wakabyの物見遊山

身近な観光、読書、進化学と硬軟とりまぜたブログ

東京タワーに行く

2019-09-28 14:46:22 | 東京・川崎
東京タワーに行ってきました(2019年9月22日)。

最近、TV番組「マツコの知らない世界」での紹介で見たり、中沢新一著「アースダイバー」でその文化人類学的な来歴を読んだりと、ふれることの多かった東京タワー(高さ333m)に家族で行ってきました。


番組で薦められていたルートで参ります。
三田線御成門駅A6出口からスタートです。芝公園の緑の中を通っていくのが気持ちいいです。


この港区のあたりは「森ビル」の近未来的な高層ビルがどんどん増えてるのです。


東京プリンスホテルのわきを抜けていきます。


橋脚のところに着きました。




見上げるとカッコいいですよ。


敷地内に停まっているダブルデッカーの観光バスには、外国人ばかりが乗っています。






タワーの周りを一周します。
「アースダイバー」によると、朝鮮戦争で破壊された米軍の戦車の鉄屑を材料にして作られたそうです。


こちらにも「森ビル」が。


エレベーターでメインデッキ2F(150m)に昇りました。
今回は、トップデッキ(250m)までは行きません。


メインデッキからの眺め。
やっぱり「森ビル」が目立つ。


東京プリンスホテルと増上寺。


「アースダイバー」にも書かれていた通り、この辺りは墓地が多いです。
ここは、縄文時代から人が住み、古墳も多く集まり、関東大震災と東京大空襲では焼け野原となり、死と繋がった場所なんだそうです。


そして「森ビル」の象徴的な六本木ヒルズ。


メインデッキ1Fに降りる階段スペースにあるアールデコ風な東京タワーのパネル。


メインデッキ1Fにはスカイウォークウィンドウというのがあって、ガラス越しに下が見えます。


子供はこんなことを平気でやります。


さて、ここから階段で降ります。


階段からは金網越しに外が見えます。


フットタウン(タワー下のビル)の屋上に着きました。
写真は、階段で登るときのゲート。


屋上から見上げると幾何学的な模様が。


東京タワーを出て、ザ・プリンス パークタワー東京の前の芝公園の一画まで来ました。



突然ですが、ここはクイーンが来日したときに撮影した場所。
私が中学生のころ、「世界に捧ぐ」のころでしょうか、こんなカッコいい音楽が世界にはあるのかあ、と思ったものです。シングル・レコードを買い集めていました。



それで、私も記念撮影を。

そして、東京タワーがライトアップしていく瞬間を見ました。






増上寺の背後にそびえる東京タワー。

僕の読書ノート「うつと発達障害(岩波明)」

2019-09-21 10:06:57 | 書評(発達障害)


結婚して妻からあなたは普通じゃない、変わっている、だから私はつらい、と言われた。それから、自分は何者なのか?の探求が始まった。子供のころから生きにくいとは感じてきた。でも自分が普通じゃないという自覚はなかった。むしろ、いつもハッピーそうに見える他人のほうがおかしいんじゃないかと思っていた。
直感的に関係しそうな本を探してきて読むことで、自分は何者かの探索を始めた。「内向型人間の時代」(スーザン・ケイン)を読んで、自分はまさにこれだと思ったが、内向型というのはかなり大雑把な分類だ。次に、「いやな気分よさようなら」(デビッド・D・バーンズ)の「ベックうつ病調査票」でうつ病の自己診断をしたら、正常範囲だった。そして、「過敏で傷つきやすい人たち」(岡田尊司)の「過敏性チェックリスト」でテストしたら、過敏な傾向が中等度で、生活障害指数が中等度の支障という判定結果だった。これにより、自分は生活に障害を示すレベルの過敏な傾向があるということがわかった。さらに、発達障害や愛着障害が過敏性の原因になりうると書かれていた。発達障害の中でも、注意欠如・多動症(ADHD)より、自閉スペクトル症(ASD)のほうが過敏性と関係が深いらしい。自分は、もしかしたらASDかもしれないという気がしてきた。

