映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

カウボーイ&エイリアン

2012年05月31日 | 映画(か行)
地球生物VSエイリアン



               * * * * * * * * * 

西部劇とエイリアンの地球侵略モノの融合。
1873年アリゾナ。
空飛ぶ円盤やら宇宙人やらが実在するとしたら、
確かにそれは現代だけでなく、地球のあらゆる時代に出没していたのかも知れません。
このミスマッチは、なんだかいいですね。



荒野の中で、一人の男(ダニエル・クレイグ)が目を覚まします。
彼にはなぜか記憶がなく、腕には見慣れぬ機械の腕輪。
ふらふらと小さな町につくと、
彼はジェイク・ロネガンと言う名の凶悪犯で、お尋ね者ということがわかります。
しかし突如その町を襲う謎の飛行物体。
何しろ飛行機さえもない時代。
それは驚きますよね~。
その飛行物体が、なぜか人々をさらっていく。
でも、ジェイクの腕輪から発した不思議な光線によって、
いくつかの飛行物体を撃墜することができました。
息子をさらわれた街の権力者ダラーハイド(ハリソン・フォード)は、
息子と他の人々を救い出すため、敵を追跡することにします。
お尋ね者の件はひとまず保留し、ジェイクも同行することに。


このダラーハイドというのが元軍人で、多くのインディアンを殺しまくった男。
残虐で強引。
なんとも嫌なヤツなんです。始めは。
しかし、さすがハリソン・フォードなんですねえ。
次第に浮かび上がってくる人間味。
そして彼の統率力が物をいいます。
このエイリアンを追う一行は、次第に仲間を増やしていきます。
町の少年や、女性、医師といったどうにも戦力になりそうもない者たちの他に、
インディアンや強盗団のならず者たちまでもが加わります。
普段は敵対していて、チームを組むなどということは考えられない彼らの一致団結、
というのがなんともユニーク。
これはもう、カウボーイ対エイリアンではなく、はっきりと人類対エイリアンという図式ですね。



今作で登場するエイリアンは、あのシガニー・ウィーバーと対決する「エイリアン」とは別種ですが、
これもまた非常に不気味。
その彼らが狙うのが“金”であるというのも、
なかなか西部劇にマッチしています。
もっとB級っぽい作品を予想していましたが、
結構シリアスで、ユニーク。
そうそう、ここにもワンちゃんが登場します。
初め、ジェイクを襲った連中の飼い犬だったようなのですが、
なぜかジェイクになついて町まで一緒に来てしまいます。
もちろん、エイリアン撃退にも同行しますよ。
あ、では人類対エイリアンじゃなくて、
地球生物対エイリアンだったのか!!


・・・そんなわけで、とても面白く拝見しました!

カウボーイ&エイリアン [DVD]
ダニエル・クレイグ,ハリソン・フォード,オリヴィア・ワイルド,サム・ロックウェル,アダム・ビーチ
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン


「カウボーイ&エイリアン」
2011年/アメリカ/118分
監督:ジョン・ファブロー
出演:ダニエル・クレイブ、ハリソン・フォード、オリビア・ワイルド、サム・ロックウェル


「クドリャフカの順番」 米澤穂信

2012年05月29日 | 本(ミステリ)
賑々しくも、文化祭

クドリャフカの順番 (角川文庫)
米澤 穂信
角川書店(角川グループパブリッシング)


                       * * * * * * * * * 

米澤穂信の<古典部>シリーズ第3作。
神山高校は、文化系クラブの活動が盛んで、
中でも文化祭は4日間を費やして行われるという盛大なものです。
古典部シリーズの第一作「氷菓」は、
この神山高校文化祭の別名"カンヤ祭"の呼び名の由来にまつわるストーリーでした。
そして前作「愚者のエンドロール」は、
この文化祭に出展するための自主映画に関するストーリー。


さて、そして今作は、ようやくその本番。
ホータローたち古典部は文集「氷菓」を販売することにしたのですが、
なんと手違いで大量の文集が届いてしまった。
この文集の山をどうすればいいのか・・・、
とにかく一冊でも多く売りたい。
それが今回の彼らのミッションです。
・・・・おっと、これではミステリになりませんね。
ちょうどこの文化祭で、奇妙な連続盗難事件が発生するのです。
盗まれたのは、碁石、タロットカード、水鉄砲・・・?
この事件を解決し、古典部の名を売れば、文集も売れるに違いない!! 
そう目論んだ古典部が、事件の謎に挑みます。


