奈良文化財研究所と長岡京市埋蔵文化財センターが21日、長岡京市の宇津久志(うつくし)1号墳(5世紀前半)から1988年に副葬品として出土していた重層ガラス玉3点が、帝政ローマ時代に領内の黒海の周辺地域などで製造されたローマガラスと同成分だったことが判明したと発表した。
同古墳は5世紀前半に築造された1辺7mの方墳で、1988年の調査で副葬品としてガラス玉約500点が出土した。 このうち重層ガラス玉3点(直径5mm)で真ん中に直径1.5mmの穴が開いた物が1個と、1mm程度の破片2個を、奈文研が蛍光X線分析などで調べたところ、ガラスに金箔を挟む古代ローマ特有の技法を用いていた。 原料にナトロン(炭酸ナトリウム水和物)を用い、酸化カリウム・マグネシウムの含有量が少ないなどローマガラスの特徴を確認できた。国内で出土した重層ガラス玉がローマガラスと確認されたのは初めて。
奈文研によると、重層ガラス玉は全国各地の約80の遺跡で約200点が出土しているが、成分分析されたのは今回を含め5遺跡10点程度で、いずれもアジアなどで作られた物という。 新沢千塚126号墳(橿原市)でも5世紀代の重層ガラス玉が見つかっており国内最古級だが、成分分析されていない。
同古墳の出土品にはインドや東南アジアの産物と見られるガラス玉もあったといい、中国南部でも同時期の重層ガラス玉が見つかっていることから、海路で日本に伝わった可能性もあるとしている。
重層ガラス玉は11月に長岡京市埋蔵文化財センターで展示される。
[参考:時事通信、共同通信、京都新聞、日経新聞、産経新聞]
備考
宇津久志古墳群(長岡京市天神5丁目)
周囲に幅約0.6mの周溝を巡らせる方墳(一辺7~8m)2基からなる。
1号墳は、墳丘の中央部で木棺直葬の主体部を検出した。副葬品として直刀・勾玉・ガラス製管玉・ガラス製小玉などが出土した。
西北約200mのところに、乙訓地域で最後に築造された大首長墓と考えられる今里大塚古墳(7世紀前半)がある。
今里大塚古墳(長岡京市天神5丁目)
直径約45m、高さ5.5mの円墳、あるいは墳長約80mで幅約20mの周濠がめぐる前方後円墳と考えられる。
乙訓地域の石舞台古墳とも称され、埋葬施設は巨石を用いた玄室長5.5m、幅3m、高さ3.6mの横穴式石室(両袖式)である。 羨道の長さは10mに及ぶと推定される。 中には家形石棺が収められていた。
古代ローマの重層ガラス玉か=国内初、古墳で出土―京都(時事通信) - goo ニュース
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