wakabyの物見遊山

身近な観光、読書、進化学と硬軟とりまぜたブログ

僕の読書ノート「ザ・パターン・シーカー:自閉症がいかに人類の発明を促したか(サイモン・バロン=コーエン)」

2023-03-26 07:41:36 | 書評(発達障害)

 

サイモン・バロン=コーエンという自閉症研究で非常に有名な心理学者による最新刊である。動物の中でも人間だけに進化した特有の2つの思考方法をシステム化メカニズムと共感回路と定義し、前者は自閉症とつながりがあるとしている。人間の精神構造に迫る大胆な仮説を科学的根拠に基づいて披露している。近年は、米国精神医学会の診断マニュアルDSM-5による分類で、自閉症とアスペルガー症候群などをまとめて自閉スペクトラム症と呼ぶようになっているが、本書では一貫して「自閉症」という言葉しか出てこない。原注に記載されているが、著者は「自閉スペクトラム症」という呼称に反対の立場らしい。しかし、本書に出てくる「自閉症」という呼び方は、実質的には範囲の広い「自閉スペクトラム症」を対象にしていると捉えていいのではないかと思われる。

共感性を、認知的共感性と感情的共感性に分け、それぞれの能力が自閉症とサイコパスでは鏡像の関係にあるという指摘も興味深かった。

 

第1章ー生まれながらのパターン・シーカー—アル(エジソン)の幼少時代 

・本書全体の要約になるような記述があるので、下記にそのまま引用する。

①唯一、ヒトは脳に特殊なエンジンを持つ。これは、システムの最小定義である、if-and-thenパターンを探索するものだ。私は、脳に存在するこのエンジンを「システム化メカニズム」と呼ぶ。

②システム化メカニズムは、7万年前から10万年前という人類の進化における特筆すべき時期に出来上がった。このとき、最初のヒトは、それまでの動物や現在のヒト以外の動物には成しえなかった方法で複雑な道具を作り始めた。

③システム化メカニズムの獲得によって、この惑星上でヒトだけが、科学、および技術を極めることができ、他のすべての種を凌駕することになった。

④システム化メカニズムは、発明者、STEM分野(科学、技術、工学、数学)の人びと、そしていかなるシステムであれ完璧を目指す人びと(ミュージシャン、職人、映画製作者、写真家、スポーツマン、ビジネスマン、弁護士など)のマインドのなかで、超高度なレベルに調整されている。こうした人びとは、正確さや細部にこだわらずにはいられない「高度にシステム化するマインド」を持ち、システムがどのように機能し、どのように構築され、そしてどのようにすれば改良されるのかを解明せずにはいられないのだ。

⑤システム化メカニズムは、自閉症マインドでも、非常に高く調整されている。

⑥最新の科学によれば、システム化能力は一部遺伝性を持つ。つまり、自然淘汰の影響を受けた可能性が高いのだ。自閉症の人たち、STEM分野の人たち、その他のハイパー・システマイザー(高度にシステム化するマインドを持つ人)たちは、その遺伝子を共有している、というとんでもないつながりを持つことになる。

 

第2章ーシステム化メカニズム

・if-and-thenは、if(入力、仮定、先行)-and(操作)-then(出力、結論、結果)の意味がある。if-and-thenパターンをテストする(探し出す)方法には、「観察」「実験」「モデリング」の3つがある。

・if-and-thenは、オペラント条件づけ(直前-行動-直後(結果))に似ていると思ったが、こうした連合学習とは違うという。「直後(結果)」が報酬や罰の性質を示す場合には、ヒト科の祖先が単純な道具を生み出した経緯ー例えば、岩をハンマーのように使って、殻を割って木の実を取り出したりーについては連合学習で説明できるだろうという。これはif-and-thenのパターンではないそうだ。

・ヒトの脳の劇的な変化は、認知革命、すなわち世界を理解し発明する能力を可能にする変革を起こしたシステム化メカニズムの進化だけではなかった。「共感回路」は第二のヒトに見られる特異的な脳メカニズムである。共感回路が存在すると、ダイナミックな社会的文脈の中で、リアルタイムで即座に1秒ごとに他人の思考や感情について考えたり、自分自身の思考や感情について考えたりすることが可能になる。また、相手の心の状態(思考、感情、意図、欲求)を、法則によるのではなく柔軟に推し量ることにより、相手が次に何を行いそうなのかを即座に予測し、私たち自身の適切な感情で相手の思考や感情に対し、迅速に反応することが期待される。

