真夏の8月に、代々木にあるビーチ・ギャラリーというお店でやっていた「ALL YOU NEED IS DUB -MASSIVE ATTACK,BRITISH DUB POSTER EXHIBITION-(オール・ユー・ニード・イズ・ダブ ーマッシヴ・アタック、英国ダブ・ポスター展)」という小さなポスター展を見てきました(2024年8月18日)。
そのギャラリーは、地下鉄千代田線代々木公園駅を降りてすぐのところにありますが、正確な住所は渋谷区富ヶ谷だから安倍晋三さんが住んでいた地域ですね。写真は、映画「パーフェクトデイズ」にも出てきた、代々木深町小公園にある「ザ トウメイ トウキョウ トイレット(坂茂デザイン)」。普段は壁が透明になっていて外から中がのぞけるけれど、中に入って鍵をかけると不透明になって外から中が見えなくなるしくみです。
公園の横にある岸ビルの一階奥がビーチ・ギャラリー。
この夏に5年ぶりのツアー中のマッシヴ・アタックを中心に、ポップ・グループをはじめ地元のブリストル系や、音楽性の近いブリティッシュ・ダブ系のポスターの現物が集められていました。
ちょっと説明しますと、ロックの歴史、とくにイギリスにおいては、70年代中頃にパンクが出現して、70年代末あたりから80年代にかけてポスト・パンクやニュー・ウェイブという多様な音楽性を持った音楽に移行していきました。私は、そのポスト・パンクやニュー・ウェイブが大好きで、今でも聞いています。そのポスト・パンクの流れを作ったバンドの一つがブリストルのポップ・グループで、ロックにファンクやレゲエなど様々なテイストをミックスしました。ブリストルはその後も先鋭的なアーチストを輩出し続け、ブリストル系と言われています。ジャマイカで生まれたレゲエは、ダブという原曲をエフェクターで加工した音楽を作り出す手法を生み出しました。マッシヴ・アタックはまさにブリストルで生まれ、ニュー・ウェイブ、ジャズ、ダブ、サイケデリックなど様々な音楽を飲みこみ先鋭的でありながら、ポピュラリティーも獲得したバンドとして今でも世間の評価は高く、私の好きなバンドの一つです。
「芸術性の高いこれらのアーティストのポスターの実物を、実際にまとめて御覧頂ける貴重な機会を是非お見逃しなく!また、展示のポスターは全て販売、記念Tシャツもご用意しています。」というお店のキャッチフレーズ通り、マニアックなポスターたちがたくさんありました。写真は撮影可でした。
初期ブリストル系で私の好きなポップ・グループやリップ・リッグ&ザ・パニックなんかのポスターがあったら買ってしまうかもしれないと思って見に見に行ったのですが、そのあたりは売れてしまったのか、最初からなかったのか、見当たりませんでした。
マッシヴ・アタックのポスターはメンバーのロバート・デル・ナジャが作っていて、彼はバンクシーの師匠かバンクシー本人ではないかと言われている人です。ポスターは部数限定で印刷されているはずなので、実はすごく価値があるのかもしれません。手頃な大きさのポスターの値段を聞いたら、2~3万円でした。手の届く値段ですが、買うのをためらってしまいました。ここぞというときに決断力のない私です。
代わりに、パンクとポスト・パンク/ニューウェイブの顔とも言えるジョン・ライドンの長袖Tシャツを買って帰りました。ジョン・ライドンがセックス・ピストルズを脱退して、レゲエの国ジャマイカを旅行しているときの写真をプリントしたもので、音楽史的にもパンクからポスト・パンクやニューウェイブに変わるまさにその瞬間を捉えています。
帰り際に代々木公園に寄っていきました。
実は代々木公園の中に入るのはこれがはじめてです。しかし、暑くてあまり外にいたくありませんので、早めに明治神宮前駅に向かいました。
マッシブ・アタックの話題に戻りますが、8月25日にブリストルで行われたコンサートは、「気候行動アクセラレーター」という名のフェスティバルで、マッシヴ・アタックとイギリスのマンチェスター大学の科学者たちによる、ライブ音楽業界の脱炭素化を目指す5年間のコラボレーションの集大成だったということが、科学雑誌Nature誌に記事として取り上げられていました。具体的には、再生可能エネルギー源とバッテリーのみを使用してショーを運営し、観客に電車または電気バスで来場するよう呼びかけるといった取り組みが行われたそうです。