ケーハク男だけど
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パリ、大手シューズ代理店社長のジョスラン(フランク・デュボスク)は、
軽薄なプレイボーイで、女と見ればテキトーな話をでっち上げて、
とにかくモテようとします。
ある日、他界した母の家に残されていた車椅子に腰掛けていたところへ
訪ねてきた美女ジュリー(キャロライン・アングラード)の気を引くために、
あえて彼女に足が不自由と思われたままにしてしまいます。
やがてジョスランはジュリーから姉のフロランス(アレクサンドラ・ラミー)を紹介されます。
フロランスは以前事故にあって車椅子の生活をしています。
彼女は世界中を駆け回るバイオリニストであり、
また車椅子テニスの名プレイヤーでもある快活な女性。
ジョスランは次第にそんな彼女に惹かれていくのですが、
最初の嘘を引きずったまま、実は立って歩けるのだということを打ち明けることができません・・・。
彼女を騙していることに心苦しくなっていき・・・。
小洒落たフランスのコメディ作品・・・とはわかっていながらも、
あまりのジョスランの軽薄ぶりになんだかなあ・・・と思ってしまいました。
しかし本作の主演であり監督も務めているフランク・デュボスク氏は、コメディアンなんですね。
だからこそ、そこまでおバカで調子が良いという役柄に
ならざるを得ないということのようです。
まあ、しかたないか。
テーマがちょっと深刻なところを軽く笑い飛ばしてしまおう、
そういう作品だと思ったほうが良さそうです。
車椅子を実際に体験してみなければ、フロランスの本当の素晴らしさに
ジョスランは気づかなかったかも知れません。
・・・というか、そうでなければ、いつもの女性のように口説きかけることもしなかったかも。
どんなところに、出会いや理解のチャンスが待ち受けているかわからない。
さて、こんな男ではあるけれど、友人思いの友や上司思いの部下もいて、
なんと恵まれていることか・・・。
そんなところは見ていて楽しかったです。
そして一つ意表を突くのが、ある日のジョスランの家での食事シーン。
そこだけ、何やら夢のようでした・・・。
<シネマフロンティアにて>
「パリ、嘘つきな恋」
2018年/フランス/107分
監督・脚本:フランク・デュボスク
出演:フランク・デュボスク、アレクサンドラ・ラミー、キャロライン・アングラード、エルザ・ジルベスタイン
ケーハク度★★★★☆
満足度★★★.5