”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

冷麦の謎に近づけたか?

2024-10-16 12:19:44 | 食育

2年ほど前から、ずっと疑問に思っていたことがあります。

その疑問の解決の糸口が見つかったような気がするので、

忘れないうちにまとめておきたいと思います。

(長くなります。興味のない方はスルーしてくださいね。)

 

 

ブログを通じて、色々な地域の方とお友達になっていただき、

その土地、その土地の食文化に触れるのは、とても楽しいことです。

そんな中、山形の方が夏のお昼の定番と言うと、

「素麺」ではなく「冷麦」を挙げるのを不思議に思っていました。

    

 

誤解のないように申し上げると、私は「素麺」よりも「冷麦」の方が好きです。

あの食感と喉越しは素麺では味わえないと思っています。

 

ところが、こちら(静岡)の乾麺売り場で、素麺と冷麦の占める割合を比べると、

圧倒的に素麺の方が多いのです。

冷麦は片隅に追いやられ、値段も素麺より20円ほど高い。

もっと申せば、冷麦を置いていないスーパーさえある。

だから、若い人の中には「冷麦?何ですか、それ?」という人もいます。

 【画像お借りしました。揖保乃糸の冷麦はスーパーにあります。】

  

  

また、「余った素麺活用法」などというレシピ紹介はありますが、

冷麦はそういう話題にも上らない。

マイナーな存在の冷麦を、どうして山形の人は食べているのか?

素麺よりも手に入りやすいのか?

  

ずっと疑問に思っていたら、偶然、facebookでこんな投稿を目にしました。

鉄腕DASHの放送内容について

「麦切り」を「現代人が見たことがない謎の麺」とかいうと

 山形人が怒るんじゃないか? #鉄腕DASH

 

 

えっ、麦切り? 山形? (@_@)

麦切りは、どうも麺の事らしい。

そして、山形と来れば、冷麦の謎の解決に近づくかもしれない!!

ここから、色々調べ始めました。

  

  

■麦切りって何?

麦切りの定義は、2つあります。

①大麦粉を塩で練って、短く切ったもので庄内地方の名物。

②小麦粉を塩で練って細く切ったもの。

庄内地方では、麦を育てる農家が多かったので、このような食べ方が広まったのでしょう。

 

 

一方で、「麦」と「切り」を逆にした「切り麦」という表現もあります。

■切り麦って何?

・小麦粉を塩で練って、うどんより細く切ったもの

つまり、「麦切り」の定義②と同じです。

  

  

■大麦粉は使われなくなった?

大麦自体は、麦ごはんとして多くの人に食べられていますが、

大麦を粉にして作る麺を食べる機会は減少し、麺に使われる麦は小麦となっていきます。

鶴岡市にある寝覚屋半兵エさんでも、麦切りは独自のブレンドであわせた小麦粉を

塩水で練って、伸ばし、細く切るという製法で作っていらっしゃいます。

      【画像お借りしました。寝覚屋半兵エさんの「麦切り」】

 

 

 

■麦切りと冷麦の関係

では、どうやって「冷麦」という言葉が生まれていったのか?

次のように推測することができます。

  切りをやして食べる → 冷麦

  切りをめて食べる → 温麦 熱麦

  

 

麦の栽培が盛んだった山形の庄内地方で、麦切りが生まれ、

それを冷やして食べるのが冷麦。

ここまではわかりましたが、

素麺ではなく、冷麦が主に食べられる理由にはたどり着けていません。

そこで、素麺の歴史を調べてみました。

  

  

■素麺の歴史

素麺の起源は、奈良時代に中国から伝来したお菓子の索餅(さくべい)とされています。

索餅はもち米の粉に水を加えて練り、細く延ばして縄状にねじり合わせたお菓子で、

当時は貴族しか食べられませんでした。

その後、室町時代に今の素麺の形となりましたが、江戸時代まで高級品として親しまれ、

庶民も食べられるようになったのは近代~現代に入ってからのことです。

  

 

当時、庶民の口には入らなかった高級品の素麺に似せて、

小麦粉を塩で練って細く切るという方法で作られたものが麦切りであり、

それを冷やして食べたものが冷麦・・・と言えるのでは?

 

  

山形の庄内地方で、栽培が盛んだった麦を使って麦切りという麺を作り、

そこから冷麦と言う食べ方が生まれた。

その食文化が山形の他の地域にも伝わり、今も守られている。

私は、そういう結論に至りました。

 

  

ここ数日、麦切り、切り麦、冷麦と麦についてばかり考えていました。

その間、色々とアドバイスをくださった先生方には感謝申し上げます。

 

 


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 金づちも調理道具です | トップ | 100点満点のケール »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (あみん (hgn))
2024-10-17 17:00:55
 素麺と冷麦。どこが違うんだろうね? または、違いなんてあるの? それが一般人の認識でしょうか(^^;

 今回も勉強させていただきました^^
返信する
あみんさん、こんにちは! (ume724)
2024-10-17 17:40:46
>あみん (hgn) さんへ
> 素麺と冷麦。どこが違うんだろうね? または、違いなんてあるの? それが一般人の... への返信
あみんさん、コメントありがとうございます。
また、長文をお読みいただき、ありがとうございました。
ホント、変なところが気になるので…。
すみません。<(_ _)>

JASでは、直径が1.3mm未満のものが素麺。
1.3mm以上1.7mm未満のものが冷麦とのことですが、
今回は規格など関係なく、調べまくってしまいました。(^-^;
返信する
Unknown (あみん (hgn))
2024-10-18 09:26:10
 私も知らないことだらけですから(^^;
 でも、そういう“拘り”って絶対必要だと思いますよ^^

※鉄腕Dashの引用、修正になりましたね(^^;
 多分誤字だろうとは思いつつ、ひょっとして深い意味があるのか……、と考えていました(^^;
返信する
あみんさん、訂正しました(^-^; (ume724)
2024-10-18 09:36:48
>あみん (hgn) さんへ
> 私も知らないことだらけですから(^^;... への返信
あみんさん、コメントありがとうございます。
昨夜、読み返してハッとし、急いで訂正しました。
返信する

コメントを投稿

食育」カテゴリの最新記事