例によって省エネ少年ホータローは、
ひたすら人気のない部室(地学講義室)で店番をしているのですが、
色々なイベントに出場して古典部のPRを図る里志、
漫画研究会と掛け持ちの摩耶花、
各方面に文集販売を依頼して歩く、える、
それぞれの行動が順に描かれています。
賑々しい文化祭の雰囲気たっぷりで、私は気に入りました!!
料理対決のイベントに挑む3人なんていうのが、すごかったですよ~。
また、普通ではちょっと考えられない、
4階の窓から身を乗り出して大声で里志を呼ぶホータローなどというシーンも見ものです。
ひらすら店番をしていたホータローは、
まるで"わらしべ長者"のように物々交換を繰り返していくのですが、
おとぎ話のように、だんだん高価なものになって行ったりはしません。
でも最後に交換したしょうもないものが、素晴らしく役に立つ。
いやはや、よくできたストーリーです。


「クドリャフカの順番」米澤穂信 角川文庫
満足度★★★★★

キッチン

2012年05月28日 | 映画(か行)
淡白な同居関係はママゴトなのか?

              * * * * * * * * * *

吉本ばなな原作のこの作品。
本の方も読んだことがなく、初挑戦です。


同居していた祖母を亡くし、天涯孤独となったみかげ。
生前に祖母と知り合いだった雄一の誘いで、彼のマンションに住むことになりました。
「僕のうちに来ないかい?」
いきなりのそのセリフに、私はてっきりプロポーズかと思ったのですが、
そうではなく本当に単に同居。
そこには雄一の“母”も同居しています。
実はその“母”は、ゲイの父親だったのですが・・・、
みかげは、さして驚きもせず、淡々と受け入れます。
こうして不思議な3人の同居生活が始まるのです。


若い男女、ゲイの父親。
何やら猥雑な予感のするシチュエーションでありながら、
スタイリッシュな高級マンションで始まる3人の生活には性的な生臭さもなく、
何やら静かな透明感が漂います。
みかげは料理の勉強をしているため、もっぱら炊事担当となり、
食卓には美味しそうな料理が並びます。
清潔感あふれるなんでも揃った豪華なキッチン。
これが実に穏やかで充足した生活となるのです。
互いに気遣いを忘れず、食卓を囲む。
実の夫婦や血縁の家族のような馴れ合いもない。


ある日、雄一の彼女がみかげの元を訪れます。
「そんな関係ではない」
というミカゲの言葉を信じられないようでしたが、やがて
「あんたは、男と女の一番重いところから逃げてる」
とみかげを非難します。
この一見充足しているように思える生活は、
豪華なキッチンをめぐるおままごとのようなもの・・・? 
そう思ったのかどうか、みかげは、この家を出ることにしますが・・・。


お互い気があっているのにもかかわらず淡白なこの二人の関係は、むしろ今日的のような気がします。
二十数年前の公開時なら、ちょっと奇異に思えたのかも知れません。
今なら特に疑問もなく、この共同生活は続くのかも。
今やもう死物と化した“ワープロ”が最先端の時代。
私にはついほんの少し前に思われますが、
時代は想像を超えて変化していくものですね。


主演の二人、川原亜矢子さん、松田ケイジさんは、私には馴染みのない方なんですが、
自然体でいい感じでした。
“お母さん”役は橋爪功さんですよ。
橋爪功の女装、これは一見の価値ありです。

キッチン [DVD]
吉本ばなな
バンダイビジュアル


「キッチン」
1989年/日本/106分
監督:森田芳光
原作:吉本ばなな
出演:川原亜矢子、松田ケイジ、橋爪功、中島陽典、浜美枝

ダーク・シャドウ

2012年05月27日 | 映画(た行)
コミカルホラー。悪くはないんだけど・・・。



               * * * * * * * * * 

さてさて、ティム・バートン×ジョニー・デップ。
嫌いではないですが・・・、ヴァンパイアねえ・・・。
どちらかと言うと、義務感で見てしまいました。
近頃の私はどんどん地味好みになっているようです。


1752年、裕福なコリンズ家のバーバナス(ジョニー・デップ)。
彼は魔女アンジェリーク(エバ・グリーン)の求愛に応えなかったために、
不死のヴァンパイアにされた上、生き埋めにされてしまいます。
そして200年を経て、墓から蘇ったバーバナス。
コリンズ家はすっかり落ちぶれ果てています。
このアメリカの港町は、あの宿敵、アンジェリークの資本のもとに栄えているのです。
それを知ったバーバナスは、コリンズ家の再興を図るのですが・・・。



今作は、バーバナスが復活した時代を1972年に設定しています。
200年の眠りからさめた彼にとっては、全く見知らぬ新しい世界。
町のネオンに、家のテレビ。
まさに魔法のようではありますね。
まるで浦島太郎のように200年のギャップに戸惑うさまが見所です。
でも、私達にとってその時代はなんだかとても懐かしく、
ノスタルジーに浸ります。
個人的には、カーペンターズの曲にのせて、
朽ち果てた屋敷を綺麗に住みやすくしていくシーンがとても好きでした。
サングラスと日傘さえあれば日中も外を歩けてしまう、
このひょうきんなヴァンパイア像もなかなか悪くはない。
ましてや、家族を大切に思い、一族の発展のため奮闘するなんてね。


