wakabyの物見遊山

身近な観光、読書、進化学と硬軟とりまぜたブログ

新治市民の森ー2

2025-03-15 07:43:45 | 遊園地・公園・遊び場

新治市民の森に行ってきました(2025年2月)。

横浜で一番広い森です。この森を歩くのは今回2回目ですが、かなり深いので、まだ全貌は見れていません。森や山を歩く習慣があると、自然治癒力が高まって、心と体が健康になるんじゃないかという気がしています。私はまだ読んでないですが、ちょうど「グーグル社員はなぜ日曜日に山で過ごすのか(河原千賀 )」という本が出ました。それによると、米国のビジネスエリートたちは、休日には森や山をハイキングするのだといいます。彼らはどん欲だから、それが心身の健康にいいという知恵を得てさっさと生活に取り入れているのでしょう。

 

森に入る前に、「にいはる里山交流センター」に寄ります。写真は、管理事務所のエントランスホールで、イベントのチラシや市民の森の地図などが置かれていました。

 

こちらは、つどいの家で、朝市やイベントが行われるようです。それから、旧奥津邸という古い日本家屋が残されているのですが、またの機会に見ることにします。

 

ここから、森に入っていきます。

 

森の地図が掲示されています。南北逆転しています。下のほうの赤く書かれた現在地に今います。ここから入って、右側のみはらし広場まで行って、下のほうに向かって歩いて、現在地のあたりに戻るというコースで歩きました。森全体からしたら3分の1くらいのエリアしか歩いたことになりませんが、それでもたくさん歩いた満足感がありました。

 

歩いてみると、杉などの針葉樹林や、

 

竹林もあり、

 

雑木林が一番多く、様々な景観が見られます。

 

みはらし広場に着きました。ボランティアのおじさんたちが、手作りの木工品などの販売をしています。

 

みはらし広場から、さっきの地図の下方向に歩くと、長い森を通過したのちに、谷戸田(やとだ)に出ました。今も稲作が行われているようです。田んぼの水は、もしかしたら山の湧水が使われているかもしれませんが、よくはわかりません。横浜の江戸・明治時代くらいまでの原風景といったかんじです。

 

田んぼからは、水路が下流に向かって流れています。

 

森の外に出ました。さっきの出発地点のあたりに戻りました。小規模の畑作が行われていて、どこの田舎?というくらいの里山の景観があります。

とても良い気分で森歩きができました。


三浦半島の海岸でトビに襲われる

2025-03-08 08:11:46 | バイオフィリア(身近な生き物たち)

三浦半島の走水海岸でトビに襲われたというレポートです(2024年2月23日)。

横須賀美術館に行こうと思って、京急馬堀海岸駅で下車、バスの時間を見たらだいぶ待ちそうだったので、美術館まで約4kmの道を歩くことにしました。

 

京急馬堀海岸駅から海辺に出ると、「うみかぜの路」馬堀海岸遊歩道が海沿いを通っていて、観音崎まで続いています。遊歩道はこの護岸の海側を通っています。

 

天気がいい日です。向うには横須賀の町や猿島が見えます。

 

このあたりは海水の透明度が高くて、海底がきれいに見えています。

 

海岸にはなぜか、オオバンやカモ類がいました。ふだんは淡水域に住んでいる鳥たちですが、ここで何をしているのでしょうか。

 

走水海岸にある走水水源地公園に入ります。右側に並んでいるのは桜の木です。

ここでベンチに座って海を見ながら、スパムおにぎりを食べ始めました。2、3分たった頃でしょうか、突然後ろから来た何者かにおにぎりを投げ飛ばされました。一瞬、間をおいて、私は「ヤラレタ」と声を出していました。目にも止まらないスピードでトビが飛んできて、おにぎりを地面に落として、飛び去ったのです。私の体にはまったく触れずに、傷つけずに、スマートな早業でした。そして私は心のなかで「おみごと」と叫んでいました。

 

地面に落としたおにぎりを宙に投げてやって、トビが取りに来たところを撮影しました。トビは一発でおにぎりを奪って逃げることはできなかったので、①食べ物を突き飛ばす、②地面に落ちたのを採って逃げる、という2段階作戦に切り替えたはずです。

 

