映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ニンゲン合格

2022年09月05日 | 西島秀俊

少年期との決別

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西島秀俊さん出演の本作、私以前、西島さん出演作品を見まくった時期があったのですが、
そのときに本作、見たいと思ったのにレンタルDVDの取り扱いがなくて、
これまで見ないままでした。

それがようやく、見ることができて感激!!
しかもなかなかの作品ですよ。

 

14歳で交通事故にあい、昏睡状態となっていた豊(西島秀俊)。
10年を経て、突然目覚めます。
その時、父、母、妹の家族はバラバラになっていて、
豊は、父の友人、藤森(役所広司)と共に、元の実家で暮らすことに。
豊は、なんとか元の家族を取り戻したいと思うのですが・・・。

 

14歳から昏睡状態のままで、目覚めたときには24歳。
つまり、体は成人した大人なのですが、心は思春期の少年のままということなのです。
実際、まだ家族を失うには早すぎますね。

豊の家はささやかな牧場を開いていて、ポニーを飼っていたようなのです。
家族が出ていった後に、藤森がその家を借りて、釣り堀を開いて生活していました。
ポニーを飼っていたあたりは、産廃置き場になってしまっていました。

そんな有様で、豊は表面上は平気な顔をしつつも、
実は以前と同じように家族がいて、牧場があって、ポニーがいて・・・
そういう暮らしを取り戻したいと思っているのです。

 

宗教にハマって世界を巡り歩いている父。
父と離婚後に別の男と再婚し、新たな暮らしをしている母。
アメリカに渡った後帰国し、怪しげな男と風来坊のような生活をしている妹。

曲がりなりにも「牧場」的な環境を取り戻し、
後は一瞬でもいいから、家族みんながそろうときがあればいいなと思う豊。
それはややいびつな形ではありますが、かなうのです。

 

つまり豊が一度失ったものを取り返す。
それが彼の少年期の終わりなんですね。
そして、彼は今度こそ自立して自由な人生を歩み始めることができるはずだった・・・。
ところが。

なんとも皮肉な運命が彼を待っていました。
「目が覚めてからのことはやはり夢だったのか・・・」
と彼はつぶやきます。

確かに、実はこの物語は、ベッドの上で眠り続けている豊の「夢」にしかすぎない、
ということでも成り立つストーリーなのかも知れません。

いや、あなたはしっかり生きたよ。
短期間のうちに少年から大人になったよね・・・。

そう言いたくなってしまう私でした。

 

さてさて、20年以上前の作品。
当たり前ながら西島秀俊さん若いっ!!

今はすでに俳優としてもすっかり重みを増して、
落ち着いて頼りがいのある大人の役が多いので、
こういうやんちゃな感じの役がすごく意外で新鮮です。
こんな西島秀俊さんを見ることができるなんて、なんて幸せ♡

・・・うーん、でもやっぱり今の西島秀俊さんの方が好きだワ。
大人の魅力ですよね、やっぱり。
ステキな年輪の重ね方をしたなあ・・・。

 

他の出演陣も魅力的で、今見ても十分面白いです。

 

 

「ニンゲン合格」

1999年/日本/109分

監督・脚本:黒沢清

出演:西島秀俊、役所広司、菅田俊、りりィ、麻生久美子、大杉漣

 

皮肉な運命度★★★★★

家族愛度★★★☆☆

満足度★★★★☆


劇場版 きのう何食べた?

2021年11月08日 | 西島秀俊

イチャイチャ、ほっこり

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テレビドラマ「きのう何食べた?」のキャスト&スタッフで映画化した劇場版。
テレビドラマの大ファンでしたので、もちろんこちらも拝見。

シロさん(西島秀俊)の提案で、ケンジ(内野聖陽)の誕生日プレゼントとして
京都旅行に来た二人。
夢のような時間を過ごすうちに、ケンジはあまりにもシロさんが優しいので、
逆にこれは何かあるのでは?と疑ってしまうケンジ。
確かにその日、ケンジにとってはちょっとショッキングな話があったのでした・・・。

このドラマはいつもあまりにもほっこりしているので、
ゲイへの偏見などという問題はほとんど忘れているのですが、
一番身近で彼らと向き合うのが、シロさんの両親、特に母親なんですね。

シロさんの実家には以前ケンジも行って、
2人の関係を説明しつつ両親に理解を求めたのでした。
その時はとまどい驚きながらも、一応分かってくれたように思えた父母。
でも頭で理解したことと心から納得することは別物でもあったようで・・・。

これは誰を責めることも出来ないでしょう。
実家とはつかず離れずの距離を保っていくというのが正解なのかも知れません。

さてそれにしても、さすが劇場版。
シロさんの仕事(弁護士)のこと、ケンジの実家のことなど、
テレビドラマでは出てこなかったシーンが見られたのが嬉しい! 
そしてまた、ケンジが職場(美容室)の同僚と親しくしているのに嫉妬するシロさん、
という珍しいシーンも見られました。



ケンジの密かな悩みも切実ですよね! 
金髪のケンジも悪くないし、そこにサングラスをつけると、
いや~、さすがの内野聖陽さんでカッコイイ!!



小日向さん(山本耕史)とジルベール(磯村隼斗)もご健在で、なにより。

そしてもちろん、作り方付きの調理シーンや
おいしそうな食事シーンにわくわくさせられて・・・。
りんごのキャラメルソースをトーストにのせて、さらにアイスクリームをのせて・・・
これ、ぜったいやってみたいです。

 

幾分波風は立つけれど、やっぱりほっこり感満載のケンジとシロさん。
楽しかった!!
本作、腐女子でなくとも楽しめるところがいいのです。

 

ケンジの若き同僚役は、最近毎朝見ている松村北斗さんじゃありませんか!!
ヘアスタイルでずいぶんイメージも変わるものです。

 

<シネマフロンティアにて>

「劇場版 きのう何食べた?」

2021年/日本/120分

監督:中江和仁

原作:よしながふみ

脚本:安達奈緖子

出演:西島秀俊、内野聖陽、山本耕史、磯村隼斗、田中美佐子、松村北斗

 

ほっこり度★★★★★

満足度★★★★☆

 


ドライブ・マイ・カー

2021年08月24日 | 西島秀俊

心の奥へのドライブ

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ここのところまた、札幌でもコロナ感染者数が大きな山となっており、
映画館通いもまた自粛しなければ・・・と思ったところなのですが、
イヤ、でもこれだけは見逃せない、ということで見に行ったのが本作。

西島秀俊さん出演なのはもちろんですが、
村上春樹さん原作というところでも外せません。

 

本作は村上春樹さん短編集「女のいない男たち」の中の「ドライブ・マイ・カー」を原作としていますが、
その中の別のストーリーもいくつか取り入れられていて、
なかなか重層的な奥深い物語になっています。
179分、すなわち3時間近い長さでありながらも、
全然その長さを感じませんでした。