そして、本書を見つけた。著者の岩波明氏は、医学部の精神医学講座主任教授だから、おそらく現在の精神医学の本流に沿った解説を書いてくれているだろうと考えた。この分野は、私流の論客が多いので、本流が知りたかったのである。そして、本書の特徴はなんといっても、ADHD(成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1))、ASD(成人期のASDの自己記入式症状チェックリスト(RAADS-14日本語版))、うつ(簡易抑うつ症状尺度(QIDS-J))のセルフチェックができることだ。このリストはあくまで目安で、正式な診断には必ず医療機関を受診するようにとされているが、これらのチェック表は医療でも使われている診断表であり、おおよその傾向が把握できることは間違いないだろう。このセルフチェックによって、私はやはりASDの可能性が大きいことが判明した。そして、ADHDではないこと、軽度のうつ病の可能性のあることも示された。以前やった「ベックうつ病調査票」では、うつに関して正常範囲であったが、テストの種類によって多少結果がずれることもあるのだろう。

さて、その他に本書で目に止まったポイントを下記に記す。

[発達障害]
・近年、大人の発達障害が注目されるようになってきた。まだ誤解も多いが、発達障害は、大人になったからといって、症状がなくなるわけではない。本人がうまく対応して目立たないだけである。
・発達障害における社会的な障害によって、学校や職場におけるいじめ、生活上の失敗、そこから生じるストレス、ネガティブな思考などが生じやすくなる。これらを原因として、うつ病をはじめとして、社会不安障害(対人恐怖)、パニック障害、躁うつ病など、さまざまな精神疾患が発症する。これらが二次障害である。
・発達障害の専門外来にやってくる人の95%以上は知的に正常か、それ以上の知能の持ち主であり、学歴もほとんどが大卒である。発達障害の中で、天才的といってもいいほどの特別な才能を持っている人の例もあり、サヴァン症候群と呼んでいる。そうした例はとくべつ多いわけではなく、発達障害の人の5%以下だと考えられている。
・発達障害の症状は「スペクトラム」であり、さまざまなグラデーションがみられる。そのため、発達障害という確定的な診断には至っていなくても、発達障害的な特性の「グレーゾーン」であり、日常生活にはさまざまな問題を抱えているケースはよくみられる。

[ADHD(注意欠如多動性障害)]
・ADHDでは、「マインドワンダリング(精神の徘徊)」が特徴としてみられる。これは、注意力が散漫であるということとともに、目の前の課題から離れて自由に想像力を広げることができる、創造性(クリエイティビティ)に結ぶつくという面もある。

[ASD(自閉症スペクトラム障害)]
・ASDは、かつて広汎性発達障害と呼ばれた疾患の総称で、自閉症やアスペルガー症候群が、このカテゴリに含まれる。スペクトラムとは、「連続体」という意味で、ごく軽症の人から重症の人まで、さまざまなレベルの状態の人が分布している。また、ASDは親の養育・愛情不足が原因という考えは、俗説に過ぎず、現在は完全に否定されている。
・遺伝的な要因が大きいことはわかっているが、まだ決定的な原因は解明されていない。フラジャイル(脆弱)X症候群、結節性硬化症、レット症候群、アンジェルマン症候群といった特定の遺伝性疾患を持つ人に、ASDの合併率が高いことが知られている。また、妊娠中の子宮出血、母親の糖尿病、周産期の低酸素状態なども子供のASDの危険因子と考えられている。
・ASDの精神療法には触れられていない。薬物療法については、ADHDに対しては認可された薬物があるが、ASDに対しては現在のところ認可された治療薬は、日本、海外含めて存在していない。オキシトシンが検討されたがはっきりした結果は得られていない。海外では、別の治療薬の臨床試験が進められている。

