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哺乳類進化研究アップデート No.16ー他者の心を読む脳はいつ進化したのか?

2022-02-05 08:06:49 | 哺乳類進化研究アップデート

他者の心を読む能力とそれを司る脳はいつ進化したのでしょうか?人間に特有のそうした他者の心を読む能力は「心の理論」と呼ばれ、「共感」とは異なるものとされています。また、「心の理論」は、人間でも自閉スペクトラム症においては、その発達が遅れることや弱いことが示されています。「心の理論」は人間だけが持つものとされていたときもありましたが、現在では少なくとも霊長類のチンパンジー(類人猿)、マカク(旧世界ザル)、オマキザル(新世界ザル)には存在していることが示唆されており、人間だけのものではないと考えられています(「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」フランス・ドゥ・ヴァール)。賛否両論はありますが、人間の幼児に「心の理論」が発達してきたことを判定する方法として「サリー-アン問題」というものがよく知られています(「自閉症スペクトラムの精神病理」内海健)。しかし、これは言語を用いる検査法なので、動物には利用できません。動物ではどうやって検査するのでしょうか?

今回紹介する論文は、そのマカクにおいて視線の動きを解析することで「心の理論」の存在を確認し、それを司る脳の部位が内側前頭前野にあることを示したものです。新潟大学のグループによる研究で、セル・レポート誌に掲載されています(「マカクは内側前頭前野を介して、他人の誤信念に基づく行動を予測する暗黙の視線バイアスを示す」Macaques Exhibit Implicit Gaze Bias Anticipating Others’ False-Belief-Driven Actions via Medial Prefrontal Cortex, T. Hayashi, et al., Cell Reports, VOLUME 30, ISSUE 13, P.4433-4444.E5, MARCH 31, 2020)。

下図にその研究成果の概要が示されています。右から、ヒト、ボノボ、チンパンジー、オランウータンには「心の理論(theory-of-mind)」様の機能があることが知られていましたが、今回、その左のマカク(2500万年前にヒトなどの類人猿と分かれて進化)でも「心の理論」の存在が確認されました。そして、マカクの脳の内側前頭前野というところを、実験的操作で一時的に機能抑制すると、「心の理論」様機能が抑制されたので、その脳部位が「心の理論」様機能に重要な場所であることが示されたということです。内側前頭前野はヒトにおいても同様の機能に関わっているとされている脳部位です。

 

「心の理論」の能力を評価する方法の一つとして、ヒトが相手のこころを理解しているかを確かめる方法の一つに、相手の誤った思い込みを正しく理解して、その思い込みにもとづく相手の行動を正しく予測できるかを調べる「誤信念課題」があります。ヒトの脳画像研究により、「誤信念課題」の実行中に内側前頭前野を含む広範な脳の回路が活動することが知られています。また、チンパンジーなどの類人猿にも誤信念を理解するかのような行動がみられるという報告が出てきましたが、脳の回路がどこに存在するかはわかっていません。そこで、神経科学の実験動物として使用できるマカクにおいて、「誤信念課題」を解く能力、そして脳回路の部位を確認する研究が行われました

マカクの一種であるニホンザル8匹を用いて、映画を見せながら、眼球運動を赤外線カメラシステムで測定しました。映画はいくつかのバージョンがありますが、あるヒトが相手のヒトと競争しており、ターゲットとなる物体をどこかに隠すが、相手はだまされて誤信念を持つというパターンになっています。サルの視線を確認したところ、動画の登場人物の「誤信念」に基づく行動を予期するような視線の偏りがあることがわかりました。つまり、マカクには「誤信念課題」を解く能力のあることが示されたことになります。

さらに、内側前頭前野の神経活動を遺伝子ベクターとそれを作動させる薬剤によって抑制させた状態で、同じ動画を見せたところ、サルは登場人物の誤信念を理解して行動を予測することだけができなくなり、標的の動きを目で追う能力が認められなくなりました。したがって、内側前頭前野の神経機能抑制により、他者の誤解を読み取って行動を予測する能力が低下したと考えられました。これらの結果から、内側前頭前野を核とする脳回路の働きに支えられた「心の理論」の能力が、ヒトとマカクザルの共通の祖先から進化した可能性が示唆されました。

