萬文習作帖

山の青年医師の物語+警視庁山岳救助隊員ミステリー(陽はまた昇る宮田と湯原その後)ほか小説×写真×文学閑話

雑談寓話:或るフィクション&ノンフィクション@御曹司譚382

2018-09-19 23:14:44 | 雑談寓話
「あのね…御曹司サンは天秤にかけちゃうよねってこと、気づかせようとしてる?」
「別れるか結婚か、っていうのも天秤にかけてるよね?」

なんて問答×新年酒席、
色白きれいな顔ちょっと不穏で、それ以上にその背後が不穏で。

何のツモリなんだアイツ?

っていう疑念を拭いきれない、
って言ったらイジワルになるだろうか?

『なあ、また会ってくれんの?』

なんて自分に言ったヤツが花サンの天秤相手で、
なんて言っちゃうくらいソイツは不確定要素だ?

「天秤かー…トモさんソレどう思ってるの?」

ほら目の前の女の人は訊いてくる、ソンナ「不確定要素」気づいているんだろうか?
気づいているのならモウチョット何とかしてほしいんだけど?
なんて思いながら冷酒と笑った、

「ソレって花サン、率直に言っちゃってもイイワケ?」

ホントに言っていいなら言う、
けれど「ホント」言いきっちゃったら彼女は立ち直れるんだろうか?

『なあ、また会ってくれんの?』

ソンナこと言っちゃう御曹司クンで、
ソンナこと言っちゃった相手は自分で、花サンじゃない。
ソレってようするにドウイウコトなのか、なんてチョット大人なら解るだろう?

解るだろう思った、でも・花サンは訊いた。

「率直に言ってよ、天秤ってなに?」

あーコレまじで御曹司クンには聞かせらんないな?
あー困ったなあ思いながら、事実そのまま笑った。

「花サン憶えてるかな?アイツの元カレの話、」

アイツ=御曹司クン=男、
言うまでもないことだろうけど、男の元カレの話で。
そんな現実の過去に色白の顔ゆるやかに強ばった。

「わすれられないよ、そんなの…」

強ばった微笑が猪口かたむける。
はさんだ刺身に箸つけて、そんな幸福感38%の花嫁(仮)に言った。

「アイツはね、花サン?結婚と別れるのをセットされるのは、アイツにとって反則だから、」

反則だ、御曹司クンにとっては。
だって御曹司クンの古傷はソレだから。

男同士は正式な結婚も子供もできない、

だから御曹司クンは最愛のヒトと別れた、
ソレは男同士で同性愛で現行法律じゃ認められない非公式な関係で、
それでもソンナこと御曹司クンの気持ち消してしまうほどには、絶対的法律でも倫理でもない。
だって150年前の日本はソコラヘンどうだったろう?


ひさしぶり2年ぶり?にこのシリーズ更新ですが・4日連続で、笑
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