<新・とりがら時事放談> 旅・映画・音楽・演芸・書籍・雑誌・グルメなど、エンタメに的を絞った自由奔放コラム
宇宙エンタメ前哨基地



刑事コロンボの名エピソード「パイルD-3の壁」を思い浮かべるまでもなく、一度作ってしまった建物の基礎部分と言うのは容易に見ることのできない「謎」な部分だ。
そのため殺人事件の遺体の隠し場所として刑事コロンボならずとも登場するところで、ミステリー小説では定番の部位でもある。

建築で見えないところは、コンクリート流しこみの内部、壁の内部、点検口の無い天井裏、床下などがあり、いずれも「怖~い」噂が都市伝説として発生する、これまたお決まりの場所でもある。

横浜のマンションで発覚した基礎杭、つまりパイルの打ち込み不備の隠し事件は建物が傾くということで発覚。
見えないから大丈夫と安心していたら、神様仏様は見逃さなかったというわけだ。

あの姉歯の物件が東日本大震災でちっとも被害を受けなかったことが話題になっていた時期であるだけに、今回の大手デベロッパーと大手建築会社による不正行為は建築業界のみならず、消費者が寄せるブランドそのものの信頼に大きな傷をつけたといえるだろう。

三井不動産レジデンシャル、三井住友建設、旭化成建材という、日本ではトップクラスの大手企業がウソ隠しをしていて、それを見過ごしてきたという事件は、一体何を意味するのか。
日本人のモラルが大きく崩壊を始めているのではないかと疑って係る必要があるような、そんな大事件だ。

このモラル大手ブランドによる信頼の崩壊は今回だけではない。

つい先日は東芝が粉飾決算で大スキャンダルに陥った。
また東洋ゴムによる免震ゴムの性能改ざん。
しかも事件が落ち着いたら新たに電車の部品などのゴム製品が性能改ざんされていることが判明し、これまた大きな事件に発展しつつある。
日本マクドナルドは鶏肉のずさんな管理で外食の王を転落どころか経営危機にさらされた。

そういえば日本だけではなくフォルクスワーゲンでさえ排ガス処理装置のデータの改竄を大規模に実施していたことが判明。
ドイツという日本と共に「ものづくり大国」を自認する代表的国家の企業がその信頼を失った。
GM、トヨタとの過酷なトップ争いで焦った結果か。
そんなこと消費者には関係ないわけで、ドイツ車のファンはきっと歯がゆい思いをしているに違いない。

ブランドには信頼がある。
あのブランドなら食べても大丈夫。
あのブランドなら買っても品質がしっかりしていて信頼できる。

図らずも今回までの一連の事件はブランドが必ずしも品質を保証してくれるものではないことを明らかにしてしまった。
三井不動産といえば東京ディズニーランドの親会社。
だから信頼していたのに、のディズニーランドも確か数年前にメニュー偽装で大きく報道されたことを記憶の人もいるだろう。

ブランド崩壊。

一体何を信じれば良いものか。
性善説では成り立たない、ブランドではなく、何か文化の崩壊が始まっている気がしてならないのだ。

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )