映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ノマドランド

2021年03月31日 | 映画(な行)

気がつけば、自分も荒野の風の中にいる

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ネバダ州の企業城下町に暮らしていた60代のファーン(フランシス・マクドーマンド)。
夫に先立たれた上に、リーマンショックによる企業倒産の影響で、
長年住み慣れた家を失ってしまいます。
キャンピングカーにすべてを積み込んだ彼女は、
季節労働の現場を渡り歩きながら、車上生活を送ります。
行く先々で出会うノマドたちと交流を繰り返しながら・・・。

本作はドキュメンタリーとフィクションの融合とでも言いますか、
作中ファーンが出会い話を聞くノマドたちは、実在の車上生活者たち。
つまり実際のノマドの生活の中にマクドーマンドが自ら身を投じて交流し、
この作品ができたわけです。

ノマドとは、「遊牧民」の意味ですが、
現代のノマドたちは車をテントの変わりとして、
アメリカの広大な大地を移動して生活をする・・・。

作中、ファーンが「ホームレスじゃない。ハウスレスよ。」
というシーンがあります。
確かに、住む場所がないホームレスじゃない。
固定した「家」がないだけで、「住む」ところはある訳です。
そして、仕事もします。
年末には繁忙期のAmazon で、秋の収穫期にはビート農場で・・・。
彼女はそこで食べていくのにやっとのくらいの収入を得て、転々と移動していきます。

私には次第にファーンが「自然」の一部のような気がしてきました。
雨や雪、砂ホコリに晒されながら、
ただただ風に流されて移動する枯れ草のような・・・。

この感じは、あの広大で殺伐とした荒野ならでは。
北海道も広いとは言え、あれほどの殺伐とした手つかずの大地はなかなか見られませんよね。
緑に潤う大地では、どうしても定住したくなりますから、
やはりあの荒涼感が、“さすらう”ことを自然に促しているように思います。

必要以上のものは持たず、その日を生きられたことに安堵して眠りに就く。
時には見知った人との再会を喜び、次の出会いを楽しみに別れていく。
本当の人の生き方とはこういうものだったんじゃないかな・・・と、次第に思えてきます。

ファーンが以前住んでいた家の裏は、遠くの山なみまで続く広大な砂漠が広がっていました。
彼女は長くそこに暮らしてその光景を眺めていたから、
そんな風景の中に自分がいることが自然に思えたのかもしれません。
そして、亡くなったご主人は、お墓の中になんかいない。
千の風になって、この荒野を吹き渡っている・・・。
その中に自分をずっと置いていたい。
そしていつか自分もその風になりたい・・・。

イヤ、ちょっと出典が違いすぎる・・・? 
でも私はそんなことを思いました。

 

特別にストーリーとして起伏がある訳ではない。
けれど、見終える頃には何故か自分もこの荒野に身を置いているような・・・、
不思議にこの世界観に浸ってしまっていたのでした。

 

<ユナイテッドシネマ札幌にて>

「ノマドランド」

2020年/アメリカ/108分

監督:クロエ・ジャオ

原作:ジェシカ・ブルーダー「ノマド、漂流する高齢労働者たち」

出演:フランシス・マクドーマンド、デビッド・ストラザーン、リンダ・メイ、スワンキー、ボブ・ウェルズ

世界認識度★★★★☆

満足度★★★★★

 

 


「ぜんぶ本の話」池澤夏樹 池澤春菜

2021年03月29日 | 本(解説)

ほとんど知らない本の話、ですが。

 

 

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はじめて読んだ本をおぼえていますか?

ページをめくれば溢れだす、しあわせな時間と家族の思い出。
さあ本の国へ旅にでよう――。
本書は、文学者の父・池澤夏樹と声優、エッセイストの娘・池澤春菜のふたりが、
「読書のよろこび」を語りつくした対話集です。
「本は生きもの」と語る父。
「読書の根本は娯楽」と語る娘。
児童文学からSF、ミステリまで、数多くの本を取り上げ、
その読みどころと楽しみかたを伝えます。
池澤家の読書環境やお互いに薦めあった本、
夏樹さんの父母(春菜さんの祖父祖母)である作家・福永武彦や詩人・原條あき子について等、
さまざまな話題が登場。
さらに巻末にはエッセイ「福永武彦について」(池澤夏樹)、
「ぜんぶ父の話」(池澤春菜)も特別収録しています。

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池澤夏樹氏とそのご令嬢、池澤春菜さんの本にまつわる対談集。

