大江のログハウス建築現場から帰ると待望のDVDが届いていた。
「西部悪人伝 sabata」。私の大好きなリー・バン・クリーフ主演の、マカロニウェスタン末期(1969年)に咲いた典型的な娯楽西部劇。ストーリー自体はハチャメチャだが、クールなようでどこか人間臭さもあわせ持つナイスガイな比類なきキャラクターを完成させたリー・バン・クリーフの魅力いっぱいの西部劇だ。
DVDは2003年の発売だが、コアなファンにしか売れないと見られたためか発売数が少なく、今となってはほぼ絶版状態だった。ずっと探していたのだがやっと見つけた。定価の3倍ものプレミアムが付いていたが、これを逃したらもう無いと思ってエイやっと買ってしまった。
西部のとある町で起きた銀行強盗事件。ならず者を雇って強盗をさせた真犯人は町の有力者、牧場主のステンゲル、判事のオハラ、酒場のオーナーファーガソンの3人。町に鉄道が敷かれる計画を知った3人は、強盗で手に入れた資金で鉄道予定地を買占め、更なる一儲けを企んでいた。
町を通りかかったリー・バン・クリーフ演じる流れ者sabata(あまりヒーローっぽくないヘンな名前だがイタリア人にはカッコいい名前なのだろう)は、一人で10数人の強盗犯をすべて倒し金庫も取り返して戻ってくる。
sabataの超人的ガンファイトや隠し銃口付きデリンジャー、sabataから飲み代を恵んでもらった飲んだくれのカリンチャ、水戸黄門に出てくる忍者飛猿のような役どころのインディオ、ライフルが組み込まれた仕込み杖ならぬ“仕込みバンジョー”の使い手バンジョー(そのまんまやないか)がからみ、黒幕の悪役3人組と戦いを繰り広げる。貴族気取りのステンゲルは、sabataとの甲冑ごしの決闘で、卑怯な仕掛けを見破られあえない最期を遂げる。最後にsabataは、バンジョーとの“偽装”決闘にオハラの金を賭けさせ、撃たれたふりをして掛け金もせしめるのだが、その金はバンジョーたちに全てやっていずこかへと去っていく..。
ゲイジュツとしての映画を求める向きには駄作この上ないだろう。しかし私は、「七人の侍」をパクった「荒野の七人」よりも、「水戸黄門」的娯楽性をもってリー・バン・クリーフのキャラクターを最大限に生かしきった、西部劇らしい西部劇だと思っている。