第一線で活躍してきた実務者の方にとっても 今回の改正での民法知識の入れ替え
などの作業には そうとうなエネルギーを費やさざるを得ないことになっている
と 想像されます
何十年間規準にしてきていて 血となり肉となっていた知識を 入れ替えなければ
ならないのですから
何度か記させていただいていることですが 主に判例によって不都合を指摘
されていたことを明文化しているのが 法改正の契機であるともいえます
例えば 改正の要点を 極くシンプルに 最重要点だけを網羅して全般的
に広く 必要最低限の知識を押さえる という手法もあると思われますが
自身は 削除された条項は何か を 押さえてみる という手法も 範囲に
よってはあるのでは ?
と考え 例えば 実務に直結の<請負>の箇所での 削除条文をまず ホボ
征服することができてから 関連新条項にあたってみるという手法も好いか
な
と 考えたりもしています
削除された主なものは 青字
改正後にあるものは 緑字 です
第9節 請 負 《条文に省略アリ》
・旧634
① 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、
その瑕疵の修補を請求することができる。
ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、
この限りでない。
② 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすること
ができる。この場合においては、第五百三十三条の規定を準用する。
とありましたが
旧634①但書のところは 履行請求権の限界に関しての一般規定であるところの
照らして不能であるときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
[契約の内容に適合しない]ものである場合について
改正後は 562~564条 が準用される(559条)
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、
買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を
請求することができる。
による履行の追完の請求をすることができない。
前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、
その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求
することができる。
ちに代金の減額を請求することができる。
ば契約をした目的を達することができない場合において、売主が履行の追完をしないでその時
期を経過したとき。
ことが明らかであるとき。
規定による代金の減額の請求をすることができない。
前二条の規定は、第四百十五条の規定による損害賠償の請求並びに第五百四十一条及び第五百
四十二条の規定による解除権の行使を妨げない。
解除に関してのあたりは
・旧635
仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約した目的を達することができないときは、
注文者は、契約の解除をすることができる。
ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。
請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡
したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が
種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材
料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請
求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
は、この限りでない。
① 建物その他の土地の工作物の請負人は、その工作物又は地盤の瑕疵について、引
渡しの後五年間その担保の責任を負う。ただし、この期間は、石造、土造、れん
が造、コンクリート造、金属造その他これらに類する構造の工作物については、
又は損傷の時から一年以内、第六百三十四条の規定による権利を行使しなければ
の存在であると理解されますので〕
様に 新知識の登場を受け入れるしかありませんので〔 当然のことですが 〕
とから、業者Bとの間で、その設備を報酬100万円でリニューアルする旨の請負
契約を締結した。
この場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものは何個あるか。
※ 問い方および肢の一部の文言を変えております
ア
AB間での請負契約に係る別段の特約のない限り、Aは、Bがリニューアルの工事
に着手するのと同時に、報酬100万円をBに支払わなければならない。
イ
Bは、リニューアルの工事を完成させるまでの間であれば、いつでもAに生じた
損害を賠償して請負契約を解除することができる。
ウ
Bがリニューアルの工事を完成させるまでの間にAが破産手続開始の決定を受け
た場合であっても、Bは、請負契約を解除することができない。
エ
Bはリニューアルの工事を完成させたがその工事の目的物に欠陥があり、その品
質に関して契約の内容に適合せず、この契約不適合が重要でない場合において、
その修補に過分の費用を要するときは、AはBに対し修補を請求することができ
ない。
ア について
報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に、支払わなければならない。
ただし、物の引渡しを要しないときは、第六百二十四条第一項の規定を準用する。
請負人が仕事を完成しない間は、注文者は、いつでも損害を賠償して契約の解除を
することができる。
注文者が破産手続開始の決定を受けたときは、請負人又は破産管財人は、契約の解除
をすることができる。
ただし、請負人による契約の解除については、仕事を完成した後は、この限りでない。
は 注文者は請負人に対し 目的物の修補・代替物の引渡し又は不足分の引渡しに
よる履行の追完を請求できる(559・562①)
が重要で無いにもかかわらず過分の費用が必要とされる ということで修補は不能
と解される
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであ
るときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡し
による履行の追完を請求することができる。
ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方
法と異なる方法による履行の追完をすることができる。
この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。
ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
債務の履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして不能である
ときは、債権者は、その債務の履行を請求することができない。
請負のところも ナカナカ 複雑そう
ですが コツコツ ひとつでも 確かな知識として持てるよう 条文にあたっていくしかない
ということですが
繰り返しになるところもありますが 極くシンプルに記してしまうと
・請負人の瑕疵担保責任の規定であったもの(旧634・635)を削除して 「契約の内容に
適合しない」ものである場合について売主の担保責任規定を準用するにしている(新562~
564・559)
・修補請求権については 旧634①但書 のような制限の規定を無くして 一般規定(新412
の2)に基づいての判断をする
・契約不適合を理由とする解除も 一般規定(新564・541・542・559)によることに
なり 旧635本文は必要なくなったし 「建物その他の土地工作物の瑕疵においての解除制限」
は 妥当性がない ということで削除された
・559条で準用されるので 報酬減額請求も認められる場合があるようになった(563)
・注文者がその不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは 注文者は救済
を受けることができないこととされた(新637①) ので旧638・639は削除された
ということ です
が
受験者の方は特に 必ず 六法にあたるように お願い申し上げます
〔 つい 欲張って ? ひとつでも多くの知識を ということで 整理不足
(力が足りなくゴメンナサイ)で記すことの出発進行をしてしまっている面
があったりしてしまって
スミマセン 〕