・現代人の脳の共感回路は、少なくとも二つのネットワークで構成されている。一つは、認知的共感をサポートする回路で、他人や動物の思考や感情を推し量る能力として定義される。二つ目は、感情的共感をサポートする回路で、他人の思考や感情に対して適切な感情で反応しようとする衝動として定義されている。認知的共感は認識的な要素であり、感情的共感は反応的な要素である。認知的共感は、霊長類学者デビッド・プレマックが「心の理論」と呼ぶもので、ヒト以外の霊長類はおそらく他の動物にも心の理論の要素は存在し、他の動物の目標や願望くらいは認識することができるかもしれない。しかし、私たちヒトとは異なり、他の動物の「信念」を想像できる確たる証拠は存在しない。

 

第3章ー5つの脳のタイプ

・システム化能力と共感力から、次の5つの異なる脳のタイプに分けられる。①共感力とシステム化能力の両方が同程度のレベルの人たち「B型(バランスのとれたタイプ)」、②共感力が高く、システム化することが苦手な人たち「E型」、③システム化を重視する一方で、共感力は低い人たち「S型」、④共感力は超高感度である一方で、システム化能力は平均以下「エクストリームE型」、⑤システム化能力は超高感度である一方で、共感力は平均以下を示す「エクストリームS型」。これら5つの脳のタイプは、ニューロ・ダイバーシティ(神経多様性)の実例である。

・ハイパー・システマイザーは、同時に自閉症である場合が多い。この両者の形質は、子宮内テストステロン(男性ホルモン)濃度が高ければ高いほど、生後に発現する傾向にある。そして、エストロゲン(女性ホルモン)も上昇している。これは体内でテストステロンからエストロゲンに変換されるからだとしている。(しかしこのことは、テストステロンでもエストロゲンでもどちらでもいいので、性ホルモンが高いとハイパー・システマイザー化/自閉症化しやすくなるということではないのだろうか?)

・自閉症の発症は遺伝的に、95%がコモンバリアント(頻度の比較的高い遺伝子変異)に、5%未満がまれな遺伝子変異に影響を受ける。コモンバリアントの特別な組み合わせが生じたときに自閉症を発症するが、ハイパー・システム化とも共通の遺伝的背景を共有している。

 

第4章ー発明家のマインド

・多くの自閉症の人たちは認知的共感性の欠如に苦悩する。一方で、彼らは思いやりがあり、感情的共感性は正常である。この文脈からすれば、自閉症の人びとはサイコパスの鏡像かもしれない。サイコパスの認知的共感性は、人の所有物を搾取するには熟練の域に達しているが、その一方、感情的共感性は鈍っている。サイコパスは、自閉症の人とは違い、他人がどう感じるかを気にも留めないのである。

・(原注)心理学者のデイヴィッド・グリーンバーグは、システマイザーと共感者で音楽の嗜好の違いがあるのかどうかを検証した。彼は、システマイザーは、より「強烈な」音楽(パンク、ヘビーメタル、ハードロックのジャンル)、覚醒をもたらす音楽(強く、緊張感漂い、スリリングな特性を持つもの)、正の感情的価値(アニメーション)、思慮深さ(複雑性)を好む一方で、共感者は、より「メロー」な音楽(R&B/ソウル、ソフトロック、アダルトコンテンポラリーのジャンル)、覚醒させるものではなく(穏やかで、温かく、感覚的な特徴を持つ)、負の感情的価値(憂鬱で悲しい)、感情的(詩的、リラックス、熟慮的)に嗜好性を示す。つまり、システム化と共感は、私たちが世界のあらゆる側面を見聞きする方法として、浸透している。(この見解は、音楽好きの私としては非常に興味深い)

 

第5章ーヒトの脳に起きた革命

・発明とは、新規の道具を1度だけでなく2度以上ひらめき作成すること、と定義するならば、どのヒト科の祖先も発明しなかった。著者はこの厳密な定義ー生成的発明と呼ぶーを採用する。なぜなら、動物が手にした新規の道具は、偶然(例えばナッツをたたき割る)と「連合学習」の結果の産物で、報酬(例えばナッツのおいしい中身を手に入れる)につながるので、一連の行動を繰り返すようになる可能性があるからだ。連合学習は一定の知能を必要とし動物界に広がっているが、生成的な発明とは同じでないと著者は考える。

・システム化メカニズムの進化に遺伝子の変化はどう寄与したのか?いくつかの重要な遺伝子変化が、システム化メカニズムの進化をもたらしたのかもしれないが、それよりも何百ものコモンバリアント(何千とはいはない)が進化を促した可能性の方がはるかに高いだろう。多遺伝子形質(多くの遺伝子が関与し、それぞれが小さな影響を持つ形質)は、典型的には急激な進化をもたらすものではなく、徐々に進化を起こすものである。

・発明の中には、音楽と楽器がある。4万年前の骨製フルートが見つかっている。これには、ペンタトニック・スケールを奏でられる5つの穴が、一定の規則で並んでいた。ペンタトニック・スケールは、1オクターブが5つの音からなるスケールだ。多くの古代文明で発達し、1600世代を経た今でも、多くの人びとが楽しんでいるブルースやジャズなど、多くの音楽ジャンルの基礎となっている音階だ。

