森友“改ざん”赤木さん妻が財務省に抗議文

2022年07月29日 08時40分36秒 | 事件・事故

2021/12/17(金) 17:31配信 Nippon News Network(NNN)

いわゆる「森友問題」をめぐる財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した、近畿財務局職員の赤木俊夫さんの妻が、財務省に抗議文を提出しました。

赤木俊夫さんの妻・雅子さんが国に損害賠償を求めた訴訟で15日、国は赤木さんの自殺と改ざん作業との因果関係を認め、「認諾」の手続きをとって裁判を終結させました。

このことについて雅子さんは17日、財務省を訪れ、鈴木財務大臣に宛てた雅子さん直筆の抗議文を手渡しました。

赤木雅子さん「2日前に裁判の中で認諾という手続きをとられてしまって、不意打ちのような形で裁判が終わってしまいました。そのことに抗議しにきました」

また、雅子さんは「負けるつもりはない」と話し、今、一番知りたいことは、夫が亡くなった原因と改ざんを最初に指示したのは誰か、なぜやったのかだと訴えました。

 

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“森友改ざん”佐川氏に賠償金“請求せず”

2022年07月29日 08時37分57秒 | 事件・事故

1/25(火) 21:09配信 日テレNEWS

森友学園をめぐる公文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員の妻に国が支払う賠償金について、野党は当時、財務省理財局長だった佐川宣寿氏に請求するよう求めました。これに対し、鈴木財務相は佐川氏に請求はしない考えを示しました。

財務省は、調査報告書で佐川氏が事実上、改ざんを指示したと認定しています。

衆議院の予算委員会で立憲民主党の階議員は、鈴木財務相に対し、自殺した赤木俊夫さんの妻に国が支払う賠償金について、佐川氏に請求するよう求めました。

鈴木財務相「国家賠償法におきまして、国が支払った賠償金につきましては、職員に故意または重大な過失があった時は職員個人に求償することができると規定されていると承知をいたしております。今回の賠償金につきましては、赤木さんが大変厳しい状況に追い込まれてしまった時、当時、業務負担の軽減等、様々対応がなされていたこともありまして、国が個々の職員に対して求償権を有するものとは考えておりません」

さらに、階議員が一部だけでも請求するよう、求めたのに対し、岸田首相は「財務省としては今回は難しいという判断だと報告を受けている」と述べるにとどめました。


赤木さん妻尋問「夫は2度殺された。真実知りたい」 森友改ざん訴訟

2022年07月29日 08時33分59秒 | 新聞を読もう

毎日新聞 2022/7/27 20:44

学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、財務省の決裁文書改ざんを苦に自殺した近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54歳)の妻が、改ざんを指示した佐川宣寿(のぶひさ)・元理財局長(64)に損害賠償を求めた訴訟は27日、大阪地裁(中尾彰裁判長)で結審した。この日行われた尋問で、妻雅子さん(51)は「私は真実が知りたい」と佐川氏らに改ざんの経緯を説明するよう求めた。判決は11月25日。

 雅子さんは法廷で、改ざんを強いられた2017年2月26日以降、赤木さんが精神的に追い詰められていった様子を語った。赤木さんは「内閣が吹っ飛ぶようなことをした」などと後悔を口にし、日ごとに顔色が悪くなった。うつ病と診断され、自殺を止めようとする雅子さんに大声を出して抵抗した。「地獄のような日々だった」と振り返った。

 


戦国武将、虚像と実像

2022年07月29日 08時21分51秒 | 社会・文化・政治・経済

呉座 勇一  (著)

日本人の武将像はいかに変化してきたのか?時代ごとの価値観が浮き彫りに!

妄説、打破!
信長は戦前まで人気がなかった。秀吉は人たらしでなく邪悪だった!?
時代ごとに人物像は変化していた。最新研究による実像に加え、虚像の変遷から日本人の歴史認識の特徴まで解析した画期的論考。

画期的に見える人物像も、100年前の焼き直しにすぎないものが多い。
織田信長は革命児、豊臣秀吉は人たらしで徳川家康は狸親父。明智光秀は常識人で、斎藤道三は革新者、石田三成は君側の奸で、真田信繁は名軍師。
このようなイメージは、わずか数十年前にできたものが実は多い。
彼らの虚像と実像を通して、江戸、明治、大正、昭和と、時代ごとの価値観まで浮き彫りにする!

■光秀=「温厚な常識人」は一冊のベストセラーがつくった。
■油売りでも革新者でもなかった道三
■信長は将軍も天皇も尊重していた
■秀吉の評価ポイントは勤王と海外進出
■江戸時代にも三成肯定論はあった
■幸村は「軍師」ではなく「現場指揮官」だった
■司馬遼太郎の家康論は徳富蘇峰の受け売り!?
■歴史小説・ドラマの源流は“蘇峰史観”にあり!
■「野心家・光秀」はなぜ定着しなかったのか?
■信長の「勤王」こそ「革命」だった!?
■徳川政権への不満が生んだ秀吉人気
■三成忠臣/奸臣論が見落としてきたもの
■超人化していった真田幸村
■賞賛されていた家康の謀略

【目次】
はじめに
第一章 明智光秀――常識人だったのか?
第二章 斎藤道三――「美濃のマムシ」は本当か?
第三章 織田信長――革命児だったのか?
第四章 豊臣秀吉――人たらしだったのか?
第五章 石田三成――君側の奸だったのか?
第六章 真田信繁――名軍師だったのか?
第七章 徳川家康――狸親父だったのか?
終 章 大衆的歴史観の変遷
あとがき
参考文献

 

著者について

●呉座 勇一:1980年(昭和55年)、東京都に生まれる。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。専攻は日本中世史。現在、信州大学特任助教。
『戦争の日本中世史』(新潮選書)で第12回角川財団学芸賞受賞。『応仁の乱』(中公新書)は47万部突破のベストセラーとなった。
『陰謀の日本中世史』(角川新書)で新書大賞2019第3位受賞。他書に『頼朝と義時』(講談社現代新書)、『日本中世への招待』(朝日新書)、『一揆の原理』(ちくま学芸文庫)、『日本中世の領主一揆』(思文閣出版)がある。
 
 
呉座先生の本をいくつか読んでいます。
氏の本の特徴に、歴史がどう語られてきたかのパターンをひとつ示し、それを繰り返し立証していくスタイルがあると思います。たとえば唯物史観や陰謀論の類型などです(ちなみにもうひとつは『実像』を教えてくれる系で、こっちは『頼朝と義時』などが該当します)。

今回の『戦国武将、虚像と実像』が提出する歴史の語られ方は「その時々の支配的な価値観によって、大衆的歴史観が創造される」というものかと思います。戦国時代の武将を取り上げて歴史観の変遷をたどる議論に、わたくしは説得されました。
 
 
 
戦国武将をテーマにした娯楽を江戸時代から変遷を追うユニークな視点での本。

近代以前は史実は曖昧なまま、歴史創作が娯楽として消費されてきた。娯楽のみとしてではなく、そこから道徳的教訓を得ようとし、その道徳には多分に社会の空気に影響されてきた。史実の正確さよりもその時代の価値観の代弁者として戦国武将は利用されてきたと筆者は検証していく。

信長、秀吉、家康の三英傑ですらその時代の価値観により、評価は乱高下し利用されてきた事を明らかにしていく。

専門家ではない我々が歴史に触れるのは、ほとんどが娯楽作品である。小説はもとより、ゲームや漫画のキャラクター設定も遡れば別の創作、例えば司馬遼太郎の創作に影響され、その司馬遼太郎もまた過去の創作から引用、影響を受けている。

終章で筆者は「本書を通じて、時代の価値観が歴史観、歴史認識をいかに規定するかという問題に関心を持っていただけたのなら、著者としてこれに勝る喜びはない。」という。

歴史小説を全ての史実だとして読む人はいないだろうが、かと言って、どこまでが史実でどこからが脚色かなんて専門家でもない我々は判断できない。

つまりは、娯楽消費者の我々も歴史娯楽から一定の距離をとることが必要なのだろう。

とはいえ、一読した感想では、筆者はそういう娯楽を完全に否定しているわけではなく、一部の作品の描写力を認めている。あくまでも、距離の取り方さえ間違えなければ良いのだろう。

歴史コンテンツの歴史本というユニークな視点の本書は歴史小説ファンならず、戦国武将をモチーフにしたゲームやアニメがファン、そして、ビジネス雑誌の類によくある「信長に学ぶ経営」のような話も距離をとって読むためにも広く読まれて欲しい本だと思う。
 
 
 
そうした「歴史(≒伝説)」を教訓にすることの、有益性より危険性の方が高まってしまっている。
「歴史から教訓を導き出すのではなく、持論を正当化するために歴史を利用するということが往々にして行われる」
「大事なことは自身の先入観や偏りを自覚することである。本書を通じて、時代の価値観が歴史観・歴史認識を如何に規定するかという問題に関心を持っていただけたのなら、著者としてこれに勝る喜びはない」。
いやいや、とんでもない。こちらこそ読者として、このような良作を読めることに勝る喜びはない。著者・編集者・出版社、その他すべての関係者様に感謝申し上げます。
 