コリンズ家の娘キャロリン(クロエ・グレース・モレッツ)も、
かなりはじけた娘なのですが、実は重大な秘密か・・・!
また、この家のおかかえ精神科医(ヘレナ・ボナム・カーター)は、
バーバナスの血液を入れ替え、ヴァンパイアの人間化を図ろうとしますが、
実の狙いはべつのところにあり・・・。
なんだかんだと言いながら、
このコミカルホラーを結局楽しんでしまいました。
子供向けの作品のようでいて、
実はこの時代を懐かしむことができる大人向け、という感じですね。




それにしても、ジョニー・デップはこういう作品が本領というべきなのでしょうか?
私はもっと、普通のジョニデが見たいのですけれど・・・。
何をやっても変人になってしまうというわけではないですよね。

「ダーク・シャドウ」
2012年/アメリカ/113分
監督:ティム・バートン
原作:ダン・カーティス
出演:ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ヘレナ・ボナム・カーター、エバ・グリーン、クロエ・グレース・モレッツ

「愚者のエンドロール」 米澤穂信

2012年05月25日 | 本(ミステリ)
「良い出来ではあるが、正解ではない」ホータローの答

愚者のエンドロール (角川文庫)
高野 音彦
角川書店(角川グループパブリッシング)


                  * * * * * * * * *  

米澤穂信の<古典部>シリーズ第2作。
おなじみの神山高校。

2年のあるクラスで、文化祭に出展するクラス制作の自主映画を作っています。
ところが、脚本を書く少女がダウン。
ミステリであるはずのその作品は、
途中で途切れたまま、謎解き部分がない。
その謎解きを何とか考えてはくれないかと、なぜかホータローのところに依頼が来るのですが・・・。

「やらなくてもいいことなら、やらない。
やらなければいけないことなら手短に」
がモットーの省エネ少年折木奉太郎は、当然気が進まないわけですが、
千反田えるの「わたし、気になります」には非常に弱い。


廃屋の鍵の掛かった密室で、少年が腕を切り落とされて死んでいた。
彼を殺したのは誰か。


ホータローが解答を見つけ出すべきはこの命題。
今作は「金田一少年」ではないので、
実際の殺人事件が起こったりはしません。
あくまでも、自主映画のストーリーで、
どのような結末をつければ最もミステリとして納得がいくものになるのか、
そういう問題なのです。
が、米澤穂信作品ですから、そこは表向き。
実はこんなことをホータローに依頼するにいたったそのクラスの事情も隠されていまして、
ひねりの効いた読み応えのある作品となっています。


古典部のメンバーにも馴染みが出まして、彼らの会話が心地よい。
何事にも熱くならないホータローくんが好きです。
今作で、ホータローが出した解答は非常に良い出来ではあったのですが、正解ではなかった。
そんなところでちょっぴり落ち込んだりもするのです。
そんな彼がまた少し好きになりました。


「愚者のエンドロール」米澤穂信 角川文庫
満足度★★★★☆

007/リビング・デイライツ

2012年05月24日 | 007
硬派、大人のボンドが蘇った

               * * * * * * * * * 

「007ジェームズ・ボンド」シリーズ、第一作から25周年にして第15作ということで、
結構華々しく作られた作品のようです。
25周年って、今はそれからまた25年もたってるんだねー。うひゃー。
ボンド役は4代目、ティモシー・ダルトンにバトンタッチ。
う~む、なんだか見慣れなくて、違和感があったですが・・・。
でも、作品としてはよくできていたよね。


ソ連高官コスコフ将軍が西側に亡命を希望。
ボンドがそれを手助けするところから始まります。
亡命を阻止するためコスコフを狙撃しようとするのが、女性チェリストのカーラ。
ボンドはその狙撃手を女性と見て取ると、わざと銃弾を逸らして、殺さない。
ひゃー、相変わらず、女性には弱いんだ。
まあね。けれどここで命拾いしたこのカーラこそが、今回のボンド・ガールで、
単なる狙撃手ではなくて重要な位置を占めているんだよ。
一旦この亡命は成功。
コスコフからは、KGBが西側のスパイ暗殺計画を立てていて、
そのリーダーはプーシキンという男であるとの情報を得る。
しかし、その後すぐ、コスコフはKGBに奪われてしまうのですが・・・。
実はこれらのことすべて仕組まれた罠で、
コスコフこそが武器商人ウィテカーとつるんだとんでもない奴だった・・・と。