 

第6章ーシステム・ブラインドネス―なぜサルはスケートボードをしないのか(内容略)

第7章ー巨人の戦い―言語vs.システム化メカニズム(内容略)

 

第8章ーシリコンバレーの遺伝子を探る

・「似た者同士が惹かれ合うこと」を、生物学者は「アソータティブ・メイティング(同類交配)」と呼んでいる。アソータティブ・メイティングは自然界に広く存在する。例えば、背の高い人は背の高い人に、外向的な人は外向的な人に、さらには、アルコール依存症の人はアルコール依存症の人に惹かれ、結婚する傾向がある。自閉症の子どもがいる家庭の両親の職業調査では、ハイパー・システマイザー同士が結婚する傾向があることが判明した。これは、自閉症の「アソータティブ・メイティング」理論に合致し、ハイパー・システマイザーの夫婦の子どもや孫は自閉症率が高まると予想される。このことは、遺伝子レベルでも確認された。

 

第9章ー未来の発明家を育てる

・わたしたちは、自閉症の人への支援を整備した雇用枠を拡大すべきだ。それは、社会に利益をもたらすだけではなく、雇用が自閉症者の精神衛生状態を大きく改善させるからだ。人間としての尊厳と社会の一員としての安心感を与える「雇用」は、どんな医学的治療よりも、はるかに効果的な介入となる可能性があるのだ。

 

付録1ーSRとEQでわかるあなたの脳タイプ

・システム化指数、共感指数、Dスコア(第3章の5つの脳タイプ)を自己評価できる簡易テスト。しかし、Dスコアを算出するグラフは縦軸と横軸が逆(作成ミス?)になっているように思われる。

付録2ーAQでわかる自閉特徴の値

・自閉スペクトラム指数を自己評価できる簡易テスト。


マイ・プレイリスト 2023 M-P

2023-03-19 07:45:37 | 音楽

私がスマートフォンでふだん聴いている音楽のプレイリスト(アーチスト名/アルバム名)を、アーチスト名の頭文字でA~DE~Lについて紹介してきました。今回は、続けてアーチスト名の頭文字M~Pをリストアップしました。()内に少しコメントも書いています。とにかく、パンクでも、フォークでも、サイケでも、尖がっていてメロディアスでありきたりじゃないのが好きなのです。

 

【M】

マガジン Magazine / No Thyself(ニュー・ウェイブの中でも特に好きだったバンドの再結成アルバム)

マーヴィン・ゲイ Marvin Gaye / What's Going On

マッシヴ・アタック Massive Attack / Blue Lines

マッシヴ・アタック Massive Attack / Mezzanine(イギリスの歌姫エリザベス・フレイザーが3曲で歌っている。超が付くほど硬質でカッコいいトリップホップ・サウンド。大好き。やっぱりあなたはバンクシーなの?)

マッシヴ・アタック Massive Attack / Protection(別のイギリスの歌姫トレイシー・ソーンが歌っている1曲は上質だが、ほかの曲はふつう)

マイルス・デイヴィス Miles Davis / Bitches Brew [Disc 1 & 2](いまだに色あせないジャズの前衛)

マイルス・デイヴィス Miles Davis / Kind Of Blue

マイ・ブラッディ―・ヴァレンタイン My Bloody Valentine / Loveless

 

【N】

ニール・ヤング Neil Young / After The Goldrush

ニール・ヤング Neil Young / Harvest(ニール・ヤングが好きだけれど、このアルバムは別格で好き。最初の2曲はある意味フォークのミニマル・ミュージック)

ニール・ヤング Neil Young / Tonight's The Night

ニール・ヤング&クレイジー・ホース Neil Young & Crazy Horse / Ragged Glory

ニュー・オーダー New Order / Get Ready

ニルヴァーナ Nirvana / From The Muddy Banks Of The Wishkah

ニルヴァーナ Nirvana / MTV Unplugged In New York(パンクをフォークに変換したら、ものすごい情緒的な音楽になった)

ニルヴァーナ Nirvana / Nevermind(双極性障害のパンク)

ノーラ・ジョーンズ Norah Jones / Feels Like Home

ノーラ・ジョーンズ Norah Jones / I Dream Of Christmas

ノーラ・ジョーンズ Norah Jones / The Fall

 

【O】

オアシス Oasis / Time Files... 1994-2009 [Disc 1 & 2](サウンドは凡庸だけど、メロディーのよさは飛び抜けていい)

オーケストラル・マヌーヴァー・イン・ザ・ダーク Orchestral Manoeuvres In The Dark / Architecture And Morality(スーヴェニア、ジャンヌダルク、オルレアンの少女の3曲は究極のドリーム・ポップだ)

オーケストラル・マヌーヴァー・イン・ザ・ダーク Orchestral Manoeuvres In The Dark / The Best Of O.M.D.