さっきまでトビなんて1羽もいなかったのに、今や私の真上を多くのトビたちが飛び回っています。トビの視力は8~10といわれていますし、非常に正確かつ敏捷な飛行能力を持っています。見えてる世界・生きてる世界が、ヒトとは全く違うんだなと思わされます。

 

さて、歩を進めます。波崎緑地展望デッキの近くからは、さっきの走水水源地公園や遠く横須賀の町などが望めます。

 

横須賀美術館に着きました。目的は、「生誕120周年 サルバドール・ダリ -天才の秘密-(2025.2.8~4.6)」を見ることでした。わたしよりちょうど60年上の人だから、おじいちゃんくらいのかんじ。

 

この美術館は、2024年度プリツカー賞受賞者の山本理顕さんが設計しました。ミュージアムショップには、理顕さんグッズのコーナーも作られていました。

とってもカッコいいおじいちゃん、ダリは私が昔から好きな画家です。見かけによらず、極めて繊細な心の持ち主だけれど、大胆に生きました。今回の展示は、諸橋近代美術館所蔵品を中心とした作品だったそうです。福島県の諸橋近代美術館にはなかなか行けなかったので、手軽に見れるよい機会でした。ただ、大型で濃密な作品はそんなに多くはなかった印象です。


菜の花が満開の吾妻山

2025-03-01 08:11:31 | 箱根・湘南・三浦

湘南にある吾妻山に菜の花を見に行ってきました(2025年2月16日)。

吾妻山は、相模湾に面した丘陵地の一部。この丘陵地は、丹沢山地とは別に、海沿いを低い山々が連なっています。

 

東海道線二宮駅を下車、歩いて5分くらいで、吾妻山公園入口に着きます。ここから、しばらく階段を上ります。

 

入口にあった地図です。右下の役場口から入り、左の菜の花畑(吾妻山頂上)まで上ります。そこから今度は、下の梅沢口まで下り、もう一度、吾妻山頂上まで上り直して、最後は役場口に向かって下りていくという経路で歩きました。これもトレーニングの一環です。

 

上っていくと、きれいに手入れされた公園があります。

 

スイセンも満開。

 

吾妻山(136m)頂上。

 

頂上の菜の花畑。右のほうの枯れた木は桜だそうです。

 

小田原の方向、海も見えます。

 

梅沢口に向かって階段を下りていきます。こちらは勾配がけっこうきつくて山っぽいですが、見晴らしはよくありません。

 

中腹にある吾妻神社。

 

梅沢口に着きました。ここからまた上り返します。

 

吾妻山頂上に着き、役場口に向かって下りていきます。ここは、さっきの地図によれば第2展望台といいます。じゃあ、第1展望台はどこ?と思うのですが、地図には出ていません。なぞの第1展望台です。

 

ここからは、東海道線二宮駅や二宮町が見えます。

吾妻山頂上近くには子供向けのアスレチックもあり、うちの娘も小さい時に遊びに来ました。また、折々の植物をいろいろと見ることができる公園です。


大野山に登る

2025-02-22 07:44:17 | 西丹沢

西丹沢の大野山に登ってきました(2025年2月10日)。

低山でいいので、春、秋、冬と年に3回くらいは山に登りたいと思っています。最近では、2024年3月の高尾山、2024年11月の鎌倉アルプス、2025年2月の大野山と登ったことになるので、まあいいペースで来ています。

大野山(723m)は、登山口になるJR御殿場線谷峨駅まで行くのに横浜から少し時間がかかりますが、バスでの乗り継ぎは不要なのでアクセスはまあまあ、低山なのでそんなに気合は入れなくても登れる、はげ山なので晴れていれば山頂からの眺望は最高、とメリットの多いとてもいい山だと思っています。そして、この日は平日に休みを取って行ってきたので、ハイカーも少なく、静かでリラックスした山歩きを楽しめました。

 

ネオアコ・シリーズが続きます。アズテックカメラのアルバム「ハイランド・ハードレイン」のこの曲は、抒情的でドラマチックで大好きです。

The Bugle Sounds Again

 

小田急線新松田駅からJR御殿場線松田駅に乗り換えます。このあたりも山がちな地形です。

 

御殿場線谷峨駅で下ります。右奥のほうに明るく見える山が大野山のあたりだと思います。

 

駅からは、田んぼの間の道を行きます。

 

酒匂川の嵐橋という吊り橋を渡ります。10人しか渡れないこわい橋なんです。

 

