



バカなことを言って笑い転げるアキとヤグ。
ハツキは以前は一緒になって笑い転げていたのですが、
思春期の今、この状況にはなんだか苛立ってしまうのです。
同居しながら、結婚に踏み切らない二人。
ふらふら放浪し、おちゃらけて、仕事につこうともしないヤグ。
将来のことは自分で考えるようにと、三者面談にもこない母。
けれども、自分の苛立ちのあまり、親友の悩みにも気づかないハツキ。





人と人との絆は、“血”なんかじゃない。
ふれあいと語り合い。
それがすべてのような気がします。
パンクであれ、ロックであれ、音楽は共感を生みますね。


それにしても中学生のハツキさん、なんてしっかりものなんでしょ。
しっかりもののあまり、自分でかってに進路を「就職」としてしまったりするわけですが、
でもまだ周りがきちんと見えていないところはやっぱり中学生。
背伸びしすぎず、迷い、戸惑い、怒る中学生女子。
等身大です。
とても共感を呼ぶ、いい感じでした。



ところで、「グッモーエビアン」て、何?
答えは見て確かめましょう。
しいていえば、耳で覚えた英語・・・?


「グッモーエビアン」
2012年/日本/106分
監督:山本透
原作:吉川トリコ
出演:麻生久美子、大泉洋、三吉彩花、能年玲奈

「猫なんかよんでもこない」 杉作 

2012年12月27日 | コミックス
男子の不器用な猫への愛。

猫なんかよんでもこない。 (コンペイトウ書房)
杉作
実業之日本社

            * * * * * * * * *

この愛くるしい猫のイラストに、もう少しメルヘンチックなストーリーかと思ったのですが、
今作は著者杉作氏の青春の挫折と再生を描く、味わい深いストーリー。
良い方に期待は裏切られました。


杉作氏は、もとプロボクサーという漫画家には珍しい経歴の持ち主。
漫画家だったのは彼のお兄さんで、
ある夜、二匹の子猫を拾ってきたのです。
男の子がクロ。女の子がチン子。
この名前にはちょっと異議がありますが、
著者の故郷で"小さい"ことを"チンコイ"というので、そこから来た名前とのこと。
(北海道でもチンコイは、使います。)
ミツオ(杉作氏)はもともと猫は好きではなかったのです。
猫なんか、呼んでも来ませんしね・・・。
ところがお兄さんが家業を継ぐため故郷に帰ってしまい、
ミツオはわけあってボクシングの道を断念せざるを得なくなります。
仕事もなくお金もなく、ほとんど引きこもり状態のミツオは、
猫と共に密やかな生活を続けることになる。
そんな日々を綴ったストーリーですが、
これが意外と悲しい方向へ進んで行きます。
この猫の可愛さに騙されますが、
非常にリアルなストーリーなのです。
しみじみと、読みふけってしまいました。


女の子が猫を可愛がるのとはどこか違う。
男子が猫を可愛がるというのはこんな感じなのかと、ちょっと面白く思いました。
不器用な愛情表現。
これもよし、ですね。


このクロとチン子は、ぜひ羊毛フェルトで作ってみたい!!
うまくできたら、ご紹介しますね。

ところで、どうでもいいことですが、
このミツオの顔、どれがまぶたでどれが目なのでしょう・・・。
誰か教えて・・・。

「猫なんかよんでもこない」 杉作  実業之日本社
満足度★★★★☆

ポテチ

2012年12月26日 | 映画(は行)
食べてみたら意外と美味しくて気に入った。塩味ポテチ。



            * * * * * * * * *
 
伊坂幸太郎氏の中編集「フィッシュストーリー」に収められた一作の映画化。
私、井坂幸太郎ファンですが、
なぜか映画化作品を見ていなかったような・・・。
別に避けていたわけでもないのですが、
本で読んでいたので、あえて見るまでもないか、
とそういうことだったかと思います。



今村は、空き巣を生業とする青年。
彼は同じ街で同じ年同じ日に生まれた野球選手・尾崎の大ファンなのです。
けれどその尾崎はこの頃振るわず、なりをひそめています。
尾崎とは直接あって話したこともないけれど・・・、
家族や恋人を巻き込んで、二人は不思議な絆でつながっていきます。


今作は68分と、大変コンパクトに出来上がっていますが、
その中に、まさしく伊坂幸太郎エッセンス凝縮。
今村の鋭いのかバカなのかよくわからない茫洋とした感じ。
(けれど密かにとても悩んでいる!!)。
人の心がわからないという黒澤の、独特の存在感。
普通だけど熱い若菜。
それぞれ大好きです。



塩味のポテチとコンソメ味のポテチ。
コンソメ味を食べたかったのだけれど、
間違って塩味を渡されて、
食べてみたらこれが意外と美味しくて気に入った。
・・・そこで泣けてしまう今村の心境とは・・・?