池澤春菜さんは、声優でありエッセイストであり、
また脚本家でもあるという多才な方です。
さすがに、子どもの頃から本であふれるような家で育ったわけで、
その読書量はハンパではありません。
私、本巻を読む前からこの内容について行けないだろうなという予感はありましたが、
実際、その通りでした。

主に児童文学、SF、ミステリと池澤夏樹氏よりも
春菜さん寄りの本の話題になっていると思われるのですが、
次々と上がる著者名、題名のうち私がわかるものはほんのわずか。
今さらながら自分の読書の幅の狭さを思い知りました。
トホホです。

でも本巻、だから全然つまらないというわけではなく、
未知の本の大海原を知ることも有意義ですし、
ほんのさわりのストーリー紹介だけでも面白いのです。

こんな中から、また拾い読みしてみるのも良さそうですしね。

 

<図書館蔵書にて>

「ぜんぶ本の話」池澤夏樹 池澤春菜 毎日新聞出版

満足度★★★☆☆

 


騙し絵の牙

2021年03月28日 | 映画(た行)

予告編、あおりすぎでは?

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塩田武士が大泉洋をイメージして主人公を「あてがき」したという小説に、
そのまま大泉洋を起用して映画化という、話題性たっぷりの本作。
コロナ禍で公開が丸一年先送りとなったということもあり、
期待たっぷりでした。

出版不況の波にもまれる大手出版社の薫風社。
創業一族の社長が急逝し、次期社長の座を巡り権力争いが起こっています。
そんな中、専務の東松(佐藤浩市)は大改革を進め、
売れない雑誌は容赦なく廃刊しようとする。
それを受け、カルチャー誌「トリニティ」の変わり者編集長速見(大泉洋)が打ち出した手は・・・。

ストーリーは、文芸部から「トリニティ」の編集部に回されてしまった
編集者・高野(松岡茉優)の視点で語られます。
彼女の文学や仕事に対するまっすぐな姿勢が、
この有象無象の会社の中では、実にすがすがしく好印象。
彼女は今も個人書店の経営に奮闘する父の娘、という設定がいいですよね。
本好き、書店好きの者の心をくすぐります。

さてその彼女が、編集長速見に振り回されることになる。
変わり者で、独創的。
すごいと思うこともあるけれど、基本、何かが怪しい・・・という感じ、
まさに大泉洋さんの真骨頂。
松岡茉優さんと大泉洋さんのコラボが功を奏しています。

そしてコネタ的騙しの背後に、もっと大がかりな騙しが・・・というのにも納得。
オシャレな作品でした・・・。

が、しかし、予告編で、あおりすぎたのが失敗。
結局、期待していたほどのどんでん返しじゃなかったなあ・・・という印象が残ってしまった。
時々あるんですよね、こういうの。
予告編がオーバーすぎて、期待感が高まりすぎた故の失敗。

もっと普通にみていれば十分に納得のいくレベルのできではあったと思うのです。
それがために、「大泉洋」臭を消せとまで言われた、
大泉洋さん幾分控え気味の演技ではなかったのか。
それなのに予告編であんなにあおっちゃダメでしょう。

そこが、残念・・・。

<ユナイテッドシネマ札幌にて>

「騙し絵の牙」

2021年/日本/113分

監督:吉田大八

原作:塩田武士

出演:大泉洋、松岡茉優、宮沢氷魚、池田イライザ、斎藤工、中村倫也、佐野史郎、佐藤浩市

 

満足度★★★.5

 


最初の晩餐

2021年03月27日 | 映画(さ行)

一緒に同じものを食べて生活すれば、家族

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父の日登志(永瀬正敏)が亡くなり、
カメラマンの麟太郎(染谷将太)が葬儀のために故郷に帰ってきます。

母アキコ(斉藤由貴)は、通夜振る舞いの弁当を勝手にキャンセルし、
自分で料理を作ると言い出します。
母が運んできた料理は目玉焼き。
あまりに場にそぐわないものでしたが、
麟太郎は子どもの頃のある一場面が思い出されるのです・・・。

以下、この家族の出来事を少年・麟太郎の視点で描くとこうなります。

父と姉(美也子)、そして僕の3人家族のところに、
ある日いきなり新しいお母さんと、お兄ちゃん(シュン)がやって来て、
これが新しい家族だという。
始めはお互いにぎこちなかったけれど、次第にシュン兄とは仲良くなった。
美也子姉ちゃんとシュン兄も始め、にらみ合っていたけれど、
だんだん仲良くなって、にぎやかな5人家族になった。

