雪つもる、遠い時間に春が照る
ナントナク蒸暑いので雪景色を、笑。山里や山間ゆく宿場町が好きです、どこか穏やかな空気にツイ立ち寄ります。
緊急事態宣言が解除といっても×外出自粛で山歩きも自粛だけど・写真で散歩おうち時間、笑
※ここ数年、古民家や洋館・森などでマナー違反撮影が問題になっています。
特にコスプレイヤーさん、家具に無断で座る・寄りかかる等されてることが多く見られます。
インスタバエさんの踏みこみ禁止区域への無断侵入は、草木の芽や根を痛めたり・靴裏についた外来植物の種を散布したりと植生問題に。
カメラで撮影する楽しさは解ります、が、老朽化した建造物を劣化させたり、環境破壊につながる行動は慎んでくださいね。
そうした迷惑行為が増えて→最近ホント注意看板が増えてしまい、元から撮影していた人間にとっては迷惑きわまりないです。
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街角点景:根場の里2018
ナントナク蒸暑いので雪景色を、笑。山里や山間ゆく宿場町が好きです、どこか穏やかな空気にツイ立ち寄ります。
【撮影地:根場の里2018.2】
緊急事態宣言が解除といっても×外出自粛で山歩きも自粛だけど・写真で散歩おうち時間、笑
※ここ数年、古民家や洋館・森などでマナー違反撮影が問題になっています。
特にコスプレイヤーさん、家具に無断で座る・寄りかかる等されてることが多く見られます。
インスタバエさんの踏みこみ禁止区域への無断侵入は、草木の芽や根を痛めたり・靴裏についた外来植物の種を散布したりと植生問題に。
カメラで撮影する楽しさは解ります、が、老朽化した建造物を劣化させたり、環境破壊につながる行動は慎んでくださいね。
そうした迷惑行為が増えて→最近ホント注意看板が増えてしまい、元から撮影していた人間にとっては迷惑きわまりないです。
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その季節に永遠を、
永遠の花、初夏×Ben Jonson
A lily of a day
Is fairer far in May,
Although it fall and die that night―
It was the plant and flower of Light.
In small proportions we just beauties see:
And in short measures life may perfect be.
ただ一日の百合は
初夏のなか永遠に美しい
たとえ夜に枯れ落ちる命でも、
それは草木の命で光の花
その小さな調和に正しい美を見、
その短い旋律に全うした命が謳う
「May」は5月と訳す事が一般的ですが、英語「May」が指す時期は=5月中旬~6月中旬の初夏なのでソッチで
緊急事態宣言が解除といっても×外出自粛で山歩きも自粛だけど・写真で花見散歩おうち時間、笑
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初夏×ベン・ジョンソン「It is not growing like a tree」
永遠の花、初夏×Ben Jonson
A lily of a day
Is fairer far in May,
Although it fall and die that night―
It was the plant and flower of Light.
In small proportions we just beauties see:
And in short measures life may perfect be.
ただ一日の百合は
初夏のなか永遠に美しい
たとえ夜に枯れ落ちる命でも、
それは草木の命で光の花
その小さな調和に正しい美を見、
その短い旋律に全うした命が謳う
【引用詩文:Ben Jonson「It is not growing like a tree」抜粋自訳】
「May」は5月と訳す事が一般的ですが、英語「May」が指す時期は=5月中旬~6月中旬の初夏なのでソッチで
【撮影地:奥多摩2019.6】
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ある朝から、
第86話 花残 act.13 side story「陽はまた昇る」
水かぶる習慣ついたのは、君のため。
「っは…」
呼吸ひとつ飛沫かすめる、額あげて髪が滴る。
かきあげる指きらきら冷たい、頬つたう肩はじく、目覚める。
「…ふ、」
息吐いて見ひらいて、光いくつも瞳孔を敲く。
無数の水滴くるむ視界ほほえんで、英二は蛇口を閉じた。
―すっきりしたな、酒も、頭も、
つたう雫に醒めた頬、かるく振って天井あおぐ。
寮の浴室ひろい蛍光灯の壁、夕闇の壁が映りこむ。
『佐伯くんは山ヤのサラブレッドだよ、だからこそ許せないのかな?尊敬と軽蔑は紙一重だし、』
あの壁で「ザイルが」たわんだ、その理由。
あの理由は軽くない、それを告げた声も軽い男ではないだろう?