いいですね。
張り巡らされた伏線の中で、笑いがありちょっぴり悲しみもあって、
とても満足感のある作品でした。

「ポテチ」
2012年/日本/68分
監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
出演:濱田岳、木村文乃、大森南朋、石田えり、中林大樹

レ・ミゼラブル

2012年12月24日 | 映画(ら行)
アン・ハサウェイに泣かされて



            * * * * * * * * *
 
ビクトル・ユーゴー原作、大ヒットミュージカルの映画化です。
ミュージカルでなくても、これまでも何度も映画化されているこの作品。
なので、たいていの方はおぼろげながらでもストーリーはご存知かと思いますが・・・。


19世紀、革命後のフランスが舞台です。
せっかくの革命でしたが、相変わらず格差は激しく
民衆は貧困にあえいでいた・・・と。
ジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は、
たったひとつのパンを盗んだ罪で19年間投獄されていました。
今作ではいきなり人力で巨大な帆船を曳く囚人たちという、
ちょっとしたスペクタルシーン。
度肝を抜かれます。
こんなキツイ労働の中で、ジャン・バルジャンの怪力は培われた、
というのに、説得力がありますね。
ジャン・バルジャンはようやく仮釈放となりますが
再び盗みを働いてしまいます。
しかしその罪を見逃してくれた司教に、深く感銘を受け
人生をやり直そうと決意!
時は過ぎ、彼は泥沼から這い上がり、人々から尊敬される市長となっています。
そして、娘を養うため娼婦にまで身を落としたファンテーヌ(アン・ハサウェイ)に
娘コゼット(アマンダ・セイフライド)を託されます。
しかし、そこへ現れたのが
仮釈放のまま行方をくらませたジャン・バルジャンを追っているジャベール警部(ラッセル・クロウ)。
やがてパリは学生たちが革命のためバリケードを築き始め、
混乱の渦へ突入していきますが・・・。



注目は、やはりアン・ハサウェイです。
何しろ私、予告編のワンシーンを見ただけで、泣けてしまっていました。
自らの過ちでもなんでもないのに仕事をクビにされ、
美しい髪も売って娼婦にまで落ちてしまった。
それも愛する娘のため・・・。
アン・ハサウェイが歌の特訓を重ね、実際にバッサリ髪を切り、
11キロの減量をして臨んだというこの迫力あふれる「夢やぶれて」のシーンは、
今思い出しても涙がこみ上げます。
ほとんど神がかり状態。
普通ミュージカル映画というのは最初に歌を吹きこんで、
撮影時は口パクで行うものなのだそうですが、
今作はすべて撮影時に歌って収録したといいます。
そもそも俳優さんたちは言葉に感情を込めるのが仕事なわけですから、
歌に気持ちを込めれば並以上に威力を発揮するものなんですね。
アン・ハサウェイに限らず、俳優陣みなさんの実力、恐れいりました・・・。
それにしても、あの「プリティ・プリンセス」のかわいらしかったあの子が、
よくぞここまですばらしい女優に成長したなあ・・・と、
私、感慨にふけってしまったのでした。



ファンティーヌは割と早いうちに亡くなってしまうわけですが、
しかし後々また、重要なシーンに登場。
自らを苦境に落としても、愛する人を守り慈しもうとする、
本当の「愛」の形を私達に指し示す
大きな存在感のある人物であるわけです。


一方、ジャベール警部というのは、
正義=法、そしてまた、
それが自らの生きていくための真理という人物なのでしょうね。
だから、その真理が崩れた時にはもう生きていくことができない。
それにしても、高所のキワで歌をうたうのはやめてほしいものです。
ああいう場所が苦手な私は、
見ているだけでお尻のあたりがムズムズしてきます。
「いや、もうやめて・・・」と思っているうちに
「あ~、やっぱりね、だから言ったのに・・・」と、なってしまいました。
何時の世でも、そこまで杓子定規では生きにくいですわね・・・。