 

【P】

ポール・マッカートニー Paul McCartney / Egypt Station

ポール・マッカートニー Paul McCartney / Tug Of War(ポール・マッカートニーのキャリアの後半では好きなアルバム。ジョン・レノンへの鎮魂歌ヒア・トゥデイは泣ける)

ペンギン・カフェ Penguin Cafe / The Imperfect Sea

ペンギン・カフェ Penguin Cafe / The Red Book(ペンギン・カフェ・オーケストラの息子のバンド。1曲目は宇宙的。京都音博で一緒に写真撮りました)

ペンギン・カフェ・オーケストラ Penguin Cafe Orchestra / Broadcasting From Home(一時期ペンギン・カフェ・オーケストラにはまっていて、今でもスマホに入れている。エリック・サティにもつながる上質なサイケデリック環境音楽)

ペンギン・カフェ・オーケストラ Penguin Cafe Orchestra / Music From The Penguin Cafe

ペンギン・カフェ・オーケストラ Penguin Cafe Orchestra / Penguin Cafe Orchestra

ペンギン・カフェ・オーケストラ Penguin Cafe Orchestra / Signs Of Life

ピンク・フロイド Pink Floyd / Echoes_ The Best Of Pink Floyd [Disc 1 & 2](シド・バレットのいないピンク・フロイドなんて退屈だとずっと思っていたけれど、最近になってロジャー・ウォータース&デヴィッド・ギルモアの作るピンク・フロイド楽曲はイギリス・ジェントルマンの喪失感や無常観を奏でる最高の表現なのではないかと思うようになってきた)

ピクシーズ Pixies / Bossanova

ピクシーズ Pixies / Head Carrier(アメリカのオルタナティブ・ロックの生きる伝説。ベーシストが新加入して久々に出たピクシーズ・アルバムは充実していてうれしい。)

ピチカート・ファイヴ Pizzicato Five / Couples(いわゆる渋谷系の最初?日本の音楽もいけてると気づかせてくれた)

ポーキュパイン・ツリー Porcupine Tree / Closure_Continuation

プログ・ロック Prog Rock / Greatest Ever Prog Rock [I, II, & III](いろんなプログレバンドを紹介してくれる3枚組コンピレーション・アルバム。)

パブリック・イメージ・リミテッド Public Image Ltd. /Flowers Of Romance(ポスト・パンクの代表的アルバム。ものすごい尖がったサウンドを作った張本人キース・レヴィンは2022年末に亡くなった。私が敬愛するギタリストの1人)

パブリック・イメージ・リミテッド Public Image Ltd. / The Greatest Hits, So Far

 


僕の読書ノート「哺乳類前史: 起源と進化をめぐる語られざる物語(エルサ・パンチローリ)」

2023-03-11 07:39:53 | 書評(進化学とその周辺)

 

著者のエルサ・パンチローリ氏はイギリスの若手古生物学者である。名前にパンチがきいているので、はじめ男性だと思っていたが、本を読んでいくと途中で女性であることがわかる。現在、オックスフォード大学のリサーチフェローなので、いわゆるポスドクということで、本来ならどんどん研究成果=論文を出すことに集中して、パーマネントの職を得ることを目指す時期だと思われるが、こんな大著の本をよく書けたものだと驚いた。5カ月の執筆休暇を取ったという。さらに、次の本もすでに出版したという(日本語訳は未刊)。イギリスというところは、リチャード・ドーキンスのような科学啓蒙家が高く評価される国だから、パンチローリ氏のようなキャリアの築き方が許容されるのかもしれない。

さて、本書の内容に入る。時代を切り拓いてきた過去の古生物学者の発見ストーリーや、自らの研究のための発掘旅行の話が多い。しかし、本題はこれまでの常識的な哺乳類進化史観に異をとなえることである。哺乳類は、恐竜がいた中生代には目立たないようにひそやかに暮らし、恐竜が絶滅したのちの新生代になってようやく勢力を拡大したと考えられてきた。しかし、パンチローリ氏によれば、哺乳類の前身は、早くも古生代に誕生して一時代を築き、中生代にも適応拡散して一定の進化的成功をおさめていたことを示している。つまり、哺乳類の歴史はかなり古く、進化的実験を繰り返してきたのである。では、章ごとに、ポイントをピックアップしていきたい。

 

【序章】

・絶滅生物の科学(ここでは古生物学を中心として)は劇的な変容を示している。ビッグデータを解析する統計的手法と、化石のCTスキャンの普及により、まったく新しい研究分野が拓かれた。古生物学の多様性のバランスは、まだかなり白人と西洋に偏っているが、常識を覆す画期的発見の中心地は、ヨーロッパや北米から、中国、アフリカ、南米に移りつつある。こうした国々では、標本を外国の博物館に持ち去る旧弊が改められ、現地研究者たちが自国の遺産として化石を研究している。