 
 
面白かった。
タイトルは「虚像と実像」ですが、
実像の解説は最小限に留め、
歴史小説などで描かれる虚像の解説に重点が置かれた内容です。

私は、歴史小説を好んで読みます。
本書で取り上げられている小説のなかでは、
池波正太郎「真田太平記」
山岡荘八「徳川家康」
を読んでいます。
ちなみに私は、歴史小説の内容が史実と違っていても良い、と考えています。

ところで、歴史小説を批判する人は「事実と違う」と指摘します。
「好きで読んでいるのだから放っておいてくれ」と思うのですが
歴史小説ファンとして、歴史学者が「正しい」とする歴史を知っておくこともやぶさかではありません。
本書はこのような需要にジャストフィットする一冊でした。

特に「豊臣秀吉」の描かれ方の変遷を解説した
第四章 豊臣秀吉-人たらしだったのか?
を、面白く感じました。
軍師ー竹中半兵衛を三顧の礼wで迎えるエピソードや、
美濃の三人衆を寝返らせるエピソードなどが特に。
実際と、そのエピソードが創作された歴史的背景(戦前の日本の対外膨張戦略)は、腑に落ちました。

第二章 斎藤道三-「美濃のマムシ」は本当か?
斎藤道三「実は一人ではなく二代」説の解説も良かったです。

第一章 明智光秀-常識人だったのか?
で、甲陽軍鑑に(直接信長を討つのでなく)武田勝頼に内通の申し入れをした、と記述されていることを紹介しているのには、驚きを以て痛快に読みました。

第六章 真田信繁-名軍師だったのか?
真田信繁(幸村)をSFではなく歴史小説として描いた作品については、案外と史実に沿っているものが多いというのも興味深く感じました。

一冊を読み終えての学びは、
「所詮、人は自分の常識の範囲でしか、人を理解できない。」
と言うことでした。正義にしろ、悪にしろ、その時代背景に根ざした今の自分の価値観に照らし合わせて「豊臣秀吉は悪である。」「徳川家康は正しい。」とか私も言っているわけで、
期せずして本書から、自分の「人を理解する力量」を教えてもらったように感じました。
現代の価値観で言えば「合理性」とか「効率」ということで、歴史的人物も評価しているのだろうな。
と、も思いました。

鎌倉時代とか室町時代の武将の突飛な、首尾一貫性のない離合集散を「不可解」と感じるのは、私の理解の範囲外あるからだ、という気付きもありました。

面白い一冊でした。
 
 
 
有用で、面白い本と思う。
〇有用な本というのは、江戸、明治、大正、昭和戦前、昭和戦後、平成に至るまでの、明智光秀、斎藤道三、織田信長、豊臣秀吉、石田三成、真田信繁、徳川家康について書かれた膨大な伝記、物語、小説、歴史書の内容を教えてもらえることである。もし仮に一般読者がこれらの本を全部読める環境にあったとしても、読み通すにはたぶん10年を越える年月が必要になるだろう。しかし、本書を読了すれば、数時間で、これらの書籍を読んだ気分になれる。
〇面白い本というのは、歴史エンタテインメントとして面白いということである。
帯、宣伝に派手に「妄説、打破!」と書かれているように、これは劇場型の「スカッとする」一般向け歴史本である。劇場型スカッと本には強い敵が不可欠だが、本書での最大の敵は司馬遼太郎歴史小説、司馬遼太郎歴史観である。
〇本書は大衆娯楽が形成した「大衆的歴史観」または、各時代の制約を受けた「大衆的歴史観」によって作り出された「大衆的歴史観」について語るが、本書自体が、コロナ禍、情報の洪水、閉塞状況、司馬遼太郎のカリスマ性の低下等の現状にマッチして売れている、現代の「大衆的歴史観」の書と言えなくもない。
私的感想
〇有用で、面白いので、940円+税の価値は十分あると思うが、著者は、歴史小説は、「フィクションでも良いという理屈なら、『SLAM DUNK』や『ONE PIECE』のような純然たるフィクションから人生訓を学んだ方がよほど健全だと思う」(303頁)と言っているので、もし本書に事実でない主張が含まれているのなら、本書を読んで、人生訓を学ぶのは不健全な行為になるようだ。
〇はじめに・・たいへん期待を持たせる。
〇第一章から第七章・・戦前までは、おおむね共感できる。問題は戦後から現代までで、特に司馬遼太郎歴史小説征伐の部分に違和感が残る。
〇全体として、歴史小説の批判は詳細になされているが、自説の根拠はわりとあっさりしている。学会では(通説が)相対化されつつある、確たる史料がない、(現代歴史家の誰々が)こう書いている等々・・。
〇終章・・共感できない部分が多い。たとえば、「歴史小説から人生の指針を得ようという人は、そこに書かれていることが概ね事実であると思っているのだから、歴史小説家には一定の責任が求められる。事実に基づいているが、あくまでフィクションである、と公言するか、史実か否かを徹底的に検証するか、の二つに一つである。真偽が定かでない逸話を史実のように語り、そこから教訓や日本社会論を導き出す司馬遼太郎のような態度には、やはり問題がある」(303頁)。
〇司馬遼太郎の『燃えよ剣』や『竜馬がゆく』や『胡蝶の夢』を人生の指針として生きてきた人は数多いと思われる。それは不健全な生き方になるのだろうか。
蛇足
〇初々しかった『日本中世への招待』の頃と比べると、著者は一流の歴史エンタテイナーになられたようだ。引き続き読ませていただこうと思う。
 
 
 
歴史作家の中には歴史学者による歴史解釈に異を唱え、根拠ない推測に基づいた自説を史実として主張する者がいる。更に自説を認めないアカデミア、歴史学者を無能呼ばわりする作家すらいる。旧態依然とした守旧派アカデミアに果敢に切り込んでいく孤高の作家という図式は不特定多数の読者を引き付けるマーケティング戦略であり、私自身歴史作家の著作にはまったことがある。

一方、歴史学者側も黙ってはいない。特に本書の著者である呉座先生は断続的に歴史作家の主張を分析し、問題点を明らかにしてきた。2018年に刊行された著書「陰謀の日本中世史」はそのような歴史学者から歴史作家への反駁の一つである。本能寺の変等歴史的事件の真相としてまことしやかに流布する陰謀論のほぼ全てが事実として捉えるに足らないフィクションであり、歴史作家達の主張は新たな発見ではなく、事件後現代に至るまで長い間に脚色、創作された珍解釈の焼き直しに過ぎないと喝破している。私には「陰謀の日本中世史」の内容は十分に納得できるものであったが、歴史作家達の反発は激しいものがあった。ある作家は呉座先生の人格攻撃とも取れる発言を繰り返し、見苦しい水掛け論の様相を呈していた。

そこで本作である。本書は、戦国武将の評価が時代が下る毎に変遷し、時にはイデオロギーの補強などに利用されてきた事実をエビデンスと共に俯瞰するものである。本書のポイントは次の二点に集約できる。

●戦国武将にまつわるエピソードは、時代時代で歪曲あるいは創作され続けてきた。
●現代の歴史作家の主張はそれらの焼き直しに過ぎない。

本書を読めば、戦国武将たちが生きた時代と同時期の資料に見られる内容の信憑性が相対的に高く、時代が下るにつれ歪曲、創作されてきたことが明確になると同時に、現代歴史作家による歴史解釈が過去の俗説の焼き直しにすぎないことが再び明らかにされる。俗説による脚色をそぎ落とすことで、戦国武将たちの実像に迫る仕組みとなっているのだ。

加えて本書はレトリックが工夫されている。「陰謀の日本中世史」では数々の陰謀論がそれを主張する作家名と共に取り上げられていたが、本書においては陰謀論等俗説を主張する歴史作家の個人名は一部を除いて記されてはいない。これでは歴史作家側も反駁しにくいだろう。なかなか上手な戦略だと思う。正に水掛け論に陥りがちの"歴史学者 VS 歴史作家"のバトルに決着をつける歴史学者による最強の反論だと思う。
 
 

殺人者はいかに誕生したか: 「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く

2022年07月29日 08時01分50秒 | 事件・事故
 
閉ざされた記憶、明らかになる事件の真相…。
勾留施設での面会と往復書簡から炙り出す、その凄絶な生育歴。
臨床心理士による殺人犯との直接対話。


著者の言葉
この十年間ほど、私は裁判所から依頼された正式鑑定や、弁護士の依頼による心理鑑定、
そして誰からも依頼されずに直接加害者本人に会うという実践に取り組んできました。
多くが、殺人や強姦などの凶悪事件です。
(本書では)犯罪やその取り扱われ方(裁判)も示しますが、
重きを置いたのはタイトルの「いかに」の部分に込めたとおり、
彼らがまだ犯罪者ではなかった「子ども」のときのことです。
犯罪への伏線となった「子どもの事情」です。(「はじめに」より)