舞台俳優で演出家の家福(カフク)(西島秀俊)は、
脚本家の妻・音(霧島れいか)とともに満ち足りた生活を送っていました。
しかし、妻はある秘密を抱えたまま他界。

その2年後、喪失感を抱えたまま生きる家福ですが、
ある演劇祭で演出を担当することになり、愛車サーブで広島へ向かいます。
演劇の出演者の一人として、
かつて妻と仕事をしたこともある若手人気俳優の高槻(岡田将生)も姿を現します。

家福は、専属ドライバーみさきの運転で、
宿泊先から広島市中の会場までを毎日車中で過ごすことになります。
家福は寡黙なみさきとともに過ごすひとときの中で、
これまで目を背けていたことに気づかされるようになっていく・・・。

原作が村上春樹さんなので、毎日あまり変化のない生活が続く中で、
ちょっとした人との会話やほんのかすかな出来事、そして過去の出来事の反芻が、
自身の心を深く掘り下げていくという基本的パターンはそのまま。

中でも、チェーホフの演劇「ワーニャ伯父さん」の練習風景の中で、
家福たちの心境とリンクするセリフなどが出てくるあたりが実に秀逸。
カンヌ映画祭での脚本賞受賞というのにも納得です。

そしてまた、この家福プロデュースするところの演劇というのがすごくユニークなのです。
(ここの部分は原作にはありません。)
俳優たちは日本人だけではなく国際的。
日本語、英語、中国語、韓国語・・・それぞれの言語が入り交じります。
(上演の際には字幕が出る。)
しかも本作で中の一人の言語は「手話」なのです。
手話での演劇シーンは、意味も良くわからないままに、
深く心を揺り動かされる感じがしました。



始めの「本読み」の仕方もかなり独特。
できるだけ感情をこめずにゆっくりはっきりと読み上げるという本読みは、
実際に「濱口メソッド」と言われているそうです。
演劇には全く不案内の私ですが、非常に興味深く見ることができました。
映画作品でありながら、演劇の面白さまで味わえてしまうというお得な作品なのです。

俳優さんたちは、本作のストーリー上の演技と共に、劇中劇の演技もしなければならなくて、
まさに実力が試される所だったのではないでしょうか。
だから、薄っぺらな演技では浮いてしまいそうな本作の中で、
西島秀俊さんについてはもちろん心配などしていませんでしたが、
岡田将生さんの健闘が光ります。
一見軽そうなイケメン青年。
けれど彼もまた複雑な内面を持っていて、家福と視線で火花を散らすシーンとか、
強気と弱気の微妙な揺れ加減がなんともすばらしい! 

それを言ったら、ドライバー役の三浦透子さんもですね、
終盤以外はほとんどセリフもなく、他の登場人物の影に入り込んでしまう役柄ながら、
次第にその存在感を高めていく。

実は彼女もまた心の奥に大きな欠落を抱えているのであります。
大変な役柄でした。

 

単調なストーリー進行でありながら、
ほんの些細な登場人物のセリフや行動に、何かが起こる予兆が隠されているようで、
つい緊張して見続けてしまう。
だから、時間を忘れて3時間があっという間に過ぎてしまうのかも知れません。

 

私、この先村上春樹さんの本を読むときに、
主人公男性に西島秀俊さんを充てて読むようになる気がします。
イメージ、ピッタリです。

 

サツゲキにて

「ドライブ・マイ・カー」

2021年/日本/179分

監督・脚本:濱口竜介

原作:村上春樹

出演:西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、パク・ユリム、ジン・デヨン、岡田将生

 

村上春樹度★★★★☆

西島秀俊の魅力度★★★★★

満足度★★★★★


サイレント・トーキョー

2021年05月14日 | 西島秀俊

う~ん・・・

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西島秀俊さん出演作品なので、私たちの出番でーす!

常ならば本作、絶対劇場で見たはずのものだよね。

そうそう。でも、コロナ感染拡大の時期だったので、映画館は開いていたけど、
 自主的に映画館通いを自粛した時期に公開だったので、見逃しちゃいました・・・。

この度Amazonプライムで配信されてたので(有料だけど)、ようやく拝見というわけね。

 

クリスマスイブの東京。
 恵比寿に爆弾を仕掛けたと言う一本の電話がテレビ局に入ります。
 中継に向かったテレビ局契約社員(井之脇海)と、
 買い物にきていた主婦(石田ゆり子)が、爆破犯人から利用されてしまうハメに。
 彼らは犯人に成り代わり、次の犯行声明を発信する。
 テレビ生放送で首相との対談が果たせない場合、
 18時に渋谷ハチ公前付近で爆発を起こす、と。
 刑事・世田(西島秀俊)らが、必死に犯人の動きを追います。

えーと、ここでの犯人の狙いは、本当の戦争の悲惨さ怖さも知らず、そしてそのことを考えようともせず、
 安穏と暮らす日本人へ向けての警鐘ということなんだね。

そうなんだけどね、私、そこのところがなんだか納得いかなかった・・・。

 だってね、犯人たちは自身で戦争の悲惨さを体験し、平和の大切さを身にしみて願っているわけでしょ。
 そういう人たちが、こんな不特定多数の人を殺傷するようなテロを起こすかなあ・・・って。
 矛盾しすぎ。

うーん、一人が精神を病んでそのように思い込んでしまったと言うのならまだしも、
 一人じゃなかったし。

この根幹が無理スジなので、なんだかピンと来ない作品になってしまった気がする。

それと、場所も日時もわかっている爆破場所に、物見遊山で常以上に渋谷が若者で賑わってしまった、
 というのが、実は「そんなバカな」と思うところでもあるのだけれど・・・

いやそれがね、いま、これまで以上のコロナ感染拡大となっているにもかかわらず、
 集まって飲み会してる若者像が伝えられているのを見ると、
 あながち絵空事とも言えない気がしたよ・・・。

あまりにも危機感覚が欠如している本作の若者像、でもこれがリアルなのかも・・・。

ネタバレになるから言えないけど、ラストで石田ゆり子が語る、
 夫との間の出来事も、いかにも無理スジ。
 「愛していたから」というセリフには思わずのけぞって笑える。

いや、そこまでは言いすぎかもしれないけどね・・・。

豪華キャスト、無駄遣いでした。

えーと本作は、ジョン・レノンとオノヨーコによる
 Happy Xmas(War Is Over)にインスパイアされ執筆されたという
 秦建日子さん作品の映画化なんだね。

だから、エンディングはこのカバー曲で、これはすごく良かった。
 作品のなんだかピンとこないところを凌駕して、ま、いいかと思わせる力のある曲でした。

Amazonプライムビデオにて

「サイレント・トーキョー」

2020年/日本/99分

監督:波多野貴文

原作:秦建日子

出演:西島秀俊、石田ゆり子、佐藤浩市、中村倫也、広瀬アリス、井之脇海、毎熊克哉

西島秀俊の魅力度★★★★☆

サスペンス度★★★☆☆

満足度★★★☆☆

 

 

 


奥様は、取り扱い注意

2021年03月23日 | 西島秀俊

ファンの方は、どうぞ。

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お久しぶり、ぴょこぴょこコンビで~す!

