互いのぬくもりを寄せ合うだけで
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過眠症で、引きこもり気味、自称“鬱”の寧子(趣里)。
ひょんなことから知り合ったゴシップ雑誌編集者、津奈木(菅田将暉)の部屋に転がり込んで生活しています。
寧子は働きにも行かず家事もせず、ほとんどを寝て過ごし、
何かといえばうまくいかないことを津奈木に当たり散らします。
ある日、津奈木の元恋人・安堂(仲里依紗)が現れ、
寧子を部屋から追い出し自立させるために、無理矢理カフェバーのバイトを決めるのですが・・・。
正直、寧子の生活ぶりにはあきれるわけですが、
このメンドクサイ女を住まわせておく津奈木の心の広さにほとんど感動を覚えました・・・。
でも実は、心が広いとか優しいと言うのではなく、
単に、言い争いになって「疲れる」のがイヤなだけだったようなのです。
自分の意見はほとんど言わないし、すぐ「ごめん」と口にする。
彼が正面から向き合っていないことのいらだちを、寧子は感じていたわけですね。
津奈木自身、仕事の意義を感じられず、それなのに忙しくなるばかりという
ブラックな仕事に、疲れ果ててきているのです。
また、無理矢理押しつけられたバイトを、なんとかこなそうと寧子は奮闘してみようとします。
バイト先の人は皆理解のある優しい人たち・・・。
ではあるのですが、あるとき寧子は悟ってしまうのです。
彼らと自分との間にある大きな壁、違和感。
また、寧子には姉がいて、時々電話をかけてきては
きちんとした生活をしろ、仕事をしろ、と説教をします。
もちろんそうしなければならないことは本人が一番よくわかっている。
けれど、どっちへ向かっても進めない、踏み出せない自分。
世界に受け入れられない自分・・・。
けれど、確かに「生きてるだけで、愛」なんですね。
視聴し終わった後に、しみじみそんな風に思いました。
こんな不器用で生きにくい二人だけれど、
互いのぬくもりを寄せ合うだけで、なんだか生きていてもいいんだと言う気がしてくる。
良作だと思います。
生きてるだけで、愛。 通常版 [DVD] | |
趣里,菅田将暉,田中哲司,西田尚美,松重豊 | |
Happinet |
<WOWOW視聴にて>
「生きてるだけで、愛。」
2018年/日本/109分
監督・脚本:関根光才
原作・本谷有希子
出演:趣里、菅田将暉、田中哲司、西田尚美、仲里依紗
生きにくさ★★★★★
満足度★★★★☆