泉涌寺の塔頭・悲田院(同市東区)が所蔵する「宝冠(ほうかん)阿弥陀如来座像」が、鎌倉時代前期の仏師・快慶の作である可能性が高いことが、大津市歴史博物館の調査で10日までに分かった。
座像はヒノキ材で高さ72cm、幅49cm。きりりとした目や理知的な表情など、快慶の特徴的な作風が見られ、同院では古くから「快慶作」との伝承が残っていた。
ファイバースコープで胎内を撮影したところ、頭部に快慶の作品であることを示す墨書の銘文「アン(梵字)阿弥陀」と、5人の弟子の銘文が記されていた。これらの墨書は、醍醐寺(同市伏見区)の木造不動明王座像や石山寺(大津市)の木造大日如来座像など、快慶が手掛けた他の仏像でも確認されている。
特別展は10月10日から11月23日まで、同博物館で行われる。同仏像の展示は10月25日まで。
[参考:京都新聞]
快慶作の現存する2番目の作品である醍醐寺三宝院弥勒菩薩坐像(建久3年・1192)からは作品に「巧匠アン(梵字)阿弥陀仏」と銘記されるようになる。安阿弥陀仏とも称し、その理知的、絵画的で繊細な作風は「安阿弥様」(あんなみよう)と呼ばれる。
この銘記は快慶が法橋の僧位になる建仁3年(1203年)まで続く。
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