低い手摺越しに、おそるおそる下を流れる酒匂川を覗きます。

 

無事渡りました、この橋です。

 

橋の近くには堰が作られていて、奥には東名高速道路が通っています。

 

坂道を上りはじめるとすぐ現れる第○サティアン風の建物。しかし、怪しい施設ではありません。道路公団の建物で、おそらく高速道路の建設やメンテナンス関連の施設だと思われます。

 

山道に入ります。冬だけれど日当たりのよい登り道のため、途中から暑くて汗をかきました。

 

ミカンの木が2、3本ありますが、放棄されているようです。

 

別荘風のお宅が見えます。山の中腹ですが、道路と電気が通っているのでこのあたりには人が住めるようで、他にも何軒か民家がありました。水道はどうなっているのでしょうか。

 

このあたりでクマが出たという話はあまり聞かないのですが、「注意・熊出没」の看板が出ています。クマ除けのベルやスプレーを購入しようかどうかと悩んでいるところです。

 

車道を横切ると、休憩所+トイレがあり、右の登山道を進んでいきます。

 

静かな冬枯れの山。

 

2月15日まで銃猟をするということは、まだやっているということ。クマも怖いけど、狩猟者も怖い。

 

高度を上げてきて、眺望がよくなってきました。小田原のほうですかね、海も見えます。

 

はげ山らしい風景になってきました。もうすぐ頂上かと思いきや、まだまだあるんです。

 

富士山もよく見えています。

 

愛鷹山。

 

これでやっと634(ムサシ)m。まだ、90m!もある。

 

左が東名高速道路、右が建設中の第二東名高速道路。

 

そして、ついに大野山山頂に到着。

 

富士山や、

 

丹沢湖や西丹沢の山々。

 

檜洞丸?

 

蛭ヶ岳?

 

このあたりがてっぺんかな。

 

箱根の大涌谷の煙も見えます。

 

さて、下山します。山北駅に向かうルートで下ります。はげ山の様子がよくわかります。このあたり一帯は、牛の放牧や牧草地として使われているのです。

 

東丹沢のほう、豊かな山塊です。

 

猛禽類が悠然と飛んでいきました。

 

牧場の一つ。ここには入りません。

 

このとても長い階段を下りていきます。標高差100mはあろうかと思われる階段です。

 

ここで、さっきも見た634m地点ですね。

脇には牧草地が広がります。

 

杉林では一部伐採がされています。

 

ニホンジカがいました。写真では、3頭がこちらを見ていますが、6頭ほどいました。こうやって出会うと可愛いのですが、害獣として認識されています。

 

中腹にある共和小学校は、地域の生徒数の減少により、7年ほど前に廃校になったそうです。

ここからだいぶ下ったところで、軽トラに乗ったおじさんが山北駅までなら乗せてくよと言ってくれたので、お言葉に甘えて車に乗せてもらいました。歩いたら20~30分の距離でしたが。小学校の廃校のことはそのおじさんから聞きました。

上りに1時間40分、下りも1時間40分かけて、約2万歩の歩数でした。弱点の右膝は痛くなる直前でなんとか持ちました。ふだんの膝トレーニングをやってはいますが、もう少し頻度を上げねばいけないなと思います。


僕の読書ノート「進化生物学:DNAで学ぶ哺乳類の多様性(佐藤淳)」

2025-02-15 08:17:41 | 書評(進化学とその周辺)

 

本書のタイトルを見ると進化生物学の教科書のように思うが、中身は一般的で網羅的な教科書とは趣が異なっている。瀬戸内地方を拠点にして哺乳類の分子進化学の研究を行っている著者自身の研究史を紹介し、それを一例として、進化生物学の研究の進め方を指南する読み物である。進化生物学の研究を志している高校生や大学生にとって、将来を思い描くための参考になるだろう。一方で、著者の研究のくわしい方法論、とくに近年の遺伝子解析法の解説が書かれているので、分子進化学の教科書的な知識を得るのにも役立つ。

私が読んで気になったところを、章ごとに下記に記録しておきたい。それらは、著者の研究に対する思いも含んでいる。

 