【第1章 霧とラグーンの島】

【第2章 カモノハシは原始的じゃない】

・単孔類には、ほかの哺乳類の分類群で起こったような変化を経ていない、初期の哺乳類そのままの特徴が備わっている。それでも、かれらは「高度に派生的な」グループであり、系統樹の根元にいる共通祖先から遠く離れている。例えば、カモノハシの名前の由来である「カモのくちばし」に似た吻は、完全にかれら独自の食料探知デバイスであり、哺乳類の歴史全体を通じて、ほかには一度も進化したことがない形質だ。

・カモノハシの吻には、4万個以上の機械受容器と電気受容器が分布している。一方、ハリモグラの吻にも電気受容器と機械受容器があるが、カモノハシと違って、鋭い聴覚と嗅覚も使って食料を探す。

【第3章 頭にあいた穴ひとつ】

・古生代の石炭紀に、魚類が陸上に上がって四肢形類となる。四肢形類のプロトタイプは、無羊膜類と呼ばれ、水に頼って繁殖する。いまも両生類として生き残っている。そこから分かれた、有羊膜類は、水への依存から脱し、完全な陸上生活に踏み出した。約3億年前、有羊膜類は、単弓類(頭にある穴が一つ)と竜弓類(多くは頭にある穴が二つの双弓類)という2大系統に分かれた。単弓類は哺乳類に加え、さまざまな絶滅動物たちが含まれる。一方、竜弓類は、爬虫類と、爬虫類の一種である恐竜の子孫である鳥を含む。

【第4章 最初の哺乳類時代】

・古生代のペルム紀には、単弓類が拡散して盤竜類が出現した。骨盤トカゲを意味するが、爬虫類ではない。背中に帆柱が並ぶディメトロドンがよく知られている。

・植物食は陸生動物のなかで複数回独立に進化したが、植物食に特化した適応としてもっとも古いもののひとつを石炭紀後期からペルム紀前期にかけての単弓類(盤竜類)に見出すことができる。植物食者は微生物の協力が必要である。共生細菌をどのように獲得したかは不明であるが、初期四肢動物が腐敗した植物質、あるいは植物食の昆虫を食べたときに取り込まれたのではないかと考えられている。やがて植物分解細菌の一部が消化管の中で生存し、宿主との共生関係が発達した。

【第5章 血気盛んなハンターたち】

・ペルム紀に、盤竜類の中から獣弓類が出現した。かれらは、温血性、代謝の高いライフスタイル、もしかしたら体毛、犬歯・切歯(前歯)・奥歯の形状が異なる異歯性、といった哺乳類と結びつける主要形質の数々を獲得した。また、盤竜類の中でもディメトロドンの仲間から、獣弓類が生じたらしい。

・獣弓類は、ペルム紀最大のイノベーターであり、狩りや消化、闘争や木登りや穴掘りといった適応を進化させた。その獣弓類の中ではかなり地味な、ゴルゴノプス類や、それに似た雑食性・植物食性のグループであるテロケファルス類に近縁の種類がわたしたちの系統を生み出した。ペルム紀の最終盤に現れた、大部分はかなり小型でぱっとしない種類がキノドン類であり、現生哺乳類の祖先である。

【第6章 大災害】

・ペルム紀末に、シベリアで大規模な洪水のような噴火が起きた。噴出した溶岩の量は、仮に中国の上に重ねると300メートルの厚みに達するという。これによる大気ガスと気候の変動により、史上最大の大量絶滅が起き、海生生物の81%、陸生生物の75%が消し去られた。獣弓類も深刻なダメージを受けた。

・中生代の三畳紀に入ると、多様な爬虫類が、ニッチ空間の再獲得をめぐる競争で獣弓類に勝利した。

【第7章 乳歯】

・キノドン類はペルム紀後期に出現し、大量絶滅をくぐり抜けた。イヌに似た比較的小型の動物だったかれらは、頭骨の側頭窓が広がり、頬骨の幅と奥行きが増した。頭頂には骨でできたモヒカンヘアのような矢状稜が形成された。こうした特徴は、顎の筋肉の大きさと配置の変化を反映していて、かれらの嚙む動作がますます正確になったことを裏づけている。

・三畳紀の哺乳類の系統はとても小さかった。現代の動物学研究では、ふつう体重5キログラム未満の動物が「小型」と定義され、これはキツネより小さい。三畳紀後期、哺乳類の系統はこの閾値をはるかに下回るサイズに縮小し、体重が数百グラムを超える種は存在しなかった。

