能率技師のメモ帳 経済産業大臣登録中小企業診断士・特定社会保険労務士の備忘録

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アフターサービスランキング2014 恒例の好企画・日経ビジネス誌特集「クレーム上等!」はCS研究に必須

2014年11月02日 | マーケティング

日経ビジネス誌恒例の「アフターサービスランキング2014」。

同誌2014.11.3号で紹介されています。


今週号の特集は、「クレーム上等!またアマゾンで買ってしまうわけ」。

タイトルがいいですね。

「じょうとうだぜ!」とエクセレンスをかけた「上等」。

なかなか記者のセンスを感じさせます。


今でも多くの企業は、クレームを「臭いものにはフタ」と捉えがちですが、伸びている企業、業績の上がってくる企業は、コールセンターを最大活用して顧客対応、商品開発、サービス開発等に結びつけているのです。


同特集では、様々な企業が顧客の声、要望、ニーズ等を拾い上げるための施策を展開していることが紹介されています。

アマゾン、WOWWOW、シャープ、コープ神戸・・・の事例、ケースは、CS(顧客満足)の研究、学習に大変役立ちます。

 

そういえば、昨年、DEODEOで買ったシャープの液晶テレビが故障。

廃棄して新しいテレビを買おうかなと考え、電話したところ、丁寧な対応で故障を修理。

再設置までしていただきました。

まさに「真実の瞬間」。

おそらく、今後も家電関係は、DEODEOで買い、シャープの製品を使い続けることだと思います。

顧客接点は、それぐらいのインパクトを持っていると思います。

今回のランキングでも、2社の社名がランキングされており、なんとなく信頼感が高まります。

 

お客さんの声が直接届くコールセンター。

その多くが厳しい声、クレームだと思います。コールセンター業務についている人々も凄いストレスだと思います。

ただ、その対応次第でお客さんのライフタイムバリュー(LTV)を瞬時に掴めるかもしれないのです。

経営サイドもコールセンターをコストとしてとらえるのか、投資としてとらえるのかによって、

企業の競争力は大きく異なると思います。

 

今年、日経ビジネス誌の編集長が変わり、どちらかというと個別企業の特集(花王、東レなど)が多かったのですが、

今回の特集は、日経ビジネス誌らしい久々のヒットだと思います。

おそらく若手の記者、女性記者を起用しての企画だったのかもしれません。

わたし自身、30年近く日経ビジネスを購読しているのですが、この「サービスランキング」特集は最も好きな特集記事です。

このサービスランキングは、「アフターサービス満足度調査」ということで日経BPコンサルティングのインターネット調査システムを使い、今年7~8月に実施されたもの。

有効回答数は、1万6421人。

平均年齢50.9歳、女性比率21.4%、関東51.1%とのことです。


今年の特徴は、ITC系の企業がさらに強くなったように思います。

システムとコールセンターを駆使して個別にお客様対応していく・・・そんな企業が高い評価を受けているのではないでしょうか?

 

自動車保険

1.ソニー損保

2.セゾン自動車保険

3.富士火災

4.チューリッヒ

5.イーデザイン損保

再契約意向率は、ソニーがダントツ。

14位、15位の全労済、JA共済並のスコアです。

 

銀行

1.ソニー銀行

2.新生銀行

3.住信SBIネット銀行

メガバンクはどうしちゃったんでしょうか。

三井住友銀行7位、みずほ銀行11位です。

 

携帯電話

1.NTTドコモ

2.イーアクセス

3.au

4.ウィルコム

5.ソフトバンク

満足度指数でいくと、SBはドコモの1/3以下。

規模の拡大にサービスが追いつかない状況なのでしょうか。

 

自動車

1.レクサス

2.アウディ

3.メルセデス

4.トヨタ

5.富士重工

6.ダイハツ

7.マツダ

8.日産

9.ホンダ

14.BMW

順当な感じです。

特に、ドイツ勢は、昨年6位、12位から大幅ランクアップ。

レクサスは、満足度指数80.6とぶっちぎりの首位。

再購入意向率も、なんと82%です。

 

薄型テレビ

1.シャープ

2.パナソニック

3.三菱電機

保険、銀行で頑張っているソニー。

本業では四位。

将来、GEのようになってしまうんでしょうか。

 

デジカメ

1.ペンタックス

2.ニコン

3.オリンパス

デジカメ界の巨星キャノンは四位。

 

パソコン

1.エプソンダイレクト

2.アップル

3.パナソニック

4.東芝

今回首位に立ったエプソン。

一度試してみたいです。

 

スマホ

1.アップル

2.シャープ

3.ソニーモバイル

順当なランキングだと思います。

 

家電量販店

1.ケーズデンキ

2.上新電機

3.ヨドバシカメラ

4.EDION(DEODEOほか)

 

ネット通販

1.セシール

2.ジョーシン

3.ニッセン

 

サービスは、人間の力によって産みだされるものです。

サービスの特徴である「無形性」「生産と消費の同時性」「在庫できない」「品質維持が難しい」といった性格を把握し、

本業の中で、顧客との関係性をどうするかということを明快に打ち出していくことが重要であると思います。


そして、ITの活用。

どこまでハイタッチなテイストを出せるかが勝負です。


最大のポイントは経営陣のスタンス。

ウォークアラウンド・・・現場に行き、現場を励まし、共にお客さんと対峙し、共に課題解決に向けてのマネジメントを行っていくこと。

コールセンターは、単なるクレームの処理部署ではなく、ましてやコストではなく、顧客のニーズ、ウォンツ、要望、期待、希望を捕まえる「場」であるととらえ、マネジメント行動をとっていくことが重要だと思います。


そういった意味では、伝統ある大手企業は、一歩間違えると若い企業に、後ろからブスリということにもなりかねないと思います。

今回のアフターサービスランキングでも、かなりそのような傾向があります。

アフターサービスランキングで、企業競争力の原点である顧客との接点を再認識した次第です。


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