参考のため、内側前頭前野と外側前頭前野の位置と機能をわかりやすく示している下記図を、別のサイトから引用させて頂きました脳のはなし、2019.05.10「背外側前頭前野と背内側前頭前野」


哺乳類進化研究アップデート No.15ー哺乳類のがんリスク比較

2022-01-15 08:01:30 | 哺乳類進化研究アップデート

多細胞生物は腫瘍を生じる可能性があり、下等動物から高等動物に進化するにつれて、そのリスクが高まってくるようです。原始的な海綿では腫瘍の存在は知られていません。それ以外の無脊椎動物では種々の腫瘍が存在しますが、一般に増殖が遅く、自然に転移する例は知られていません。脊椎動物になると悪性腫瘍が見られるようになります(「進化医学 人への進化が生んだ疾患」井村裕夫)。悪性腫瘍のうち上皮組織から発生するのがいわゆる「がん」ですが、哺乳類の種類によって、がん発生リスクに違いはあるのでしょうか?

フランスのモンペリエ大学などのグループによる、最近ネイチャー誌に掲載された論文「(哺乳類全体のがんリスク)Cancer risk across mammals. Vincze, O., Colchero, F., Lemaître, JF. et al. Nature.  Vol 601, 13 January 2022, 263-267」で、そのような疑問点に対して一定の回答が提供されました。動物園で飼育されてきた動物の記録を膨大な量収集して、解析したところがこの論文のポイントです。

大型で長寿の生物は細胞分裂の回数が多いため、体細胞突然変異の可能性が高くなり、がんになりやすさが影響を受けると予測されていました。実際に体格や寿命が大きくなるにつれてがんのリスクが高まることは、種内では証明されていますが、一方で、種間ではそのような関連性がないことが示されていて、ペトのパラドックスとよばれています。しかし、ペトのパラドックスはまだ証拠が不足していて十分には証明されていません。

今回の論文では、動物園の哺乳類の成体(110,148個体、191種)のデータを用いて、がん関連死亡率に関するデータベースを構築・解析し、がん死亡率を哺乳類の系統樹に対応させました。それにより、哺乳類において発がん現象が普遍的であることとを示すとともに、主要な哺乳類目の間でがん死亡率に大きな差があることを明らかにしました(下図。左図は赤い棒の高さ、右図は右に伸びるグラフの形によって、がんによる死亡リスクの動物群ごとの分布を示しています)。イヌ、ネコなど仲間を含む食肉目はがん死亡リスクが高く、ウシ、シカなどを含む偶蹄目はガン死亡リスクが低いことが示されました。

 

そして、ここが重要な発見ですが、がん死亡率の種間分布は食性と関連しており、肉食の哺乳類(特に哺乳類を食べる哺乳類)が最も高いがん関連死亡率に直面していることを明らかにしました。下図において、左から、動物(Animal)、無脊椎動物(Invertebrate)、脊椎動物(Vertebrate)、魚(Fish)、爬虫類(Reptile)、鳥(Bird)、哺乳類(Mammal)を、あまり食べない種たち(灰色で示すグラフ)、よく食べる種たち(橙色で示すグラフ)について、がんによる死亡リスクの分布を示しています。よく食べるとがんによる死亡リスクが上がるのが、脊椎動物、とくに哺乳類であることが示されています。つまり肉食によって、がん死亡リスクが上がっています。その理由としては、肉を介した病原体による発がん、腸内菌叢の多様性の低さ、動物園における運動量の制限などが想定されていますが、明確にはなっていません。

 

さらに、がん死亡リスクは、種を超えて、体重や寿命とはほとんど無関係であることが示され、ペトのパラドックスの明確な証拠を提供しました。これらの結果は、がん抵抗性の確立における進化の重要な役割を明らかにし、がん防御の探求に大きな前進をもたらすものだと結論づけています。

