残穢 (新潮文庫) | |
小野 不由美 | |
新潮社 |
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この家は、どこか可怪しい。
転居したばかりの部屋で、何かが畳を擦る音が聞こえ、背後には気配が…。
だから、人が居着かないのか。
何の変哲もないマンションで起きる怪異現象を調べるうち、
ある因縁が浮かび上がる。
かつて、ここでむかえた最期とは。
怨みを伴う死は「穢れ」となり、感染は拡大するというのだが
―山本周五郎賞受賞、戦慄の傑作ドキュメンタリー・ホラー長編!
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小野不由美さんは好きなので、迷わず手にとったのですが・・・
怖すぎです。
このじわじわと来る不気味さ・・・、
おススメはしません。
やめておいたほうがいいですよ・・・。
小説家である「私」のもとに、
一般の方から怪異的現象の体験談が集まってくる。
そんな中で、ある一人の体験談が紹介されます。
住んでいるマンションの和室で、何かが畳を擦るような音がする・・・と。
気になってその体験談を寄せた女性と共に、近辺のことを調べてみるのですが、
同じマンションで何故か居住者が次々と入れ替わる部屋がいくつかある。
また隣接する一戸建ての団地の中にも、同じようなことが・・・。
この曰く有りげな土地の由来を時をさかのぼって調べていくと、
ある不気味な事件に行き当たるのですが・・・。
この話の不気味なところはそうした「穢れ」は、
どんどん感染し拡大していく・・・ということで、
結局この本を読んでいる自分にまで累が及んでくるような、
いや~な感じに囚われてしまうところなのです。
本作の語り手の名前は書かれておらず「私」とだけあって、
ドキュメンタリーのような体裁になっています。
必然的に小野不由美さん本人の体験談のように読めてしまいます。
そのため、妙なリアリティがあるのが余計始末におえない。
どこまでが実際にあった話なのやら、
いやそれとも始めからフィクション?
それについてはなんの説明もありません。
怪異を語ると余計に怪異を呼ぶ・・・そんな記述もあり、
じゃ、こんな物語を書くのもなしでしょう!!
と言いたくなってしまいます。
全くのフィクションであったとしても、
書き手の体調が変になりそうな感じ・・・。
確かに借家などでは、「何か」があった部屋は警戒されたりしますが、
その土地自体の歴史まで調べることってあまりないですよね。
でもそれだって一体いつまで遡ればよいのやら・・・。
霊感など何もなく、怖い目にあったこともない私。
特別このような話を信じる方ではありませんが、
やはり不気味。
避けられるものなら避けたい。
そして本作、なんと映画化されるそうですが(橋本愛+竹内結子)、
私は絶対見ません!!
実はこの文庫とほとんど時を同じくして
同じく小野不由美さんの「鬼談百景」の文庫が出ています。
私はそちらも買ってあるのですが、
本作と合わせるとちょうど百話になってしまうそうで・・・。
危険です。
そちらはしばらく読まないことにします・・・。
「残穢」小野不由美 新潮文庫
満足度★★★★☆
インパクトは★★★★★ですが怖すぎるのでマイナス1!