あめふる。だから君に、
水無月から文を
はたっ、はたたたっ、
葉を敲く音、やわらかな森の聲。
ひそやかに静かに鼓動ノックする、そうして響く雨の声。
「…あめ、か、」
唇こぼれる言葉、窓こぼれて雨がふる。
ほら?ガラスゆるやかに曇りだす、白く染めあげて消していく。
ほら、景色なんてもう見えない、それでも空の白だけ見あげられる。
「…白い、な、」
空が白い、ガラスも染めて。
真白あざやか窓そめてゆく、空からガラスが白くなる。
白く白く染められて、その一色に指そっとのせた。
つっ、
ガラスが鳴る、なぞる指かすかな音。
白すべらせ指が描きだす、その軌跡あわく外が流れだす。
つぅっ、つつっ、
指なぞる白が消える、緑に黒に、茶色に軌跡えがきだす。
えがきゆく景色に文字がうかぶ、真白そうして言葉が君を呼ぶ。
「読めるか…そこからでも?」
言葉こぼれて君を見る、窓ガラス浮かんだ文字たちに。
真白あざやかなガラス、空つながる白、その先から君は読む?
「返事…聞こえたらいいのに、な?」
ほら、真白の文字に雨がふる。
やわらかな音ふる森の聲、ガラス敲いて文字ぬらす。
濡れてきらめくガラスの言葉、白く曇らせて消えて、それでも僕の聲は枯れない。
はたっ、はたたっ、
雨、あめ、天の聲。
ガラス真白にそめて、言葉が聲が声になる。
真白うかぶ文字その空は白、そこに君がいるのなら。
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創作短編小説:水無月×文月
水無月から文を
はたっ、はたたたっ、
葉を敲く音、やわらかな森の聲。
ひそやかに静かに鼓動ノックする、そうして響く雨の声。
「…あめ、か、」
唇こぼれる言葉、窓こぼれて雨がふる。
ほら?ガラスゆるやかに曇りだす、白く染めあげて消していく。
ほら、景色なんてもう見えない、それでも空の白だけ見あげられる。
「…白い、な、」
空が白い、ガラスも染めて。
真白あざやか窓そめてゆく、空からガラスが白くなる。
白く白く染められて、その一色に指そっとのせた。
つっ、
ガラスが鳴る、なぞる指かすかな音。
白すべらせ指が描きだす、その軌跡あわく外が流れだす。
つぅっ、つつっ、
指なぞる白が消える、緑に黒に、茶色に軌跡えがきだす。
えがきゆく景色に文字がうかぶ、真白そうして言葉が君を呼ぶ。
「読めるか…そこからでも?」
言葉こぼれて君を見る、窓ガラス浮かんだ文字たちに。
真白あざやかなガラス、空つながる白、その先から君は読む?
「返事…聞こえたらいいのに、な?」
ほら、真白の文字に雨がふる。
やわらかな音ふる森の聲、ガラス敲いて文字ぬらす。
濡れてきらめくガラスの言葉、白く曇らせて消えて、それでも僕の聲は枯れない。
はたっ、はたたっ、
雨、あめ、天の聲。
ガラス真白にそめて、言葉が聲が声になる。
真白うかぶ文字その空は白、そこに君がいるのなら。
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