「ときどき意味もなくずんずん歩く」 宮田珠己 幻冬舎文庫
これは、「第3回酒飲み書店員大賞受賞」という宣伝文につられて読んでみました。
(いつの間に、こんな賞ができたのやら・・・でも、心ひかれるのは、飲兵衛の性・・・。)
エッセイ集です。
著者は「旅とレジャーのエッセイを中心に執筆活動を続けている」と、この本では紹介されています。
いろいろと肩書きがつくことがあるようで、
ジェットコースター評論家とか、冒険家、シュノーケリング愛好家とか・・・?
どれもご本人はあまり気に入ってはいないよう。
まあ、エッセイストでいいですね。
さて、このエッセイがどれもとても楽しい。
まず、この題名「ときどき意味もなくずんずん歩く」ですが、これはそのまんまです。
本当に。
あるとき当然思い立ってずんずんと遠くまで歩いてしまうのだという。
そこが日本でも、外国でも。
北海道は利尻島の海岸線を歩くうちに、切り立った崖になってしまい、
それでも海の中を歩いて死にそうになったとか・・・、
なかなか、これも壮絶ではあるのですが、どこかとぼけた味があり、
こちらもずんずんページをめくってしまうのです。
この、宮田氏の話題は、シュノーケル、ジェットコースター、旅行、などなど・・。
旅行といってもインド・東南アジアなどで、
ヨーロッパ豪遊なんていうのとはぜんぜん違う。
豪華なグルメもなし。
それで、どれも私の興味とは方向が違うのではありますが、それでも十分に楽しくてお釣りが来るくらい。
つい、先日読んだ「怖ろしい味」のエッセイとつい、引き比べてしまうのですが、
やっぱり、このようなエッセイなら、もっと読みたいと思える。
あちらがホテルのVIPルームなら、こちらはまさにお茶の間的。
宮田氏が自身のテレビ出演を見た時の感想を紹介しましょう。
どうもテレビに出ているアレは、私でない気がする。
一見、似ているように見えなくもないが、
口が必要以上にくぼんで、肌にツヤがなく、
頭はボサボサだったり、声の質もみょうに高いのだ。
いったいどういうことなのか、まったく理解できない。
影武者ではないか。
気持ちはお察ししますが、映像は正直ですからねえ・・・。
このように、反語とユーモアに満ちたエッセイ。おススメです!
満足度★★★★★