今、世界の経済が大きな転換期にあるように思います。
米国は、中間選挙の年。
予想どおり米国経済指標は、いい感じで推移しています。
しかしながら、景気好調の米国で与党民主党が大敗、オバマ大統領もあと2年半、レームダック状態。
オバマさんは、再選もないため、どうするんでしょうか?
中国は、不動産バブルが崩壊気味の状態。
格差問題、人権問題などの内政問題を抱えています。
日本は、1000兆円を超える国家財政破たん気味の状態。
年金、税金・・・先細る次世代へ先送りの様相を見せています。
欧州では、堅実財政のドイツ一人勝ち状態。他国の財政は、かなり厳しい状況。
ディカップリング・・・
先進国がダメでも新興国や発展途上国の隆盛で世界経済をカバーできるという意味らしいのですが、
どうやらディカップリングも方程式どおりにはいなかいようです。
そんな中見つけた一冊。
なかなか面白い分析でした。
「2030年の世界経済 新興国と先進国 共同リーダーシップの時代」
イワン・ツェリッシェフ著
NTT出版 2500円+税
著者のイワンさんは、新潟経営大学教授。
フランス通信やテレビ局のコメンテイター、ライターを務めた国際派。
英語、日本語、ロシア語で300冊以上の著作があるとのことです。
目次
第1章 激変する世界経済の勢力図
第2章 先進国の経済が低迷しても新興大国の経済は伸びる
第3章 新興大国のコンディション
第4章 新しい世界経済の兆候
同書では、新興国と先進国という2つのカテゴリーの相互の影響という文脈の中で進んでいきます。
先進国は、G7。
アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、日本。
新興国は、BRICSに4か国を加えたE9。
ブラジル、ロシア、インド、中国+ベトナム、フィリピン、バングラデッシュ、ナイジェリア。
E9のEとは、emerging=新興。
1980年に世界の総GDPにおける先進国のシェアは75.4%あったものが、2012年には61.8%と15%も低下。
著者の予測によると2030年までに、先進国と新興国・途上国の経済力のバランスは逆転するとのこと。
さらに、悲観的なシナリオでは、その差異は、2.5倍になるかもしれないとのことです。
また、産業別では、次のような予測をしています。
・製造業・・・新興国と先進国の分業の進化
・繊維とアパレル・・・中国プラスアルファの構図
・電子機器・・・中国はダントツ首位
・機械と自動車・・・生産は新興大国、輸出は先進国がリード
・素材・・・先進国が生産も輸出もリードする製品が残っている
・農業と鉱業・・・新興大国の優位
・サービス・・・先進国の優位
・金融力・・・米・英・日はリード 中・ロは金融大国へ
著者は、さらにグローバル価格とグローバル賃金の形成にも触れています。
先進国と新興国の生産コストの差が縮まり、コモデティは世界的に同じ価格帯に入っていく・・・、
そして、工業生産は再び先進国に回帰していくという構図になると予測しています。
さらに「本物効果」・・・技術力、品質管理力、ブランド力はグローバルで大きなパワーを発揮するとしています。
政治と経済は切り離せない関係にありますが、
2030年までの間は、経済主導型、新旧の経済大国によるリーダーシップによる牽引がメインになるようにも思えます。
グローバル経済について、今一度、アタマ再整理したい方にお奨めの一冊です。