正直、ロジャー・ムーア版007はどうにも、見るのが苦痛だったわけですが、今作、結構良かったよね。
ストーリー性がちゃんとあるし、空中シーンもたっぷりあって、スリルもあった。
チェロを弾くボンド・ガールだなんて、お色気だけが命じゃなく文化の香りがするのも珍しいよ。
にしてもストラディバリウスのチェロに銃で穴を開けてしまうなんていう蛮行はいただけないけど。
チェコにオーストリア、モロッコはタンジールにアフガニスタン。
なかなかユニークな場面設定。
アフガニスタンのシーンもよかったな。
ソ連がアフガンに侵攻していた時期だね。
ひょんなことからソ連軍基地に連行されていた男を救ったら、
彼はアフガンのレジスタンスのリーダー級。
ボンドたちの力になってくれるという設定でさ。
しかし、アメリカが応援したこのレジスタンスが
後に大きな災いをもたらす、ということでもあるんだけどね・・・。
そういう歴史を感じさせるあたりも、結構硬派の作品と言えるよね。
イギリス版“寅さん”から少し脱却した、見応えのある作品でした。
それにしても、私にはどうもこのティモシー・ダルトンが宇梶剛士に見えて仕方なかったんだけど・・・。
私は、カーラが中嶋朋子に見えちゃったんだよー。

私らだけ???


リビング・デイライツ (デジタルリマスター・バージョン) [DVD]
ティモシー・ダルトン,ジョー・ドン・ベイカー,マリアム・ダボ
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン


「007/リビング・デイライツ」
1987年/イギリス/132分
監督:ジョン・グレン
出演:ティモシー・ダルトン、マリアム・ダボ、ジョー・ドン・ベイカー、ジェローン・クラッベ

ファミリー・ツリー

2012年05月23日 | 映画(は行)
お父さんの悪戦苦闘



                 * * * * * * * * * 

誰もが憧れる地上の楽園、ハワイ。
けれどそこに暮らす人々にとっては、
生活の中で当然いろいろな悩みや苦しみがあるわけで・・・。
この物語の主人公、マット(ジョージ・クルーニー)もそんな一人です。



祖先の土地を受け継いで、ハワイで妻と二人の娘と暮らすマット。
しかし、妻がボートの事故で昏睡状態になってしまいます。
そしてその妻には浮気相手がいて、離婚まで考えていたことをはじめて知ります。
これまで仕事中心で、全く妻のことや娘たちのことを見ていなかったことに愕然とするマット。
折しも、親戚一同で共有するカウアイ島の広大な土地を
開発業者に売却するかどうかの決断を迫られている時でもあります。
さあ、この家族はどうなってしまうのか・・・?



ストーリーに特に起伏があるわけではありません。
ひたすら、娘たちとうまくコミュニケーションが取れずにオロオロし、
また妻の不倫を知ってオロオロ・・・、
不器用なお父さんの悪戦苦闘がちょっぴりコミカルに描かれます。
けれども、なんともバラバラだった家族が次第にまとまっていく様に、
なんだか泣かされてしまうのです。
そうそう、人生も人の心も、自分が望むようになんかなりゃしない。
けれども、人と分かり合うっていうのは、幸せなことですよね。
ささやかだけれど、そんな幸せがあれば、私たちは生きていける。
家族というのは、そういう最も近い存在なのです。


祖先から受け継いだこの美しい土地。
この土地に育まれた自分たち、そして今いる家族。
家族の絆を取り戻したマットは、
同じくこの土地への愛着も取り戻すのでしょう。
舞台がどこでも成り立つ話のようでいて、
やはりこの風土でなくてはならないですね。
悲しみの涙も、柔らかいハワイの海風にまもなく癒されるに違いありません。
リゾート地との印象ばかりが強いハワイですが、
こんなふうに何代にもわたってこの地に根を下ろし生活する人々、という視点がとても新鮮でした。



それから、なぜか彼ら一家にいつも同行することになる、長女の友人シドの存在がナイスでした。
始めはなんだか軽薄な少年に思えるのですが、
意外と深くていい奴だったりします。
到底分かり合えなさそうな娘二人との道行が、あまりにも息詰まりそうだから、
ジェネレーションギャップはありながら、同じ“男”を味方として配したのかも知れません。



今作、原題は“The Descendants”、子孫とか末裔という意味ですね。そ
うか、ファミリー・ツリーというのも“家系”の意味なので、ほぼ同意味。
なるほど、私達にはファミリー・ツリーの方がしっくりきます。
うまいネーミングです。

「ファミリー・ツリー」
2011年/アメリカ/115分
監督:アレクサンダー・ペイン
出演:ジョージ・クルーニー、シャイリーン・ウッドリー、アマラ・ミラー、ニック・クラウス、ボー・ブリッジス