マリウスくんにはどうしても一言いいたくなってしまいます。
自分だけ生き残って、裕福な実家に戻って、結婚して・・・。
う~ん、それはありですか???
この脳天気さにはなんだかなあ・・・と思わざるをえないのですが、
それもこれもコゼットの幸せのため、といえば仕方ないのかな。
考えてみたら、コゼットは自らの幸せのために何もしていませんよね。
庇護されるばかり。
・・・ここが昔のストーリーの限界です。
現在のストーリーなら、こうはなりません。
今やヒロインも行動が必要な時代。



でもまあ、こんな不満もかすむくらいに感動的なフィナーレでした。
涙また、涙・・・。
時間を忘れて、浸りましょう。



「レ・ミゼラブル」
2012年/イギリス/158分
監督:トム・クーパー
出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・セイフライド、アーロン・トベイト、エディ・レッドメイン

「海街diary5 群青」 吉田秋生

2012年12月23日 | コミックス
晴れた日は空が青い

海街diary(うみまちダイアリー)5 群青 (flowers コミックス)
吉田 秋生
小学館


            * * * * * * * * *

まずはこの本の深い青色の表紙に目を奪われます。
まさに「群青」。
この本は、この空の青さがバックを流れるテーマです。


すずと風太は、それぞれにある秘密を知ってしまいます。
そのことは誰にも話してはいけないと、口止めされてしまいました。
そして、それは確かに口に出してはいけないことだと、理解しているのです。
でも、いまお互いを知り、信頼しあっているこの二人は、
それを話して相手の意見を聞いてみたくて仕方ありません。
風太は思います。
「空はこんなに青いのに・・・いちばん話したいのに・・・話せない」
それは同時にすずの気持ちでもありました。
でもお互い、やはり口にすべきでないことは話さないのです。
うん、いい子たちですね。
いつもなら心浮き立つ青い空なのに、
なんだか重い二人・・・。


さて次は山猫亭のおっちゃんのお話。
人は見かけによらないといいますが、このおっちゃん、
エベレストの見えるところに5年ばかり住んでいたというのです。
その彼は言う。
「どんなサイアクな気分の時でも 晴れれば世界で一番蒼い空やし、
その下には神様の住んどる世界で一番高い山や。
なんでこんなにキレイやねん。
人の気ィも知らんで―とか思っとった」
「お陽さんが人の気ィにいちいち反応しとったら
エライことなってまうわ」


また、今まで苦労を重ねひたむきに生きてきた人が、
重い病気にかかっていることを知った佳乃。
「無性に腹が立ちます。神様ってやつに。
・・・それでこの仕打ちかって。
あんたケンカ売ってんのかって」
同僚はいいます。
「でも神様は人の事情をいちいち考えてはくれない。
だから神様はありがたくて・・・恐ろしいんでしょうね」


色々な人の生き様や思い・・・
そういうものを見たすずはやはり思うのです。

「晴れた日は空が青い。
どんな気持ちの時もそれは変わらない。
それだけは神様に感謝したいと思います」

人の気持とはかかわりなく、
ひたすらあるがままの自然、青い空、そして神様。
こういう不動のものが、結局は私たちの心の揺れや浮き沈みを鎮めてくれるのかも知れません。
統一したテーマの流れるこの巻は、
またまたレベルの高い一冊でありました。


緩和ケア病棟の担当となった幸。
イメージと裏腹に、仕事の鬼と化した佳乃。
謎のアフロ店長とお似合いそうな謎の千佳。
風太とともに、まだまだ心身ともに成長中のすず。
今後も楽しみいっぱいです。