・哺乳類は、高い代謝と体温を獲得した。これらの特徴のおかげで、かれらは三畳紀後期に小型化を実現しただけでなく、夜行性にもなった。夜の冷え込みは、体内に熱生成システムをもつ動物にとっては問題ではなかった。わたしたちの眼には、2種類の主要な光受容細胞がある。ひとつめの錐体は、光への感受性はより低いが、解像度が高く、日中の視覚に適している。もうひとつの桿体は、より光への感受性が高いものの、代わりに解像度では劣る。こちらは光量の少ない状況でより役に立つ。現生哺乳類は、視細胞の大半が桿体であり、錐体は比較的少ない。歩かの脊椎動物は4種類の錐体をもつのに対して、哺乳類には2種類しかなく、色盲である。このことは、哺乳類の夜行性の過去を裏づける証拠だ。霊長類は、すぐれた色覚を再獲得した数少ない哺乳類である。

・哺乳類の耳にはほかの四肢動物にはない骨がある。中耳の槌骨とキヌタ骨である。これらはアブミ骨と強調してはたらき、音を増幅し、可聴周波数の幅を広げる役割を果たしている。化石記録から、これらの骨はもともと下顎の一部だったことが判明している。ひとつは関節骨で、かつてキノドン類の祖先の顎関節の一部を構成し、哺乳類の進化の歴史のなかで、これらの骨は縮小し、やがて中耳の内部に統合された。

・現在の哺乳類約5500種のうち、90%は小型種で、齧歯類がその大半を占める。現生哺乳類の体重の中央値は1キログラムに満たない。小さくこそこそするのは、進化的に見れば降格などではなく、生き抜くための冴えたやり方だ。

【第8章 デジタルな骨】

・頭骨のてっぺんの頭頂孔という小さな穴は光量を感知する機能をもち、四肢動物の共通祖先から受け継がれ、ほとんどの爬虫類と両生類には存在し、単弓類でも長く維持されてきた。しかし、哺乳類系統で頭頂孔は消失した。これは、胚発生中のある遺伝子のはたらきと関係がある。Msx2と呼ばれる遺伝子であるが、その遺伝子に変異を持つマウスの頭骨には、祖先において頭頂孔があったのとまったく同じ位置に孔ができる。さらに、毛包の維持に支障をきたし、乳腺の発達も阻害される。頭頂孔、毛包、乳腺という3つの形質が、ひとつの遺伝子と結びついている。ここから、三畳紀中期にキノドン類のMsx2遺伝子に生じた変異が、哺乳類を定義するこれらの特徴の発達に関与した可能性が浮かび上がる。

【第9章 中国初の大発見】

・クレードとは、ひとつの共通祖先をもつ生物のグループをさす。哺乳綱というクレードには、有胎盤類有袋類単孔類と、約1億6000万年前に存在した共通祖先よりあとに現れた、絶滅したこれらの親戚すべてが含まれる。かれらは「真の」哺乳類だ。ドコドン類などの最初期の哺乳類は、哺乳綱の共通祖先よりも前の時代に系統樹から分岐した側枝であり、より大きな多様性を内包するカテゴリーである哺乳形類に属する。

・モグラ的な特徴(指の骨数や指の本数の減少など)は、比較的最近になって生じた特殊化だと考えられてきた。私たちはモグラを、哺乳類のその他の高度な特殊化(樹上生活、水中生活、滑空、動力飛行など)と同様に、「哺乳類の時代」(新生代)以降の発明とみなしてきた。そこに、ジュラ紀のモグラ、ドコソフォルが発見された。小さなショベル型の手では、指骨が3つから2つに減っていた。このことは、高度に特殊化したモグラ的適応が中生代にあったことや、胚発生の過程ではたらく遺伝的変異の時代を越えた存在を示唆するものであった。

・中生代哺乳類の研究者は生態を重視するようになった。化石からこのテーマを探求するおもな方法のひとつに、生体形態学(エコモーフォロジー)がある。習性がどのように身体的特徴をつくりあげるか、あるいは形態と機能の関係を調べるやり方だ。その分析手法は大きく様変わりした。かつては、測定と比較に多大な労力を費やしたが、いまではプログラミングと自動化により、こうしたプロセスに統計的な厳密さをもたらすようになった。

・キノドン類は、下顎そのものの振動を通じて音を感じ、アブミ骨を介して蝸牛にシグナルを送っていた。それを下顎中耳(MMEC)という。現生哺乳類の耳(DMME)では、この下顎の骨が耳の中に収まったのだが、その過程には謎がある。初期の単孔類であるステロポドンは、DMMEを持っていなかったが、子孫である現生の単孔類はDMMEをもっている。また、初期の獣類(単孔類以外の哺乳類)もDMMEをもっていなかったが、多丘歯類と呼ばれる、獣類の近縁の齧歯類に似た動物たちは、獣類よりも前に哺乳類の系統樹から分岐したにもかかわらず、DMMEを備えていた。後獣類(有袋類)と真獣類(有胎盤類)はもちろんDMMEをもつが、その共通祖先はDMMEをもたなかった。これについては、DMMEが独立に複数回進化したと主張されている。つまり、単孔類を含む系統、獣類の共通祖先、多丘歯類がそれぞれ独自にDMMEを進化させたという仮説は理にかなっている。