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 東野圭吾

2012年05月21日 | 本(ミステリ)
時空を超えた悩み相談

ナミヤ雑貨店の奇蹟
東野 圭吾
角川書店(角川グループパブリッシング)


                   * * * * * * * * * 

東野圭吾氏、注目の新作です。。
今作はミステリというよりもSFであり、ファンタジーであり、
日本の近代史であり、そして庶民の人情物語でもあります。


三人の少年が、夜中に盗んだ車で走行中にエンスト。
やむなく彼らはある古ぼけた商店に入り込み一夜を明かそうとします。
そこはかろうじて建っているというふうで、すでに使われなくなって久しいと見受けられる。
ペンキが剥げ落ちた看板にかろうじて「ナミヤ雑貨店」と読みとれます。
さて、そんなところにシャッターの差し込み口から一通の手紙が舞い込みます。
なぜかそれは自分の悩みを書き連ねた相談の手紙。
どうやらこの店の主が、かつてそのような相談事を受けて評判になっていたらしいのです。
でもそれはもう何十年も前のこと。
それがまだ続いているのかと、少年たちは呆れながら、
でも、その相談に答える人がいる気配も全くないことなので、
自分たちで返事の手紙を書いてしまいます。
驚くことに、牛乳箱に入れた返事の手紙はすぐに消えてなくなり、
その返事がすぐにまた差し込まれてきました。
次第に、その手紙は30年前の過去から現在の自分たちの元へ届いていることがわかってきます。


時空を超えた手紙のやり取りの中で、三人の少年が得るもの。
相談の手紙を書き続けたナミヤ老人の気持ち。
彼らをつなぐ、児童養護施設「丸光園」。
過去と現在を行き来しつつ、まるで魔法のようにこれらのことが浮かび上がってきます。
この構成の見事さには全く驚かされてしまいます。


私は特に少年たちが書く悩み相談の回答が気に入ってしまいました。

「家業を継ぐべきか、自分の夢であるミュージシャンへの道を歩み続けるべきか」
という手紙には、
「もうね、何もアドバイスする気がしないです。好きにすればって、いいたいです。
甘い考えで生きている人間は、どっかで痛い目に合えばいいと思っちゃいます。
・・・アホみたいな夢を見ていないで、現実をみなさい。」

なんて書いてしまっている。

通常の悩み相談員の方は、こんなホントのことはいわないですよね。
思っても、もう少し柔らげて書く。
そこがドシロウトの少年たちの忌憚のない意見だから面白い。
当然その手紙を受けた人は憤慨するのですが、
しかし、更にくわえて、難しい自分の事情や思いを書き連ねた次の手紙が届いたりします。
その相談の結果が、すぐ次の瞬間に出るところが、
この自空を超えた手紙のやり取りの便利なところ。
少年たちは次第に、悩みの相談というのは、実は自分で答えは出ていて、
その結論の後押しが欲しいだけなのだということに気づいていくのです。
相談を受けた身としては皮肉な結果が出ていくのですが、
これまで人の相談になど乗ったことも頼られたこともない彼らの心に、
しだいに仄かな温かみと自信が生まれてくるわけです。


このようなSF的設定で、どうしてこんなにも人情味あふれる豊かな物語が紡ぎ出せるのか。
東野圭吾氏の魔法の筆に、翻弄されてしまいますが、
それが実に快いのも確かです。
時のつながりと人のつながりは、結局同じ事なのかも知れません。
そういうものの中に私たちの人生はある。


納得、満足の一冊。

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」東野圭吾 角川書店

満足度★★★★★

キリング・フィールズ 失踪地帯

2012年05月20日 | 映画(か行)
殺人地帯を一人の少女が行く



                  * * * * * * * * * 

米テキサス郊外に実在する犯罪多発地帯。
少女が次々失踪し、死体で発見されたという実話を元にした作品です。


テキサス市警の刑事マイク(サム・ワーシントン)は、
ニューヨークから転属となったブライアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)と組んで仕事をしています。
少女の連続殺人事件はなかなか手がかりを得られずにいたのですが・・・。
そんな時、保護観察中でブライアンが気にかけていた
少女、アン(クロエ・グレース・モレッツ)が失踪。
彼女も、連続殺人犯の毒牙にかかってしまうのか―――?