以前から、ヒトにおける大腸がんリスクを高める要因として、赤肉(哺乳類の肉)を食べることが言われています。私自身、2年前に大腸の手術を受けることになり、その後は赤肉を食べる頻度を少なくするようにしています。そして、今回のような哺乳類の多様性レベルでの研究結果を見ると、ますます赤肉食は減らしたほうがいいのだなという思いを持ちました。とは言っても完全に断つのはまだ難しいなというのも本音です。そういえば、元々肉食であるネコも短命ですよね。もしプラントベースのペットフードというものがあれば、それで飼うことで長寿のネコになるのでしょうか?


哺乳類進化研究アップデート No.14ー同性愛は遺伝するのか?

2021-12-18 15:08:23 | 哺乳類進化研究アップデート

同性愛者は、子供を残す可能性が少ないので、同性愛の原因となる遺伝子が次世代に受け継がれるとは考えにくいものです。しかし、少なくともヒトにおいて、同性愛者は社会に一定数が存在して、歴史的にも維持されてきているので、同性愛は遺伝するものと考えられるようになりました。

1993年、ディーン・ヘイマー(後に自らゲイであることをカミングアウトしています)らによる「X染色体上のDNAマーカーと男性の性的指向の関係」という論文が出て、同性愛遺伝子が発見されたとして、大きな反響をよびました。この報告では遺伝子そのものまで突き止められたわけではなく、複数ある同性愛遺伝子のうちの一つがあると考えられる染色体上のある広さの領域(マーカー)としてXq28が見つけられたというものです。また、この遺伝子マーカーはX染色体にあるので、女性にも遺伝します。そして、この遺伝子を女性が持っている場合、約6ヵ月思春期の訪れが早かったということです。つまり、この遺伝子は男性を同性愛化させる一方、女性の生殖期間を延長させて多くの子供をもてるようにしている可能性が示唆されました(「遺伝子があなたをそうさせる」ディーン・ヘイマー、ピーター・コープランド)。

2004年のアンドレア・カンペリーノ・キアー二らによる報告では、ゲイ男性の母方の女性血縁者は、異性愛者の母方女性血縁者よりはるかに多くの子供を産んでいるということでした。ゲイ遺伝子をもつ女性が多産である理由として、ゲイ遺伝子は男に対する性的魅力をつくる役割を担っているので、この遺伝子をもつ男性は同性愛者になり、女性は周囲の男性にもてることでたくさんの子どもを産むからだと説明されています。だからこそ、ゲイ遺伝子は子孫に伝えられてきたと考えられます(「もっと言ってはいけない」橘玲)。

同性愛遺伝子マーカーの発見から約30年がたちましたが、その後、研究はどこまですすんだのでしょうか?遺伝子が特定されたという話はまだないようですが、最近出た論文に関して様々な議論があることが、ネイチャー誌のニュースで紹介されていました(「遺伝的パターンは同性愛の進化への手がかりを提供する」Genetic patterns offer clues to evolution of homosexuality. By Sara Reardon, Nature 597, 17-18 (2021))。

最近行われた大規模な研究において、同性間の出会いに関係する遺伝子マーカーが子孫を残すことを高めている可能性が示されました。これまで考えられてきたことと同じ方向性の結論となっていますが、研究者の間では研究内容について異論も出ているということです。

この研究は、オーストラリアの進化遺伝学者ブレンダン・ジーチらにより、同性のヒトと少なくとも1回はセックスしたと言った48万人のゲノムと、異性愛者のセックスしかなかったと言った36万人のゲノムを比較しました。その結果、同性のパートナーを持っていたヒトと、異性愛者の中でも多くのパートナーを持っていたヒトとの間で遺伝子マーカーのいくつかを共有する傾向があることを発見しました。さらに、同性のパートナーを持っていたヒトと、危険を冒してでも新しい経験を受け入れると述べたヒトとの間でも遺伝子マーカーを共有していることが見られました。