「私はやってない」
「誰がやったの?」
「ネズミ人間か、もう一人の自分」
「どうしてわかるの?」
「黒い中に明るいスポットが表れて、その中でネズミ人間か、もう一人の自分が殺害行為をしている」
「それを見ていたの?」
「見るのは嫌。無理やり見せられて、怖い」
――第二章、宮崎勤との対話より

長谷川さんは、犯罪を犯した一人ひとりの心を、静かに、ゆっくりと開いていく。
あるいは、様々な資料や検査手法を使って、心の奥底にじっくりと光を当てていく。
時に、加害者の味方であるような誤解を受けることもありそうだ。
でも、長谷川さんの仕事が「このような被害も加害も、生まれることがないように」という
祈りと共に行われていることは、その文章から伝わってくる。
―-江川紹子(解説より)

本書に登場する殺人者たち
宅間守(大阪教育大学附属池田小学校児童殺傷事件)
宮崎勤(東京埼玉連続幼女誘拐殺人事件)
前上博(大阪自殺サイト連続連続殺人事件)
元少年(光市母子殺害事件)
匿名(同居女性殺人死体遺棄事件
畠山鈴香(秋田連続児童殺害事件)
金川真大(土浦無差別殺傷事件)
加藤智大(秋葉原無差別殺傷事件)
小林薫(奈良小一女児殺害事件)
匿名(母親による男児せっかん死事件)
 

内容(「BOOK」データベースより)

世間を震撼させた凶悪事件の殺人者たち―。臨床心理士として刑事事件の心理鑑定を数多く手掛けてきた著者が、犯人たちの「心の闇」に肉薄する。勾留施設を訪ねて面会を重ね、幾度も書簡をやりとりするうちに、これまで決して明かされなかった閉ざされし幼少期の記憶や凄絶な家庭環境が浮かび上がる。彼らが語った人格形成の過程をたどることで、事件の真相が初めて解き明かされる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

長谷川/博一
1959(昭和34)年、名古屋生れ。南山大学文学部教育学科卒業後、名古屋大学大学院へ進学。臨床心理士。刑事事件における被告の精神鑑定を行ない、勾留中の殺人犯に独自に接見している。
また子どもの虐待問題にも積極的に取り組んでいる。2012(平成24)年東海学院大学を退職後、一般社団法人・こころぎふ臨床心理センターを設立しセンター長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
 
 
獣のように判断されがちな憎むべき犯罪者を、人として理解できるような気にさせられる本です。
子供のころの生育環境がどれほど大切か、親や家族、回りの人的環境に暖かい目で見守られ、安心と安全のなかで育つことの必要性を強く感じさせられました。
自分のまわりの人たちにも是非読ませてあげたい本です。
妊娠した時に母親学級への案内があり、赤ちゃんの育て方を学びますが、体の育て方しか教えられないようです。
心の育て方も教えられるべきですね。
自治体も予算などの面でなかなか行き届かないかも知れないけれど、心育てはとっても大切なことと感じた。
親に大切にされなかったと感じている人がいるなら、そのまま親になってしまわず、自分の中の満たされなかった子供の心を見出し、カウンセラーなどに相談しながら その心を癒し、自分を愛せるようになってから親になることをおすすめしたい。
 
 
ここに出てくる殺人者の味方ばかり
子供の頃に虐待やそのトラウマが有ったとしても
許されるべき事ではないし
この人たちの良い印象な物や事柄だけを取りだし
どの様に殺人を犯したのかは軽くしか書かない!
こんな意味のない本を読んで不愉快。
虐待されたから他人を傷付けたり殺しても仕方ないと
書いてあるようにしか見えない!
わたしも子供の頃に暴力ではないが心の虐待を
親から受けてきた。
だからといって他人を傷付ける事はダメですよね
こんな親からこんな子供が出切る。
強い子はその環境を打破できるかも知れないし
弱い子は打破出来ないかもしれないけど
だからって何もしていない被害者やその家族の事なと
考えてもいない。
過去に何が有っても人にしてはいけない事も理解した
年齢の人が犯した罪を
私には過去がどーとか ある意味彼らも被害者とか
おかしいのでは?犯罪者は犯罪者!
この事を曖昧に書かずに加害者が犯した内容もすべて書いて
それからフォローをするならしたら良い。
この本はダメ!読んでる途中から腹が立って
本当に読む価値のない本だと思いました。
一般に出すのではなく精神科や心療心理士の間だけで
読む論文としてなら良いのでは?
被害者の事を気遣えない最低な本です!
 
 
 
刑事裁判は単なる「量刑判断」の場であって、事件の原因を究明したり真実を明らかにしたりすることは目指していない。
しかし、多くの人々は、それが「当然」なされているものと誤解している…。
この「当然」が当然でないという現状が、この本の全編に渡って訴えられています。
著者は臨床心理士として実際に殺人犯とコンタクトを取り、その心と向き合い、彼らがいかにして凶悪犯罪をおかすに至ったかを丹念に紐解いていきます。
取り上げられた10件のうち、特に宅間守・宮崎勤・畠山鈴香・金川真大の4人については、一般によく知られている人間像とは大きく異なる部分があり、たいへん印象に残りました。
ただ、この本でなされている分析でさえも、真実の一面でしかないのかな、というのが正直な感想です。読み物としては、非常に興味深くて満足できました。
 
 
子供の頃に受けたトラウマを、無意識のうちに、心の奥底に深く押し隠してしまい。
その苦痛から逃れることに成功してしまったまま、大人になると、凶悪犯罪を起こす可能性があると、私は感じました。
なぜかというと、この著書によれば、凶悪犯罪者が子供の頃に、虐待などの精神的苦痛を味わい、その苦痛を無関心になるまで意識の底に押し込むという過程を踏んでいると。
著者の心理鑑定、犯罪者との面会、手紙のやりとりで結果として出ているからです。

自分で何を書いているのか解らなくなってきました。
とにかく、この著書を読めば、テレビや新聞などでは出会えない情報に出会えます。一読の価値あり。
 
 
Reviewed in Japan on July 21, 2020
Verified Purchase
凶悪犯罪を犯す人の生育歴に興味があり、購入しました。
自分自身に子どもが産まれ、無差別殺人等に我が子が巻き込まれることへの恐怖心が生まれ、なぜ、そのような事件が起こるのかを知りたいと思ったことが、興味を持ったきっかけです。

この本に紹介されているような、明らかに生育歴に問題のある人物だけでなく、所謂サイコパスが起こす犯罪もあるのかも知れませんが、もし、大半の殺人犯が問題のある家庭で育っているのだとしたら、行政等の介入により、今後同じような事件を発生させる可能性を少なくすることが出来るのではないかと感じました。

著者は、量刑を決めるだけの裁判ではなく、真実の究明を求めると繰り返し本書内で述べていますが、全く同意で、犯罪者を生まない為に、社会ができることが何か、再発防止する為にできることはないか、そういったことをじっくり究明する場を作って欲しいと思いました。

あと、登場する人々はみな一様に虐待を受けて育っていますが、虐待する親の心理はどういったものなのか興味があります。なぜ、そのようなひどい行いをするのか…。親自身も虐待を受けて育った為に、子に愛情を持って接することができないという悲しい事実があるのでしょうが。

本の内容についてですが、著者が直接やりとりをしていない事件についての記述は退屈で、読み飛ばしてしまう部分もありました。直接のやりとりから書かれている内容はどれも興味深く読めました。

報道で知れる内容だけでなく、犯罪者の心情について知りたいと考える人にはおすすめできる本だと思います。
 
 
 
これを読んでも
自分ならおかしくならなかった
なんて自信を持って言えるでしょうか。
ホルモンや栄養バランスなどもあるでしょうが、
この世界で留め金が外れてしまう人間は
確かに作られ存在します。
それがどういう仕組みなのかこの本で理解できます。
もちろん罪に言い訳は出来ません。
ですが現実が現実を引き起こしているのだと
痛感する本です。

秋葉原無差別殺傷事件・加藤智大が語っていた“異様な”家族との「食卓の様子」

2022年07月29日 07時56分16秒 | 事件・事故

7/29(金) 6:06配信 デイリー新潮

「私は小さな頃から『いい子』を演じてきました」と語っていた加藤智大

 法務省は「秋葉原無差別殺傷事件」加藤智大の死刑を執行したと発表した。同事件は14年前の2008年6月8日、東京・秋葉原路上をトラックで暴走、通行人をはねた後、ナイフで刺し、男女7人を殺害したというもの。当日は日曜日で、あたりは歩行者天国、昼過ぎの秋葉原は賑わっていたという。