いかにも荒廃したテキサス郊外の湿地帯が不気味です。
色調もかなりトーンを落としていて、全体にも地味な作品なのですが、
そんな中で、少女アンの存在感が光ります。
彼女は母親が娼婦で、家に客がいるときには、家を追い出されてしまうのです。
薄暗い道を行き場がなく一人さまよう少女に、
何か起こらないはずがないではありませんか!!。



クロエ・グレース・モレッツは、
「キック・アス」や「モールス」、「ユゴーの不思議な発明」などで最近すっかりおなじみですが、
今作ではその演技にもますます磨きがかかったように思えます。
暗い瞳の孤独な少女。
彼女の奥底には、自分の惨めな境遇への反抗心が感じられる。
彼女が居なければ、今作はいかにも暗く陰惨なだけの作品になってしまったかも知れません。
サム・ワーシントンに、ジェシカ・チャステイン。
二人は同じ市警の刑事ですが、実は離婚した夫婦。
殺伐とした光景に、人物関係までが殺伐としていますが、
それでも犯罪を憎む心は同じ。
顔を合わせればいつも憎しみをあらわにする二人ですが、
ラストのわずかまだいたわりが残っている、というシーンが素敵でした。



今“旬”の俳優陣の起用で
普通の犯罪捜査物にもかかわらず、
何かキラリと光る物を感じる・・・
不思議な魅力のある作品です。


「キリング・フィールズ 失踪地帯」
2011年/アメリカ/105分
監督:アミ・カナーン・マン
出演:サム・ワーシントン、ジェフリー・ディーン・モーガン、ジェシカ・チャステイン、クロエ・グレース・モレッツ、ジェイソン・クラーク


アパートの鍵貸します

2012年05月19日 | 映画(あ行)
ラブストーリーの古典。自分を貶めても彼女を守る、男の美学。

                  * * * * * * * * * 

1960年のモノクロ作品。
ラブストーリーのスタンダードといってもいいかも知れません。
好景気でどんどん豊かになっていく、
そんな世相を反映した、ちょっぴりコミカルなラブストーリー。


自分のアパートを、愛人との密会場所として会社の重役に提供していたバクスター(ジャック・レモン)。
そのおかげで彼には昇進の道が開けます。
ところがある日、想いを寄せていたエレベーターガールのフラン(シャーリー・マクレーン)が、
部長のお相手でこの部屋を訪れていると知って愕然とします。
部長はフランに奥さんとの離婚をほのめかしたりするけれど、全く本気ではない。
フランは本気で部長を愛していて、彼との結婚に淡い期待を抱いている・・・。


バクスターの会社は巨大な保険会社です。
広いフロアに机がズラーッとならんでいて、
大きな電算機が一つずつ載っていたりします。
今なら百均でも買える電卓が、あの巨大サイズ。
相当高価だったんでしょうね。
もっとも、多分同じ時代、日本ならそろばん一丁で事足りていたと思います・・・。
エレベーターにいちいちエレベーターガールがいて、
電話には交換があって。
そんな時代性が、なんだかとても興味深く思われたのですが、
でも、人を恋する気持ち、人を大切にする気持ちの有り様は、
今も昔も変わらないということです。
見かけはかっこ良くてモテモテというのにはやや遠いバクスターですが、
自分の立場がどんなに悪くなっても、彼女を守ろうとする気持ちは、ナイト。
かっこいいのです。
そんなまっすぐな気持ちがみずみずしく感じられる、古典作品。


こういう男のかっこ良さが最近の映画には欠けているかも・・・。
というか、あまりにも女性が強いので、
女性を守る必要がないんでしょうね。


テニスのラケットでスパゲティの水切りをする。
そんな不器用な料理を、私もごちそうになってみたいものです。

アパートの鍵貸します [DVD]
ジャック・レモン,シャリー・マクレーン
20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント


「アパートの鍵貸します」
1960年/アメリカ/125分
監督:ビリー・ワイルダー
出演:ジャック・レモン、シャーリー・マクレーン、フレッド・マクマレイ、レイ・ウォルストン

ポスター犬 6

2012年05月18日 | 工房『たんぽぽ』
世界一おバカな犬



「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」に登場するのは、ラブラドール・レトリーバー。
盲導犬のイメージで、とてもおとなしくて賢そうに思えますが・・・。
それは、しっかりしたしつけがあってこそ。
やんちゃな子犬時代にしっかりしつけをしないと
それこそ「世界一おバカな犬」になってしまいます。
憧れの犬ではありますが、
そんなにしっかりしつけが出来る自信もないので
やはり映画の中で楽しむことにしましょうか・・・






→「マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと」

幸せの教室

2012年05月17日 | 映画(さ行)
学問のススメ



                   * * * * * * * * * 

トム・ハンクスとジュリア・ロバーツの共演、
ということで、やはり見てしまいますね。


大型スーパー、ベテラン従業員のラリー・クラウン(トム・ハンクス)は、
とても仕事熱心で、やりがいを持って勤務していたのですが、
突然のリストラで、あっさり解雇されてしまいます。
その理由というのが、大学卒でないから。


そこでラリーは、心機一転、再就職に役立てようと、地元の短期大学(コミュニティ・カレッジ)に入学。
経済学とスピーチのクラスを取ります。
そのスピーチの授業を受け持つのが、美人教師のメルセデス・テイノー(ジュリア・ロバーツ)。
しかし彼女は、教えることの情熱を失い、結婚生活も破綻寸前、
人生に行き詰っているのです。