ところがある日、一本の電話がかかってきて、夜通しお母さんが泣いていた。
そしてその後家を出て行って、一週間帰ってこなかった。

やっと帰ってきたと思ったその後、
お父さんとシュン兄が山へ出かけた。
そして帰ってきたと思ったら、今度はいきなりシュン兄が家を出て行ってしまった。
大好きなシュン兄が理由も告げずにいなくなってしまった。
父と母はそのわけを知っているはずなのに、何も言わない。
いきなりの家族崩壊に戸惑う姉弟・・・。

子どもの自分では不可抗力の、新しい家族の構築。
そして崩壊。
このことは若干麟太郎少年の心の傷となってしまったようなのですが・・・。

本作は家族がこんなふうになってしまった理由を、ひもといていく作品なのです。
そこには、確かに大人の事情があります。
けれど、麟太郎は思う。
家族を思うとき、そこには数々の食べ物の思い出が一緒にある。
子どもの頃父が作ってくれた、スライスチーズを敷いた目玉焼き。
赤だしと白だしの味噌汁抗争・・・。
具だくさんのお味噌汁はどちらにしてもおいしそうでしたけれど。

血のつながりなんかなくても、一緒に同じものを食べて生活すればそれが家族なんですね。
じんわりと涙がにじんでくるような、そんな作品。

姉役の戸田恵梨香さんの少女時代が森七菜さんでした!

<WOWOW視聴にて>

「最初の晩餐」

2018年/日本/127分

監督・脚本:常盤司郎

出演:染谷将太、戸田恵梨香、窪塚洋介、斉藤由貴、永瀬正敏、森七菜、楽駆

 

 


サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~

2021年03月26日 | 映画(さ行)

聞こえないことは不幸か?

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ドラマーのルーベンは、恋人のルーと共にヘビメタのロックバンドを組み、
トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながら、
ライブに明け暮れる生活をしていました。

そんなある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなってしまいます。
医師からは回復の見込みはないといわれます。
すっかり自暴自棄になってしまったルーベンですが、
ルーの勧めでろう者の支援コミュニティに入ることに。

こんなところにいてもどうにもならないと思うルーベンでしたが、
次第に手話を覚え、人々や子どもたちとも親しくなり、
この場の生活になじんでいきますが・・・。

私たちは本作を通じて、ルーベンの、
ある日急に音がくぐもったようで聞こえにくくなって行く状況を追体験します。

人の話し声はもちろん、ささやかな日常の音
―スムージーを作るミキサーの音やコーヒーの落ちる音、柔らかなレコードの響き・・・、
すべてが消え去ってしまう。
ミュージシャンにとっては死活問題でもあります。
恋人とも離ればなれ。
しばらくは外部と連絡を取ることも禁止されています。
すっかり施設の生活になじみ、回りからも頼りにされるようになっていくルーベンは、
それでもなお、恋人ルーとともにツアーを組みたいという望みを捨てきれません。

このコミュニティの世話役が
「私たちは聞こえないことは障害ではないと思っている」
と話します。

それは以前読んだ「デフ・ヴォイス」の中の、
「障害(聞こえないこと)は直さなければならないものなのだろうか」
という問いかけにも似ています。

聞こえないことは、不便ではあるけれど、不幸ではない
という思いをまた、新たにしました。

同じ夢をつなぐことはもうできないかもしれないけれど、
そこにはきっと新たな出会いや生きがいがある。
そう信じられる作品。

 

<Amazon prime videoにて>

「サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~」

2019年/アメリカ/120分

監督:ダリウス・マーダー

出演:リズ・アーメッド、オリビア・クック、ポール・レイシー、ローレン・リドロフ、マチュー・アマルリック

 

満足度★★★★☆

 


「ニャン氏の事件簿」松尾由美

2021年03月25日 | 本(ミステリ)

猫が名推理をするんだニャ

 

 

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アルバイトをしながら、自分を見つめ直している佐多くんは、
あるお屋敷で、突然やって来た一匹の猫とその秘書だという男に出会う。
実業家のA・ニャンと紹介されたその猫が、
過去に屋敷で起こった変死事件を解き明かす?!
って、ニャーニャー鳴くのを通訳しているようだが本当?
次々と不思議な出来事とニャン氏に出くわす青年の姿を描いた連作ミステリ。
文庫オリジナルだニャ。

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松尾由美さんの連作短編ミステリ。
文庫オリジナル! 
そしてなんと、名探偵は猫のニャン氏!!