この研究に対して次のような反論が寄せられました。米国の進化生物学者ジュリア・モンクは、性感染症が治療できるようになったり、避妊と排卵誘発剤が出てきた現代社会においては、人間の祖先とは異なり、性行動と生殖は高度に文化的に情報化されていて、遺伝学で掘り下げることは不可能だと言います。また、最初に同性愛の遺伝子マーカーを発見したディーン・ヘイマーは、1回の同性との出会いに基づいて性的指向を定義する方法じたい、人々を分類する有用な方法ではないとしています。一方で、新しい経験に対する開放性に関わる遺伝子マーカーの発見は、同性愛者のパートナーを持っているヒトと多くのパートナーを持っていた異性愛者の間の重複を説明できるかもしれないと考えています。そして、複雑な行動を遺伝学で説明することの難しさを認めながらも、性的指向の研究が行われていることに対しては応援の言葉を述べています。

ちなみに、性的に魅力を感じるわけではありませんが、カッコいいと思う、あるいは作っている音楽が好きでシンパシーを感じる同性愛者のミュージシャンは個人的にもたくさんいます。例えば、フレディー・マーキュリー(クリーン)、ピート・シェリー(バズコックス)、マーク・アーモンド(ソフト・セル)、モリッシー(ザ・スミス)。


哺乳類進化研究アップデート No.13ー密猟によって牙のないアフリカゾウが進化した

2021-12-04 07:59:38 | 哺乳類進化研究アップデート

戦争中の密猟が原因となって、牙のないアフリカゾウが短期間で進化したという報告が、サイエンス誌10月の号に出ていました。論文名は、「Ivory poaching and the rapid evolution of tusklessness in African elephants(アフリカゾウにおける象牙の密猟と牙のないものの急速な進化). Campbell-Staton et al., Science 374, 483–487 (2021), 22 October 2021」です。この論文はまた、サイエンス誌の展望のコーナーにおいても、「Of war, tusks, and genes(戦争、象牙、遺伝子について). Chris T. Darimont and Fanie Pelletier, Science, 374 (6566)」として紹介されていました。

モザンビーク内戦(1977~1992年)において、軍隊の戦争資金獲得の目的で象牙の密猟が行われました。密猟によるアフリカゾウへの影響が調べられました。密猟によって、ゴロンゴサ国立公園のアフリカゾウの個体数が90%減少しました。戦争が終わってから、個体数は回復してきましたが、多くのメスが牙のない状態で生まれてきました。牙のないアフリカゾウは、密猟があっても生き残る可能性が高く、密猟が牙のないゾウを強く選択する力として働いたと考えられます。ここでは、進化学用語の一つである「集団のボトルネック(遺伝的浮動)」ー集団が小さくなった時に偶然にある遺伝子が集団に広まる現象ーが起きたと考えられます。

そうした表現型を生成する遺伝子が特定されました。全ゲノムを探索することで、エナメル質、象牙質、セメント質、そして歯周組織の形成を含む、哺乳類の歯の発生において役割を持つことが知られている2つの遺伝子(AMELXとMEP1a)が関係していることが明らかとなりました。そのうちの1つAMELXは、上顎側切歯(象牙に相同)の成長を低下させ、ヒトのX連鎖優性男性致死症候群と関係しています。この遺伝子はX染色体上にあり、この遺伝子の乗ったX染色体を1本もつオス(XY)は、発生の途上で死亡します。一方、この遺伝子を1本もつメス(XX)は成長することができます。この遺伝子が牙を失くさせるメカニズムや、オスが致死的になる理由はわかっていません。

ダーウィニズムによる進化は、突然変異の発生→集団の多様化→自然選択による特定の形質の生き残り、という過程を取ります。今回は、この「自然選択による特定の形質の生き残り」が観察できたことになります。そもそも、進化は非常に長い年月をかけて進むものなので、観察することが難しいと考えられています。今回の報告は、戦争という悲惨なできごとによって、図らずも短い期間で進化の一過程を観察できためずらしい事例と言えるかもしれません。


