2014/04/14
「困りたる山幸彦は海辺にてどうするべきか思い悩めり()」
「そんなとき塩椎の神訪ね来てなんで泣くのと理由を問える()」
「答えれば塩椎の神汝がために善き謀ハカリゴトしよう言える
(1:塩椎は間なし勝間の小舟フネ造り山彦のせて教え申せり
,2:この舟をわれ押し流しやや行かば水路のありき
,3:その水路流れに任せ行きたれば鱗のような宮殿がある
,4:その宮は綿津見の神の屋敷なり門の傍ら井戸がありけり
,5:井戸の上湯津香木ユツカツラあり登れればやがて女が気づいてくれる
)」
「教えしはつぶさに言葉の通りなり言われるままに木上で待てる()」
「海の神の女豊玉比売の召し使い玉器を持ちて水汲みに来る
(1:井の中に人影があり仰げれば麗人がいて異奇アヤしと思う
,2:『水たまえ』火遠理の命言いたればは玉器で水奉る
,3:水飲まず首に掛けたる珠といて口に含んで玉器に入れる
,4:入れた玉はなれず器についたまま主人の比売にさしあげるなり
,5:事情聞き豊玉比売は外に出て麗しき人を見て感心す
,6:比売もまた父に言えれば外に出て尊いお方と宮にいれたり
,7:海驢アシカとか絹の敷物敷いた上座らせ馳走でもてなしにけり
,8:やがてまた豊玉比売に見合わせてそんなこんなで三年経てり
)」