「ろくべえ」というユニークな食べ物をいただきました。
長崎県 対馬の郷土料理で(「対馬の・・・」を強調させていただきます。)、
それをレトルトにしたものをいただきました。
1枚目の写真の箱には情報がいっぱい詰まっています。
名前のユニークさから俄然興味を持ち、色々調べたくなりました。
興味のある方は、お付き合いください。
●「ろくべえ」って何?
簡単に言ってしまえば、さつまいもから作られた麺のことです。
●対馬とさつまいもの関係 孝行芋って?
対馬には平地が少ないため主食のコメや麦が少なく、
島民は飢餓に苦しむことの繰り返しでした。
正徳5年(1715年)、原田三郎右衛門という郷士(農村に住んだ武士)が、
薩摩よりさつまいもを持ち帰り、栽培を始めました。
栽培は全島に広がり、島の食糧難を救いました。
そのことから、対馬では「さつまいも」のことを孝行した「孝行芋」と呼んでいます。
●「ろくべえ」ってどうやって作るの? まずは「せんだんご」作りから
さつまいもをスライスして天日干しにする。
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乾燥したものを砕いて粉状にする。
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それを何度も水に浸けてアク抜きする。
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沈殿したものを2か月かけて発酵させる。
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それを1ヶ月かけて乾燥させる。
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さらに水に浸けてアク抜き
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乾燥させる。
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それを砕いて水の中で揉む。
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沈殿したものを濾してかすを取り除く。
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乾燥させてから軟らかいうちにお団子に成形する。
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乾燥させて「せんだんご」出来上がり!!
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「せんだんご」に水を加えて粘土状にし、
それを「せんせぎ」と呼ばれるおろし金のような道具で押し出して麺状にすると、
「ろくべえ」が完成!!
完成まで約3ヶ月。
とにかく手間がかかっています。
●「ろくべえ」の名前の由来は?
この記事の最初に、私が「対馬の・・・を強調させていただきます。」と書いたのは、
実は島原にも「六兵衛 (ろくべえ)」という料理があるからです。
「六兵衛 (ろくべえ)」もさつまいもを原料とした麺料理ですが、製造工程が異なっています。
※島原の「六兵衛 (ろくべえ)」については、こちらをご覧ください。
その違いが味や食感にも表れていますが、
見た目が似ていることから「ろくべえ」と呼ばれるようになったのでは・・・と言われています。
では、いただいた「ろくべえ」のパッケージを開けて、実際に作ってみましょう。
「ろくべえ」とスープが入っています。
スープの具は、しいたけ、ごぼう、鶏肉です。
作り方は、200mlのお湯で「ろくべえ」を5分ほど煮て、
汁気がなくなったらスープを入れ、2分ほど温めます。
かまぼこ、ネギなどをのせて・・・
色は田舎蕎麦のような濃い色をしていますが、驚いたのはその食感!!
表面はツルツル、食感はぷにぷに、もちもち。
おつゆは、上品なかつお昆布だしのおすましです。
麺が短く、お箸でつかむのは難しいので、スプーンでいただきました。
さつまいもの麺とは言っても、決して重くはなく、
テレワークランチに炊き込みご飯と一緒にいただきました。
レトルトになっているとは言え、これだけ手間暇かけて作られたものを
わずか5分の調理で食べることができるなんて!!
その5分に詰め込まれた歴史的背景、製造工程も知ることができ、
今回も多くの事を学ばせていただきました。
「ろくべえ」と出会わせてくださって、ありがとうございます。
わずか5分の調理で食べることができるなんて!!
スローフードがファストフードでいただける^^
ありがたい世の中なのでしょうね。
私は、日頃ファストフードを口にする機会はそれほど多くはありませんが、たまにいただくと案外美味しいものなんだなって思います。何が何でもファストフードを排斥するのではなく、またそれに頼り過ぎてしまうのではなく、巧く活用していくということが肝要なのではないでしょうか。
>>これだけ手間暇かけて作られたものを... への返信
あみんさん、貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
対馬の飢饉を救ってくれたさつまいもを、
できるだけおいしく食べようということで
考えられた調理法だと思うのですが、
今はこんな手間をかけられなくなり、
こうしてレトルトという形でないと伝統料理を残せなくなったのでしょうね。
私も何が何でもスローフードじゃなければ…とは思っていません。
18歳、駿台模試の後、初めてマックを食べたあのワクワク感。(^-^)
思い出というのは、おいしさの大切な要素ですよね。
でも、2019年以降、マックに行っていません。
フィレオフィッシュが食べたいです。(T_T)