潔白、高みに花を
肌冴える、雪ふくんだ朝。
「今日も寒っ、」
声こぼれて白くゆる。
息つく零下まっ白になる、さくり、一歩が雪埋む。
かかえた洗濯籠に指が痛い、かじかむ凍える、そのくせ空が心地いい。
「いい天気、」
ほら仰いだ空、花が光る。
純白きらめいて青まばゆい、凛々なぶらせ風がゆく。
冷たくて、そのくせ水の気配やわらかに頬ふれる。
「よっ、」
ぱんっ、シャツ翻して干してゆく。
冷風なびくコットン凍てついて光る、ふれる指さき凍えて痛む。
口もと冷たくて、吐息ごと白く揺らいで朝が光る。
「あ、」
朝陽むこう、雪原かなた稜線が光る。
はしる雲に霞むあわい、瞬く銀嶺に鼓動が跳ぶ。
「きれいだね、今日も…」
ほら声になる、今日、佇む背中たどる。
ほら遥かな雲はざま、白銀かすむ境界にあなたを見る。
「…朝ごはん、ちゃんと食べてる?」
話しかけて、声届くわけない。
それでも足もと埋まる零下、この雪たどれば君がいる。
きっと無事で、今。
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2月9日誕生花コブシ辛夷
如月九日、辛夷―trust
肌冴える、雪ふくんだ朝。
「今日も寒っ、」
声こぼれて白くゆる。
息つく零下まっ白になる、さくり、一歩が雪埋む。
かかえた洗濯籠に指が痛い、かじかむ凍える、そのくせ空が心地いい。
「いい天気、」
ほら仰いだ空、花が光る。
純白きらめいて青まばゆい、凛々なぶらせ風がゆく。
冷たくて、そのくせ水の気配やわらかに頬ふれる。
「よっ、」
ぱんっ、シャツ翻して干してゆく。
冷風なびくコットン凍てついて光る、ふれる指さき凍えて痛む。
口もと冷たくて、吐息ごと白く揺らいで朝が光る。
「あ、」
朝陽むこう、雪原かなた稜線が光る。
はしる雲に霞むあわい、瞬く銀嶺に鼓動が跳ぶ。
「きれいだね、今日も…」
ほら声になる、今日、佇む背中たどる。
ほら遥かな雲はざま、白銀かすむ境界にあなたを見る。
「…朝ごはん、ちゃんと食べてる?」
話しかけて、声届くわけない。
それでも足もと埋まる零下、この雪たどれば君がいる。
きっと無事で、今。
辛夷:コブシ、花言葉「友情、友愛、信頼、自然の愛、乙女のはにかみ、愛らしさ、歓迎」
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