待ちに待った、西島秀俊さん出演作品。

もちろん、テレビドラマの時も見ていましたもんねー。

元特殊工作員の妻(綾瀬はるか)と、公安エリートの夫(西島秀俊)が繰り広げる
 夫婦のラブアクション(?)ドラマ。

この度は、いきなり妻・菜美が記憶喪失になってしまうんだね。

つまり、自分の元特殊工作員という過去も忘れてしまった。

ちょうどその時勇輝は、珠海市でロシアと結託した国家レベルの陰謀が潜んでいるということで、
 高校教員の身分を得て、潜入捜査に当たることになります。
 妻帯者の方が目くらましになるということで、記憶を失った妻も同行。

美しい海辺の地方都市で、しばらくは意外にも平和な二人の新生活が始まります。

この珠海市では、新エネルギー源「メタンハイグレード」の発掘を巡り、開発反対派と推進派の争いが激化。
 その裏にロシアの陰謀も潜んでいます。

次第にその渦に巻き込まれていく二人・・・。

 

といったところで、一通りは楽しませてもらったのだけれど・・・。

いやあ、ぶっちゃけ、西島秀俊さんと綾瀬はるかさんが出演している
 ということだけに意義のある作品だったなあ・・・。

まあ、それで十分とも言えるけど。

いやあ、ちょっとしたコネタ的な驚きはあるにしても、なんだかなあ。

 途中で、二人が見ているテレビ番組で「奇跡」のような話、というのをやっていたでしょう。

 なんだかそのシーンで、このストーリーの結末が透けて見えてしまったんだよね。

だよね、ちょっと残念。

それと、菜美の記憶が途中から戻っているのが、勇輝や私たちにもわかるようになっているよね。

そう、はっきりとは説明がないけれど、どうやらそうらしい、
 と匂わすあたりは良い演出だと思います。

でもね、実は菜美は料理があまり得意ではない、というあたり、
 テレビドラマ見ていない人にはわかりにくかったんじゃないかなあ。

そもそもテレビドラマを見ていなかった人がいきなり見るというのは想定外なのか。

いっそ、西島秀俊さんが料理してるシーンが欲しかったけど、
 さすがに、公安エリートは料理しなさそうではあるな。

そりゃ「きのう何食べた」じゃないんだから。

それを言ったら、今テレビドラマで、綾瀬はるかさんの
 男女入れ替わりというスペシャル演技を見ているわけだから、
 本作が物足りなく思えるのも仕方ないのかなあ・・・。
 あ、アクションはかっこよかったけど。

もう少し、何か驚きの展開が欲しかった・・・、
 つまりは、凡庸な作品でした。

今日は、キビシイのね・・・

<シネマフロンティアにて>

劇場版「奥様は、取り扱い注意」

2021年/日本/119分

監督:佐藤東弥

出演:綾瀬はるか、西島秀俊、鈴木浩介、岡田健史、前田敦子

西島秀俊の魅力度★★★★☆

満足度★★★☆☆

 


居酒屋ゆうれい

2020年04月09日 | 西島秀俊

約束を破られたので、出てきたゆうれい・・・

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本作は西島秀俊さん出演作なので、ぴょこぴょこコンビでお送りしま~す。
えーと、ほら、西島秀俊さん作品を集中してみていた時期があったでしょう。
2014年ころだね。
そのときに西島秀俊さん映画初出演のこの作品も見たかったのだけれど、
 TSUTAYAのレンタルでも見当たらなかったんだよね。
 それがこの度WOWOWで、萩原健一さんの特集の一つとして放映されたので、
 チャンス!!でした。

 

ストーリーは、居酒屋かづさ屋の主人・壮太郎(萩原健一)が妻・しず子(室井滋)を病で亡くします。
 その死の間際、しず子が死んでも決して再婚しないと壮太郎は約束したのです。
 もし約束を破ったら、きっとあの世から舞い戻って出てくると、しず子は言い残す。
 さてそのしず子の死後、壮太郎は兄夫婦に強引にお見合いをさせられます。
 ところが思いのほかその相手・里子(山口智子)を気に入ってしまい、再婚。
 すると、本当に出てきたのです。
 しず子が幽霊となって・・・。

 

と言うところで、これは怪談かと思えばコメディーなんだね。
そうだね、さほど怖さを強調はしていない。
 それでも初めのうち壮太郎と里子は恐怖に震えるのですが、
 しず子があまりにもあけすけに話しかけるし、頻繁に出没するものだから
 次第になじんできてしまう。
幽霊のしず子は恨みを晴らすとか、たたるとか、そういう発想はないのね。
そう、実にあっけらかんとしています。
 本来敵同士のはずの里子とも何やら親しんでしまう。
で、そういう事件と同時進行で、
 ここの居酒屋を訪れる人々の人間模様をも描き出しているわけ。
 常連さんの、博打好きが原因で奥さんに逃げられた男とか、
 家出をしてきた男性とか・・・。
それが、店主のお人柄からか、なんとなく問題が良い方に動いていくというのは、
 「深夜食堂」的でもあるね。
 で、西島秀俊さんは・・・。


1994年作品ですよ! わ~、若いっ!!
 酒屋の息子で、軽―いお兄ちゃんです。
 さすがに近年こんな役はないよなあ。
 こういう若いときならではの役の西島秀俊さんが見られて、なんともシアワセ
もちろん本作のショーケン、萩原健一さんも懐かしく、ステキです。
 なんて言うんだろ、軽すぎず、重すぎず、飄々としているようで、でも愛嬌もある。
 これも彼でしか出せない持ち味ではありました!

それとこの作品、登場人物がやけに豪華なんだよねえ。
これまであげたほかに、三宅裕司さん、橋爪功さん、豊川悦司さん、
 余貴美子さん、尾藤イサオさん、角替和枝さん・・・、
 今、重鎮として活躍されている方ばかり。
だから今見てもなかなか見応えのある作品でした~。

<WOWOW視聴にて>
「居酒屋ゆうれい」
1994年/日本/110分
監督:渡邊孝好
原作:山本昌代
出演:萩原健一、山口智子、室井滋、三宅裕司、西島秀俊

西島秀俊の魅力度★★★★☆
人情度★★★★☆
満足度★★★★☆


風の電話

2020年01月27日 | 西島秀俊

思いを口に出すことが大事

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西島秀俊さん出演作なので、私らが出てきちゃったけど、
場違いな感じがするくらいのピュアな感動作ですよね。
そうだねー。まあたまにはいいでしょう。

※当ブログでは、西島秀俊さん出演作とクリント・イーストウッド出演又は監督作品について、
 カエルさんとヒヨコさんの、ぴょこぴょこコンビの対談形式でお送りしています。
 単なる趣味で、特に深い意味はありません(^_^;)

まず、あらすじとしては、8年前の東日本大震災で家族を失い、
 広島の叔母の元で暮らしていた17歳の少女ハル(モトーラ世理奈)。
 あるとき叔母が突然倒れ、何もかも奪われてしまうことに絶望したハルは
 さまよい歩いた末に、故郷の岩手、大槌町を目指してヒッチハイクを始めます。
 そうして出会った人々との出来事や心のふれあいを描く作品。