[うつ]
・「うつ状態」と「うつ病」は完全に一致するわけではない。うつ病ではないが、うつ状態がみられるものの一つに「気分変調症」がある。この疾患は、軽症のうつ状態が慢性的に、長期間持続するが、重症のうつ状態になることはない。
・「新型うつ病」という言葉が、近年マスコミで取り上げられるようになった。例えば、うつ病で休職中なのに、自分の趣味の活動には積極的な人などを呼ぶ。しかし、この言葉はもともと精神科医の香山リカ氏の著作から広まったもので、実際にはうつ病ではなく、医学的にも「新型うつ」という言葉はないという。こういういかにもありそうだが実体のない偽の病名が流布することがあり、「アダルトチルドレン」もその一つだ。(HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)もそうだろう)
・うつ病の人には、落ち込んだ気分を和らげるためにお酒を飲む人が多いが、逆にアルコールの作用として、うつ状態を誘発したり、悪化させたりすることがある。「お酒を飲んでストレス発散」は避けるべきである。
・うつ病の予防や治療に、運動が効果的であることは、さまざまなデータで示されている。ウォーキングなど適度な運動がすすめられる。しかし、うつ病の予防や治療において大切なのは、なによりも休養なので、運動のやり過ぎで逆にストレスにならないよう、注意が必要である。
・うつ病の治療法として、認知行動療法があり、保険適用されており、推奨する医師も多い。しかし、多くのマンパワーと時間を要する治療法であり、まだ十分に普及していないのが現状だ。
・きちんと精神科の治療を継続し十分な薬物療法を受けていても、長期間にわたり引きこもりに近い状態を続け、職場復帰を果たせず慢性化するうつ病患者が、かなりの数存在する。こうした慢性うつ病に対する治療方法は、確定したものはなく、現時点では手探りの状態が続いている。

[パニック障害]
・パニック障害の症状は、身体的な異常がないにもかかわらず、突然の動悸、呼吸困難、発汗、ふるえ、めまいなどのパニック発作を繰り返す、というものだ。出現頻度の高い一般的な疾患であり、患者数は人口の2~3%程度、また10人に1人の割合で一生に一度はパニック発作を起こすという。発達障害の人がパニック障害を起こす比率は非常に高く、発達障害のない人の倍だといわれている。また、うつ病とパニック障害を併発している例も非常に多く、パニック障害がうつ病の前駆症状として表れることもある。
・完全に症状が消える症例は、全体の3分の1から半分程度の割合で、1~2割は抗うつ薬、抗不安薬を服用して症状をコントロールしながら暮らしていくことになる。

最後に、発達障害は、「疾患」「障害」といった側面を持つ一方で、個性というべきケースも少なくない。また、発達障害の特性をうまく利用して、社会の中で成功している人もいる。従って、治療、日々の生活において、自らの特性を知り受け入れることが重要だとしている。

サンシャイン水族館に行く

2019-09-14 21:57:27 | 動物園・水族館
池袋のサンシャイン水族館に行ってきました(2019年9月7日)。

娘の誕生日プレゼントを買うために、スクイーズのお店、池袋モッシュに行き、その後、サンシャイン水族館に行ってきたのです。


池袋モッシュの店内。スクイーズといっても多くの人は知らないと思うので簡単に説明します。発砲プラスチックのような素材でできたフワフワの触感のあるオモチャで、パンや果物のような食品やキャラクターモノをかたどった形をしています。女子小学生の間で流行っているそうです。モッシュというのはそういう商品を扱う有名店らしいです。


イチゴのスクイーズの中で泳ぐ。


プレゼントを買った後、池袋サンシャイン60にやってきました。


サンシャイン60のとなりにあるサンシャインシティーにサンシャイン水族館はあります。
ここに来たのは初めてです。水族館そのものに来たのも、3、4年ぶりくらいです。
ここはメインの水槽。エイのシッポが見事にピンと伸びてます。