【写真】事件直後の「現場写真」 「靴」が散乱し騒然とした雰囲気が伝わってくる

ナイフを逆手に持ち
〈背後で、すさまじい音が響いた。振り向くと、歩行者天国の切れ目の交差点に突っ込んできた2トントラックが次々と歩行者をはね飛ばしていた。/交差点を50メートルほど行き過ぎて止まったトラックから、ベージュのスーツを着た男が降りてくるのを見た。手にナイフを握っていた〉

 翌9日付けの朝日新聞夕刊は、目撃者の証言を紹介。まさに「地獄絵図」が展開していた。

〈男は近くにいた男女数人を次々に刺すと、人をはねた交差点に向かって駆け始めた。/倒れた人たちに馬乗りになり、逆手に持ったナイフを何度も振り下ろした〉

秋葉原無差別殺傷事件の事件現場

 その場で警察官に取り押さえられたのは、加藤智大。青森県出身の25歳、派遣会社員の男だった。ネットに「秋葉原で人を殺します」と書き込んだ上での凶行だった。

〈人を殺すため秋葉原に来た。世の中が嫌になった。生活に疲れてやった。誰でもよかった〉(逮捕時の供述)

 公判で注目されたのは、加藤自らが証言した「母親との関係」だった。加藤の母親は教育熱心で、加藤は地元・青森でも評判の高い進学校を卒業していた(以下、引用は長谷川博一氏『殺人者はいかに誕生したか』より。適宜、句読点を補った)。

送検される加藤智大(2008年)

 弁護人が「小学校の頃の母親とのエピソード」を問うと、加藤はこう答えている。

加藤:お風呂で九九を教えてもらいました。湯船に入っている間に暗唱しなさいと言われました。

弁護人:お母さんも一緒にお風呂に入っていたのですか? 嫌な記憶はありますか? 

加藤:間違えるとお風呂に沈められました。頭を押さえつけられて沈められました。

弁護人:沈められているときにどんな言葉をかけられていましたか? 

加藤:笑われていました。

弁護人:お母さんは、ふざけて沈めていたのでしょうか? 

加藤:苦しくなるまで沈められていたので、ふざけていたということはないです

 加藤が耐え切れずに泣くと、「口にタオルを詰められて、その上からガムテープを貼られたりした」、「泣くたびにスタンプをカードに押されて、それが10個たまると屋根裏部屋に閉じ込められた」などと、続けて証言。さらに「家族の食卓の様子」について加藤が記憶をたどり述懐すると、法廷は一種言われぬ雰囲気に包まれる。

加藤:家族との食事は会話がなかった上、三人で黙々と食べていただけです。私は食べるのが遅いので、食べきれなかったのを新聞の折り込みチラシにぶちまけられて、食べさせられました。食事の量も多くて、必死で食べました。

「いい子」を演じて
【本書に登場する殺人者たち】宅間守、宮崎勤、元少年(光市母子殺害事件)、畠山鈴香、金川真大、加藤智大、小林薫etc 『殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く―』

 母親の厳しい指導が実ったか、中学時代の加藤は成績優秀だった。ところが、公判では次のように明かしている。「詩や作文が高く評価された」のには、相応の理由があるというのだ。

〈(詩や作文は)私が書いたものではなく、母親が手を入れたり、母親がほとんどやったりして、私の名前で出しました〉

 こうした母親の「干渉」は、細かく、かつ多岐にわたった。「小学校に来ていく服はすべて母親に決められていた」「高校は自分の希望を変更し、母親の母校に進学」「あの子と付き合うのは止めなさいと、交際を禁止された」など、ひとつひとつの行動に「レール」が敷かれていた。そして加藤もまた、母親の要求に、愚直に答えようとするのだった。

 加藤は事件後、獄中で、被害者に向けて謝罪文を書いている。その中で、自らの「子供時代」について、こう吐露していた。

〈私は小さな頃から「いい子」を演じてきました。意識してやっているわけではなく、それが当たり前でした。今ではそれがおかしなことであることはわかっていますが、「いい子を演じない自分」を意識しないと本当の自分が出てこない、という倒錯した状態になっています〉

 母親の期待を一身に、入学した高校だったが、成績は伸び悩む。4年制大学への進学をあきらめ、加藤が進んだのは、遠く、岐阜県内の短大だった。卒業後はアルバイトや派遣でつなぎ、秋葉原での事件発生時、働いていたのは静岡県内にある自動車整備工場だった。「時給は1300円」と、当時の報道にはある。

 2015年2月、死刑確定。その7年5カ月後の執行となった。事件後、マスコミに囲まれ、泣き崩れ謝罪を口にした母親は、その後、「心を病んで入院した」とネット上でうわさになった。が、真偽のほどはわからない。

 事件後に明らかになった、加藤の生育環境の凄絶さ。こうした生い立ちが犯罪を正当化するものでないことは言うまでもなく、起こした事に対する結果責任は免れない。

 加藤は先の被害者宛ての謝罪文の中で、「死刑」についてこう記していた。

〈死刑は5分間の絞首だと聞いています。実際には、1分もあれば死ねると思います。皆様に与えた苦痛と比べると、あまりに釣り合いませんが、それでも、皆様から奪った命、人生、幸せの重さを感じながら刑を受けようと思っています〉

デイリー新潮編集部

新潮社

 

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「死に物狂いで自民党議員を応援」元統一教会信者が証言 関係が深い現役国会議員は?

2022年07月29日 07時54分12秒 | 事件・事故

7/29(金) 5:57配信 デイリー新潮

安倍家と統一教会“蜜月”の歴史 自民・現職大臣らも関与(後編)
安倍晋三元総理

 前編(「文尊師は誠実な男」 岸信介が統一教会トップを賞賛した“異様”な機密文書)では、安倍晋三元総理の祖父・岸信介元総理が1984年、当時の米大統領に宛てた文書で、統一教会の開祖・文鮮明を称賛するとともに、当時アメリカで逮捕されていた文鮮明の釈放を求めていたことを報じた。しかし、統一教会の影響力は安倍家のみならず、自民党議員の多くに及んでいる。その中には、現役の大物議員の名も――。

【画像9枚】自殺した父と兄、宗教に貢ぐ母 山上容疑者の複雑な家庭環境

 ***

 歴史をたどれば、かつて政治と統一教会の関係は自民党を中心として、右派勢力の広範囲に及んでいた。

「統一教会が最も深く政治に関与していたのは、1970年代から80年代を経て、90年代の初頭まででしょうか」

 と言うのは、さる古参の永田町事情通である。

「国際勝共連合や関連団体を通して、国会議員のところにスタッフを送り込んでいました。派閥や政党には、統一教会サイドに話をつなぐ窓口役がいた。彼らの仲介で、議員の中には秘書や運転手を教会から派遣してもらう者もいました。スタッフの給与まで、教会丸抱えのケースもありましたね。あるいは、選挙になると、教会から数十人単位で運動員が送り込まれ、ポスター張りや電話での投票依頼などを行うんです」

「宗教的な情熱で動く人たちは違うんでしょうね」
 彼らは、現場では重宝されたという。

「とにかくよく働くんです。土建会社や組合などから派遣されたスタッフにはサボる人も少なくなかったのですが、勝共連合は違う。朝6時から始まって、夜の10時くらいまで懸命に働いてくれて文句ひとつ言わない。見返りを求めない。やはり宗教的な情熱で動く人たちは違うんでしょうね」

 実際、70年代から80年代にかけて、勝共連合のメンバーとして活動していた、さる元信者に聞いても、

「選挙の度に死に物狂いで自民党議員の支援をしたものです」

 と往時を振り返る。

「ひとつの選挙区に40人は入ってね。時には徹夜で活動していました。もちろんボランティアですが、神のため、メシアのためになると信じてやってきましたよ」

教会が熱望した文鮮明の来日実現
 政治家にとっては実にありがたい存在だが、では、教団側はどのようなメリットを求めて、こうした献身的な活動を行ってきたのだろうか。

 「宗教問題」編集長で、ジャーナリストの小川寛大氏によれば、

「政権与党の有力な政治家を支援し、親密な関係を結ぶことによって、教団の求める施策の実現を図ろうとした側面がある」

 実際、かつて勝共連合は「スパイ防止法」の制定を目指し、自民党の有力政治家に働きかけ、資金援助までしていた。結局、同法は成立しなかったが、教会がより熱望していたのは、文鮮明の来日実現である。前編で紹介した通り、文鮮明はアメリカで投獄された過去がある。そのため、入管法の規定上、日本には入国ができなかったが、1992年、法務大臣が特別許可を出して来日が許された。これには、金丸信をはじめとする自民党の有力政治家の後押しがあったという。