始めの方、叔母さんが倒れた後に、広島の水害のあった地で、
 ハルが泣き叫ぶところがあったでしょう、
 「どうして何もかも奪うのっ!」って。
 そこでぎゅっと心をわしづかみにされる気がする。
 私たちは災害の避難場所などで、被災者へのインタビューをよくテレビで見たりするよね。
 皆さん押し黙ってじっと何かに耐えている・・・そんな様子。
 だけど本当はこんな風に、足をジタバタさせるくらいに泣きわめきたかったのではないかな。
 本当の悲しみを私たちはどれだけわかっていたのかな、という気がしました。

確かに。ここでのハルは泣き叫ぶしかできない。
 そんなハルなのだけど、ヒッチハイクでいろいろな人に助けてもらって、
 そして多くの人がそれぞれの悲しみや苦しみを
 彼女と同じように抱えていることを知っていくんだね。
そうそう、そしてこれから生まれてくる命のことも。
帰りたくても帰る場所のない悲しさも知ります。
 それはクルド人たちの話ではあるけれど、
 原発事故で帰れない人々や、津波で変わり果て、人が極端に減ってしまった町の話でもある・・・。

えーと、モトーラ世理奈さんって、何者?って思ったんだけど。
モデル出身なんだけど、NHKドラマ「透明なゆりかご」に出てたって・・・
え~、うそー。
 それは見てたけど全然おぼえてないわ。
 あのときは清原果耶さんばっかり注目してたもんなあ・・・。
この子は、そんなに派手な顔立ちではないのだけれど、
 しかも本作の役はとても寡黙なのだけれど、
 すごい存在感があって、表現力たっぷり。
今後がすごーく楽しみな感じです。


そして本作中、ハルを見守る役として
 三浦友和さん、西島秀俊さん、西田敏行さんが登場するわけなんだけど、
 このベテラン勢が、新人モトーラ世理奈さんをしっかり見守り支えているという構図にもなっていて、
 なんだかジーンと来ます。

さてそして、本作中の一番の見所はハルが最後にたどり着いた「風の電話」のシーンだね!
これは実際に岩手県大槌町にある、電話線につながっていない電話なんだね。
 きれいな電話ボックスが設置してある。
 そこで、天国にいる誰かと話をしたい方はいつでもどうぞ、ということなんだね。
 毎日多くの人が訪れるそうだよ。
ここまでほとんど言葉らしい言葉を発していなかったハルが、一気に自分の思いを話し始めます。
 ここだけに限らず、この作品は台本はあるけど、セリフが入っていなくて、
 役者さんたちのナマの言葉が語られているそうだよ。
だからここも、モトーラ世理奈さん自身の言葉だったのだって。

自分の役柄やストーリーの流れなどをすっかり理解していなければ、
 なかなかこんなことはできないよね。
 今までため込んでいた思いを、口に出すことによって風化させていくような気がする。
これがなければ彼女は家に帰れないだろうと思う。


あ、作品ではまったく触れられていなかったけど、
 広島ではきっと叔母さんが意識を取り戻して、ハルのことをひどく心配しているのではないかと思う・・・。
とりあえずは早く広島に帰って!!

<シネマフロンティアにて>
「風の電話」
2020年/日本/139分
監督:諏訪敦彦
出演:モトーラ世理奈、西島秀俊、西田敏行、三浦友和

悲しみの表出度★★★★★
満足度★★★★☆

 


任侠学園

2019年10月05日 | 西島秀俊

町内に一組ずついてほしい

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さあ、西島秀俊さん出演ですねー!

背中に見事な入れ墨、ヤクザな西島秀俊さんもかっこいいですー

 

社会奉仕がモットーの地元密着型ヤクザの阿岐本組、組長(西田敏行)含めて総勢6名。
 なぜこんな弱小の組が未だに生き残っているのか、警察も首をひねります。

 そんな彼らが、経営不振の高校の理事となって、立て直しを図ることに・・・。
 学校の様子を見に行った日村(西島秀俊)や、二之宮(伊藤淳史)らは、
 子供たちは無気力で、教員も事なかれ主義、そんな校風に違和感を覚えます。
 そして、度々校舎の窓ガラスが派手に割られているという事件が発生しますが・・・。

 ・・・という風に始まるお話。

 

学園もの&ヤクザもの、面白かった~。

学校なんか大嫌いだったという、かなりすさんだ高校生らしかった日村が、
 今なぜこんなにも社会奉仕に務めているのかと言えば、
 それは組長の影響だった・・・と言う過去のエピソードが効いてましたね。

見た目は明らかにヤクザそのものなんだけど、皆、心優しい人たちばかり。
 こんな組なら町内に一つずつあってほしい・・・と思ってしまった。
確かに、交番に詰めてて欲しいね。

 

本作、巻き込まれ型兄貴分の西島秀俊さんと、ツッコミ担当の伊藤淳史さんのコンビがいいんだよねー。
 この二人は今までも何度かコンビを組んでいるけれどベストマッチだよね。
 CMでもコンビで出てるし。

先輩後輩とか上司と部下ならこの二人。
 ライバル関係なら香川照之さんと西島さん。
 これでバッチリです!!

私は前田航基君のファンなんで、
 この、いじめられっ子のIT系頭脳派っていう役柄がすごくいいなあ・・・と思った。
ちょい役なんだけど、割と存在感があるって役柄が多いよね。
黙って立ってても確かに存在感はある・・・。

 

えーと、この組は、カタギには手を出さないと言うのが鉄則。
 だけど、別の組を相手にすることもあり、西島さんの見せ所のアクションもちゃんとあるよね。
 ヤクザの組員ではないけれど、悪だくみを画策する半グレ集団に対しては
 「人を誘拐するような奴らがカタギといえるかっ!!」
 と啖呵を切る西島さん、カッコイ~。
 私は思わず大きくうなづいちゃいました。

笑えて人情味を楽しめる、好きだなあ、こう言うの。

原作の「任侠シリーズ」を読みたくなっちゃうね。


<シネマフロンティアにて>

「任侠学園」

2019/日本/119

監督:木村ひさし

原作:今野敏

出演:西島秀俊、西田敏行、伊藤淳史、葵わかな、生瀬勝久、前田航基

コミカル度★★★★☆

満足度★★★★★

↑あくまでも西島秀俊さんファンの立場で、ということでご理解ください・・・

 

 


空母いぶき

2019年05月27日 | 西島秀俊

あくまでも、専守防衛

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待ってました、「空母いぶき」!
ジャンル的にはちょっと守備範囲外のような気がするけど・・・
そうは言っても西島秀俊さん出演なので、見ないわけには行きません。


ストーリーは・・・
 日本の最南端沖で国籍不明の軍事勢力が領土の一部を占拠。
 海上保安庁の隊員を拘束してしまいます。
 そこで日本政府は初の航空機搭載型護衛艦「いぶき」を中心とした護衛艦群を現場へ派遣。
 するといきなり敵潜水艦からミサイル攻撃を受けてしまう。
 その事により政府は「防衛出動」を発令。
 果たして自衛隊はどのように闘うのか・・・。