餌付けのショーです。


クラゲのコーナー。


こちらもエイ。


ナマズのなかま。奥の魚類はなんだかわかりません。


エレファントノーズドフィッシュ。
光を反射しないステルス戦闘機のような、神秘的な魚です。
昔、エジプトでこの魚を食べる食べないをめぐって戦争になったということは、先日「食と健康の一億年史(スティーブン・レ)」の書評で書いたところです。


アホロートルという名前で知られています。メキシコサンショウウオという種類の両生類が変態する前に成熟したものをアホロートルというそうです。カエルで言ったら、オタマジャクシがそのままの形で親になったようなものです。


屋外エリアに出ます。


コツメカワウソ。


そして、ここが有名な空飛ぶペンギンが見れる水槽。
客足が低迷していたサンシャイン水族館は、これを作ったら入場客がV字回復したそうです。


頭の上を飛んでいるようです。


飛んでますよ。
こりゃあ、すばらしいアイデアです。


人の皮膚の角質をたべるというドクターフィッシュ。


食べてます。私はちょっと気持ちわるいな。

僕の読書ノート「食と健康の一億年史(スティーブン・レ)」

2019-09-08 11:07:43 | 書評(進化学とその周辺)


帯に、ジャレド・ダイアモンド絶賛!!などと書かれているので、間違いないだろうと思って買ってしまったが、ちょっと判断を誤ったか?当初、食の進化の系統的な説明を読みたいと思っていたのだが、いざ読んでみると旅のエピソードやら様々な説やらがグルグル渦巻いていて、結局結論はなんだったんだ?という感じが最初から最後まで続く本であった。それでも、興味深い内容はいろいろと抽出できたので、気を取り直してなんとかまとめてみる。

本書は、著者の自然人類学の研究のための世界の旅で得たたくさんの知見や、食に関わる多くの人たちへの取材で得られた情報を絡めながら、食の健康への影響を考えていく。現代では、食が関連して数多くの健康問題が浮上してきているが、それを解決する上で非常に重要なことが「進化」の視点であるという考えのもと、論考が進められていく。本書で対象とされているのは、昆虫食、果物、肉、魚、植物性食品、アルコール、乳製品、アレルギー・感染症、肥満、伝統食である。

昆虫食:昆虫はかつて人間社会の主要なカロリー源だった。昆虫には必須アミノ酸、オメガ3、オメガ6脂肪酸、ビタミンB、βカロチン、ビタミンE、カルシウム、鉄、マグネシウムなどが含まれ、それらの含有濃度は肉を上回る場合もある。そして、食用昆虫の養殖は、環境への影響がずっと少ない。コオロギは、体重1単位量を増やす際の二酸化炭素排出量が畜牛の50%で、飼料を効率的に食料に変換する割合は、鶏の2倍、豚の4倍、畜牛の12倍だという。あなたも自分好みの昆虫を見つけて食べていいのだと勧めている。

果物:スティーブ・ジョブスのすい臓がんは、彼が実験的に行っていた極端な果食主義と関りがあると推測する人たちがいる。映画でスティーブ・ジョブス役を演じる役作りのために1ヶ月間果食主義を続けた俳優のアシュトン・カッチャーはインスリンとすい臓の異常で入院することになったという。