 当時、勝共連合系とつながりを持つ議員は200人もいるといわれていたから、その蜜月ぶりたるやすさまじいものがあったのだ。

麻生太郎・副総裁や菅義偉・前総理大臣など大物の名も
総裁経験者も現職閣僚も……

 ところが、80年代後半に入ると、統一教会の行う「霊感商法」や「合同結婚式」の問題点が大々的に非難され、教会は「カルト宗教」として世間に認識されるようになった。

 これに伴い、危機感を抱いた政治家は徐々に教会と距離を置くようになり、人的支援を受けるようなことは一時ほど見られなくなってきたのだが――。

「それでもつながりそのものは途絶えたわけではもちろんなく、政治の世界に教団はアプローチを続け、関係は途切れることなく続いています」

 と述べるのは、カルト宗教に詳しい、ジャーナリストの鈴木エイト氏である。

 鈴木氏は、ここ20年ほどで、統一教会系団体のイベントに参加したり、関係団体などから献金を受けたりした国会議員を調査。それをリスト化し、公表している。それによれば、現職だけで112人の国会議員が該当するという。そのうち9割近くに当たる98人が自民党所属だ。

 その中には、麻生太郎・副総裁や菅義偉・前総理大臣などの大物の名がある。

 麻生氏に関しては、2011年、教団系の米紙「ワシントン・タイムズ」の意見広告に名を連ねているし、菅氏についても17年、教団の副会長を首相官邸に招き入れていたとの証言がある。

 さらに、同リストでは、現職閣僚に絞っても、萩生田光一・経産大臣、山際大志郎・コロナ担当大臣、山口壯・環境大臣などの名が……。いずれも関係団体のイベントに出席などした“実績”があるのだ。

 鈴木氏は言う。

「こうした成果に自信を深めてでしょうか、17年、国際勝共連合の会長は渡韓した際、文鮮明の妻に対して“最近の日本は雰囲気が変わってきました。かつて活動が活性化していた際には、200人を超える議員が御父母様(教祖夫妻)に侍っていましたが、その時の雰囲気に近づいています”と報告しています。00年以降、霊感商法について当局の摘発が相次ぎました。教団側としては、こうした動きをけん制するためにも、政治家との絆を再び深めたいという理由があるのでは」

「安倍氏の応援」が重要
「実は、私も統一教会系団体から選挙で推薦を受けた経験がありまして……」

 と重い口を開くのは、さる元国会議員である。ここ数回の国政選挙で教団の支援を受けている議員はいるが、自分もその一人だったというのだ。

「推薦を受けるに当たっては団体のトップと面談をします。そこから次のステップまで進むには、二つの条件を満たす必要がある。これまで不倫のスキャンダルがないこと、金銭トラブルを起こしていないこと。それに加えて、安倍元総理の応援している候補、という三つ目の条件がそろえば支援獲得は“鉄板”になります」

 やはり「安倍印」であることは、統一教会サイドにとって特別な重みを持つようである。

研修会への参加を要請
 その条件を満たしたとしても、先はまだある。

 元国会議員が続ける。

「選挙の直前になると、研修会への参加を要請されます。これは泊まりがけで統一教会系の施設へ行き、教団の教義などを学ぶ、といったもの。自分の場合は2泊で、妻も同伴しました」

 いわゆる“3日間研修”だ。研修会では学者の講義を受け、他にも、ビデオ学習の時間が設けられたという。

「2本ありまして、1本は勝共連合と自民党の歴史。これまで両者が手を携え、いかに共産主義勢力と戦ってきたか、というもので、その中では、文鮮明と岸さんとの関係にも言及されていました。もう1本は、紀元前からの原始キリスト教の誕生の話です。アダムとエヴァが禁断の実を食べた話から始まり、エヴァの浮気、カインとアベルの兄弟げんかの果ての殺人の物語などが解説され、不和や戦争の起点となった不倫は絶対にいけないということが繰り返し述べられるのです」

 こうして、晴れて推薦を得られると、運動員などが派遣される。やはり彼らの働きは格別だったという。

 これら過去から現在にわたる自民党議員への選挙支援の実態について、統一教会に質問してみたところ、

「そのような事実はありません」

 安倍事務所にも尋ねたが、回答はいただけなかった。

 また現職の政治家からは、

「資料が手元にないのでわかりません」(麻生事務所)

「ご指摘の事実はありません」(菅事務所)

「会合冒頭でごあいさつをさせていただきました」(萩生田事務所)

 などと回答が返ってきた。

 想像以上に根が深い、自民党と統一教会との関係。

 それが凶行の引き金となってしまったのだから、あまりにも不幸な事件というしかない。

 前編(「文尊師は誠実な男」 岸信介が統一教会トップを賞賛した“異様”な機密文書)を読む。

「週刊新潮」2022年7月28日号 掲載

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地理の魅力

2022年07月28日 12時13分26秒 | 伝えたい言葉・受けとめる力

▽幸・不幸を決めるのは周囲の状況ではない。
わが境涯であり強い一念だ。
境涯とは ―人がこの世に生きていく上で置かれている立場、地位。境遇。

▽艱難を断固と越えてゆく源泉は、勇気と生命力、執念である。
艱難(かんなん)とは―困難に出あって苦しみ悩むこと。

▽人は溌剌(はつらつ)たる者の好意を寄せる―ゲーテ

▽地理の魅力
何気なく食べているものや目にしている風景など、私たちの文化は思いがけないほど多くの要素が絡み合ってできています。それだけにどんなテーマでも地理学の研究に落とし込める懐の広さが魅力です。
また、自分の目で見て、聞いて、感じて学ぶフィールドワークは常に新しい発見に満ちています。

▽子どもたちは、地理を通して、違いを認め合い、分かち合い、助け合おうという<おもいやりの心>を育んでほしい。

▽各種コンクールへの挑戦は、「考える力」「表現力」「集中力」など、さまざまな<人間力>を養い、子どもたちの新たな可能性を開く契機にもなる。

▽子どもたちを育む上で大切な点は「良い刺激を与え続け、良い思い出をつくってあげること」である。

▽前向きに課題に取り組む姿勢。自ら計画を立てる自主性、規則正しい生活を送る自立性も求めれる。

▽事故に遭わない、事故を起こさない―安全を意識した具体的な行動。
油断は大敵。
細心の注意を払い抜くことだ。

 


平和の文化を育む

2022年07月28日 11時37分35秒 | 社会・文化・政治・経済

平和を持続可能なものとするためには、私たち人間自身の価値観や行動そのものえを変革するしかない。

国連をはじめ国際社会は、「戦争と暴力の文化」から「平和と非暴力の文化」へと、<人間の価値観や行動>そのものを変革していく努力が必要として、「平和の文化」を築いていくための取り組みを開始した。

例えば、私たちの日常でも、他人と意見が対立することがある。
その際に、相手を軽蔑したり、暴力を使ったりして、解決を図ろうとすれば、憎しみや禍根が残ってしまう。
 
当たり前のように聞こえるかもしれないが、そのようにならないための生き方を身に付ける必要がある。

「平和」の対局にあるのは、戦争や武力紛争だけではない。

家庭内暴力や暴言、いじめなど、生命の尊厳や安全を脅かす全てのものが「平和」の対局ある。

その意味で、誰もが当事者として「平和の文化」を育んでいきたい。

「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」ユネスコ憲章の前文に引用されている。

一人一人の心の変革、考え方の変革こそ、「平和の文化」を育むカギであるのだ。

「他者を尊重する」「他者に寛容になる」そのためには、互いを敬い、慈愛と共感をもって触れ合う中で、平和や非暴力を当たり前にしていくことだ。

具体的な対話、教育、そして人と人とのネットワークを広げるるなど、私たち一人一人のたゆみない努力が必要である。


世界基督教統一神霊協会に関する質問主意書

2022年07月28日 11時34分22秒 | 社会・文化・政治・経済

第129回国会(常会)

質問主意書

 

質問第九号

世界基督教統一神霊協会に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成六年六月二十三日

 

北村 哲男   


       参議院議長 原 文兵衛 殿

 


   世界基督教統一神霊協会に関する質問主意書

 一昨年、新体操の元オリンピック選手の山崎浩子さんや女優の桜田淳子さんら芸能人の入・脱会騒動で世間を騒がせた統一協会(世界基督教統一神霊協会=教祖文鮮明)は、霊感商法をはじめとして、宗教団体としてあるまじき様々の反社会的事件を引き起こしていることはよく知られている。

去る五月二十七日に福岡地裁は全国で初めて統一協会の霊感商法に対する損害賠償請求訴訟で原告の主張どおり統一協会の関与と賠償責任を認め、三千七百六十万円の支払いを命じる判決を出した。
 そこで以下の点について質したい。

一、統一協会は霊感商法といわれる詐欺的脅迫的手口によって印鑑、人参液、壷、多宝塔、絵画、呉服、宝石、仏具などを法外な値段で売るなど、信者に違法な資金集めをさせて多くの被害者を生み、社会的に厳しい批判を受け、国会でも追及されたことは周知のとおりである。