これ、派手な戦闘シーンを期待して見た方は、ちょっと期待はずれなのではないかな。
そうなんだよね。
 本作のテーマは、「専守防衛」を旨とする自衛隊が、
 もし実際に敵の攻撃があった場合に何ができるのか、というシミュレーションなんだよね。
まずは相手が先に攻撃してこなければ何もできない。
 そんなわけだからどうしてもさほど派手な攻撃シーンは出てこない。
そして常ならば、出撃シーンなどは、艦長の悲壮な“絶叫”がお約束のような気がするのだけれど、
 西島秀俊さんの艦長は、常に沈着冷静。

それというのも、すぐ頭に血が上って攻撃しまくるような人では、
 「専守防衛」を貫くことができないからなんだよね。
ミサイルには迎撃ミサイル。
 でもこちらで対処できないくらいの艦隊が現れたときにはどうする・・・?
それはもちろん、こちらからもミサイル攻撃すればよいし、
 現にその装備もあるのだけれど・・・
それで相手の船を撃沈してしまった場合の死者は数百人にもなる。
「戦闘と戦争は違う」、と秋津はいうね。
 一般人をも巻き込むのが「戦争」だと。
だから彼は今、戦闘状態にはあるけれど決して「戦争」にしてはならない、と思う。
 そのため極力相手の被害も最小限に・・・。
ということで、秋津の立てた作戦になるほど~、と思ったよ。
 というのも、今読んでいる「坂の上の雲」の日露戦争の海戦のあたりの解説で、
 魚雷が当たれば船はあっという間に沈むけれど、
 砲弾は当たっても船は滅多には沈まない、とあったもので・・・。
ふむふむ。どこでどんな知識が役に立つかわからないね。

 

それから本作は実に豪華キャストが目白押しだったね。
いぶき艦長の秋津(西島秀俊)と副長新波(佐々木蔵之介)は考え方が逆のようで、
 でも根っこのところは同じ。
 こんな設定に、この二人の配役もぴったりでした。
秋津氏は悲壮な場面でも口元がどこか微笑んでいるようにも見える。
 まるで菩薩のようでありました・・・。

佐藤浩市さんの総理大臣もよかった。
 若干彼のスピーチが物議を醸したらしのだけれど・・・。
それは考えすぎだよね。
 作品を見たら自衛隊へ向けた思想は理想的な総理大臣で、
 逆立ちしたって現実の総理大臣がかなうはずもなし。
 いちいちスピーチで皮肉ったりなんかしないよ。あほらし。

一応ヒロイン的存在なのが本田翼さん。
 たまたま取材でいぶきに乗っていたネットニュースの新米記者で、
 思いがけずこの戦闘が始まってしまった、という設定。
秋津との対面シーンはほんのわずか。
 でも、こういうときの報道のあり方がすごく難しいとは実感させられるところです。

この戦闘が24時間の出来事ということで、あるコンビニの24時間も挿入して描かれるのだけれど
 ここの店長(中井貴一)が、何も気づかず、ひたすらずっと
 クリスマスのサンタの長靴にお菓子を詰め続けていたというのが面白いエピソードでした。


ねえ、「自衛隊」としてこんなことができるのなら、
 あえて憲法を改正しなくてもいいような気がするなあ・・・。
「戦闘」はするけれど、決して「戦争」をしないということでね・・・。
 でもさ、実際は日本に空母はないし、秋津さんもいないんだよ。
あ~あ。


話はぜんぜん変わるけれど、今、西島秀俊さんといえば「きのう何食べた?」だよね。
そうなのよ~。面白いよねえ。
 ごくごく普通の生活の物語で、これが男女のカップルなら全然面白くないと思う。
ゲイのカップル、というだけでどうしてこんなに面白いのでしょ。
 西島さんはゲイの役でもすてきだわあ・・・。
でもそれ以上に内野聖陽さんがこれまでのイメージを突き破る、素晴らしい表現をしてるよねえ・・・。
 これまでいかにも偉そうな役が多かったものね・・・。
二人が楽しそうに食事してるシーンがもう、最高!


それと吹替版の「名探偵ピカチュウ」のピカチュウの声が西島秀俊さんなんだな。
それなんだよ。声だけでも楽しんでみたいじゃない。
 3D・もふもふのピカチュウもぜひ見てみたいし。
でもねえ・・・、おばちゃん一人で見るのはあまりにも敷居が高いわあ・・・。
誰か孫をレンタルして・・・。

<シネマフロンティアにて>
「空母いぶき」
2019年/日本/134分
監督:若松節朗
原作:かわぐちかいじ
出演:西島秀俊、佐々木蔵之介、本田翼、佐藤浩市、市原隼人、戸次重幸、高嶋政宏、堂珍嘉邦、中井貴一
シミュレーション度★★★★☆
満足度★★★.5
西島秀俊の魅力度★★★★☆


人魚の眠る家

2018年11月19日 | 西島秀俊

脳死とは・・・?

* * * * * * * * * *

西島秀俊さん出演作が、トントントンと来ましたね。
はい、嬉しいことでございます。
しかも今回は東野圭吾さん原作。
 ということで、話題性だけはたっぷりのエンタテイメント作品・・・と、
 実のところさほど中身は期待していなかったのだけれど・・・。
私はまさかと思ったけれど、泣けてしまいましたよ・・・。

 

えーと、ストーリーは、二人の子供を持つ播磨和昌(西島秀俊)・薫子(篠原涼子)夫婦。
 しかし現在別居中。
 娘の小学校受験が終わったら離婚する予定になっていた。
そんなある日、娘・瑞穂がプールで溺れ昏睡状態になってしまうんだね。
 医者からは回復の見込みはないと言われるのだけれど・・・。

母・薫子は娘はまだ生きていると信じ、脳死判定を受けようとはしません。
 夫婦は人工呼吸装置を娘の体内に埋め込むという最新技術の手術を受け在宅治療を可能にします。
でも、眠り続ける娘を生きたように扱う妻に、夫は次第に違和感を覚え始め・・・。

ここで肝心なのは、播磨和昌がロボット開発などを手がける会社の社長ということなんだよね。
そう、そうした機械工学と医療技術を結びつけるような研究をしている。
そこで、脳の代わりに電気的に筋肉に信号を送って、
 娘の体を動かしてみるという実験的な治療を始めるわけね・・・。
それで、昏睡状態の娘の手や足が動いたりするわけだけれど・・・
そこのところはなんだかフランケンシュタインの話のようだと、少し薄気味悪くも思えた・・・。
そこそこ、本人の意志でなくまるで操り人形のように体を操作して動かすということに、
 なんだか冒涜めいたものを感じてしまうよね。
つまりこの脳死状態というのは生きているのか、死んでいるのか、どっちなんだっ!!
 というのが最大の問題。
 すごく難しいよね。
終盤の母親の行動が、最大限にその疑問を私達に突きつける。
 ほとんど狂気にかられている母親の、切羽詰まった問いかけ。
 その答えは結局作中でも出ていません。
私も思うんですよ。いざというときの臓器移植。
 死後、臓器を必要な人に提供することに異存はない。
 でもね、いくら「脳死」とはいっても、心臓は動いている時に、
 温かい体にメスを入れるというのはどうなのよ・・・と、思ってしまうわけだなあ・・・。