「海街diary5 群青」 吉田秋生 小学館フラワーコミックス
満足度★★★★★

007 ダイ・アナザー・デイ 

2012年12月22日 | 007
シルヴァと二重写しのボンド



            * * * * * * * * *


007シリーズ20作目。
ちょうど今から10年前、つまり007シリーズ40周年と銘打って出された作品。
そして、ピアース・ブロスナン最後のジェームズ・ボンドということで・・・。
これが結構シリアスだよね。特にはじめのところ。
なんと北朝鮮で、ボンドは捕らえられ、拷問を受けつつ監禁されること14ヶ月!!
北朝鮮って実際に名指ししちゃうところがすごい。
それにしては将軍様も、その息子も、かっこよすぎだけど・・・。
最新作「スカイフォール」を見たから言うのですが、
このボンドの姿は、もしかしたらシルヴァなのかもしれないと・・・。
そうなんだよね、シルヴァは同じような状況で、
自殺を計ったけれども死にきれなかったという設定でした。
ボンドは自殺用の青酸カリをとっくに処分してしまったと、後にMに言っていたね。
14ヶ月・・・、恐るべき精神力。
そこがシルヴァとボンドの違いってこと?
いやいや単に状況の少しの違いなのかもね・・・。
この14ヶ月後のボンドは、ひげも髪も伸び放題で、
見たことないピアース・ブロスナンになっていたね。
まさに、ワイルドだろ~っ!!
私は結構好きだよ、こういうの・・・。
さて、結局ボンドは捕虜交換でようやく解放されるのだけれど、
情報を漏洩した疑いで諜報員の資格を剥奪されてしまう。
やはり、ここでも冷徹な、Mなのであった。
でも、ボンドは復讐を誓ったりはせず、
自らの嫌疑を晴らすため、個人的に捕虜交換となった北朝鮮のザオの行方を追うこととなる・・・。



北朝鮮側の武器となるのが、またすごい。
宇宙空間から太陽光を集めて地上をピンポイントで攻撃するというもの・・・。
たまたまこの度北朝鮮のミサイル発射があったので、いや~な感じでした・・・。
ボンドカーはなんと消える車!!
ユニークでしたー。でもこれ、動力はきっと電気かな。
じゃないと音でバレてしまう。
それはたぶん切り替え可能なハイブリットということで・・・。
10年前くらいの007なら、まあ、十分に楽しめるということね。
まあ、そういうこと。

007 / ダイ・アナザー・デイ [DVD]
ピアース・ブロスナン,ハル・ベリー,トビー・スティーブンス,ミランダ・フロスト,リック・ユーン
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


ダイ・アナザー・デイ [Blu-ray]
ピアース・ブロスナン,トビー・スティーブンス,ハル・ベリー,ロザムンド・パイク
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


007 ダイ・アナザー・デイ
2002年/アメリカ/133分
監督:リー・タマホリ
出演:ピアース・ブロスナン、ハル・ベリー、トビー・スティーブンス、ロザムンド・パイク、リック・ユーン

「これでよろしくて?」 川上弘美

2012年12月20日 | 本(その他)
家族って

これでよろしくて? (中公文庫)
川上 弘美
中央公論新社


            * * * * * * * * *


菜月は結婚まもない専業主婦。
ある日突然、「これでよろしくて?同好会」という会に誘われ、
わけも分からいうちに参加してしまいました。
おかしな宗教?と危ぶみながら参加したその会は、
年齢もまちまちの女性ばかりのおしゃべりの会。
今時、女子会は珍しくありませんが、
この会はひたすら各自の思うところを述べ合う会。
例えば、
「社会人の息子の部屋を訪ねてみると、息子はおらず、息子の友人とその彼女が寝ていた。
その時どうする?」
などと突拍子もない議題があって、それぞれの考えを述べていくのです。
次第に家族のこと、夫婦のこと、微妙な機微が照らしだされます。
だからといって、どうということもありません。

「前向きになる」とか、
「思いのたけをぶちまける」とか
「癒される」とか、
そういう生産的なことのためにこの会は催されているわけではない・・・
と主催の土井婦人は行っています。
ひとつの思いにとらわれず、色々な方向から物事を考えてみようということなのかもしれません。
それはなにかの役に立つと言うよりも、
自らの偏った思い込みで深みにはまらないようにするための
次善の策なのかも知れません。


それこれするうちに、
菜月の家に、夫の妹が転がり込み、
次にはその妹と入れ替わりに義母が転がり込んで
ずっと住み着いてしまったりします。
別に嫌いではないけれど、気を使うし、
早く帰って欲しいけれど、決して口に出しては言えません。
夫と妹、夫と義母、
紛れもなく家族であるのに、自分だけ見の置きどころがないような・・・。
夫と私はまだ「家族」ではないと感じてしまう菜月。