―浦部を好きになったわけじゃない、でも信頼はできるか…
思案めぐらす扉ひらいて、脱衣場に肌を拭う。
タオル擦るごと言葉ひとつ、記憶ひとつ、描かれていく。
『僕に営業しても無意味だ、そんなやつザイルの信頼できないだろ?』
奥多摩の雪嶺、遭難現場で告げられた言葉、視線。
あの眼が昨夕も自分を見た、訓練場の壁ふきぬける夕闇、まっすぐな瞳ただ静かだった。
『宮田さん、このあいだの続きしよう?』
まっすぐな瞳は酒席でも同じだった。
静かに逸らさない視線、哂うような笑っているような眼。
初対面の夜も同じだった、雪焼さわやかな明朗な笑顔で、けれど静かな眼。
―笑っても底が見えない眼なんだよな…光一だけには違ってたけど?
佐伯啓次郎、あの静かな眼が唯一ほころぶ相手。
そのザイルパートナが自分だった現実に「許せない」のだろうか?
『崇拝までイッたのは、あの大会のあの言葉らしいよ。その前から佐伯くんは憧れてたから尚更だろうな、』
佐伯が憧れた男、その男がザイルを組んだのは自分。
そして退職させてしまったのも自分だ。
「…恨まれてあたりまえ、だろうけど?」
ひとりごと微笑んで、シャツのボタン留める。
締めるベルトなめらかなコードバンの光沢、つい笑った。
『宮田くんは東京だなあって感じだよ、それが佐伯くんをイラつかせるのかもな、』
こんなシャツ、こんなベルト、きっと「イラつかせる」だろう?
予想つい笑いながら自覚する、自分も大概に大人げない。
ー我ながら東京って感じだよな?
ふりむいた鏡、紫あわいシャツに白皙が映える。
濡れた髪はダークブラウン深い、髪色にベルトが映える。
脚のびやかなスラックスはネイビーブルー落着く、どれもが「安くない」だけ大人げない。
『ああいう意見は都会出身のエリートに多いんだ、だから佐伯くんは宮田くんもあっち側と思ってる』
先輩の指摘は多分、正解だろう?
そして自分の本性だと自覚している、だから誤魔化すよりも。
「これが俺だな?」
鏡に微笑んで髪かきあげて、衿元に革紐たぐる。
黒い紐さき結わえた金属、ひとつの鍵に微笑んだ。
「こんな俺でも…かえられるか?」
鍵ひとつ、にぶく光が燈る。
あの家の扉をひらく鍵、そして秘密も開いた。
それから過去を。
『友人になってくれたらと思ったのは事実だ、あんな孤独は哀しすぎる、』
昨日、ひとりの警察幹部が言ったこと。
警察官ではなく、ひとりの男の言葉だった。
―蒔田さんは馨さんのことを本気で哀しんでいる、周太のことも、
友人になってくれたら、それは蒔田の真心の願いだろう。
けれど「自分」を選んだことは、それだけが意図だろうか?
『鷲田君が警視庁を受験したとき、宮田次長検事のお孫さんだと話題になったよ。司法試験を首席合格している君が何故だろうとね?』
昨日、蒔田は「鷲田君」と自分を呼んだ。
まだ公にしていない姓、その意味を知った今この自分に何を願う?
―普通に考えたら検察とのパイプだ、それを蒔田さんが利用したい理由は…何だ?
めぐらす考えに鍵あわく光る。
この鍵めぐる過去と今と、この先は何があるのだろう?
がたん、
めぐる考えと扉を開けて、まだ廊下ほの暗い。
けれど間もなく明けるだろう?時間感覚きざみゆく無音の回廊、ガラス窓の夜が明ける。
デスクライト照らすページ、朱色あざやかに染めていく。
朝陽やわらかなテキストの隅、ペン先こつり顔を上げた。
―6時半か、
夜明から1時間、3月終わりの今ならそれくらい。
時間感覚と見た左手首、文字盤の針にテキストを閉じた。
たん、
軽い紙音に閉じられたページ、表紙いくらか古ぼけた。
もう何度このページ繰ったろう?