この作品はそういうことをすごくストレートに見るものに問いかけていて、力のある作品だと思う。
篠原涼子さんの迫力ある演技のおかげでもあるね。
こんな時、男はオロオロするしかないのよ・・・。
 出産と同じように。



そういった意味では妻に振り回される優しき夫という雰囲気がよく出ていた西島さん。
研究に没頭していくオタク青年の坂口健太郎さんもよかったし。



おばあちゃん役の松坂慶子さん、今にも「私は武士の娘です。」と言い出すんじゃないかとヒヤヒヤした。
いや、それはないでしょ・・・。

<シネマフロンティアにて>
「人魚の眠る家」
2018年/日本/120分
監督:堤幸彦
原作:東野圭吾
出演:篠原涼子、西島秀俊、坂口健太郎、川栄李奈、山口紗弥加、田中哲司、松坂慶子

脳死を考える度★★★★★
医療最先端技術度★★★★☆
満足度★★★★☆


オズランド 笑顔の魔法おしえます。

2018年11月02日 | 西島秀俊

呼び捨てはやめろよ、キュンとすんだろ

* * * * * * * * * *

さて、久しぶり~と言いたいけど、この間出番があったばっかりだね。
西島秀俊さんは「散り椿」と並行して本作の撮影に出ていたのかしらん。
全然違う役で大変だねえ。
うん、そもそもここの小塚は今までの西島さんの役柄とも違うしね。えーと、ストーリーは・・・

超一流のホテルチェーンに就職しながら、系列の地方遊園地に配属された波平久瑠美(波瑠)。
それそれ、その名前。
 先に何かであらすじの紹介を読んだ時に、「なみへい」と読めてしまって、
 ついサザエさんのお父さんを思い出しちゃって。
 なんで波瑠さんが男役?という違和感。
そしたら、本当は「なみひら」と読むのだった。
しかし、久瑠美は皆から「なみへい」さんと呼ばれてしまい、面白くない。
 ま、そういう名前のエピソードはうまく働いているよね。
さて、久瑠美は彼氏(中村倫也)とは遠距離になってしまうし、嫌々ながら熊本の遊園地に赴任。
 そこで、これまで数々の企画を成功させ「魔法使い」などと呼ばれるスーパー社員小塚(西島秀俊)や
 個性的すぎる従業員たちと出会うことになる・・・。
 つまりは、これは久瑠美の職業人としての成長物語なのだな。



そうなんだけどねえ・・・。
あれ?なにか言いたげだね。
なんというか、出てくるのはいい人ばかりで、メリハリがないというか盛り上がりに欠けるというか、
 どこに感動して良いものやらよくわからない作品だった・・・。
 一応危機感を煽るシーンはあるにはあったのだけど、それが全然緊迫感がなかった。
まあ、そこはあとで考えれば緊迫感が出ないのが当たり前のシーンではあったのだけれどね。
いや、そうだとしても、視聴者を騙さなければ意味がないじゃない。
 あの、空から無数に風船が降ってくるシーンは確かにメルヘンチックでステキだったけどね・・・、
 見どころはそこと花火のシーンだけ。
たはは・・・、サンザンだね。
 でも、西島秀俊さんは?



いつもとは違うなんだか軽くてヘラヘラした感じ。
 でもほら、あのTV宣伝でも流していたセリフ
 「呼び捨てはやめろよ、キュンとすんだろ」
 はやっぱり良いわ~。
 そんなこと言われたらこっちのほうがもっとキュンキュンしちゃう~。
でね、本作はもうちょっとこの小塚がどういう人間なのか、というあたりを掘り下げてほしかったと思う。
 おちゃらけているようで、実はちゃんと考えているでしょ。
 どういう経緯でここに流れ着いたのかとか、家族のこととか(多分バツイチっぽい)、
 もう少し厚みを感じさせてくれれば・・・。

私が思うに本作はTVドラマでやるべきだったのでは?
 一話ずつ遊園地でなにか事件が起こるのを解決していくのよ。
 その合間に小塚の過去と、久瑠美の恋の話を織り交ぜて。
 スタッフたちのことももっと詳しく知りたいしね。


せっかく登場した中村倫也さんだったけど、サンザンな役だったね・・・
私しゃ、彼の声が好きだわ~。


<ユナイテッド・シネマにて>

「オズランド 笑顔の魔法おしえます。」
2018年/日本/105分
監督:波多野貴文
原作:小森陽一
出演:波瑠、西島秀俊、岡山天音、中村倫也、橋本愛、柄本明
西島秀俊の魅力度★★★★☆
満足度★★.5


散り椿

2018年09月30日 | 西島秀俊

切なく咲き散る椿の花

* * * * * * * * * *


さあ、西島秀俊さんでーす!!
いや、主役は岡田准一さんの方だと思うんだけど・・・
まあ、どっちでもいいんです。
 私、本作のキャストを見たときに、岡田准一さんが藤吾の役かと思っちゃいました。
でも、西島さんは新兵衛のイメージではないよね。
そうだね、やっぱり采女役のほうがしっくり来る。
 原作からすると新兵衛と采女はほぼ同年輩のはずなんだけれど・・・
だから、岡田准一さんのキャスティングがあれ?と思うわけね。
いや意外と岡田准一さんってもうそんな年?とか思ったりして、マジで調べてしまった。
 そしたらやっぱり、この二人はほぼ10歳の差がありました。
まあ、そんなことを気にするのは私らくらいだからさ・・・、気にしない気にしない。
 それより、そんな事から始めたから、ストーリー紹介してないじゃないの。
この間原作読んだばかりなので、つい面倒になりまして・・・

 

えーと、瓜生新兵衛(岡田准一)は、藩の不正を訴え出たため、藩を追われていました。
 妻・篠(麻生久美子)を伴い京都などで生活していましたが、その妻が病でなくなり、
 妻の言い残した願いをかなえるため、8年ぶりにこの地に帰ってきたのです。
この地元には新兵衛の友でありライバルでもあった榊原采女(西島秀俊)がいて、
 この8年の間に出世をして、今は藩の要職についているんだね。
新兵衛は、以前篠と采女が好きあっていたのではないかと思い心穏やかではないのですが、
 それでも妻の遺言に従い、采女を手助けしようと思います。
8年前、新兵衛が藩の不正を暴こうたしたときのイザコザはまだ後を引いていて、
 新兵衛が戻ってきたことでまた、藩の闇が動きはじめるわけ・・・。