哺乳類進化研究アップデート No.12 番外編ー京都大学霊長類研究所が解体へ

2021-10-30 08:03:14 | 哺乳類進化研究アップデート

日本が誇る霊長類研究の拠点である、京都大学霊長類研究所が解体されるというニュースが出ていました。哺乳類進化研究の一つのセンターでもあるので、「哺乳類進化研究アップデート」シリーズの番外編として紹介します。

(京都大学霊長類研究所)

京都大学霊長類研究所の使命は、ホームページによると「多様な学問的視点から霊長類を総合的に研究し、ひいては人間の本性の起源と進化を解明する」こととされています。研究所設立の発端は、今西進化論などで有名な今西錦司氏が1950年に霊長類の研究グループを京都大学に発足させたことにあるとされていて、実際には1967年に設立されました。それ以来、霊長類学の研究成果を世界に発信してきました。ところが、この研究所が解体される見通しだということが報道されました

原因は、研究費不正問題にあります。元所長の松沢哲郎(懲戒解雇)らが、チンパンジー用飼育施設の設備工事で架空取引や入札妨害を行い、約5億円が不正支出されたことが認定されています。京都大学は、不正支出が認定された研究費や罰金にあたる加算金を含めた約9億円を返還しましたが、返還請求額総額はさらに膨らむと予想されています。京都大学は霊長類研究所を解散することで、人員削減などにより返還費を捻出する狙いがあるとみられています。

松沢哲郎は、高名な霊長類学者で一般向けの著書もたくさんあります。世界的な霊長類学者・進化認知学者であるフランス・ドゥ・ヴァール氏からもその研究が賞賛されています。ところで、他者をだましたり、ズルをして自分の利益を得るものは許さないという公平感は、実はサルにもあるということが、ドゥ・ヴァール氏の著書に書かれています(そのうち、僕の読書ノートで紹介します)。公平でないボスザルは、他のサルによってボスの座から引きずり降ろされるそうです。松沢氏はズルをしたためにボスの地位から引きずり降ろされたという、サル社会と同じことが起きたとともに、そのズルの被害があまりに大きかったために組織自体が崩壊してしまうところまできてしまったということです。

一方、霊長類研究所の設立のきっかけを作った今西錦司氏は、ダーウィンの自然選択説と異なる、独自の進化学説を提唱しました。この今西進化論は日本における影響力が非常に大きかったため、世界の主流になりつつあった血縁淘汰説などのネオダーウィニズムが日本に入ってくるのを阻害し、日本がガラパゴス化してしまったと、生態学者の岸由二氏から批判されています。しかし、その今西錦司氏らによるサル個体の名前付けなどの霊長類研究の手法は先見の明があったと、ドゥ・ヴァール氏からは評価されています。

さて、松沢氏の研究費不正使用による霊長類研究所の解散というニュースに隠れてあまり目立ちませんが、もう一つの不正問題がありました。こちらは論文捏造という不正です。以前、僕の読書ノートで紹介した「いじめとひきこもりの人類史(正高信男)」の最後に、著者である霊長類研究所元教授が、この本の元になっている論文に関して捏造疑惑を持たれているということを書きました。そして最近になって、京都大学の調査により正高信男の論文が捏造であると認定されました。この論文だけでなく、計4編の論文が捏造だということです。京都大学から正式な調査資料も出ています。それぞれの論文は、自閉スペクトラム症児を対象としたもの2編、健常男児を対象としたもの1編、社会不安障害を有する若年者を対象としたもの1編となっていますが、いずれも研究が行われた事実が認められなかったとのことです。また、いずれの論文も著者は正高1名であり、共著者によるチェックがはたらかなかった中での捏造と考えられます。

そもそもサイエンスは自然界の真実を追求する学問なので、研究過程に不正や捏造が入ってきてしまったら成り立たなくなってしまいます。両名ともそうとう高い能力を持って学問の殿堂を昇りつめた方々だと思いますが、大学というところはそういう公正でない人間が跋扈(ばっこ)するような場所なのでしょうか?