重ねた時間に微笑んで、英二は立ちあがった。
「晴れかな、」
ひとりごと寮室の窓、太陽がガラスを透る。
雨の心配はないだろう、予想と空を仰いだ。
「っん…」
腕つきあげ伸びをする、背骨から肩甲骨ひろがらす。
絡めた指先しなやかに伸びて、けれど小指ひとつ感覚がない。
―右の小指だけ変だ…あれからずっと、
右手左手、左右の小指からめている。
けれど右だけ触れる感覚がない、長野の現場から後は。
―普段は気にならない、でも山では…冷えたら動きづらいかもしれない、
小指の感覚ひとつ、日常生活で困ることは少ない。
それでもクライミングには影響がある。
―やっぱり吉村先生に診てもらうか、
腕ゆっくり伸ばしながら指ひとつ、ひとつ確かめていく。
肺ひろやかに息吐いた背、かすかな気配に口もと笑った。
『都会のぼっちゃんが、ファッション登山でカッコつけに来たかあってさ、』
昨夜の声は、発言者だけの感情じゃない。
その気配が壁むこう動いて、英二は踵返して扉ひらいた。
かたん、
同時ほら?隣の扉も開く。
そして現れたジャージ姿に英二は微笑んだ。
「おはようございます。佐伯さん、二日酔いですか?」
笑いかけた先、見返してくる眼すこし赤い。
昨夜の酔い微かに残っている、そんな眼が瞠かれてすぐ顰めた。
「おはようございます」
抑揚ない言葉どこも「愛想」かけらもない。
そのまま隣の扉がたん閉まって、予想どおりな反応に口もと笑った。
こんな自分でも君、笑ってくれるだろうか?
※校正中
(to be continued)
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英二24歳3月末
第86話 花残 act.13 side story「陽はまた昇る」
水かぶる習慣ついたのは、君のため。
「っは…」
呼吸ひとつ飛沫かすめる、額あげて髪が滴る。
かきあげる指きらきら冷たい、頬つたう肩はじく、目覚める。
「…ふ、」
息吐いて見ひらいて、光いくつも瞳孔を敲く。
無数の水滴くるむ視界ほほえんで、英二は蛇口を閉じた。
―すっきりしたな、酒も、頭も、
つたう雫に醒めた頬、かるく振って天井あおぐ。
寮の浴室ひろい蛍光灯の壁、夕闇の壁が映りこむ。
『佐伯くんは山ヤのサラブレッドだよ、だからこそ許せないのかな?尊敬と軽蔑は紙一重だし、』
あの壁で「ザイルが」たわんだ、その理由。
あの理由は軽くない、それを告げた声も軽い男ではないだろう?
―浦部を好きになったわけじゃない、でも信頼はできるか…
思案めぐらす扉ひらいて、脱衣場に肌を拭う。
タオル擦るごと言葉ひとつ、記憶ひとつ、描かれていく。
『僕に営業しても無意味だ、そんなやつザイルの信頼できないだろ?』
奥多摩の雪嶺、遭難現場で告げられた言葉、視線。
あの眼が昨夕も自分を見た、訓練場の壁ふきぬける夕闇、まっすぐな瞳ただ静かだった。
『宮田さん、このあいだの続きしよう?』
まっすぐな瞳は酒席でも同じだった。
静かに逸らさない視線、哂うような笑っているような眼。
初対面の夜も同じだった、雪焼さわやかな明朗な笑顔で、けれど静かな眼。
―笑っても底が見えない眼なんだよな…光一だけには違ってたけど?
佐伯啓次郎、あの静かな眼が唯一ほころぶ相手。
そのザイルパートナが自分だった現実に「許せない」のだろうか?
『崇拝までイッたのは、あの大会のあの言葉らしいよ。その前から佐伯くんは憧れてたから尚更だろうな、』
佐伯が憧れた男、その男がザイルを組んだのは自分。
そして退職させてしまったのも自分だ。
「…恨まれてあたりまえ、だろうけど?」
ひとりごと微笑んで、シャツのボタン留める。
締めるベルトなめらかなコードバンの光沢、つい笑った。
『宮田くんは東京だなあって感じだよ、それが佐伯くんをイラつかせるのかもな、』
こんなシャツ、こんなベルト、きっと「イラつかせる」だろう?
予想つい笑いながら自覚する、自分も大概に大人げない。
ー我ながら東京って感じだよな?