第1章ー美しい島

・レトロトランスポゾンを含めた移動因子は哺乳類の進化において重要な役割を果たしたともいわれており、たとえば、胎盤、乳腺、二次口蓋(赤ちゃんがミルクを飲みながら息をするために必要)の形成においてレトロトランスポゾンが関与していることが示唆されている。乳腺の形成に関わる遺伝子の近くにはLINEが”連れてきた”転写因子結合領域が存在し、遺伝子の発現のオンオフを調節している。

・著者の研究によって、瀬戸内海島嶼のアカネズミのミトコンドリアDNAハプロタイプは共有されておらず、遺伝的分化が示唆された。次世代シークエンサ―を用いたゲノムレベルでの一塩基多型の分析により、海のなかったときに存在した古代河川の豊予川が、瀬戸内海島嶼のアカネズミの遺伝的分化に大きな影響を与えたことが明らかになった。瀬戸内海の島々は進化の研究をおこなうにあたり、大変魅力的なフィールドである。「なぜ、進化生物学を学ぶのか?」それは、面白いからである。面白さを感じずにどうしてこんな面倒くさい研究ができようか?

第2章ー日本列島と進化

・環境の有限性は進化に大きな影響を与える。海峡に囲まれた日本列島は、様々な有限な世界を提供する世界的にも大変興味深い場所である。海外の研究者との共同研究で、世界に生息する生物を研究するのもダイナミックで興味をそそられることではあるが、日本には興味深い生物およびそれを生み出した有限の世界があふれている。

・ただ、日本の生物を題材にする研究に陥りがちなのは、自己満足になってしまうことである。そうならないように、世界に振り向いてもらえるようなテーマをうまく見つけるのがよいのであろう。世界が興味を持つ気候変動や生物多様性の問題に自分の研究を関連づけるのもひとつの手だ。

第3章ー進化の痕跡

・進化の系統は毎回2つずつに分岐していくのが通常と考えられるが、系統樹において、関係性がわからず、3つ以上の系統が同時に分岐していることをポリトミー(他分岐)と表現する。そのなかで、DNAマーカーにおける系統情報が十分ではないために生じたポリトミーをソフトポリトミーと呼ぶ。一方で、本当に3つ以上の系統が同時に分岐していた場合、ハードポリトミーと呼ぶ。

第4章ー退化の痕跡

・もし実験をするときには、必ず実験ノートを取ることになる。これはとても大切な実験結果の証拠となるのだ。しかし、実験機器が出してくるデータをただ貼り付けるだけでは、後で見返したときに、どのようなことだったのか忘れてしまうことがほとんどである(わたしの頭のスペースはきわめて限られている)。そのため、サンプルの詳細や実験の条件などこと細かに書いておくほうが自分のためになる。

第5章ーテクノロジーと進化

・テクノロジーの発展により、処理しなければならないデータ量が格段に増えた。これからは、ゲノムの海のなかから、自分が欲するデータを取り出し、分析する能力が求められる時代となる。このようなバイオインフォマティクスだけで、人生を使い切ってしまうこともできるくらいだ。しかし、今一度、なにを研究したいのかをよく考えてみてほしい。

第6章ーなぜ進化生物学を学ぶのか

・「役に立つかどうかで研究をするべきではない」。なぜならすべての研究のなかから役に立つ研究に焦点をあてると、そもそも研究の視野が狭くなってしまうのだ。また、役に立つ研究は時代とともに変化するため、少し先の未来のことであっても「役に立つかどうかなど、今の社会には分からないことが多い」。役に立たない研究が、異なる時代に役に立つこともあれば、役に立つといい続けた研究が結局、なんの役にも立っていないこともある。社会はまず、すそ野の広い科学を受け入れる度量を身につけなければならない。

おわりに

・なにかに熱中するのに人生におけるステージは関係ない。それまでなんの興味がなくても研究を始めることができる。やってみると好きになることもある。「子どものころから生きものが大好きだった」などと、自分の今を意味づける必要など全くない。大切なのは今の本気度である。

・海外の研究者との交流は、島国では得ることのできない多様な意見を得ることができる。私が得たなかで最も大きいのは、ポーランドの共同研究者であるMieczslaw Wosan教授の言葉である。それは「面倒であると感じたときには、その面倒な方向に正解がある」という指摘であった。要するに、真正面からぶつかり解決していくしかないということだ。人が嫌がることのなかに、きっと生きる道があるかもしれない。なぜなら、他の人たちはそれをしないから。