全国の消費者センターと弁護団が調べた一九九三年の数字でも被害件数二千百五十三件、被害金額は百二十一億九千二百万円余の巨額にのぼっている。

最近は「HG」(早く現金)といわれる資金集めに力を入れ、土地、建物を担保にとった融資の形で多額の金を詐取する手口が用いられており、なかには億単位の被害も珍しくない。

東京三鷹では一家で五十六億円余をだましとられた例もある。この件を契機にして三鷹市議会では決議が出されている。現在多くの被害者たちが統一協会を相手取って損害賠償請求などの訴訟を起こしている。
 また統一協会に入り、貴重な青春時代を奪われた元信者たちは、その間の損失利益、慰謝料などの損害賠償を求めて全国各地で「失われた青春を返せ」訴訟を起こしている。
 さらに文鮮明教祖によって見も知らぬ相手と組み合わされ合同結婚をさせられた元信者たちは婚姻無効確認を求める訴訟を起こしている。
 統一協会側が従来、第一の霊感商法に対する訴訟では敗訴が明らかなため和解しているケースが多いことを考えると、今回の判決の持つ意味は重大である。これら三種類の訴訟が行なわれているという現実から統一協会は明らかに反社会的な団体であると考えられるが、政府としてはどう判断するのか。

二、統一協会の勧誘方法は、駅頭や街頭などでアンケートや手相見などの手段で接近して人生相談や悩み事相談に乗る形をとり、大学のキャンパスでは原理研究会というクラブ活動の形をとって勧誘しているのが通常である。

統一協会の名を隠し、宗教団体ではないと偽って勧誘するため、学生や未成年者など純粋で真面目な青年男女ほどだまされやすい。

いったん勧誘に応じると、マインドコントロールといわれる方法で信者にされてしまうのである。

このため、大学のなかには入学シーズンに新入生を対象に警告書を配付している大学もある。このようにまず勧誘の仕方からして詐欺的で異常である点からも、統一協会は宗教団体として適格性を欠いていると考えられるがどうか。

三、統一協会は国際合同結婚式、いわゆる集団結婚でよく知られている。一昨年夏にも約三万組の合同結婚式がソウルで行なわれた。結婚相手は本人の意思とまったく無関係に文鮮明教祖の指名によって一方的に決められる。

これはまさに「両性の合意のみに基いて成立」するという憲法第二十四条に反する。

このような結婚は、親、兄弟、親戚も反対し深刻な家庭悲劇を全国各地で起こしている。この点からみても統一協会の反社会性がきわめて強いことは明らかであるが、どのように考えるか。

四、教祖文鮮明は一昨年三月末にわが国に入国した際、通常では入国できないケースであったにもかかわらず、当時の金丸自由民主党副総裁に働きかけ、特別扱いをうけたといわれている。

その背後では信者から集めた多額の資金が政治資金として動いたと指摘されている。

また、統一協会のいわば政治団体であり、統一協会と一心同体の関係にある国際勝共連合は保守系議員の選挙運動の応援を行なっており、とくに当落すれすれの候補や組織の弱い新人あるいはこれはと思う候補のところに協会員を大量に運動員として派遣し、当選すると私設秘書を送り込むなど、政治家との結びつきを強め政界への浸透をはかろうとしている。

私たちは政治改革を最重要課題として取り組んでいる立場からも、こうした政治をゆがめる動きを看過することはできないと考えるがどうか。

五、以上申し述べた点から、統一協会は反社会的な性格の団体であり、本質的に宗教団体とは認めがたい。
 少なくとも宗教法人法にのっとった宗教団体として認めることはできないと考えざるをえない。

従って統一協会には宗教法人法第八十一条に基づく解散命令を含む厳しい措置がとられてしかるべきであると考えるが、政府の見解はどうか。

六、統一協会が霊感商法等の手口で集めた資金は宗教法人法第六条第二項に違反して使用されていると考えられる。

例えば統一協会は株式会社ハッピーワールド名義の新宿教会を担保に同社が韓国第一銀行から借金するにつき連帯保証している。

このような事実を調査の上、同法第七十九条第一項に基づきその事業停止を命じるべきではないか。そのための同条第四項の手続きをとるべきではないか。

七、税務当局者は統一協会信者らの前記の如き資金集めについてどのような調査をしているのか。

八、少なくとも前会長藤井氏が対外的にこの債務が四千億円にのぼることを認めていることにかんがみても、日本法人が集めた資金の大部分がアメリカ合衆国や韓国の文鮮明とその周囲の組織に提供されていると考えられる。

このような多額の資金流出の事態は金融機関や多くの市民の債権回収を不能にすることになると考えられるが、当局はどう対応するのか。

  右質問する。


立憲民主党 旧統一教会「被害対策本部」 霊感商法・多額献金めぐり初会合

2022年07月28日 11時30分34秒 | 事件・事故

7/25(月) 14:42配信 フジテレビ系(FNN)

立憲民主党は、25日、旧統一教会をめぐる霊感商法や多額の献金などの被害を調査する対策本部の初会合を開いた。

立憲民主党・西村幹事長「旧統一教会が本当に多くの被害を出してきたこと、政治として、そして国会として看過できない問題である」 会合では、旧統一教会の問題にくわしい立憲民主党の有田芳生氏が講師を務め、霊感商法や消費者被害の実態について説明したうえで、安倍元首相銃撃事件で逮捕された山上容疑者の背景にも触れ、「2世の被害、家族の被害を国会でとりあげてほしい」と強調した。

一方、西村幹事長は、旧統一教会と党所属議員の関わりについて、今後、実態把握を進める方針を表明した。


旧統一教会が地元メディアに寄託する狙い 報道側はこぞって関連団体イベントを紙面紹介

2022年07月28日 11時24分27秒 | 事件・事故

7/28(木) 9:06配信 日刊ゲンダイDIGITAL

旧統一教会の田中富広会長(C)共同通信社

【安倍元首相銃撃で見えた 統一教会の実態】

 旧統一教会は、地方自治体や地元メディアに寄付や寄託を繰り返し、巧妙に食い込んでいた。

【写真】安倍首相が他国の国葬で“居眠り”疑惑…画像拡散で世界中の笑いものに(2015年)

 2018年1月に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の「浜松北家庭教会」は、地元の静岡新聞・静岡放送文化福祉事業団に3万円を寄託。20年3月と21年3月には岡山家庭教会が山陽新聞社会事業団に、それぞれ12万円と10万円を寄託している。静岡新聞も山陽新聞も当時、自社の紙面で家庭連合側から寄託を受けたことを報じている。

 静岡新聞と山陽新聞は、統一教会の創始者・文鮮明らが設立し、妻の韓鶴子が総裁を務める団体「UPF」(天宙平和連合)のプロジェクト「ピースロード」も、紙面で取り上げている。

 静岡新聞は昨年8月、世界平和を願って全国を自転車で走るイベント「ピースロード」の開催に合わせ、式典と開催の模様を掲載。山陽新聞も寄託があった20年の8月と9月に、イベント開催とピースロード実行委員会が地元市町村に募金を寄付したことを記事にしている。

 なぜ静岡新聞と山陽新聞は、旧統一教会の関連団体のプロジェクトを紙面で紹介したのか。旧統一教会からの寄託とリンクしているのか。

 日刊ゲンダイの取材に静岡新聞は「旧統一教会ということは知らなかった。どういう趣旨で寄託いただいたか、確認しようがありません」と答え、山陽新聞社会事業団は「当時の担当者は疑いを抱いたそうですが、信頼できる方の紹介で、趣旨が『収益金を社会福祉事業に役立てて下さい』ということだったので受けた」と回答した。

■21年の自転車イベントは45のメディアで57回報道

 なぜメディアに寄託するのか。家庭連合広報部に話を聞いた。

「収益の一部を寄託したバザーは地方の教会が行っているもので、地元の一番身近なメディアの社会福祉事業の趣旨に賛同して善意で寄付したと思います」

 北陸を代表する地方紙「北國新聞」も再三にわたって旧統一教会のイベントを後援したり、系列紙の「富山新聞」とともに紙面で旧統一教会の活動を紹介している。同社に旧統一教会との金銭のやりとりについて質問書を送ったが、回答がなかったため、明らかになっていない。

 北國新聞は15年7月と16年8月、ピースロードの歓迎式を後援。16年12月にも「世界平和統一家庭連合の集い『世界が家族になっていく』」というイベントを後援している。メディアが旧統一教会のイベントを後援することを問題視した「全国霊感商法対策弁護士連絡会」は17年、北國新聞に対し、「統一教会の広報活動に加担していると言わざるを得ない」と申し入れを行っている。

 しかし同社は、申し入れをされた後の21年5月にも「県平和大使協議会オープンカレッジ」を後援。UPFジャパン、国際勝共連合トップの梶栗正義氏の講演内容を31日付の富山新聞で報じた。

