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〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

率ではなく 遺留分の実際の額を知りたい〔Ⅱ〕

2021-06-18 | 行政書士 〔相 続 : 遺言〕

:::前回の続き です:::

 

本日の最後になりますが

『・・おおよその率での説明というようなものじゃなくて どれほどの侵害を受けて
 いることになるのか 実際の金額で できる限り具体的に示して欲しいのですが?』

という相談者さんには できる限りシンプルに と言われたとしても

遺留分侵害額を求める計算式》

遺留分侵害額  (遺留分額)(遺留分権利者が受けた特別受益の額・遺贈額)

               -(遺産分割の対象財産がある場合{既に遺産分割が終わって
                 いる場合も含む}には遺留分権利者の具体的相続分〔ただ
                 し寄与分による修正は考慮に入れない〕に相当する額

               +(被相続人に債務がある場合には その債務のうち遺留分権
                 利者が負担する債務の額

    ※ 1042条に規定の遺留分から1046条2項の1・2号の額を控除し3号を加算

 

を 実情を伺いながらの計算をしつつ 説明させていただくことになってしまいます

遺留分侵害額というものは 遺留分に相当する財産を受け取れないでいる場合の その不足額

を意味するものです

ということなので 

生前贈与を受けている場合・遺産分割での取得額がある場合には 侵害されている額を算定する

際に それらの額を控除するということ

それと 遺留分の額は 遺留分権利者に最終的に残る額をも意味しています

なので 

被相続人に債務があって遺留分権利者がその債務を継ぐ場合には 遺留分権利者がその債務を弁

済した後に遺留分に相当する財産が残るようにする必要があります

相続債務を支払った後に最低限の取り分(遺留分)を確保することができるようにするということ

 

 
シンプルに 
ということであっても どうしても ナカナカ 説明に時間を要してしまいます


 第九章 遺留分
(遺留分の帰属及びその割合)
第千四十二条 

兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための
財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額
を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一

二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一

 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百

一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

(遺留分を算定するための財産の価額)

第千四十三条 
遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価

額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とする。

第千四十四条 
贈与は、相続開始前一年間にしたものに限り、前条の規定によりその価額を算入する。
当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、一年前の日より
前にしたものについても、同様とする。

3 相続人に対する贈与についての第一項の規定の適用については、同項中「一年」とある

のは「十年」と、「価額」とあるのは「価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本
として受けた贈与の価額に限る。)」とする。

 

遺留分侵害額の請求)

第千四十六条 

遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分
の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害
額に相当する金銭の支払を請求することができる

2 遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を

控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。

一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額

二 第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分

に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額
                 ※ 法定相続分ではなく具体的相続分
                   を前提に遺留分侵害額を算定する
                   (寄与分による修正は考慮しない)
                   < 904条の2の規定
                     は引用していない > 
三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留

 分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額

                  ※ 1046条2項は
                    債務が存在する場合

                    【遺留分の侵害額は、遺留分額から、遺留分権利者が

                    相続によって得た財産の額を控除し、同人が負担する

                    相続債務額を加算して算定する(最判8・11・26)

                    との判例に影響を受けての法文化と理解される】

(特別受益者の相続分)

第九百三条 

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計
の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価
額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定に
より算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分
とする。


 

 

ということで遺留分に関すること また 折をみて記させていただくことにしたいと思います
本日は 行政書士実務 ・ 行政書士受験者などを中心の記事となっています
が 
マンション管理士試験の相続関係にはゼッタイに出そうもない ということ
でもないのでは とも考えられます  

 

・・ゴメンナサイ 長くなってしまって・・

 

 本日の箇所というか範囲については特に 自身も 学習を増やさなければと思っています
〔論点が尽きないような感じがする部分ですね 皆さんはいかがですか ?〕

 

                        

 


率ではなく 遺留分の実際の額を知りたい〔Ⅰ〕

2021-06-18 | 行政書士 〔相 続 : 遺言〕
 
念のためですが
[認 知]とは 父からだけではなく 母からの認知 という場合も あります

(認知)
第七百七十九条 
嫡出でない子は、その 父 又は 母 がこれを認知することができる。
他意はないので 羅列させていただきますが・・・

嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女を父母として生れた子)
であろうと 
非嫡出子・認知された子
であろうと
養子 であろうと 
最初の妻が婚姻中に懐胎した子 であろうと
それから何十年後の認知の子 であろうと
5日前に養子縁組をしたばかりの子 であろうと
同地位で 法定相続人の位置につくことになります
 
当然すぎることを あえて記しますが 子とは対照的に ? 配偶者の位置にあった者
が幾人であろうとも 被相続人死亡時の配偶者
だけが 法定相続人
 
配偶者と子の場合 財産の価額(被相続人が相続開始の時において
有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の
全額を控除した額)の2分の1が 遺留分 となります
これが総体的な遺留分<下記に式があります>となり
それに 各自の法定相続分をかけると各自の個別的な遺留分が掴め
ることになります
 