【第10章 反乱の時代】

・歯の生え変わりは、四肢動物で起きる。例えば、ベルトコンベア式の生え変わりパターンでは、口の奥から新しい歯が萌出し、古い歯が前から抜け落ちて、新しい山脈が絶え間なく供給される。このようなパターンは、現生哺乳類のいくつかのグループでも進化した。例えばゾウは、巨大な臼歯を顎の後方から新たに送り出し、古い臼歯と入れ替える。ゾウの長い生涯のうちに生え変わりは最大で6回起こり、存命中に6代目の歯がダメになると、かれらはふつう餓死してしまう(歯の寿命が命の寿命を規定している)。海牛類、すなわちジュゴンやマナティーも同じしくみを採用している。しかし、海牛類は臼歯の供給回数に上限はないらしく、一度にひとつずつ、歯列が完全に揃うまで送り出される。一部のカンガルーも同様だ。これらは、植物食による著しい摩耗への対処として、動物たちが改変してきたことだ。

・白亜紀に、後獣類と真獣類が現れた。アジアで発見された樹上性の真獣類エオマイアは、「暁の母」という意味で、ハムスターのようでモフモフ毛玉を持っていた。これは、現生哺乳類の系統が約1億2500万年前のアジアで繁栄していた証拠である。現代の哺乳類の物語は、ほとんどの人が教わってきた6600万年前よりも、はるかに昔から始まっていた。

【第11章 故郷への旅】

・白亜紀の最後に大量絶滅(K-Pg大量絶滅事象)が起き、恐竜がいなくなった後、いち早く台頭したのは真獣類の哺乳類だった。こうして「哺乳類時代」の第二幕が始まった。この時代、新生代の古第三紀は6600万年前に始まった。

・著者らは、中生代の哺乳類を3つの異なるグループに分けてそれぞれの多様性を比較した。初期に多様化した哺乳形類(モルガヌコドン類やドコドン類など)、最初期の「真の」哺乳類(多丘歯類やゴビコノドン類など)、そして獣類、つまり現代の哺乳類だ。その結果、哺乳形類と初期哺乳類の系統は、中生代の大半にわたって獣類よりも多様性が高かった。一方、獣類はK-Pg大量絶滅のあとまでは、控えめであった。この結果から、私たちの祖先である獣類を抑え込んでいたのは恐竜よりも、むしろ広義の哺乳類の兄弟姉妹だった可能性が示唆された。白亜紀末に起こった、競合する別の哺乳類系統の絶滅は、恐竜たちの退場と少なくとも同じくらい、現代の哺乳類の台頭を後押しする重要な要因だった。

・K-Pg大量絶滅の後の、新生代、古第三紀初期に有胎盤類が、ほぼすべての大陸でいくつもの系統へと急速に多様化した。最初のアフリカ獣類(ゾウ、ツチブタ、キンモグラを含む系統)がアフリカに現れる一方、北半球ではローランド獣類が新天地に足を踏み入れ、コウモリ(翼手目)の祖先や鯨偶蹄目の祖先が出現した。さらに、有胎盤類の第3の主要系統である、真主齧上目が形成された。これは齧歯目を含むグループである。(分子系統学では、こうした分類法とは少し違いがあり、またこれらの系統の分岐はK-Pg大量絶滅の前に起きたと考えているようだ)

・今日において大量絶滅が起きている。その原因は言うまでもない。そして、今回の大量絶滅を生き残る哺乳類は、前回の生存者とよく似ているだろう。小型で、巣穴に暮らす、夜行性のジェネラリストだ。この生活様式は、過去2億1000万年にわたって実践されてきた。危機対応は手慣れている。わたしたちは不確かな時代を生きているが、化石記録から何かひとつ、大きな安心材料が得られるとしたら、生命はいつだっとどうにか生き延びるということだ。これまでずっとそうしてきたように、単弓類が進化のレースを走りつづけることは、自信をもって断言できる。ただし、バトンを握るのはわたしたちヒトではなさそうだ...というのが著者の最後の主張である。

【訳者あとがき】

・本書の訳者の的場知之氏は、この分野の専門家ではないかもしれないが、よく勉強されていて、本書刊行後に報告された新発見について紹介している。2022年7月にネイチャーに掲載された、哺乳類の内温性の獲得時期を新たな手法で推定した論文が出た。内温化し体温が高い状態になると、内耳の半規管を満たす内リンパの粘性が低下するため、半規管の構造もそれに応じた変化を強いられるはずだという仮説に基づき、56種類の単弓類の内耳構造を分析した。その結果、内温性を示唆する半規管の構造変化は、三畳紀後期の哺乳形類の時代に急速に生じたことがわかった。一方、本書では、ペルム紀末から三畳紀前期にかけて、内温性を発達させる試行錯誤のような段階があったとしており、さて、どちらが正しいのか、どちらも正しいのか決着がついたわけではないが、哺乳類のルーツをめぐっては、このような斬新な視点からの驚くべき発見が今後も飛び込んでくるだろうとしている。