レストランで働きつつ勉学に励み、若い友人たちと付き合い、
失業中でも活き活きしているラリーに感化され、
次第に生きる意欲を取り戻していくメルセデス。
なんと言いましょうか、特別にすごいというほどではないけれど、
さすがベテランの布陣、安心して楽しめるハートフル・コメディです。



この作品、コメディタッチとはいえ、なかなかいいことを言っています。
つまり、勉学とは本来楽しいもの。
知識を得る喜びがそこにあります。
ラリーは学んだ経済学で、ローンの返済ができない家の処置を判断することができるのです。
楽しいばかりではなくて、ちゃんと実用的でもあるのです。

大学に入るのは、勉学するためであって、学歴を得る手段ではない。
当たり前のことですが、なかなか当たり前にはなっていないですよね・・・。
そしてまた、今作でも現実でも、
学歴は真に厳しいリストラの前では、なんの歯止めにもなりません!!
ラリーの若き友人が、あっさり学校をやめた時も、
だからラリーは強く引き止めたりはしないのです。
勉学よりももっとやりたいことがあるなら、それもよし、なんです。



私はラリーの最後の“スピーチ”では泣けてしまいました。
なんてハートフルな・・・。
でも、一つ疑問が。
ラリーはどうして前妻と別れることになってしまったのでしょう?
そう簡単に結婚生活を破綻させない人のように思えますけれど・・・。
ま、いいか。
男と女の間には、いろいろあるということで・・・(^_^;)


「幸せの教室」
2011年/アメリカ/99分
監督:トム・ハンクス
脚本:トム・ハンクス、ニア・バルダロス

出演:トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、ブライアン・クランストン、セドリック・ジ・エンターテイナー、タラジ・P・ヘンソン

「切羽へ」井上荒野 

2012年05月16日 | 本(恋愛)
あと、もうほんの一歩なのに

切羽へ (新潮文庫)
井上 荒野
新潮社


                   * * * * * * * * * 

切羽(きりは)とは耳慣れない言葉ですが、
トンネル工事、または石炭などを採掘する構内作業の現場の、一番先端のこと。
恋愛小説には相容れない言葉のようでいて、
今作では非常に切ない状況を表した言葉となっています。


かつて炭鉱で栄えた離島。
セイはそこの小学校で養護教諭をしています。
画家の夫と二人暮らし。
二人はもともとこの島の出身ですが、
学生時代からしばらく島を離れていて、近年戻ってきて暮らし始めたのです。
冒頭、眠ったままのセイを抱き寄せる夫に、
自分が卵の黄身になったように感じるというセイに、満ち足りた生活を感じさせられます。
何不足なく充足された生活。

そんな所へ、新任教師として赴任してきた石和。
どうしてか彼のことが気になり、惹かれていくセイ。
二人が実際に会話したり、ともに過ごしたりする機会はとても少ないのです。
愛の言葉など論外。
けれども、例えば同じ場に多くの人がいていても、
全身でその人の気配だけを意識したりするような・・・そんな密やかな思い。
なぜか相手にとっての自分も同様の存在であることが確信できてしまう。


うわあ・・・、遠い昔の片思いを思い出してしまう。
(もっともその場合の相手の思いは、多分こちらには向いていなかった・・・!)
でも、そんな事ってやっぱりあると思うんですよね・・・。
自分の失われた半身を求めるかのように、相手に惹かれてしまうというようなことが。


ラストの最大の山場で、例えてみれば、二人は互いのトンネルの切羽にいるのです。
あともう少し、ほんの少し掘ればお互いのトンネルが繋がるのに、
二人はあえてそれをしない。


石和は指を二本、自分の唇にあてた。
それからその指を私のほうへ近づけた。
素早い、乱暴とさえいえる動きだったのに、指は私の唇の前でふっと止まった。
「さようなら」
その言葉を、石和は、はじめて使ってみる言葉のように、ゆっくりと発音した。



どうですか、これ。
指で唇に触れることすらも、思いとどまるというこの、狂おしいほどの切ない思い。
これは逆に官能的ですらありますね。


このストーリーには、逆にどんどんトンネルを掘りまくる(?!)人物が配されています。
セイと同僚の教師、月江。
彼女の愛人は本土の人ですが、妻子がある。
月江はいわば肉食系、セイとは対局にあるんですね。
このように己の欲望に忠実なのは羨ましくもあるけれど・・・、
その行き着く先は地獄であることを、セイも石和も知ってしまうのです。
だからこそなんでしょうね。
あえて二人は切羽の刹那で留まる。


甘く切ない物語です。
忘れかけた乙女心が、揺り起こされます・・・。
やっぱり女性好みの作品でしょうね。
でも、直木賞受賞作です。
男性の感想を聞いてみたいところです。


「切羽へ」井上荒野 新潮文庫
満足度★★★★★

テイカーズ

2012年05月15日 | 映画(た行)
最後に笑うのはどっち?