 ピースロードの公式HPによると、21年のイベントは大手紙を含む45のメディアで57回報道されたという。

 旧統一教会の「狙い」を全国弁連の代表世話人である山口広弁護士はこう指摘する。

「市町村や地元紙がイベントの後援になると、市や新聞社の施設を借りられるとか、いろいろと便宜を図ってもらえる。寄付をしたり、活動実績をつくれば、花火大会とか清掃ボランティアの集まりに入り込み、そこで知り合った人を勧誘することができます。組織拡大のきっかけになるのです」

 旧統一教会はこうして活動の幅を広げていたようだ。

 

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選挙支援やイベント出席 旧統一教会で首長

2022年07月28日 11時21分18秒 | 新聞を読もう

7/28(木) 7:09配信 時事通信

本村賢太郎市長

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり、首長の間でも、選挙で支援を受けたりイベントに出席したりなど関わりが明らかになる事例が相次いでいる。

 
 相模原市の本村賢太郎市長は27日、衆院議員だった2018年、後援者の紹介でさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)であった旧統一教会のイベントに国会議員の立場で出席したと記者会見で説明。「軽率だったと反省している」と語った。

 石川県の馳浩知事は26日の会見で、秘書に確認したところ過去に選挙で支援を受けていたと述べた。金銭面の支援はないとする一方で具体的な内容の言及は避け、「ポスターを張っていただく、後援者名簿を書いていただく、集会の動員をお願いする、集会を開いていただく、一般論で言えばこういうことだと思う」と話した。

 富山県の新田八朗知事は20日の会見で、2年前の知事選に絡み、「集会に招かれて話をした」と説明。福井県の杉本達治知事も関連イベントに祝電を送っており、「他の首長も含めて(イベントの)趣旨に賛同しているという話があったので、私費で送ったと思う」と会見で述べた。

 旧統一教会は、安倍晋三元首相銃撃事件で逮捕された容疑者の母親が入会しており、同教会への恨みから犯行に及んだとされる。 

 


旧統一教会と自民党、その関係とは? 安倍晋三氏との距離感の変化は

2022年07月28日 11時18分55秒 | 事件・事故

2022年7月14日 17時36分 東京新聞
 
2009年6月、特商法違反容疑で統一教会の施設へ家宅捜索に入る警視庁の捜査員


安倍晋三元首相銃撃事件で、山上徹也容疑者(41)=殺人容疑で送検=の供述によりクローズアップされた宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」。山上容疑者は、母親が入信後に破産するほどの献金をして家庭が崩壊したため同会への恨みを持ち、同教会とのつながりが深い安倍氏を狙うことにした、などという趣旨の供述をしているという。同会と自民党との関係は、半世紀以上前までさかのぼるとされるが、その経緯や実態はどうなのか。(特別報道部・宮畑譲、北川成史)
◆霊感商法や合同結婚式が社会問題に
 旧統一教会とはどんな団体か。フランスの経済紙「レゼコー」は襲撃事件後、欧米では「カルト宗教」と認識されていると報じた。上越教育大の塚田穂高准教授(宗教社会学)は「活動の基軸はあくまで宗教的理念と実践。その活動の中において多くの問題を抱え、人権侵害や違法行為を積み重ねてきた宗教団体だ。他の宗教一般と同列には扱えない」と話す。
 旧統一教会は教祖の故・文鮮明氏が1954年、韓国で創設した。間もなく日本でも布教活動が行われ、59年には日本の旧統一教会ができた。ホームページによると、教義は文氏が考案した「統一原理」と呼ぶ思想・理論によって、理想の家庭や世界平和を実現する指針を与えるとする。
 宗教学者の島薗進氏は「ある時期までは、『異端のキリスト教』という枠内にあったと思うが、70〜80年代にかけ、非キリスト教化し、同時期に霊感商法に傾いていった」と分析する。島薗氏によると、新興宗教の中では比較的若い人の入信が多く、高学歴の者も少なくなかったという。「現代文明への失望感が背後にあった。また、離婚が増え始め、家族的な道徳基盤を求める人の流れもあっただろう」
 多くの信者を獲得したが、80年代には、先祖供養などを名目につぼや宝石といった高価な品を訪問販売する「霊感商法」や巨額の献金が社会問題に。歌手の桜田淳子氏が92年に信者であることを明かし、教団が配偶者を推薦する合同結婚式に参加したことも話題になった。この合同結婚式は信者の「婚姻の自由を侵害する」として違法と判断された判決も出ている。
 2000年には、旧統一教会系の企業が米国の通信社UPIを買収したこともニュースになった。この企業は米保守系日刊紙ワシントン・タイムズも所有している。
◆理念の近さで「右派政治家と互いに利用」
 旧統一教会が拡大していく過程で見過ごせないのが、政治との関係だ。特に旧統一教会の実質的な政治部門として機能してきたのが、保守系政治団体「国際勝共連合」(勝共連合)だとされる。
 勝共連合は1968年、文氏が韓国と日本で設立した。目的は反共運動。時代は東西冷戦が激しさを増し、米国はベトナム戦争を泥沼化させていた。共産主義の脅威が今より切迫して語られていた。
 初代名誉会長には、右翼の大物で戦後政界のフィクサーと言われ、日本船舶振興会(現日本財団)の会長を務めた笹川良一氏を迎えた。岸信介元首相を名誉実行委員長とする集会も開かれたという。
 塚田氏は「勝共連合の設立経緯から岸信介や福田赳夫といった理念的に近い保守政治家と結び付いていった」との認識を示す。その上で、「今は改憲や家族観、反ジェンダーフリーなどで考えが合致する政治家との距離が近い。団体にとっては理念の実現や運動が守られることへの期待があるのだろう。一方で、政治家は選挙などで支援が得られる。右派政治家と団体がお互いに利用し合う関係になっている」と解説する。
◆第2次安倍政権でさらに接近
 問題となっている安倍氏との関係はどうなのか。
 「各地の紛争の解決に努力してきた韓鶴子総裁をはじめ皆さまに敬意を表します」。昨年9月、旧統一教会の友好団体「天宙平和連合(UPF)」が開いた大規模集会「シンクタンク2022 希望前進大会」に、安倍元首相がビデオメッセージを寄せた。
旧統一教会友好団体のイベントで、ビデオメッセージを送る安倍元首相(「シンクタンク2022」のユーチューブチャンネルから)
旧統一教会友好団体のイベントで、ビデオメッセージを送る安倍元首相(「シンクタンク2022」のユーチューブチャンネルから)

 UPFは文鮮明氏と妻で現在の教団トップである韓氏が2005年に創設したNGOだ。
 安倍氏は「UPFが家庭の価値を強調する点を高く評価します」「偏った価値観を社会革命運動として展開する動きを警戒しましょう」と家族観への共鳴を明示した。
 「積み重ねを経て、ついに隠さなくなった印象だった」。安倍氏と旧統一教会の関係についてジャーナリスト鈴木エイト氏は語る。
 安倍氏は官房長官時代の06年、旧統一教会の違法な勧誘などが問題化する中、UPFの集会に祝電を寄せた際、「誤解を招きかねず、担当者に注意した」とコメントしていた。
 鈴木氏によると、安倍氏と旧統一教会との関係の深まりは、12年に首相に返り咲いて以降になる。憲法改正と長期政権を目指す安倍氏や自民党にとって、「組織票に加え、秘書や選挙の運動員などの人員を提供してくれる旧統一教会は有用な存在だった」。
 安倍氏に限らず、教団関連の行事に出席したり、祝電を寄せたりする自民党議員が続出していたという。「単に容疑者の思い込みで片付けるのでなく、安倍氏と旧統一教会の関係を解明しないと、事件の全容はつかめない」
◆安倍氏ビデオメッセージへの抗議文は受け取り拒否
 全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の山口広代表世話人は「旧統一教会を宗教団体と一般化してはならない。巧妙、計画的、組織的にカネを集める団体だ」とくぎを刺す。
 09年、旧統一教会の霊感商法に対して、警視庁が強制捜査を実施。教団施設や関連会社が捜索され、幹部らが特定商取引法違反(威迫・困惑)で有罪判決を受けた。山口氏によれば、この事件を受け教団は政治家への働き掛けが不十分だったと総括し、関係強化を図ったという。その時代に第2次安倍政権は重なる。
 11日に会見した世界平和統一家庭連合の田中富広会長は「09年以降は献金のトラブルはない」としているが、霊感商法被害救済担当弁護士連絡会の渡辺博事務局長は「来年5月までに韓国の教団施設建設のため、1人120万円献金せよという大号令が出ている。今もやっていることは変わらない」と話す。
 全国弁連では19年、全国会議員に、旧統一教会関連の行事に参加したり、メッセージを送ったりしないよう要望書を提出した。
 昨年の安倍氏のビデオメッセージに対しては、抗議文を内容証明郵便で送ったが、地元事務所からは返答がなく、国会事務所には受け取りを拒まれた。メッセージは事件の動機の一つとも言われる。
 山口氏は「霊感商法や違法な勧誘で社会問題化した団体に政治家がエールを送ると、警察が手を出しにくくなり、被害を拡大させる」と強調する。
 全国弁連は12日、記者会見を開催。事件の容疑者と同じように、母親が旧統一教会の信者という40代の女性も出席した。女性は一時信者となり、合同結婚式に参加して教団の指示で夫になった男性から暴力を受け続けた。プライバシー保護のため、ついたての中で話した女性は、絞り出すようにこう話した。
 「(事件は)間違っているが、人生を旧統一教会に破綻させられたというのは理解でき、苦しい心情だ。放置されてきた問題が少しでも解決に向かえばと願う」
◆デスクメモ
 宗教団体に限らず、政治家との結び付きを誇示し、広告塔扱いしたい組織・団体は多い。だが本来、支援してくれるならどんな団体でも、というわけには行くまい。ましてあれだけ世間から指弾された団体ならば、安倍氏も知らないはずはなかっただろう。なぜ、断ち切れなかったか。(歩)
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旧統一教会、19年越しで名称変更のなぞ 下村文科相在任中に突如実現