人との関わりの奥深さを実感するストーリーでした。


このとりとめのない「同好会」にはちょっと興味はありますが、
残念ながら、菜月の結婚をめぐるくるくるした考えの変遷が、
私にはあまりピンときませんでした。
専業主婦でもないし、親との同居もなし
・・・というような実態のためかも知れません。
一番実感したのは2DKの家で夫の母と一日中顔を合わせていなければならないという
その大変さ・・・というところでしたが・・・。

「これでよろしくて?」 川上弘美 中公文庫
満足度★★★☆☆

ラム・ダイアリー

2012年12月19日 | 映画(ら行)
酒浸り日記



            * * * * * * * * *
 
ならず者ジャーナリストと呼ばれたハンター・S・トンプソン(2002年没)が
22歳の時に書いた半自伝的青春小説ですが、
彼の友人であるジョニー・デップが、自ら彼の役を務めています。
私は本作はもう少しおちゃらけた作品かと思っていたのですが、
そういうのとは少し違っていました。



1960年代のプエルトリコ。
弱小新聞社にポール・ケンプが記者として入社。
星占いの記事を書く他は、
ラム酒浸りで、自堕落な生活を送る日々。
その頃のプエルトリコは、美しい楽園のような南の島。
裕福なアメリカ人にとっては夢のリゾート地です。
しかしその一方、もともといた住民たちは海を汚され、海岸線の土地を奪われ、
どんどん生活に困窮していっているのです。
今なら環境破壊ですぐにでも反対運動が立ち上がるところですが、
当時はそんな思想などありません。
ただひたすら欧米の富裕層に食い物にされてしまった南の島々。
ポールは毎日飲んだくれながらも、
そんな状況が次第にはっきり見えてきます。
けれどジャーナリスト魂でそれを声高に叫ぶほどの強い正義感を持っているわけでもない。
そもそも、この新聞社自体、
そうした金持ちがスポンサーとなって成り立っているわけですから、
やはりそれはできないのです。
ちょっと皮肉な眼で現実を見据えながらも、
起業家アンダーソンの汚い儲け話に乗りかかったりもします。
この力の抜け加減が、なんかイイですよね。
断固として巨悪に望む!!というのとはちょっと違う。

けれども、アンダーソンの婚約者を好きになってしまうという別の流れから、
アンダーソンと敵対していくという、
“なりゆき”任せなのが、気に入りました。
とすればこれがやっぱり、ジョニー・デップにはピッタリなんですね。
なかなか良いと思いました。



【初回限定生産】ラム・ダイアリー ブルーレイ&DVDセット (2枚組) [Blu-ray]
ジョニー・デップ,アンバー・ハード,アーロン・エッカート,マイケル・リスポリ,リチャード・ジェンキンス
ワーナー・ホーム・ビデオ


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ジョニー・デップ,チャールズ・ペリー,ダグラス・ブリンクリー
アミューズソフトエンタテインメント


「ラム・ダイアリー」
2011年/アメリカ/120分
監督:ブルース・ロビンソン
出演:ジョニー・デップ、アーロン・エッカート、マイケル・リスポリ、リチャード・ジェンキンス、アンバー・ハード

ぼくたちのムッシュ・ラザール

2012年12月18日 | 映画(は行)
一人の大人として・・・



            * * * * * * * * * 

カナダ、モントリオールの小学校が舞台です。
担任女教師が教室で自殺したため、
ショックを受けた子どもたちの心のケアに苦慮する学校側。
後任の教師として、アルジェリア系移民のバシール・ラザールが名乗りを上げます。
ラザールは時代遅れな教育方法を持つ中年男性。
朴訥で野暮ったくもありますが、
真摯に子どもたちと向き合い、次第に子どもたちの心をひらいていくのです。
子どもたちは担任教師の自殺ということで、非常に大きな心の傷を負ったのですが、
実はラザール自身も非常に辛い体験をしていたのです。
故国アルジェリアのテロ事件で家族を失い、
単身でカナダへ逃れてきていたのです。
親しい人を失くした痛み。
それは子どもたちと同じものでした。
ラザールは、子どもたちにはそのようなことには一言も触れません。
子どもたちはラザールの教えを受けることで心が癒されていきますが、
ラザール自身も、子どもたちに癒されていたと思えます。
テレビドラマみたいに熱血教師ではないけれど、
ごく普通に一人の大人として子どもたちを見守るという、
この感覚こそが、大事なんですね。



