最初にTrailerを見たのは春休み頃だった。たくさんの作品のTrailerの中で、映像のきれいさが印象的だった。 メインキャラクターCVが神木隆之介さん、上白石萌音さんだということがわかったのは、しばらくしてからのこと。おもしろい作品になるだろうと直感した。でも、見に出向くとは思わなかった。 |
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千年に1度のすい星来訪が、1か月後に迫る日本。主人公は二人。
山々に囲まれた田舎町に住む女子高生・三葉。父親は町長である。父の選挙運動、家系の神社の風習などに鬱屈としていた。そんな彼女には都会への強い憧れがある。ある日彼女は、自分が都会に暮らしている少年になった夢を見る。三葉は夢では東京での生活を楽しみながらも、その不思議な感覚に困惑する。
一方、東京在住の男子高校生・瀧も、自分が田舎町に生活する少女になった夢を見る。やがて、その奇妙な夢を通じて彼らは引き合うようになっていくが、、、
(Movixの作品紹介その他より引用・まとめ)
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ものがたりのことを書くと、ネタバレになるのでさけるとして、何よりも背景のきれいさに圧倒される作品である。
僕は新海監督の作品を見るのは、今回が初めてだ。予告編を見ただけでも、夜空の星々、街の光の描き方がきれいという印象が強い。夜景、昼間の東京の様子が精緻で見とれた。
アニメでも実写でも同じだが、作品のものがたり世界には、何らかの統一性が必要だと思う。言葉は悪いが、フィクション(虚構)である。それが作品として、見る者が納得できるまとまりをもたないといけないのだと思う。風景描写があまりにきれいで、そのなかでアニメのキャラクターが「浮いて」しまわないか不安を感じた。
作品パンフレットの氷川竜介氏による解説に、以下の一文がある。
「風景に托して感情の機微を描く」という新海スタイルは、もちろん健在である。「省略と誇張」が要諦のアニメでは、さまざまな情報が削られ記号化されてしまう。ところが新海スタイルは「光」を手がかりに,画面中に存在する被写体ひとつひとつ輝きを宿らせ、明暗すべての階調を描き分けている。(p.34)
解説にもあるように、新海作品で「光」のきれいさは特筆すべきことなのだ。その中でキャラクターたちが浮かないか。。。
・・・大丈夫だった。
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浮かなかったのは各キャラクターのビジュアルのこともあるが、CVの力も大きいだろう。
主人公瀧のCVは神木隆之介さんである。「るろうに」「太陽」、いずれも見た者に強烈な印象をあたえる演技だった。
三葉と入れ替わる前(普段の瀧)と、三葉が体に入り込んだ状態の瀧。キャラクターの体の動きが微妙に違う。神木さんは声の感じ、話し方で演じ分けている。
実写2作と同様、神木さんの感情の爆発する時のお芝居はいい。僕は好きである。
三葉の声は上白石萌音さんである。
名前はもちろん知っている。ただし作品は見たことがない。今回初めてちゃんと声を聞いた。ご本人の顔の印象よりもずっと力強い感じの声である。
三葉はものがたりの途中で一度消える。瀧と三葉がほぼ同じくらいの時間、目の前にいたのに、ぱたっと消える。声が聞こえなくなって、不安を感じた。
・・・それだけキャラクターに感情が託せたのだろう。
瀧のバイト先の先輩奥寺ミキの声は長澤まさみさんである。
ここ数年で、やっと制服を着ていない長澤まさみさんができあがりつつあるように思う。ほぼ年齢相応のキャラクター。カッコいいお姉さん(女子大生)のイメージである。
キャラクターのビジュアルは、ジブリ映画のあるキャラクターを、若くした感じである。
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ものがたり前半、夢の中でお互いの日常を生きる瀧と三葉。戸惑いつつも徐々に自分に何が起きているか気づく。ロミオとジュリエットではないが、すれ違いの物語に見える。
後半から徐々にものがたりの方向が拡散し始める。速度が上がる。二人の「出会い」、様々な感情(喜び、悲しみ、戸惑い、喜び、喪失感)が描かれる。二人はそれぞれの命を生きていく。ラストまでに何回か大きな展開があり、見ている間どうなるのかな...と感じたが、ここはネタバレになるがhappy endingである。
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大当たりなのもわかる気がした。
生徒にすすめても大丈夫だと思う。かぎりなく☆4コかな。