身分の差を乗り越える強い愛・・・・
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山口百恵文芸シリーズの第3作ですね。
はい、昭和17年、山陰地方。
大地主の一人息子・順吉(三浦友和)は山番の娘・小雪(山口百恵)を愛してしまいます。
しかし、身分の違いで反対され、駆け落ち。
坊ちゃん育ちでまだ学生の順吉でしたが、学校はやめ、
荷運びや材木運びの肉体労働に励み、生活を支えます。
貧しいながらも、そんなひとときが2人の最も幸せな時期だったわけね。
はい。昭和17年というともう、嫌な予感がしてしまうのだけど、
その予感どおり、順吉に召集令状が届きます。
出征してしばらくは手紙も届いていたけれどやがて手紙も途絶え、そして終戦になってもまだ順吉は帰らない。
そうしている間に、小雪は病に倒れみるみる病み衰えてしまう・・・。
そしてもう虫の息というある日、小雪はうわ言のように「あの人が帰ってくる」とつぶやく・・・。
この話は全然知らないなあ・・・と思って見始めたけれど途中で思い出したよ。
亡くなった小雪に花嫁衣装を着せて、布団にもたれかけて座らせて、祝言をあげるという、
あの有名なシーンだった!!
貧富の差はなんとか乗り越えたけれど、結局戦争が2人を引き裂いた・・・ということなんだねえ・・・。
順吉は「読書会」というのに出ていて、そこでプロレタリアート文学などを読んでいたみたいなんだよね。
それで大地主の息子と言う自分に引け目を感じていたんだ。
だから小雪を好きだったのは本当なんだけでど、
意地でも後には引けないという強い思いは、こういう思想的な理由もあったと思う。
小雪の方は若様に思いをかけてもらうことがひたすらもったいなく、
お屋敷にも申し訳なく思っている・・・。
いかにもな欲がなくて純真な「いい娘」・・・というのがちょっと引っかかるけれど。
まあねえ・・・今どきこんな娘をドラマに登場させたら非難轟々だと思う・・・。
それに対して、順吉もいかにも上から目線な気がする・・・。
いや、決して威張ってるわけではないんだけどね。
あえて自分を貶めて酔ってるみたいな・・・?
うーん、その感想は若干自分の心の卑しさの現れかもよ。
まあ、そうかも・・・。
でもね、もし順吉が出征しなかったとして、
あの生活に彼が本当にこれ以上耐えたれたのだろうかと、ふと思ってしまう。
音を上げる前に召集令状が来て、むしろ良かった、とか?
いやいや、でもあの肉体労働で体が鍛えられたからこそ、
戦争を生き抜くことができたということではあるよね。
それから、「絶唱」といえば舟木一夫の歌があったじゃないですか。
それを思い出したよ。
えーと1966年の「絶唱」のテーマで、舟木一夫と和泉雅子が主演だったんだよ。
これを知っているなんてというと、年がバレるよ・・・。
たはは・・・。
10年足らずで映画化2本。
当時は庶民に好まれた話だったのかな。
今またリメイクなんてことには絶対ならないと思う。
いくら昔の話と言っても、この貧富の差の惨めなドラマは、見たいとは思わないなあ。
格差は相変わらずあるんだけどね・・・
どこか質が違っているようだ。
「絶唱」
1975年/日本/96分
監督:西河克己
原作:大江賢治
出演:山口百恵、三浦友和、辰巳柳太郎、菅井きん、大和田伸也
満足度★★★☆☆