心に傷を抱え持つシモン。
一人悩み、行動にもイラつきが生じています。
一方、頭がよく大人びたアリスはシモンの悩みもお見通しのよう。
素敵な子ですねえ~。
今作はこうした子どもたちの行動がやはり、感動を呼びます。



さて、それにしても、
親の過剰反応を恐れるあまり、教師の気苦労もが大変、
というのは日本もカナダも同様のようです。
今作中では、教師が子どもを叩くのはもちろん論外で、
背中を軽く叩くのもダメ、
逆にハグしたりキスしたりももちろんダメ。
とにかく触れてはいけないと、
バザールが同僚に注意を受けていました。
昔は耳を引っ張ったものよ・・・と嘆く教師たち。
まわりの状況は変わっていくけれども、
教師と子どもたちの絆というのは変わらずにあって欲しい。



集合写真を撮るときに「チーズ」というべきところを、
ある子が「バザール」と言おうと提案。
みなも大賛成です。
そうして撮ったみな笑顔の写真。
うん、結局子どもたちは担任の先生が大好きなんですね。
いいものです。


「ぼくたちのムッシュ・バザール」
2011年/カナダ/94分
監督:フィリップ・ファラルドー
出演:フェラグ、ソフィー・ネリッセ、エミリアン・ネロン、ブリジット・プパール、ダニエル・プルール

ポスター犬12

2012年12月16日 | 工房『たんぽぽ』
ポスターシロクマ




           
再び、犬ではなくて、シロクマさんです。
我が札幌は12月というのに、いつになく雪が多く、
路肩にはすでに大きな雪山ができています。

札幌の住宅地では春や秋にヒグマが出没したりしますが、
冬に出るシロクマは、雪に紛れて気が付きにくいので大変です。
時折雪まつり会場に出没しては、観光客を驚かせます。

・・・ウソです!!!
んなわけないでしょう。








007 スカイフォール

2012年12月15日 | 007
そして、振り出しへ戻る・・・



            * * * * * * * * *
 
さて、期待の007シリーズ最新作ですね。
この、ポスターがカッコイイんだよねえ。
シリーズでは23作目、そして007第一作から50周年という記念作であります。
いやはや、私らもずっとシリーズを追って来ましたが、
でもやっぱり特にこのダニエル・クレイブ版のジェームズ・ボンドは、
これまでとは一味違って、ひきつけられるよね。
大人の味・・・といえば元々ショーン・コネリー版はそうであったはずなんだけれど、
次第にマンネリ化し、おちゃらけて、あまり緊張感のないものになってきていた。
まあ、それぞれわくわく・ドキドキはあるけどね。
特に今再見すると、ちょっと耐えられないものもあったのは事実・・・。
そこで私らの出した結論は、ボンドシリーズは懐かしがって古いのを見てはいけない。
常にその時の最新作を楽しむべき、ってことだったよね。
そのとおり。
だからこそ、今作、楽しもう・・・!と、待ちに待っていたわけ。

まずはあの、ロンドンオリンピックの開会式。
あれがすごく良かったんだよね。
エリザベス女王を、開会式会場にエスコートするジェームズ・ボンド。
ボンドはともかく、エリザベス女王がヘリコプターからパラシュート降下というのは、
やり過ぎだとは思ったけど・・・しかし、この映画のものすごい宣伝にはなったよね。
まさに女王陛下の007でした!



さて、前置きが長くなりすぎ・・・。
各国のテロ組織に潜入している工作員を記録しているハードディスクが何者かに奪われます。
犯人を追い詰めるボンドは、MI6長官Mの命令で放たれた銃弾に撃たれ、
橋から谷底へ落ちてしまう・・・。
そこで一旦は死亡とみなされたボンドでしたが・・・。
まあ、ここのところで死んでしまってはストーリーが続かないので、
それでも生きているんだろうなあ・・・と想像は着きます。
案の定、ロンドンのMI6オフィスがテロリストに爆破されるに及んで、
再び姿を表したボンド。
ここからが今回の本当のストーリーというわけですね!
そう、何しろ冒頭からものすごいチェイスシーン、
ひゃー、こんなすごいシーンを惜しげもなくオープニングに使っちゃうんだ・・・と、
その気前の良さにも驚きました・・・。

