友人の診断士に、パソコンを使って何でも定量分析するオタク(失礼!)がいます(笑)。
飲み屋でもパソコンでお気楽データ分析。
すごいスキルです。
小職自身も中小企業診断士試験の時に、多変量解析の基礎の基礎をかじったことはあるのですが、しょせん文系。
理系の彼には太刀打ちできません。
それゆえ、数字の羅列をちらりと見て文系感覚でトレンドを意見、彼の解析結果とそれほど違わないことに、「やっぱり、メタ分析では人間の方が上だよね。」と苦言。
まさに劣等感の裏返しです(笑)。
大学院の時も、指導教授から「社会調査」の専門書をいただき、事実に近づくためのさまざまなツール、方法論について習得するよう指導が入りました。
が、これも逃げまくり(笑)。
歴史調査という教授に言わせると「砂を噛むような地道な努力」の世界に入り浸ったという暗い過去もあります。
そんな文系人間にとってみると、データサイエンティストなどという人たちは、まさに天才。
若い人の言葉で言うと・・・「神」と言うのでしょうか。
3つも、4つもデータをパソコンに放り込み、データマイニング。
売上数量、売上単価、気温、季節、時間、店舗立地などのデータを打ち込み、専用ソフトで最後、リターンキー。
文系にはわけの分からない解析結果が出てきます。
彼に言わせると専用ソフトを使わなくても、かなりの部分、Excelで出来ることがあるそうです。
なるほど・・・。
「武器としてのデータ分析力 データサイエンティストの未来を予測する技術」
中西達夫・畠慎一郎著
日本実業出版社 1600円+税
同書は、データマイニング、ビッグデータの基本から丁寧な解説した初心者向けのの入門書。
もちろん、文系でも読めます(笑)。
著者によると、データ分析には、探索型データ分析と目的型データ分析の2つしかないという解説からスタートします。
目的型データ分析・・・回帰分析などの予測、コンジョイント分析などの要因発見
探索型データ分析・・・ポジショニングマップ(因子分析、コンスポンデンス分析)、分類(グループ化、クラスタリング)
何を知りたいのか、今あるデータから何が言えるのかといった目的の設定が大切とのこと。
データマイニングやビックデータ分析も同じことが言えるとのことです。
ITの進展により、データ量が劇的に増大したこと、分析コストが低下したことにより、データ分析のジャンルがスポットライトを浴びるようになったと解説しています。
目次
第1章 ビジネス成功の必須ツール それがデータ分析だ
第2章 データ分析には手順がある
道具1 ヒストグラム
道具2 確率分布
道具3 散布図と相関
道具4 クロス集計表とカイ二乗検定
道具5 因子分析
道具6 クラスタリング
道具7 回帰分析
第3章 分析に取り掛かる前に知っておきたいこと
第4章 データ分析の第一ステップ「データの把握」
第5章 探索型データ分析で成果を上げるために
第6章 目的型データ分析で予測のプロになる
第7章 データ分析を自社の武器にするために
今から統計学を学ばれようとする人には、いきなり統計学の専門書ではなく同書で全体像をつかむことが有効だと思います。
特に第二章の七つの道具の解説はとても分かりやすく役立つパートです。
さらに、有名な紙おむつとビールの話から、ビッグデータの基礎についてもやさしく解説されています。
そして、
同書のまとめでは、データを活用するポイントにふれています。
1.データ分析が目的ではない、目標達成の一部である
2.分析は一度きりではなく、時間をかけて継続すること
なるほどです。
できれば触れたくない統計学(笑)が身近に感じられる一冊でした。
文系人間にお奨めの一冊です。