ふりむいた鏡、紫あわいシャツに白皙が映える。
濡れた髪はダークブラウン深い、髪色にベルトが映える。
脚のびやかなスラックスはネイビーブルー落着く、どれもが「安くない」だけ大人げない。
『ああいう意見は都会出身のエリートに多いんだ、だから佐伯くんは宮田くんもあっち側と思ってる』
先輩の指摘は多分、正解だろう?
そして自分の本性だと自覚している、だから誤魔化すよりも。
「これが俺だな?」
鏡に微笑んで髪かきあげて、衿元に革紐たぐる。
黒い紐さき結わえた金属、ひとつの鍵に微笑んだ。
「こんな俺でも…かえられるか?」
鍵ひとつ、にぶく光が燈る。
あの家の扉をひらく鍵、そして秘密も開いた。
それから過去を。
『友人になってくれたらと思ったのは事実だ、あんな孤独は哀しすぎる、』
昨日、ひとりの警察幹部が言ったこと。
警察官ではなく、ひとりの男の言葉だった。
―蒔田さんは馨さんのことを本気で哀しんでいる、周太のことも、
友人になってくれたら、それは蒔田の真心の願いだろう。
けれど「自分」を選んだことは、それだけが意図だろうか?
『鷲田君が警視庁を受験したとき、宮田次長検事のお孫さんだと話題になったよ。司法試験を首席合格している君が何故だろうとね?』
昨日、蒔田は「鷲田君」と自分を呼んだ。
まだ公にしていない姓、その意味を知った今この自分に何を願う?
―普通に考えたら検察とのパイプだ、それを蒔田さんが利用したい理由は…何だ?
めぐらす考えに鍵あわく光る。
この鍵めぐる過去と今と、この先は何があるのだろう?
がたん、
めぐる考えと扉を開けて、まだ廊下ほの暗い。
けれど間もなく明けるだろう?時間感覚きざみゆく無音の回廊、ガラス窓の夜が明ける。
デスクライト照らすページ、朱色あざやかに染めていく。
朝陽やわらかなテキストの隅、ペン先こつり顔を上げた。
―6時半か、
夜明から1時間、3月終わりの今ならそれくらい。
時間感覚と見た左手首、文字盤の針にテキストを閉じた。
たん、
軽い紙音に閉じられたページ、表紙いくらか古ぼけた。
もう何度このページ繰ったろう?
重ねた時間に微笑んで、英二は立ちあがった。
「晴れかな、」
ひとりごと寮室の窓、太陽がガラスを透る。
雨の心配はないだろう、予想と空を仰いだ。
「っん…」
腕つきあげ伸びをする、背骨から肩甲骨ひろがらす。
絡めた指先しなやかに伸びて、けれど小指ひとつ感覚がない。
―右の小指だけ変だ…あれからずっと、
右手左手、左右の小指からめている。
けれど右だけ触れる感覚がない、長野の現場から後は。
―普段は気にならない、でも山では…冷えたら動きづらいかもしれない、
小指の感覚ひとつ、日常生活で困ることは少ない。
それでもクライミングには影響がある。
―やっぱり吉村先生に診てもらうか、
腕ゆっくり伸ばしながら指ひとつ、ひとつ確かめていく。
肺ひろやかに息吐いた背、かすかな気配に口もと笑った。
『都会のぼっちゃんが、ファッション登山でカッコつけに来たかあってさ、』
昨夜の声は、発言者だけの感情じゃない。
その気配が壁むこう動いて、英二は踵返して扉ひらいた。
かたん、
同時ほら?隣の扉も開く。
そして現れたジャージ姿に英二は微笑んだ。
「おはようございます。佐伯さん、二日酔いですか?」
笑いかけた先、見返してくる眼すこし赤い。
昨夜の酔い微かに残っている、そんな眼が瞠かれてすぐ顰めた。
「おはようございます」
抑揚ない言葉どこも「愛想」かけらもない。
そのまま隣の扉がたん閉まって、予想どおりな反応に口もと笑った。
こんな自分でも君、笑ってくれるだろうか?
※校正中
(to be continued)
七機=警視庁第七機動隊・山岳救助レンジャー部隊の所属部隊
第86話 花残act.12← →第86話 花残act.14
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