それで今回の対戦相手というのは、
世界征服を狙うマッドサイエンティストでもなく、
どこぞの国の西側政府転覆を狙うテロリストでもない。
ただひたすらにMI6と、そのトップMを狙う、シルヴァの私怨によるものなのです。
シルヴァというのはもとMI6の諜報員。

Mの冷酷な決断により、見捨てられ、
筆舌に尽くしがたい辛い体験をして、身も心もズタズタに・・・。
これがまた、さすが名優ハビエル・バルデム。
個性たっぷり存在感バツグン。
強烈でありながらも、どこか悲しみをもたたえ・・・。
ここはね、厳しい母を持つ兄弟、というようなシチュエーションなわけだ。
ああ、母から見放された兄。未だに愛されている弟・・・。
マザーコンプレックスと兄弟間の相克。
こういう普遍的テーマが隠れているから、ちょっと引き締まる。

でもねえ私は思うんだけど、このシルヴァ、そのどん底から這い上がって、
こんな組織を立ち上げられる財力を一人で築いたんだよね。
それってすごくない?
そこまで行ったんだから、あとは南の島でも買って、
のんびり余生を過ごせばよかったのに。
いやいや、復讐を誓ったからこそ、血の滲む努力をして、
ここまでになったというべきなんだろうね。
南の島どころか、廃墟の島を手に入れたんだもんね。
あの島の外景を見た時に、あれ、軍艦島みたい・・・と思ったのだけど。
あれは本当に軍艦島だったんだね。
島内の建物のシーンは違うけどね。


さて、この題名の「スカイフォール」って、何かというと・・・。
おっと、それは見てのお楽しみ、ということで。
そうだね。作品中でもボンドが言葉の連想による心理試験を受けた時、
「スカイフォール」という言葉の時だけ、反応できなかったんだ。
その秘密。・・なかなか気をもたせるのが上手い。
まあ、ヒントとしては“スコットランド”です。
同じ日、「砂漠でサーモンフィ・フィッシング」という映画を見たんだけど、
そちらのスコットランドは、豊かな自然、川を泳ぐ鮭、
そして、ロマンチックで優雅なお城が登場。
でも、こっちのスコットランドは、冷たい灰色一色。
今にも崩れ落ちそうな屋敷が出てくるね・・・。
対比として、実に面白かったね。



それから、今作に出てくるQが良かった。
Qといえば、いつもボンドのための新兵器を用意してくれる、あのオジサンなんだけど、
ここでは代替わりをして、うんと若い青年。
見るからにオタクっぽい彼は、いかにも地味~なアイテムをボンドに渡すね。
でも、ちゃんとそれが役に立つというのはもう、お約束。
まあ、それよりもコンピュータを駆使し、ボンドに周りの状況を知らせるという、そういう重要な役を果たすんだね。
これぞ現代の一番の武器だよ。

そうして最期まで見ていると・・・意外にも振り出しに戻るというか、
不思議なループになってるね。
Mのオフィス、Mの秘書。
あそこではやっぱり、帽子を帽子掛けに投げてほしかったと思ったりする。
とにかく、大満足できたね。
はい。これは是非見ていただきたい、納得の大作でした!

「007 スカイフォール」
2012年/アメリカ/143分
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ジュディ・デンチ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベン・ウィショー


ミルク

2012年12月14日 | 映画(ま行)
蛇の意味するもの



            * * * * * * * * *


セミフ・カプランオール監督「ユスフ3部作」のうちの二作目。
ですが私は順不同で見てしまったので、
3つ目ということになります。
一番初めに見た「蜂蜜」は実はちょっと退屈と思えて、
実際ちょっぴりうたた寝をして、DVDを若干戻してみたくらいなのですが、
でも、次第にこの世界にハマって来ました。


今作のユスフは高校を出たあたり。
彼は詩を書いて、雑誌に投稿したりしています。
お母さんが市場でチーズを売るのを手伝ったり、
牛乳を売りに出たり。
まだ確たる進路は決まっていないのです。



今作もこれまで同様、
執拗なまでのカメラの長回し、バックの音楽はなし。
一応ストーリーらしきものはあるのですが、
私たちは想像力を駆使して、彼らの状況を見とらなければなりません。
だから、極めて物静かなシーンばかりなのですが、
油断ならないのです。
寝ている場合じゃない。
私はかえって次第に緊張していくようでした。