進化における遺伝子の変化:
①我々の霊長類の祖先はビタミンCを合成する能力を失った。ビタミンC合成の最終段階に関わる酵素GLO(Lグロノラクトン酸化酵素)遺伝子が働かなくなったためである。熱帯多雨林で暮らしていた我々の祖先は、十分な果物や昆虫からビタミンCを得ることができたからだという。
②4千万年前から1千6百万年前までの間に、我々の祖先は、ウリカーゼという尿酸の分解を助ける酵素の遺伝子を徐々に失い、そのために尿酸値が上昇しはじめた。それにより、痛風の疾病素因を持つようになった。尿酸の進化についての一つの仮説は、ビタミンCを生成できなくなった代わりに、尿酸を抗酸化剤として利用するようになったというものだ。
③アルコール・デヒドロゲナーゼ(ADH)遺伝子は、アルコールをアセトアルデヒドに変換するのを助ける遺伝子だ。1万年から7千年前に、人類にADH遺伝子の変異体が出現し、とくに東アジアで広まった。この変異体は、有害なアセトアルデヒドを大量に生成することで、アセトアルデヒドの分解が間に合わなくなり、顔が赤くなる、頭が痛くなる、二日酔いになる、といった症状を引き起こす。これらの症状が、ADH変異遺伝子保持者に飲み過ぎを控えさせ、彼らを守っているという。この遺伝子変異体の出現率は、コメの栽培が最初に始まり、そのすぐあとに米を使った酒が生まれた場所で高まった。
④酪農の歴史をもたず、乳製品からカルシウムを摂ることのない民族では、カルシウムをより効率的に吸収することを可能とする遺伝子の変異を持ち、骨密度を高めるのに役立っている。一方、毎日大量のカルシウムを摂取する現代の食事においては、カルシウムの影響を受けやすい前立腺がんのリスクが高まる。こうした遺伝子は、アメリカ南西部に住むアフリカ系アメリカ人の71%、東京に住む日本人の45%、ヨーロッパ北西部を出自とするユタ州の住人の20%が持っている。
⑤牛乳と大量の肉を摂取している牧畜民は、それらの食物に含まれる大量のコレステロールに対処できるように遺伝子的適応が生じている。マサイ族の1日当たりコレステロール摂取量は、欧米人の4~6倍にのぼるが、コレステロールの血中濃度は、欧米人よりもはるかに低い。マサイ族では、コレステロールの代謝と合成、アテローム性動脈硬化症(コレステロールの沈殿による動脈の硬化)に関わる遺伝子の変異が認められる。
⑥ラクターゼ持続性は、成人になっても乳糖を分解するラクターゼの生成が衰えないことである。ラクターゼ持続性は、伝統的に乳製品に頼ってきた、イギリス人、スカンジナビア人、北インド人、東アフリカや中東の人々で高い。南インドや地中海東部では15%程度あるが、西アフリカ、東アジア、アメリカ大陸ではほとんど見られない。全体的には、世界の3人に2人がラクターゼ生成能をもっていない。

食の民族間の違い:食べ物に関する文化的習慣が民族的対立に発展し、よそ者を排除するために使われることもある。例えば、かつてエジプトの都市オクシリンクスでは、エレファントノーズドフィッシュが崇拝されていた。ある日、キノポリスの住人がエレファントノーズドフィッシュを食べているところを目撃したオクシリンクスの住人が、仕返しにキノポリスの人々が神聖視していた犬を食べ、それがきっかけで内戦が始まったという。また、ベトナム人が1970年代にマレーシアのある島の難民収容所に収容されていた時、所内で豚を捕まえて食べているのを見つかった収容者は、地元当局によって鞭打ちの刑に処されていたという。ある人にとって崇拝の対象が、他の人には食事の対象となるということがあるのだ。

日光の影響:日光に当たることはホルモンやビタミンを介して、体に様々な良い影響を及ぼしている。そうしたものとして、ドーパミンを介した近視、セロトニンを介した季節性情動障害(SAD)や抑うつ、メラトニンやビタミンDを介した統合失調症や自閉症などの抑制が、考えられている。日光はビタミンDを生成する。ビタミンD不足と喘息、アレルギー性鼻炎、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎の関係は長年研究が行われている。血中のビタミンD濃度の高さとこれら疾患の発症率の低さは相関するが、日光に当たるのはよくても、ビタミンDを摂取すればこれらの疾患の抑制につながるわけではないという報告も多く複雑である。

