女は弱し。されど母は強し。
・・・という言葉が浮かんでしまいました。
ジェンナは、天才的なパイ作りの腕を持ったウェイトレスで、美味しいパイがうりの店で働いています。
ある日、まったく予期していなかった妊娠をしていることが判明。
実はこの、夫アールが、どうしようもないヤツ。
妻を完全に自分の私物と思っており、妻には夢も自由もお金も与えない。
聡明で、働き者、夢も持っているこのジェンナが、どうして、こんなヤツと結婚したのか、まったく納得できない。
ストーリー中では、結婚したとたん豹変した、といっていましたが・・・。
ある意味、責任もすべて夫に押し付けて、自分では何の判断もしないというのは、楽なのでしょうか・・・。
とにかく、映画のオープニング時点で、もう、ジェンナは夫にひとかけらの愛情も持っていないように見受けられます。
そこへきて、妊娠。
彼女は、まったくこの事態を歓迎できません。
いつかこの夫から逃げ出すために、少しずつお金もためているのに、子供などできてしまったら、いよいよ、縛り付けられるだけの毎日。
憂鬱ながら、日に日にお腹は大きくなっていきます。
このように精神的にゆれているところで、一種「逃避」と思えるのが、産婦人科医ポマターとの不倫。
そりゃーね、あの夫よりは、絶対このお医者さんの方がいいです。
それは無理もない・・・。
ラストではこのようなぐちゃぐちゃの感情が一気に解決。
それはやはり、母として、自分だけでなく子供をも守って生きていかなくてはならない、その決意が一瞬にして生まれたということなのです。
そこまでの優柔不断の彼女は、この決意を際立たせるための伏線であったといってもいい。
しかし、ここはすっきりしますよ。
やっと、夫に、言いたいことを言った!
さて、ジェンナを取り巻く人たちがまたなかなかステキです。
自分にあまり自信がないドーン。(監督自身が演じています。)
姉御肌のベッキー。
それから、これがなかなか重要な、この店の老オーナー、ジョー。
彼は気難しく、あまり他の人たちは話したがらないのですが、ジェンナは親しく語りかける。
ジョーは人間観察なかなか鋭く、ジェンナの妊娠や、不倫をいち早く嗅ぎつけながら、そっと見守ってくれる。
なかなかできた人物なのであります。
ラストにはサプライズも。
どんどん出てくる、さまざまなパイも、いいですよ~。作るのも、なんだか楽しそう。ふっくら焼きたてのパイが、食べたくなっちゃいました。
2007年/アメリカ/108分
監督:エイドリアン・シェリー
出演:ケリー・ラッセル、ジェレミー・シスト、ネイサン・フィリオン、アンディ・グリフィス
「ウェイトレス~おいしい人生のつくり方」公式サイイト