猫が名探偵という設定は、ありがちではありますが、
このニャン氏は実業家で童話作家でもあるという。
そしてその秘書兼運転手兼通訳が丸山。
常に慇懃無礼な姿勢を崩さない丸山が、
ニャン氏の推理を人間の言葉に通訳するのです。

つまりこれは、もしや猫ではなく丸山自身の推理?
とも思えるのですが、まあ、余計な詮索は野暮というものでしょう。

 

それで本作では、宅配のアルバイトをしている佐多くんが、
何故か行く先々で不可思議な事件と、このニャン氏と丸山のおかしなコンビと出会い、
名推理を披露するのを目撃することになるのです。
そんなことが続いた後には、佐多くんの人の良さをニャン氏が認めたのや否や、
佐多くんはニャン氏の財団にスカウトまでされてしまうという・・・。

一篇ずつのミステリの楽しさにくわえた、こうしたゆるーいストーリーがまた、たまりません。

本シリーズはこの後も出ていまして、もちろん、読みますとも!!

 

「ニャン氏の事件簿」松尾由美 創元推理文庫

満足度★★★★☆

 


奥様は、取り扱い注意

2021年03月23日 | 西島秀俊

ファンの方は、どうぞ。

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お久しぶり、ぴょこぴょこコンビで~す!

待ちに待った、西島秀俊さん出演作品。

もちろん、テレビドラマの時も見ていましたもんねー。

元特殊工作員の妻(綾瀬はるか)と、公安エリートの夫(西島秀俊)が繰り広げる
 夫婦のラブアクション(?)ドラマ。

この度は、いきなり妻・菜美が記憶喪失になってしまうんだね。

つまり、自分の元特殊工作員という過去も忘れてしまった。

ちょうどその時勇輝は、珠海市でロシアと結託した国家レベルの陰謀が潜んでいるということで、
 高校教員の身分を得て、潜入捜査に当たることになります。
 妻帯者の方が目くらましになるということで、記憶を失った妻も同行。

美しい海辺の地方都市で、しばらくは意外にも平和な二人の新生活が始まります。

この珠海市では、新エネルギー源「メタンハイグレード」の発掘を巡り、開発反対派と推進派の争いが激化。
 その裏にロシアの陰謀も潜んでいます。

次第にその渦に巻き込まれていく二人・・・。

 

といったところで、一通りは楽しませてもらったのだけれど・・・。

いやあ、ぶっちゃけ、西島秀俊さんと綾瀬はるかさんが出演している
 ということだけに意義のある作品だったなあ・・・。

まあ、それで十分とも言えるけど。

いやあ、ちょっとしたコネタ的な驚きはあるにしても、なんだかなあ。

 途中で、二人が見ているテレビ番組で「奇跡」のような話、というのをやっていたでしょう。

 なんだかそのシーンで、このストーリーの結末が透けて見えてしまったんだよね。

だよね、ちょっと残念。

それと、菜美の記憶が途中から戻っているのが、勇輝や私たちにもわかるようになっているよね。

そう、はっきりとは説明がないけれど、どうやらそうらしい、
 と匂わすあたりは良い演出だと思います。

でもね、実は菜美は料理があまり得意ではない、というあたり、
 テレビドラマ見ていない人にはわかりにくかったんじゃないかなあ。

そもそもテレビドラマを見ていなかった人がいきなり見るというのは想定外なのか。

いっそ、西島秀俊さんが料理してるシーンが欲しかったけど、
 さすがに、公安エリートは料理しなさそうではあるな。

そりゃ「きのう何食べた」じゃないんだから。

それを言ったら、今テレビドラマで、綾瀬はるかさんの
 男女入れ替わりというスペシャル演技を見ているわけだから、
 本作が物足りなく思えるのも仕方ないのかなあ・・・。
 あ、アクションはかっこよかったけど。

もう少し、何か驚きの展開が欲しかった・・・、
 つまりは、凡庸な作品でした。

今日は、キビシイのね・・・

<シネマフロンティアにて>

劇場版「奥様は、取り扱い注意」

2021年/日本/119分

監督:佐藤東弥

出演:綾瀬はるか、西島秀俊、鈴木浩介、岡田健史、前田敦子

西島秀俊の魅力度★★★★☆

満足度★★★☆☆

 


ザ・ピーナッツバター・ファルコン

2021年03月22日 | 映画(さ行)

夢に向かって

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養護施設で暮らすダウン症の青年、ザック(ザック・ゴッツァーゲン)。
子どもの頃からの夢を叶えたい一心で、
プロレスラー養成学校に入ろうと施設を脱走します。

そんなザックが出会ったのが、タイラー(シャイア・ラブーフ)。
タイラーは信頼していた兄を亡くし、孤独に暮らしていましたが、
漁師町でいざこざを起こし、逃走中。
二人の逃亡の旅が始まります。
そしてまた、ザックを連れ戻すためにやって来た
施設の看護師エレノア(ダコタ・ジョンソン)も加わり、3人の旅に!