藩主の世継ぎ問題とか、不正でもいろいろな複雑な事情とか・・・
 そういうのは割とバッサリと単純化されていたね。
まあ、2時間程度のストーリーにまとめなければならないから、仕方ないよ。
それでも、私ならこの映画だけ見て事情はよくわからないような気がする・・・
 皆さんはわかるのかしらん・・・?
 殺陣は、そう派手ではないし、やたらと雨やら雪やらのシーンが多くて暗いし・・・、
 私みたいに西島秀俊さんを拝めるだけで「良し」という人でなかったら、
 もしかしたらよく眠れる作品なのかも・・・。
あ、いや、岡田准一さんのファンの人も大丈夫だと思ううよ、多分。
まあね、でもこの二人の対決のシーンは良かったよね。
 椿の花が美しい・・・。
これは散り椿で、一つの木に赤白入り混じった花がさくんだね。
 そもそも北海道には椿の木がないので、特にもの珍しく素敵に感じたなあ。
ふるさとの自分の家に咲いていた散り椿の花。
 篠は遠い地でこの花をもう一度見たいとおもっていたのだよね。
 切ないなあ・・・。



それからこの二人、双方この藩で四天王と呼ばれる4人のうちの二人、という凄腕。
 昔は互いを煙たく思っていたことが伺われるよね。
 同じ一門の友ではあるけれど、どこか気に食わないヤツ。
 それは、篠をめぐるライバル関係ということもあるけれど、
 実のところは理解し合える似た者同士だから、ということなのかもしれない。
そんな二人の関係性が良く表されていた対決シーン。いいわあ・・・


原作と映画で大きく違っていたのが、人物の関係で、
 原作では切腹をして死んだ源之進の息子が藤吾(池松壮亮)で、妻が里美(黒木華)だったのに、
 本作ではこの三人は兄弟ということになっていました。
う~ん、どうなんだろう。
 少なくとも藤吾は息子のほうが良かったかも・・・。
そういえば藤吾くんの婚約破棄の下りとかもバッサリ削られてて、
 彼の成長ぶりもあまり際立つような描かれ方をしていなかったなあ・・・。
やっぱり葉室麟作品を2時間に押し込めようとするのがムリなのかもしれないね。
 この凛として美しい武士の物語を楽しみたければ、やっぱり本を読むに限る。

あ、でも本作は精一杯そういう原作の雰囲気を大事にしていることがわかるよ。
 そこはさすが木村大作監督。

原作はこちら→「散り椿」

 

ユナイテッド・シネマにて
「散り椿」
2018年/日本/112分
監督:木村大作
原作:葉室麟
出演:岡田准一、西島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子

西島秀俊の魅力度★★★★☆
満足度★★★☆☆


ラストレシピ 麒麟の舌の記憶

2017年11月18日 | 西島秀俊
料理人としての矜持



* * * * * * * * * *

わ~い、久しぶりのぴょこぴょこコンビです!
西島秀俊さん、待ってました~。



えーと、舞台は1930年代の満州と現代を行き来するんだね。
はい。まずは天才料理人佐々木充(二宮和也)のこと。
 彼は一度食べたものはどんな味でも再現できるという絶対味覚「麒麟の舌」の持ち主なんだけれども、
 料理店経営の失敗から料理への情熱をすっかり失っているのです。
 そんな彼が、中国料理会の重鎮である楊清明という人物からある依頼を受ける。
山形直太郎(西島秀俊)という人が1930年代の満州で作った
 「大日本帝国食彩全席」のレシピを探してほしい、というんだよね。
 そのレシピは日の目を見ることなく、歴史の闇に消えてしまったという・・・。
なんだかよくわからない依頼だけれど、報酬にひかれた充は、引き受けることにする。
 そこで、彼がわかった山形直太郎のことが、順を追って語られていくわけです。



直太郎さん、やっぱりかっこいいわ~。
彼の料理愛と情熱に惹かれて、次第に彼の周りの人々も同調していきますね。
あんまり豪華な料理の映像は、想像もつかなくてピンとこないけれど、
 ビーフカツとか、お餅入りのロールキャベツなんか、美味しそうだったなあ・・・。
空腹で見るにはつらい作品です。
そして料理人としての矜持を持って死んでいく直太郎さん・・・。
 この役はやっぱり西島さんしか考えられない!!



それから大事なのが充の友人、柳沢健(綾野剛)。
 彼は充と同じ施設で育ち、2人で施設を飛び出して料理店を開くまでになる。
 充の才能を信じる、サポート役。
・・・が、実は彼こそが・・・。
おっと、そこから先は内緒だよ。
はい。それにしても私、チャーハンの中華鍋を振る綾野剛さんの美しい腕の筋肉に感動しました!!
でたー。筋肉フェチ。
だって、そう言うけど、ノースリーブの綾野剛さんなんて他ではあんまり見ないでしょ。
 かっこいい腕の筋肉なのだわあ・・・。
 彼も細マッチョの口だわね・・・。
 上半身の裸体もぜひ見たい・・・。
 ピアノ弾くより中華鍋振るほうがカッコイイよ! 
 これ、ニノにはできないよ。
そこまで言う・・・?



まあそれは置いといて、最後の謎解きと言うか、種明かしのところはどう?
途中で何となくわかってしまったけどね・・・。
 でも、よくできたストーリーだと思うな。
 私は結構好きだよ。
日本の歴史の物語でもあり、家族の物語でもあるね。



<シネマフロンティアにて>
「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」
2017年/日本/126分
監督:滝田洋二郎
原作:田中経一
出演:西島秀俊、二宮和也、綾野剛、宮崎あおい、西畑大吾
ストーリー性★★★★☆
満足度★★★★☆

クリーピー 偽りの隣人

2016年07月04日 | 西島秀俊
ザワザワさせるための仕掛け



* * * * * * * * * *

さて久しぶりにぴょこぴょこコンビの登場で~す!
西島秀俊VS香川照之という黄金カード。
 期待は高まりますねえ。



高倉(西島秀俊)は元刑事なのだけれども、わけあって職を辞し、
“犯罪心理学者”として大学に勤め始めたところ。
家も引っ越して、妻・康子(竹内結子)と愛犬と、新生活を始めるところだね。
ところが、隣人 “西野”(香川照之)の一家に、何か違和感を覚えてしまう。
 西野は、時に無愛想で、話すことが咬み合わないし、
 しかしまた時には妙に親しげでもあり、何かとらえどころがない感じ。
一方、高倉は元同僚の野上(東出昌大)から、6年前に起きた一家失踪事件の分析を依頼されるのです。
 家族の中でただ一人残された長女早紀(川口春奈)の記憶を探ってほしいと。
しかし、高倉が6年前の事件に関わっているうちに、家では妻・康子の危機が迫っていた・・・!
 また、そんな時、西野の娘は高倉に言うのです。
 「あの人はお父さんじゃない!」



う~ん、やっぱり香川照之さんの演技の効果が大だよね。
 あ~、気持ち悪かった・・・。
 それで、「クリーピー」っていうのは?
「ゾッとするような」とか「身の毛のよだつ」というような意味だって。
 正にこのストーリーを表すにぴったりな題名というわけ。