遺留分を求める計算式》
  遺留分  =( 遺留分を算定するための財産の価額 
                  ×
                2分   ※ 直系尊属のみが相続人の場合3分
                  ×
         ( 遺留分権利者の法定相続分の割合 ) 
 
 法定相続分(配偶者と子の場合) 
 配偶者は 
2分の1   各々の子は 2分の1 ÷ 人数
 配偶者の遺留分は 2分の1 × 2分の1 = 4分の1

                                 
<下記に式があります> の 式
遺留分を算定するための財産の価額を求める計算式》
  遺留分を算定するための財産の価額 
          (相続開始時における被相続人の積極財産の額) 
                   
           (相続人に対する生前贈与の額<原則10年以内>)
                   
           (第三者に対する生前贈与の額<原則1年以内>)
                   
              (被相続人の債務の額)
 
   

相続人が 配偶者と兄弟姉妹のみである場合には 配偶者の相続分は4分の3
(900条3号)
で 兄弟姉妹に遺留分制度
( 亡くなった者の相続財産の一定割合を一定の法定相続人に保障する制度 )
は適用されない

例えば 
配偶者Bと 被相続人Aの妹Cだけである場合で 2000万円の土
地を 
知り合いの第三者Dに遺贈(遺言による贈与)し その他の相続財産はない という場合
は ①②のどちらの計算によって に遺留分侵害額請求をすることができるのか ?    
750万円 でなのか それとも 1000万円でなのか

 ① 2000万 × 2分の1 × 4分の3 =  750万   
 ② 2000万 × 2分の1 × 1    = 1000万 

改正担当の方あたりの ? 説明は 

1042条2項の 相続人 が数人ある場合 というのは
遺留分を有する相続人 が数人いる場合 という趣旨である

とすると 相続人が 配偶者と兄弟姉妹だけである場合には 兄弟姉妹は遺留分
を有しないのだから 相続人が数人ある場合 ではないので 1042条2項
適用はないので ① の式ではないという

できる限り 遺留分に関する規律を平易にかつ簡明に ということのはずだった
のに ナンダカなー と 思ってしまった

2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百
一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

とあるが 相続人が のところを

遺留分権利者が数人ある場合> とか 1項の文言を使用しての
 
兄弟姉妹以外の相続人が数人ある場合>

とかとすると 少しでも 曖昧さが減るのでは と 思われたのだが ・・・

改正後の文言にせざるを得なかったというような事由がどこかに在ったのだろうか ?
それとも 異なった解釈をするなどとは思いもつかないことで 別に支障はないことだ

ろうとの理解をなされた結果なのだろうか ? 

相続人が 数人ある場合 という文言では とにかく 相続人が なので①の式を想定し

てしまう相談者の方がおられても無理もないかな ? と思われてしまうのだが・・・
自身も どうして この文言で法律議案が通ってしまったのか ? 不思議でならなかった

(改正前の1028条⇒〔遺留分の帰属及びその割合〕が 明らかでないところがあったり
したので そうした意味もあったりしての
改正だと思っていたので)


それと 改正前の 1030条は 遺留分を算定するための財産の価額に含める生前贈与
については 相続開始前の一年間にしたものに限っていたりしたので 判例や実務では 

これは相続人以外の第三者に対しての贈与の場合のことであって 相続人に対しての贈与
では 婚姻や養子縁組のためや生計の資本としての贈与を考えたとき そのタイミングに
よって 不公平になったりする
( 相続開始前10年前の婚姻や養子縁組
のための贈与
 < 持参金とか支度金 > 
 と 
 生計の資本としてなされた10か月前の贈与
 < 独立資金など >
とで 異なる扱いをするということになってしまう)
ので 一年間などと
いう時期は問わないことを原則にしてその全部を財産の価額に入れる
べき
していた

 ということは 相続開始前のものならば相続人である子への贈与は例え30年

も前のものであろうとも
計算に入れなければならない・・つまり 遺留分額を算定す

るための財産の価額が増えるということになる )

そうすると 第三者である受遺者や受贈者は 予想もしていなかった損害を受けること

にもなってしまう(遺留分額を算出するための財産の価額に加わるということは 遺言

よる贈与を受けた者や生前贈与を受けていた者が相当の金銭の請求を受けることにも

なり得てしまう <第千四十六条>)

そのようなことがあるので 「10年」と期限を付したりの 1044条 が登場した

以前から記しているように 改正前に判例や学説などで指摘されていたところが おお
よそ改正された といえる ということです
(上記のように イカガナモノカ といえそうな改正後の条文も ナゼカ ある と思う
 のですが・・・)

 

〔Ⅱ〕に続きます

 

                                                                             

                                                                               はたけやまとくお事 務 所