タイラーは始めザックをいかにもうさんくさく思うのですが、
二人でいる方がお尋ね者捜しの連中の目くらましになると思ったのです。
けれど次第にザックの純粋に夢を叶えようとする心や嘘のなさに
惹かれていくのです。
エレノアもザックを施設に連れ戻す対象ではないと思うようになり、
ヘンテコな3人の旅となる。
それぞれの人生が大きく変わる旅。

「ザ・ピーナッツバター・ファルコン」は、ザックのリング名。
なけなしのお金で買ったピーナッツ・バターと
カッコいいファルコン(ハヤブサ)を組み合わせた名前です。

ザックは確かに人並み以上の怪力の持ち主ではありますが、
いかにも小柄だし、これまでテレビでプロレスの試合を繰り返し見ていただけで、
何の経験もありません。
でも、タイラーは「無理だ」とはいわない。
とにかくやってみればいい。
こういう後押しがいいですね。
夢に向かって進もうとするザックを見ると、
自分も勇気づけられる気がするからに違いありません。

徒歩やボートで水辺を行く、ステキなロードムービーでした。

 

<WOWOW視聴にて>

ザ・ピーナッツバター・ファルコン

2019年/アメリカ/97分

監督:タイラー・ニルソン、マイケル・シュワルツ

出演:シャイア・ラブーフ、ダコタ・ジョンソン、ジョン・ホークス、ザック・ゴッツァーゲン

 

満足度★★★★☆

 

 


リバーズ・エッジ

2021年03月21日 | 映画(ら行)

死体を愛でる高校生たち・・・

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女子高生・若草ハルナ(二階堂ふみ)は、
恋人・観音崎(上杉柊平)にいじめられている同級生・山田(吉沢亮)を助けたことで、
山田からある秘密を打ち明けられます。
それは、河原に放置された人間の遺体があること。
何故か山田は、この遺体を見ることで、安らいだ気持ちになるというのです。
そしてまた、同じこの遺体を愛するのは、
同じく高校生で、過食しては吐くことを繰り返しているモデルの吉川こずえ。

しかしあるとき、校内で河原に宝が埋められているなどという噂が広まり、
このままでは宝探しの連中に、遺体を見つけられてしまうという危機が・・・。

他に、一方通行の恋にいらだつカンナ。
父のわからない子を宿すルミなど、
ナイーブで不器用、そして退廃している高校生たちの群像劇。

何といっても、吉沢亮さん演じる山田一郎(!)の存在が異色。
きれいな顔で、ファンの女の子も多いという身の上ながら、
小さい頃からいじめにあっていたらしい。
特に、何故か観音崎からは執拗ないじめをうける。
しかしそんなことに感情を向けることを彼はすでに放棄している。
今後も良いことなんか何もなく、人から踏みつけられるだけの生涯を
見通してでもいるようだ・・・。
というのも実は彼はゲイで、サッカー部に彼の「憧れの君」がいる。
が、告白はできない。
そんな彼は、河原の死体を見ることで、逆に己の生を確認しているのかもしれないし、
もしくは、死んでしまえば誰もこんなふうに朽ちていくだけ・・・
という無常観をかみしめているのかもしれない。

校舎の片隅で捨て猫に餌をやっていたりする優しさを持ちながらも、
好きでもない女子と適当に付き合うことも。
この「好きではない」という感情を相手の粘着質の少女が嗅ぎ取ってしまい、
ある事件が起こってしまうのですが・・・。

問題山積みの青春。
それでも生きて大人にならなければならない。
心をえぐります。

一言本音:こんな高校生、ヤダ!

「リバーズ・エッジ」

<Amazon prime videoにて>

2018年/日本/118分

監督:行定勲

原作:岡崎京子

出演:二階堂ふみ、吉沢亮、上杉柊平、SUMIRE、土居志央梨、森川葵

 

退廃度★★★★☆

満足度★★★.5

 


「雨上がり月霞む夜」西條奈加

2021年03月20日 | 本(その他)

祟りとは、この世の人間が生み出したもの

 

 

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大坂堂島の紙問屋・嶋屋を営んでいた秋成は、
町一帯を襲った火事によって店を失い
幼なじみの雨月が結ぶ香具波志庵に居候することに。
ところがその雨月、飄々とした性格ながら妖しを引き寄せる体質で、
しだいに彼らの周りには、憎まれ口をたたく兎やら、成仏できぬ人の怨念やらが溢れ出す。
さらにその先で待ち受けていたのは、世界の成り立ちを根本から変える驚くべき真実だった―
江戸怪異譚の傑作『雨月物語』に大胆な現代的解釈を試みた、珠玉の連作短篇集。