肥満の原因:肥満の原因は、過剰な食物摂取だと言われているが本当にそうだろうか。現代人の食物の摂取量やエネルギー消費の程度は祖先たちの時代とほぼ同じである可能性がある。著者は、身体的不活動が鍵だと考える。人類の祖先は長時間じっとしていることはめったになかった。一方、現代人は、テレビを見る、机の前に座る、運転する、などと動かない時間が長い。

栄養学的研究の限界:これまでの栄養学的研究の主な欠点は、進化理論がもたらす洞察を無視してきたことだ。人類の背後にある進化の歴史を理解せずに最適な食事法を決定しようとするのは、無理がある。進化の理論だけが、栄養や健康も含めて、生物体の構成要素のすべてがどのようにつながり合っているかを理解する方法を提供してくれる。

食べ方と生き方のルール:最後に、上記の視点に立って食と健康に関する普遍的な真理が挙げられている。
①よく歩く
②アルコールは適量を
③若いときは肉と乳製品は控えめに
④伝統食を(自民族の祖先が食べていたものを)食べる
⑤持続可能なやり方で食べる
⑥自分の肌タイプが必要とするだけの日光を浴びる
⑦安全な菌や寄生虫に感染する
⑧料理は低温で
⑨流行りのダイエットは効果がない(運動不足を補おうとして食事法を変えても望む結果は得られない)

ネコは飼主の死期にも感謝の気持ちを伝えるか?

2019-09-01 21:18:07 | 猫・犬
以前読んだ本が気になって読み返していました。


「作家と猫2(2011年発行)」という本の、日高敏隆氏と飼いネコとの関係が書かれたページです。

日高敏隆氏(1930-2009)は、日本の動物行動学の創始者であり、一般向けも含めてたくさんの著書があります。プライベートでは、大のネコ好きだったということで、日高氏と飼いネコとの関係がこの本に書かれています。その中に、奥様の日高喜久子氏が書いた文章があって、下記の部分に目を止めました。

『今いる猫はかつて2年間家の庭で「入れてくれ」「入れてくれ」と鳴いていたのら猫で、名前は韓国ドラマの主人公シン・ドンヒョクと同じ。通称「シン君」です。彼は小さい時、余程虐待を受けたのか情緒不安定で、いつもニャーニャー鳴き続けているので、はじめ「なき猫」という名前でした。なき猫のシン君は誰にもなつかず、主人はあきらめて「シン君は可愛くないなー」といつもこぼしておりました。主人は「こいつ、人にあまえないくせによく太ってるナ」と言っていました。日高自身は偏食で太ってなかったのですが・・・・・。
主人が亡くなる5日程前に「シン君が抱っこしてって来たよ」というと「いいよ来なくても」と言っていましたが、無理に布団の中に入れてあげると「いいよ来なくって」と言いながらじっとだいていました。猫もじっとだかれていました。両方とも辛抱していたのでしょうか・・・・?』

臆病なためずっと主人になつかなかったネコですが、もうすぐ死にそうだという場面に遭遇して、最後の感謝の気持ちを伝えるために、意を決して甘えに行ったように見えます。
以前、「ネコは死期を悟ると飼主に感謝の気持ちを伝えるという」の記事を書きました。上の文章を読んで、もしかしたらネコは、飼主の死期にも感謝の気持ちを伝えることがあるのではないかと思いました。飼い主が死ぬ前のことですから、そういう場面に遭遇したり、観察したりする機会はとても少ないでしょう。ネコに一般的な行動なのかどうか、なかなか同様の観察例を集めるのは難しいかもしれませんが、よく覚えておきたいと思います。

ところで、日高敏隆氏はネコに関する著書も多くて、「ネコはどうしてわがままか」「ネコたちをめぐる世界」「ネコの時間」といった本を出しています。私はまだ読んでいませんが、日高氏ならではの鋭い観察眼で、ネコの秘密が暴かれているかもしれないと思うと気になってきます。

あと余計なことを言うと、私の大学時代の師匠は日高氏の研究室出身なので、私自身は不肖ながら日高氏の孫弟子であると自認しております。