すごく緊張感と恐怖を呼ぶシーンが印象に残っているよ。
 一つは、高倉が6年前の事件の起きた家の前で、
 何か嫌な予感と言うか気配におののいて、立ちすくむシーン。
カメラがずんずんと急上昇して行って、かなりの上空から高倉を見下ろすようになるシーンだよね。
私、高いところが苦手なので、余計緊張感が湧き上がってきて、怖かったよ~。
 あれ、どうやって撮ったんだろね。
 今までこんなカメラワークを見たことがない。
そしてこれは事件のあった家と隣家との位置関係をはっきり示す目的もあったわけだけれど。
あ、そうか。そのことに気が付かないくらい、このカメラワークに恐れおののいちゃってました。



それから、もう一つ怖かったのが、高倉が6年前の事件の生き残り、早紀から記憶を聞き出そうとするシーン。
 場所は大学の研究室。
 ガラス張りで、窓の外には学生たちがおしゃべりしていたりする、開放的で明るい場所。
でも、早紀がとぎれとぎれに記憶を蘇らせていくに従って、辺りがだんだん暗くなってくるんだね。
 天候が急変して、晴れていた空が急に影って雷がなり、雨が降ってくるんだ。
 何やら、嫌な記憶が呼び覚まされそう・・・。
そしてまた、一見穏やかそうな高倉の本性がここで見えてくるよね。
 研究熱心のあまり、つい激昂してしまうようなところが・・・。
そうだよね、これは早紀のためなんかじゃなくて、
 あくまでも研究というか興味本位のところが見られるんだな。
作中では、詳しく述べられてはいないけれど、
 この早紀って、つまり、西野の娘の澪と同じ役割を務めていたってことなんじゃ・・・!
そうだよ、だからこそその記憶は封印してあったのだし、
 決して思い出すべきではなかったということなんだな・・・。


う~む、恐るべき作品だなあ・・・。
 不気味さや恐怖がすごく良く計算されてる気がする。
 観客をザワザワさせるための仕掛け満載ってことだ。



それにしても康子が、どうしてあんなに安々と西野の手にかかってしまったのかというのも問題。
 だってね、西野に「ご主人と私とどちらが魅力的・・・?」なんて聞かれてもね。
 どう考えても西島さんのほうがいいに決まってるじゃん!! 
 ばかなこと聞くんじゃなーい!!
こらこら・・・。
 そうはいっても、あの必ずしも正義感だけじゃないダンナだしね。
 多分妻の料理なんかほめたこともないんだよ。
 でも西野は手放しで料理を褒めるよね。
 手作りのチョコレートのこととかも。
 そういうところでつい気を許しちゃったんだろうなあ。
 第一印象は全然よくなかったにも関わらず。
それと、「飛んで火に入る夏の虫」みたいなもんで、つい西野の吸引力に引きこまれちゃったんだろう・・・。
そういうちょっと危なげな妻を、竹内結子さんがまた、好演しているわけだ。



は~、それにしても怖かったワ・・・。
 とりあえずワンちゃんが無事でよかった・・・。

「クリーピー 偽りの隣人」
2016年/日本/130分
監督:黒沢清
原作:前川裕
出演:西島秀俊、香川照之、竹内結子、川口春奈、東出昌大、藤野涼子
クリーピー度★★★★★
西島秀俊の魅力度★★★★☆
満足度★★★★☆

女が眠る時

2016年03月02日 | 西島秀俊
無垢な少女が「女」に変わるとき



* * * * * * * * * *

待ってました、西島秀俊さん出演作!



多少地味なんだけどね・・・
 でも、こういうのが本来の、と言うか西島秀俊さんらしい系譜の作品だよね。
そういうこと。


西島秀俊さん演じる清水健二は、作家。
といっても、処女作がメジャーな賞を受賞して、名前は売れたけれども、
 2作目は売れず、3作目は書けていないというトホホな状況。
 もう小説は半ば諦めて、就職が決まったところなんだね。
そんな彼が、一週間の休暇で、妻とともにリゾートホテルを訪れる。
 妻・綾(小山田サユリ)は、編集者で、
 それだからこそ、作家の夫には価値を感じるけど、書けない夫には失望している・・・
・・・と、清水は思っているわけだ。
だね。・・・でも実際彼女も、そのように思っている感じ。
彼女は仕事がらみでここへ来ていて、日中は担当作家のところに出かけるので、
 清水は昼間は一人なんだね。

その清水が、プールサイドで気になる二人連れを見かける。
 初老の男・佐原(ビートたけし)と、若く美しい美樹(忽那汐里)。
夫婦にも親子にも見えない、謎の二人。
その夜、眠れない清水はプールサイドを散歩するうちに、
 この二人の部屋を見かけ、つい覗いてしまうんだね。



えーと、前にもあったよねえ、西島さんが壁の穴から隣を覗いてしまう、というのが。
それは「真木栗ノ穴」だね。
 そういえばそこでも西島さんは小説家だ。
人の生活を盗み見る・・・というのは、
 自分だけでは想像もつかない人の営みがみえたりして、
 行き詰った作家には必然的行為なのかもしれない。
で、結局この怪しい二人はどんな破廉恥な行為を繰り広げていたのかというと・・・
女はただ寝ているだけ。
男はその様子をじ~っと見ていて、撮影している。ただそれだけなんだ。



なーんだ、と思う。
 だけどね、これが毎日毎日で、映像は上書きしているんだって・・・。
 でも、気に入ったものだけはちゃんととってある。
 まだ「少女」というような年代の頃から今のものまで、ずら~っと記録があるんだよ。
 皆ほとんど変わらないような寝姿。
でも、微妙に成長しているのは見て取れるよね。
 無垢で無防備に眠る少女・・・
 そしてそれが今「女」に変わろうとしている。
そこに性的行為は全くないのだけれど・・・何やら隠微だよねエ。
 で、清水はその隠微さにハマり込んでしまうわけだ。
 彼らの部屋に忍びこんだりもしちゃう。
そこに美樹が帰って来ちゃったりするから、焦るよねえ・・・。



それにしてもね、そんなまだ子どもと言うべきような時から
 一緒に二人だけでいるっていうのはどういうことなのよ・・・? 
佐原が彼女を勝手に親元から連れだしてしまったらしいのだけどね、
 そういう謎は謎のママ・・・
男は女がその「無垢」を今しも脱ぎ捨てようとするのを予感し、
 そして恐怖しているんだよ・・・。
ふしぎな物語。時にはこういうのもいい。
それ、いつもじゃ嫌だってことだね・・・。


でもプールで泳ぐ西島秀俊さんのシーンがあった!!
やったー!! あの肉体美。
 監督のサービスだね。
それからいつも鉛筆くわえてるね。
MOZUでは常にタバコだったけどね。
 鉛筆のほうがいいよね。
 そういえば、チュッパチャプスというのもあったな。



「女が眠る時」
2016年/日本/103分
監督:ウェイン・ワン
原作:ハビエル・マリアス
出演:ビートたけし、西島秀俊、忽那汐里、小山田サユリ、リリー・フランキー

隠微さ★★★★☆
西島秀俊の魅力度★★★★☆
満足度★★★☆☆