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「江戸怪異譚の傑作『雨月物語』に大胆な現代的解釈を試みた、珠玉の連作短編集」
ということになっていまして、
私がこれまで読んだ西條奈加さんの時代小説とはやや趣が異なります。

雨月物語の作者として知られる上田秋成その人が、
どのようにして「雨月物語」を描くに至ったのかという物語で、
秋成が商家を継ごうとするも火事で挫折し、
医師の修行を積みながら物語を書き進めるという設定は、
史実に基づいています。

独自なところは、このとき、秋成は幼なじみである雨月のところに居候するところ。
この雨月は「妖し」を引きつける体質で、
そのためか、秋成は数々の怪異な体験を積むことになるのです。
その連作短編、一話一話が「雨月物語の」一話ずつに対応しているという心憎い構成。

しかも、読み進む内に、どうもこの「雨月」という存在が疑問に思えてくる・・・。
実はここにも、大きな秘密が隠されているのでした。

 

「祟りとは、この世の人間が生み出したものだ。
不安、悔悟、恐れ、そして妄執。
そういう生者の念が、世にあり得べからざる、さまざまな不思議を引き起こす。」

こんなことばが何度か出てきます。

幽霊とか、祟りとか、それは生きている人こそが生み出すものだと・・・、
なるほど納得です。

そして、真に人の心を映し出す「物語」を描くために、
どれだけの覚悟が必要なのかという、
これは著者自身の思いなのかもしれませんが、実に深い話だと思います。

 

図書館蔵書にて

「雨上がり月霞む夜」西條奈加 中央公論新社

満足度★★★★.5

 


一週間フレンズ。

2021年03月19日 | 映画(あ行)

一週間で消えてしまう、記憶

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高2の長谷祐樹(山崎賢人)は、同級生藤宮香織(川口春奈)に心惹かれ
思い切って「友だちになってください。」と声をかけます。
ところが答えは「ごめんなさい。」
香織は一週間しか記憶が保たないという障害を抱えているというのです。

それでも香織の側にいたいと思う祐樹は、交換日記を提案。
祐樹が学校であったことなどを日記に書いて、
香織が後に確認できるようにしたのです。
そのおかげで次第に距離が接近していく2人ですが、
そんな時、以前の香織を知る九条(上杉柊平)が転校してきて・・・。

記憶が一定期間しか保たない、という設定の物語はありがちです。
この場合の香織は、事故が原因ということではありながら、
どうやら心因性のものもありそうなのです。
というのも、香織は月曜から金曜までの学校の出来事の記憶が、
次の月曜の朝には失われている。
しかし、学習したことは残っている。
主に友人たちとのことを忘れているのです。
せっかく友だちとなっても、次の月曜には名前も忘れている、ということなので、
香織はひたすら誰とも親しくならず、孤独に毎日を過ごすことにしていたわけです。

そんな原因は、以前の香織の身の上に起きた出来事にありそう。
一体彼女に何が起こったのか、
そういう秘密を解きほぐしていく物語なのでした。

祐樹の、明るさ、人の良さが救い。
いいですよね、こういうの。
そんな彼だから、類は友を呼ぶというわけか、友人たちもいいやつばかり。
香織の事情を知っていて、2人のことを密かに見守るという教師(戸次重幸)もいい感じ。
この高校はイイ!

結局香織は九条の名前だけは覚えていた(!)ということから、
身を引いて見守ることに徹する祐樹のうら寂しい高校生活後半。
うわー、しみじみ来ます。

祐樹は漫画研究部に入っていて、絵が得意。
そんな彼が、図書館の余白の多い分厚い本を借り出して、
せっせと何か書き込んでいる。
そのエピソードこそが最後の最後に生きてきます。
鉄拳さんのパラパラ漫画同様に、泣けます!!