                 * * * * * * * * * 

数々の銀行強盗を成功させ、セレブに暮らす5人組テイカーズ。
手始めに紹介される鮮やかなその手口に、引きこまれてしまいます。
なんとTV取材のヘリコプターをジャックして逃走。
もちろん初めからそれも計算済みです。
チームワークの良い頭脳プレー。
なんともスタイリッシュです。



さてそんなところに現れたのが、かつて仲間だった通称“ゴースト”。
彼は刑務所を出たばかりで、彼らに大きな仕事を持ってきたのです。
その仕事に乗ることになって、準備を進める彼らですが、何か不穏な雰囲気が・・・。
ストーリーは彼らの犯罪計画を軸に進んでいきますが、
一方、警察側も、なかなか鋭い。
ベテラン刑事ウェールズの捜査状況と、テイカーズの動きが交互に描かれます。
仕事熱心なウェールズ刑事は、ついオフの日に娘を車に載せたまま、
犯行グループの車を尾行したりしてしまうのです。
いつの間にか、刑事側にも感情移入してしまい、
さて、最後に勝ち残るのはどちらなのか、予想が付き難くなってきます。


それにしても彼らの犯行の手口の大胆さ、
絶体絶命のピンチからの切り返し方のなんとみごとなこと。
そのスピーディな展開に、ハラハラ・ドキドキ。
最後には三つ巴になっていくこととあわせて、
警察側の意外な事情も露呈。
ストーリーも非常によくできています。



この手の作品で最もスリリングなのはカーチェイス。
でも今作はカーチェイスはなくて、
ひたすら男が走って逃げるシーンがあります。
これが、走って逃げるだけなのに、すごい迫力でドキドキさせられました。
逃げる方もすごいけど、追い詰める方もすごい。
なかなか付いて行き難いと思うのですけれど・・・。


ありがちなクライムサスペンスから、一歩抜きん出ている。
非常に楽しめる作品でした。

テイカーズ [DVD]
マット・ディロン,ポール・ウォーカー,チップ“TI”ハリス,ヘイデン・クリステンセン
Happinet(SB)(D)


「テイカーズ」
2010年/アメリカ/107分
監督:ジョン・ラッセンホップ
出演:マット・ディロン、ポール・ウォーカー、ヘイデン・クリステンセン、イドリス・エルバ、ジェイ・ヘルナンデス

ウィンターズ・ボーン

2012年05月13日 | 映画(あ行)
周りに頑強に立ちはだかる世界の中に生きる



                      * * * * * * * * * 

舞台は米ミズーリ州。
17歳少女リーは、心を病んだ母と幼い弟・妹を守り一人で健闘しています。
父親は家と土地を保釈金の担保にして失踪。
ただでさえ収入がなく、食べるのにも苦労しているところへ、
このまま、父が裁判に現れなければ家も土地も没収されてしまうと聞かされ、困惑するリー。
やむなく父の行方を探ろうとするリーですが・・・。
冬。
いつも鉛色の空に覆われ、荒涼とした光景が映しだされます。
この土地は、麻薬に汚染された地域共同体。
父親はその掟に触れたらしいのです。
リーの行く手を阻む、この荒んで頑固な地元の絆。
いわばアメリカンドリームの終焉の地とも思えるこの土地。
荒んで希望も失われたように思えます。
なんとも八方塞がりの状況のなかで、
このリーの強い意志と眼差しに心惹かれていきます。



ストーリー中、リーと弟妹でリスを狩るシーンがあります。
それは食料とするための実際的な狩り。
残酷ですが、今作中で、彼女たち兄弟こそは、
周りに頑強に立ちはだかる世界の中に生きる、無力でちっぽけなリスに他なりません。
けれども、その中で懸命に勇気を振り絞って生きようとする。
なぜなら、そこが彼女らが生まれ育った自分たちの場所だから。



タフに生きていこうとするこの少女は、
この土地の未来を少しはマシなものに変えていくのかも知れません。
そんな微かな光さえを感じさせる良作です。

ウィンターズ・ボーン スペシャル・エディション [DVD]
ジェニファー・ローレンス,ジョン・ホークス,デイル・ディッキー,ギャレット・ディラハント,ローレン・スウィートサー
Happinet(SB)(D)


「ウィンターズ・ボーン」
2010年/アメリカ/100分
監督:デブラ・グラニク
原作:ダニエル・ウッドレル
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、ケビン・ブレズナハン、デイル・ディッキー