2022年07月28日 11時14分20秒 | 事件・事故

2022年7月26日 17時00分 東京新聞

 安倍晋三元首相銃撃事件にからみ、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治の関連が問題化する中、そもそもなぜ「旧」統一教会となったのか、をめぐる疑問が浮上した。旧統一教会側は1997年に名称変更を当時の文部省(現文部科学省)文化庁に相談したものの、同庁は水際で拒否。以降、名称変更は認められてこなかったが、2015年の下村博文文科相時代に突如、変更が認められた。いったい何があったのか。(特別報道部・宮畑譲、中山岳)

2015年2月、衆院予算委で答弁する安倍首相㊧と下村文科相(いずれも当時)

◆1997年の申請拒否が前例だったが…
 97年、旧統一教会が求めた名称の変更を断ったのが、当時、文化庁で宗務課長を務めていた元文科次官の前川喜平氏だ。その前川氏が25日、「こちら特報部」の取材に応じた。
 「いくつも訴訟を起こされ、社会的に問題がある宗教法人。そして、その実態は変わっていなかった。『申請されても認められない。申請しないでください』と伝えて断った」。前川氏が振り返る。名称を変更するには、社団法人などの定款に当たる規則を変えなければならない。申請があり、問題がなければ、文化庁が認める形を取る。
 この申請拒否が前例になり、そのまま18年が過ぎた2015年に突如、旧統一教会の名称変更が持ち上がった。文科審議官に就いていた前川氏は、文化庁の宗務課長が報告に来たことを覚えている。規則の変更は文化部長が決裁する。しかし、これまでの判断を覆して名称変更を認めるとは尋常ではない。
「政治の関与があったはず」と話す前川喜平氏=25日、東京・内幸町の中日新聞東京本社で
「政治の関与があったはず」と話す前川喜平氏=25日、東京・内幸町の中日新聞東京本社で

 前川氏によれば、日本の官僚は「官僚は間違ったことをしない」との前提に立つ。従って前例踏襲となる。それを覆すには強い動機が必要となる。
◆覆った前例踏襲「政治の強い意図が分かった」前川氏 
 「それまで何年も続いてきたことが変わる。これは役所にとっては大変に大きな出来事。それに教団は多くの問題があった。名称変更は官僚の『慣性の法則』から言えば、官僚の側から出てくる理由はない。政治の強い意図が働いているのがわかったが、駄目だと言っても無理だろうと、抵抗できなかった」
 この文化庁の対応に疑問を突きつけたのが当時、民主党の参院議員だった有田芳生氏だ。有田氏の質問に対し、文化庁は「本件(名称変更)については大臣に事前に説明いたしました」と回答。教団の過去や現状についても「周辺情報」として伝えていたという。
 前川氏は「これは役人としては大臣に判断を仰いでいることと同義だ。どうでもよいことなら報告しないし、前例を覆すこともしない。少なくとも大臣は名称変更にストップをかけられたはずだ」と考える。
◆事務方から説明あったが「関わっていない」下村氏側
 名称変更があった当時、大臣だったのが下村氏。どんな経緯があったのか。
 既に取材のあった週刊誌への回答として、下村氏は13日、ツイッターに「文化庁によれば『通常、名称変更については、書類が揃い、内容の確認が出来れば、事務的に承認を出す仕組みであり、大臣に伺いを立てることはしていない』」とする文書を載せた。
 しかし、あらためて「こちら特報部」が事務所に問い合わせると、「事務方から事前に説明があったことは21日に会見して説明した。名称変更について指示をした事実はなく、したがって本件に『全く関わっていない』のは事実です」との回答があった。
 前川氏は「まさに『通常、大臣に伺いを立てることはしない』が、官僚は報告した。それは政治的な圧力があった証拠。語るに落ちる。それに、報告を受けた上司が『全く関わっていない』と言える組織はどこにもない」と批判する。
 こうなると、なぜ事前に下村氏に説明したのか、当時の下村氏の反応はどうだったかが問題となる。「こちら特報部」は文化庁宗務課に尋ねたが、「当時の担当者がいないため分からない」と述べるに留まった。
 下村氏は13~14年、旧統一教会系の日刊紙「世界日報」や、同紙の月刊誌「ビューポイント」にインタビュー記事などが複数、掲載された。また、発行元の世界日報社は16年3月、下村氏が代表を務める「自民党東京都第11選挙区支部」に6万円を寄付していた。こうした関係性も、名称変更の不可解さを増幅させている。

◆悪名捨て勧誘、被害拡大か
 それにしても、なぜ旧統一教会は19年越しでも名称変更にこだわったのか。
 旧統一教会の動きに詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏は「霊感商法で悪名高くなった統一教会の名称を変えることで、勧誘や伝道活動をしやすくなるからだ」とみる。
 鈴木氏によれば、旧統一教会は前川氏の「拒否」以降も、たびたび名称変更を文化庁に打診していたという。「当時は霊感商法などの問題から、文化庁は申請自体をさせないようにしていた。必要書類をそろえた申請書を受け取ると、認証せざるをえないからだ。そのため統一教会は13年ごろから自民党の文教族ら政治家へ接近するようになった」と話す。
 政治家との結び付きの強さをうかがわせたのは、名称変更が認められた約2カ月後の15年10月。旧統一教会が幕張メッセ(千葉市)で開いた「世界平和統一家庭連合出帆記念大会」だった。鈴木氏によると、国会議員たちから60通以上の祝電が届き、与野党の衆院議員らも祝辞を述べた。
 文化庁は名称変更後1年間、世界平和統一家庭連合に「統一教会」の旧名も併記することを課したとされる。ただ、鈴木氏は被害拡大を抑えたとは言い難いとし「つぼや印鑑などを高額で売り付ける手法は10年以降はほぼなくなったものの、家系図作成の受講料として数十万円を要求することや、多額の献金集めは継続していた。名称変更の1年後には、街頭で勧誘活動をする信者たちが『もう統一教会と言わなくていい』と喜んでいた」と語る。
 全国霊感商法対策弁護士連絡会は文化庁に名称変更を認めないよう再三、求めていた。山口広代表世話人は、名称変更後、文化庁宗務課の担当者が「書類がそろっていたら受理せざるを得ない。それ以上の説明はできない」などと言っていたのを覚えている。「名称変更後に、統一教会とは知らずに深みにはまった被害者もいる」と問題視する。
◆旧統一教会側は「働きかけたことはない」
 旧統一教会は、どう考えているのか。
 ユーチューブ上の公式チャンネルによれば、97年4月8日に団体としては名称変更をしていたという。世界平和統一家庭連合日本本部(東京)広報部は、韓国の教団本部が個人の救済を目指す宗教活動から理想家庭の実現へと活動の軸足を移すため、世界各地の団体を名称変更すると発表したと説明。広報担当者は「信者に丁寧に説明して違和感なく理解してもらい、(法人名の変更で)国の許可を得たのが2015年になった。下村氏に働きかけたことはない」と述べる。
 ただ、前出の有田氏は、名称変更の影響について「旧統一教会が霊感商法で巨額の資金集めをしていたのは日本だけだった。平和、家庭といった文言を使った名称に変わり、こうした問題点も消えてしまいがちになった」と指摘。山口氏も「名称変更によって被害の拡大につながったと言える。政治力が影響したのなら問題だ。今からでも経緯を検証すべきだ」と求める。

旧統一教会が名称変更を伝える動画の一場面=ユーチューブから 

◆デスクメモ
 18年もの拒否の理由について、通常はないはずの部下からの事前の説明は、下村氏にとっても重みを持ったはずだ。それを聞いてもなお、ストップをかけなかったので名称変更は実現した。少なくとも、説明を聞いてどう思ったか、どんなやりとりがあったか、詳しい説明が必要だ。(歩)
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