<WOWOW視聴にて>

「一週間フレンズ。」

監督:村上正典

原作:葉月抹茶

脚本:泉澤陽子

出演:川口春奈、山崎賢人、松尾太陽、上杉柊平、高橋春織

 

青春度★★★★★

満足度★★★★☆

 


ブレイブ 群青戦記

2021年03月17日 | 映画(は行)

まさか、あの人物の命が・・・

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私の好きな、タイムスリップもの。

スポーツの名門校、弓道部の西野蒼(新田真剣佑)。
彼は体育会系のノリや目立つことが苦手で、
弓の腕は一流ながら、試合などには出たことがありません。
そんなある日、雷が校庭に落ちた直後、
校内に刀を持った野武士たちがなだれ込んできて、いきなり殺戮を始めます。

必死で応戦する高校生たち。
しかし、敵は数人を人質にとって行ってしまいます。

歴史オタクでもある蒼は思う。
学校が丸ごとタイムスリップして戦国時代の「桶狭間の戦い」直前に来てしまったらしい・・・。

そこへやって来たのが、後の徳川家康である松平元康(三浦春馬)。
スポーツ部の猛者たちと元康は手を組み、
信長の軍勢に捕らえられている人質の奪還を図ります。

 

学校が丸ごとタイムスリップといえば、「漂流教室」を思い浮かべますが、
でも戦国時代ということならやっぱり「戦国自衛隊」ですね。
自衛隊なら銃も戦車もあって、かなり戦には心強かったけれど、こちらは高校生。
剣道部、アメフト部、野球部、ボクシング部・・・
いかに猛者揃いといえども、白兵戦ではちと分が悪い・・・。
でもがんばりますよ~、彼らは。

蒼は戦いには消極的・・・。
しかし、親友が倒れ、人質に取られるなどというアクシデントにより、
彼は覚醒して行きます。

本作、単に過去へ行って戻るということだけではなくて、
一年先行してこの時代に来ていた者がいるということ、
そして、絶対に死ぬはずではない人物が死んでしまう、という虚を突く出来事があって、
なかなか油断なりません。
しかしだからこそ、納得の行くラスト。
私はこういうの、好きです。

帰りは、バック・トゥ・ザ・フューチャーを意識した、雷利用のタイムスリップ。
時計塔があって、配線を巡らして・・・。
いい舞台立てだなあ・・・。
そうした理系クラブの面々が手腕を振るうのも楽しい。

それで、本題からはそれますが、
現代に戻ってきた高校生たちの大量死や大けがを、一体どのように説明してことを収めたのか。
私はそれがすご~く気になるのですが、そこのところの描写はありません・・・。

三浦春馬さん出演作がまだ残っていたんですね!

 

<シネマフロンティアにて>

「ブレイブ 群青戦記」

2021年/日本/115分

監督:本広克行

原作:笠原真樹

出演:新田真剣佑、山崎紘菜、鈴木伸之、渡邊圭祐、濱田龍臣、三浦春馬、松山ケンイチ

 

タイムスリップの妙度★★★★☆

満足度★★★★☆

 


「銀杏手ならい」西條奈加

2021年03月16日 | 本(その他)

祝! 西條奈加さん直木賞受賞

 

 

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子に恵まれず離縁され、実家の手習所『銀杏堂(ぎんなんどう)』を継ぐことになった24歳の萌(もえ)。
女先生と侮る悪童らに振り回されながら、忙しない日々を送っていた。
ある朝、銀杏堂の門前に女の捨子を見つける。
自身も血の繫がらぬ両親に愛情深く育てられた萌は、
その子を「授かりもの」として育てることを決心するが……。

真っ直ぐに子どもと向き合い成長する、時代人情小説の傑作。

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西條奈加さんは、以前から時々読ませてもらっているので、
私にとっても大変嬉しい受賞です。

 

その直木賞受賞作「心淋し川」は当分図書館予約では読めそうにないので、
少し古い作品を手に取ることにしました。

「銀杏手習い」は、子どもができないために婚家を出され、
実家の手習所「銀杏堂」を継ぐことになった24歳、萌(もえ)の物語。
連作短編となっています。

最近の時代小説は、江戸時代という舞台を借りて、
現代の問題点を描いていくものが多いですよね。
本作は、様々な問題をもつ子どもたちと教師の関わり、そして母と娘の絆を描きます。

 

まだ新米の教師・萌は、
生意気でわんぱく盛り、さっぱりいうことを聞いてくれない増之介と角太郎の二人に困ってしまう。
女であることをバカにされている。
こんな悪ガキたちとどう心を通わせていくのか・・・。

また、萌はこの銀杏堂の前に置き去りにされていた捨て子。
ここの夫婦に拾われて、そのまま育てられたのです。
そして成長し、他家に嫁ぐも、子どもができないということで、戻されてしまった・・・。
このあたりはいかにも江戸時代の話。
でも、そこから彼女は自らの才覚で生きる道を歩み始めます。
女性の自立、ここが大事。
そしてまたあるとき、自分と同じように門前に赤子が置き去りにされていて、
萌はその子を自分の子として育てることを決意。