ユスフは幼い頃に父を亡くし、女手一つで育てられたのです。
今作では、お母さんが「バイクの故障を何とかして」と言っているのにしらんふり。
ティーンエイジャーらしい自堕落さと反抗心をのぞかせますが、
でも実はお母さんが大好きなんですよ。
ところが、ある時彼は、
彼の知っている母親=『母性』ではなく、
『ナマの女』の部分を見てしまうのです。
戸惑い、混乱するユスフ。
揺れる自分を掴み切れない。
それは高じてほとんど憎しみの域にまで達して行きますが・・・。
ただでさえ微妙な年頃、
ましてや詩を愛するナイーブな青年ですから。



実は今作の冒頭にショッキングなシーンがあるのです。
祈祷師と思われる老人が女性を逆さに吊るし、
下から火を炊いてミルクを沸かします。
ミルクにはまじないを記した紙片を浮かべる。
すると、なんとその女性の口から蛇が・・・。
そのシーンがストーリーとどう関係があるのか、
ずっと謎のままなのですが、
途中でお母さんが台所で「蛇がいる!」と恐れるシーンがあるのです。
そこでユスフは冒頭の祈祷師を読んで、やはりミルクに紙片を浮かべるシーン。
つまりこの老人は蛇よけの祈祷師みたいなものなのか・・・。
更に私の勝手な推測ですが、
この蛇というのは女性の“淫乱”みたいな部分の象徴なのではないかと。
蛇が忍びこんで女性が淫らになってしまう・・・
そんな言い伝えのようなものがあるのではないかと思うのです。
だから、母はそんなふうになった。
少なくともユスフはそう思ったのでは?
兎にも角にも、
想像の余地がたっぷりある、実に面白い作品だと、思うに至ったわけです。


結局この三部作を振り返れば、
これはユスフの母へ捧げる賛歌であったのではないかと思いました。


お母さんがしぼりたての牛乳から作るチーズが美味しそうでした!!

「卵」「ミルク」「蜂蜜」 [DVD]
ジーダス
ジーダス


「ミルク」
2008年/トルコ・フランス・ドイツ/102分
監督:セミフ・カプランオール
出演:メリフ・セルチェク、バシャク・コルクカヤ、リザ・アキン、サーデット・イシル・アクソイ

緑の館

2012年12月12日 | オードリー・ヘップバーン
冒険・・・? ロマン・・・?

            * * * * * * * * *
 
以前に、オードリー・ヘップバーンのシリーズを続けたことがありましたが、
その時、見そこねていた作品です。
1959年作品。


南米アマゾンが舞台です。
青年アベル(アンソニー・パーキンス)は、ベネズエラで革命を目指していましたが、挫折。
政府軍に追われ、逃亡の末、密林地帯に入り込んでいきます。
そうして、あるインディオの集落に留まることになりました。
村人からは
「この奥にある密林は危険だから入り込まないように」
と言われるのですが、好奇心旺盛なアベルは構わず密林に踏み込んでいく。
そしてそこには、噂とは違い、
森の妖精のような娘リーマ(オードリー・ヘップバーン)と、その祖父が
ひっそりと暮らしているのでした。
祖父はリーマがまだ幼い頃にこの森にやってきて、
それからずっとここに住んでいたのですが、
インディオたちが襲ってくる気配があり、
やむなくリーマの故郷の村に行ってみることになるのですが・・・。


う~ん、冒険にしては物足りず、
ロマンスにしては陳腐・・・。
どうも、ヘップバーンが出演していることにだけ意義があるという感じの作品でした・・・。
「ローマの休日」は、今見てもみずみずしい感動を覚える永遠不滅の作品ですが、
でもやはり古ければよいかというとそうでもないんですね・・・。
ただし、お相手は、あのアンソニー・パーキンス。
かの出世作「サイコ」は、この翌年1960年の作品です。
それから、インディオの酋長ルーニは、早川雪洲。
ハリウッドで活躍した日本人の元祖です。
なかなか重々しく渋い、良い感じの酋長さんでした。

ちなみに原題は「グリーン・マンション」
・・・というと、なんだかちょっと笑っちゃいますね。
(WOWOW視聴です。DVDはやはり出ていないようです)


「緑の館」
1959年/アメリカ
監督:メル・フェラー
原作:ウィリアム・H・ハドソン
出演:オードリー・ヘップバーン、アンソニー・パーキンス、リー・J・コッブ、早川雪洲