 

Beasts Before Us, with Dr Elsa Panciroli


国立科学博物館の日本館に行く

2023-03-04 08:20:41 | 博物館・科学館・図書館

上野の森を散歩して、国立科学博物館の日本館を見てきました(2023年2月18日)。最近、古生物学の本を読んでいたので、化石や古生物の模型を見てこようと思いたったのがきっかけです。国立科学博物館でも、地球館は何度か行っているけれど、これまでちゃんと見てなかった日本館を今回見に行きました。

 

日本館の正面。

 

特別展「毒」をやっていますが、こちらはパスします。

 

常設展入口から入ります。

 

デゴイチが鎮座しています。ある時代の科学の粋を体現している美しさです。

 

日本館は昭和初期に建てられた建築です。この吹き抜けがいいです。

3階から順番に下へと見ていきます。

 

日本列島の暖温帯の動物たち。

 

日本列島の冷温帯の動物たち。

 

日本列島の亜寒帯の動物たち。

 

有名なフタバスズキリュウの骨格標本。恐竜ではありません。海棲の爬虫類です。

化石のレプリカでしょうね。こんなふうに埋まっていたという。

 

日本最古の化石だそうです。オルドビス紀だから、古生代前期、4億8~4千万年前のことです。魚類、つまり脊椎動物はすでに出現していたのですね。

 

巨大なアンモナイトの化石。

 

日本では、古生代や中生代の哺乳類化石は出てこないのかな?新生代までとんで哺乳類の化石たちの展示があります。日本はもともとアジア大陸の一部だったので、日本とアジア大陸で出土する化石は、同じか近縁の種だということです。

 

ウマ、ビーバー、ゾウ、サイといった化石、ほとんど顎の骨ですね。今はどの種類の子孫も日本にはいません。

 

パレオパラドキシア、よく全身骨格が残っていました。系統分類にアフリカ獣類と書いてあります。ゾウもそうですが、アフリカ起源の哺乳類は日本にも住んでいたのですね。

 

左から、アケボノゾウ、トウヨウゾウ、ナウマンゾウ。このあたりは、過去200万年間に、大陸から日本に渡ってきたそうです。

 

こちらはナウマンゾウの上顎(左)と下顎(右)。

 

中央吹き抜けスペースのソファーに座っていたら、手摺下の壁を「ここ、ここ」と指さしていくお客さんがいたので見てみたら、アンモナイトの化石が入っているじゃないですか。博物館の建築に用いられた大理石に化石が入っているという驚きというか面白さがありました。

 

日本人の展示になります。縄文人のくらしのようす。

 

縄文と弥生の食生活。縄文は自然から食物を得る狩猟採集生活、弥生はそれに加えて、栽培飼育=農業を行っていたようです。

 

弥生人のくらしのようす。

 

古い人骨から、当時の暮らしのようすや病気がわかるということで、おもしろかったです。

 

虫歯は当時の食生活の豊かさで多い少ないが変化する一方、歯槽膿漏(歯周病)は時代を越えて一定存在してきたということです。

 

江戸時代は梅毒(骨からわかります)が多くなっていて、その時代の男性比率の多さに関係しているかもしれないと推測されています。そして、近年もまた梅毒感染者が増えているそうです。治療しないとこんなふうに骨がボコボコになってしまう怖ろしい病気です。

クリブラ・オルビタリアは眼窩上部に病変があって、栄養失調や感染症に関係しているらしいです。妊娠痕が骨からわかるので、当時の妊婦数が推定できるといいます。

 

縄文時代の10代後半の異常に細い骨が見つかっています。小児麻痺のような病気でずっと寝たきりで生活したためと考えられています。そのような病気があっても仲間の手厚い介護があった証拠とされています。狩猟採集生活でも定住はしているので病人を寝かしてお世話する余裕があったこと、病気の人間を親や仲間たちが助ける愛情や利他性といった現代にも通じる精神性をかいま見るのでした。

 

人と動物の関わり方として、実験動物のことが取り上げられていました。最近は動物実験への批判がきびしくなってきていますが、ここでは動物実験の必要性が主張されています。

 

江戸時代に西洋から伝わった顕微鏡。

 

企画展「ワイルド・ファイヤー:火の自然史」は常設展の入館料のみで見れました。

こうやってたまに博物館をのぞいてみると、気晴らしにもなるし、新たな気づきも得られたりして、少しだけ心が豊かになります。お薦めです。