血のつながりなんかなくたって、親子にはなれる。
子どもは一人一人がみんな違って、みんな大切。

ステキな物語です。

 

私がいちばん好きだったのは、「目白坂の難」。
いわば子どもたちの冒険譚です。
先に挙げた悪ガキ増之介と角太郎が、
他の女の子や年少の子どもたちを引き連れて薬草探しに行くのですが、
道に迷ってしまう・・・。

年長者として二人は他の子たちをかばい、知恵を絞ります。
まさに、少年の成長物語。
こういうのに弱いんですよ、私。

無邪気で元気な子どもたちもいいし、
そんな子どもたちの成長を認める萌の気持ちも良くわかります。

 

図書館蔵書にて

「銀杏手ならい」西條奈加 祥伝社

満足度★★★★☆


ママレード・ボーイ

2021年03月15日 | 映画(ま行)

甘酸っぱさに押しつぶされそう

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吉沢亮さんが見たくて視聴。
気になり出すと、アイドル映画でも少女漫画映画でも見てしまいます。

ある時、2組の夫婦がそろって離婚&ペアを入れ替えて再婚。
こんな嘘のようなところからストーリーは始まります。
互いの夫婦の娘・光希(桜井日奈子)と息子・遊(吉沢亮)は
両親の勝手な言い分のままに、二家族6人の同居に同意せざるを得ません。

光希は遊を「本当は苦いのに、甘さでくるんでいる」ママレードみたいだと思います。
というのも、遊は人知れず父が本当の自分の父親ではないことを悩んでいたのです。

光希と遊は次第に惹かれ合うようになりますが・・・。

 

さすが原作が少女漫画。
いい年したおばさんも、なんだか甘酸っぱさに押しつぶされそうになってしまいました。
純粋な2人の気持ちがねえ・・・。

ストーリーを振り返ってみれば、
この二組の夫婦が何でこんな破廉恥な離婚・再婚・同居をすることになったのか、
というのは一応の説得力もあるように思えるから不思議。

でも、事情は始めから子どもにきちんと説明しなきゃダメじゃん、と思います。
少なくとも子どもたちは高校生なんだからさ。

それにしても、吉沢亮さんはキレイ♡♡♡

 

<WOWOW視聴にて>

「ママレード・ボーイ」

2018年/日本/127分

監督:廣木隆一

原作:吉住渉

出演:桜井日奈子、吉沢亮、佐藤大樹、優希美青、藤原季節、筒井道隆、谷原章介

甘酸っぱさ★★★★★

満足度★★★★☆

 


天外者

2021年03月14日 | 映画(た行)

大きな夢が実現できる時代

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この題名は「てんがらもん」と読んでくださいませ。
天外者とは、凄まじい才能の持ち主という意味で、
近代日本経済の基礎を構築した五代友厚を描きます。

江戸末期。
遊女はる(森川葵)との出会いから
「自由な夢を見たい」との思いに駆られた五代(三浦春馬)は、
男女、貧富、身分などの違いにかかわらず、
誰もが夢を見ることができる国を造りたい、と思います。
長崎で坂本龍馬(三浦翔平)、岩崎弥太郎(西川貴教)、伊藤博文(森永悠希)と語らい、
志を共にします。

大きな転換期のこの時代、若い人々が見る夢は大きく、そして実現性も大きい。
だからこの時代の物語は、私たちを引きつけてやまないのですよね。

坂本龍馬と未来を語る五代のシーンは、
本当はそんなことはなかっただろうとは思いながらも、
ジーンと来てしまいます。

五代は遠い異国イギリスに憧れていて、
攘夷論華やかなこの頃には、変人で嫌われ者。
命すら狙われるくらいです。
けれど俯瞰的にこの国を見据えて、経済こそが国を育てると思う。
現代の日本につながっていくまことに重要な人物であります。

本作に渋沢栄一は登場しなかったのですが、
その考え方は同一のものなのか、または、別物なのか、興味があります。
大河ドラマ「青空を衝け」には、五代友厚(ディーン・フジオカ!)も登場するようなので、楽しみです。

本作のラストは五代の通夜。
これが三浦春馬さんの死とも重なって、なんとも切なくもの悲しいシーンでありました・・・。

サツゲキにて  ←本作、ロングランで頑張ってくれています!

「天外者」

2020年/日本/109分

監督:田中光敏

脚本:小松江里子

出演:三浦春馬、西川貴教、三浦翔平、森永悠希、森川葵、蓮佛美沙子

 

歴史再認識度★★★★☆

満足度★★★★☆