本人の心が結局は問題
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南北の対立を抱えるロタ王国。
対立する氏族をまとめ改革を進めるために、怖ろしい“力”を秘めたアスラには大きな利用価値があった。
異界から流れくる“畏ろしき神”とタルの民の秘密とは?
そして王家と“猟犬”たちとの古き盟約とは?
自分の“力”を怖れながらも残酷な神へと近づいていくアスラの心と身体を、
ついに“猟犬”の罠にはまったバルサは救えるのか?
大きな主題に挑むシリーズ第5作。
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いよいよ、核心部となる下巻。
怖ろしい力を秘めた少女・アスラを利用しようとするシハナの企みによって、
大惨事が起きようとしています。
バルサは、それをくい止めることができるのか・・・?
結局は、アスラ自身の心の問題。
彼女は自分自身で正しい答えを見つけ出します。
でもそれは、それまでに彼女と関わった人々が、
彼女の心に「美しくて強い」心を植え付けていたから。
力だけでは人を守り切ることはできない。
自らを律する筋の通った心と信頼がなければ・・・。
そういうことなのかもしれません。
それにしても、巧みに人の心を操ろうとするシハナは、ちょっとオソロシイ・・・。
結局企みが失敗し、姿を消してしまったのですが、
この先の物語でまた姿を現すのかもしれません・・・。
いや、私としてはもう出てきてほしくないのですが。
巻末に「バルサとシハナは似て非なる女」ですね、といわれたことがあると
著者が述べていますが、いやいやいや、
双方女性で強いというだけで、全然似ていませんから。
と、私は思う。
ともあれ、興味の尽きない物語でした。
満身創痍のバルサにしばしの平穏なる日々が訪れますように・・・。
図書館蔵書にて
「神の守り人 下 帰還編」上橋菜穂子 軽装版偕成社ポッシュ
満足度★★★★☆