正月は、たくさんの本を読むことが出来たインプット充電期でした。
珈琲片手に、大好きな本に目を通す・・・まさに至福のひと時です。
そんな中、積読だった本から、楽しい一冊を「発掘」しました。
そんな中、積読だった本から、楽しい一冊を「発掘」しました。
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世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?経営におけるアートとサイエンス
山口周著 光文社新書 760円+税
山口周著 光文社新書 760円+税
この本は、2018年「日本の人事部」HRアワード書籍部門で最優秀賞受賞、ビジネス書大賞2018で準大賞を受賞した一冊。
著者は、大学院美術史学専攻修士課程を修了後、電通、ボスコン等を経て、コーンフェリー・ヘイグループでシニアクライアントパートナーを務める実務家。
リベラルアーツの世界からコンサルティング会社に入った異色のビジネスパースンです。
同書では、いきなり「忙しい読者のために」と題し、同書の3つのポイントを前半部分で要約しています。
ちょっとセッカチというか、スピード感のあるビジネスパースンの仕事ぶりが垣間見えます。
従来のビジネスは、3つの環境変化によって機能不全に陥りつつあると指摘します。
従来のビジネスは、3つの環境変化によって機能不全に陥りつつあると指摘します。
1.論理的・理性的な情報処理スキルの限界が露呈しつつある
2.世の中の市場が「自己実現的消費」へと向かいつつある
3.システムの変化にルールの制定が追いつかない状況が発生している
つまり、MBA的な分析的、科学的アプローチだけでは、ビジネスのマネジメントが出来なくなりつつあると論理的な解説を展開していきます。
確かに、そのとおりだと思います。
そして、著者の述べる「美意識」こそが、その隘路から抜け出す鍵だとします。
目次
第1章 論理的・理性的な情報処理スキルの限界
第2章 巨大な自己実現欲求の市場の登場
第3章 システムの変化が早すぎる世界
第4章 脳科学と美意識
第5章 受験エリートと美意識
第6章 美のモノサシ
第7章 どう「美意識」を鍛えるか
第1章 論理的・理性的な情報処理スキルの限界
第2章 巨大な自己実現欲求の市場の登場
第3章 システムの変化が早すぎる世界
第4章 脳科学と美意識
第5章 受験エリートと美意識
第6章 美のモノサシ
第7章 どう「美意識」を鍛えるか
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ミンツバーグ教授が、以前展開したMBA批判。
経営を「アート」「サイエンス」「クラフト」の3つから構成されているととらえ、MBAは「サイエンス」に重点を置きすぎており、人間の営みとしての「経営」をダメにすると主張。
著者の山口さんは、このロジックをさらに掘り下げて、「サイエンス」「アカウンタビリティ」に利き足を置くマネジメントには課題が多いと指摘します。
経営を「アート」「サイエンス」「クラフト」の3つから構成されているととらえ、MBAは「サイエンス」に重点を置きすぎており、人間の営みとしての「経営」をダメにすると主張。
著者の山口さんは、このロジックをさらに掘り下げて、「サイエンス」「アカウンタビリティ」に利き足を置くマネジメントには課題が多いと指摘します。
そこで、登場するのが「美意識」。
欧米のビジネスエリートたちが、哲学や美術などのリベラルアーツの学習をしてきていることを取りあげます。
最近、書店のビジネス書コーナーでも、西洋美術や哲学、ワインやクラシック音楽の本が平積みされているのも、この流れなのでしょう。
ただ、よくよく考えてみると、リベラルアーツの深さと広がりは無限大。
哲学、文学、美術、音楽、ワイン、オペラ、歌舞伎、和歌に能・・・。
極端な話、何十年も学び続けなければ身につかない学問です。
アカウンティングやファイナンス、マーケティングやストラテジーなどは、数年間、集中して学習すれば、そこそこのスキルと知識を身につけることが出来ます。
著者の言うように、学びの順番は、ビジネスからリベラルアーツではなく、リベラルアーツからビジネスという方が効率的、効果的であるように思います。
リベラルアーツ、教養というOSの上に、アカウンティング、ファイナンス、マーケティング、ストラテジーというアプリを乗せることが理想的。
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美意識が身につくと、いや、身に着ける努力、修行をしていると、コンプライスの罠やダークサイドからの誘惑さえ断ち切れると思います。
個人的には、「美意識」というよりは、「美学」「武士道」「志」「論語と算盤」という言葉の方が、しっくりする感じがします。
ビジネスパースンに、一読いただきたいお勧めの一冊です。