コンサドーレ札幌のホームゲームで配られるマッチデープログラムの表紙を飾った選手が,当日の試合で活躍をした例は,私が記憶する限りにおいては非常に少なかったのだが,今日はこの試合の「顔」となった西嶋が見事に決勝点を決めてくれた。
この試合のMVPにも選ばれた西嶋選手は,試合後のインタビューで「今シーズンは不甲斐ない成績で申し訳ない」と,ファンに対して涙ながらに謝罪の言葉を語っていた。その言葉を聞いて,まるで闘莉王の向こうを張るように,セットプレーでもないのにオーバーラップしたまま最前線に残って藤田のクロスを待ち構えていた理由が分かったような気がした。確かに「消化試合に来てくれた観客のためにも何とかしなくては」という気持ちが伝わってくるような,気力に溢れたプレーだった。
だがそんな気力と気持ちが全てのプレーヤーに共有されていたかと問われれば,残念ながら「そうではなかった」と言わざるを得ないゲームだった。
前半は相手の13番柿谷が作り出したビッグチャンスが2度徳島に生まれ,2度ともフリーになった相手アタッカーのミスで,札幌はどうにか失点することなく折り返した。
しかし前半のゲーム内容は最悪だった。今シーズンのホームゲームの多くと同様に,プレスのスピードと手駒で相手に見劣りする場面が多く現出する一方で,スペースにボールが出た時,前線に向けて長い距離を走ろうとする選手がいないために,パスを繋いで崩すどころか,フィードを待っている間に相手に囲まれてボールを失うケースが再三あった。
とうとうドーム開催ながら1万人を割ってしまったサポーターは,単純なミスに対してブーイングすることはなかった。だが「ゲームを楽しむ」という雰囲気があったかというとそんな風でもなく,眠気さえ漂う何とも侘びしい試合となってしまったのだが,それでもサポーター席に向かって攻めることとなった後半は,コンサのプレーヤーの走る量が明らかに増え,試合が動いた。グラウンダーでボールが動く距離と回数も飛躍的に増大し,点数が入った前後の時間帯にはピッチ上に「楽しさ」さえ生まれていた。
それでも札幌には徳島の柿谷に相当する選手がいないためか,シュートで終わるという意識が希薄で,なかなかフィニッシュまで持って行くことは出来ず,追加点を奪うことも出来なかった。
外国人の補強が叶わず,怪我人が続出し,移籍してきたアタッカーも力を発揮できなかった。今期の札幌の不振を語る言葉は山のようにあるけれども,頭一つ抜け出ていた柏は別格として,潜在能力では札幌とそう変わらないように思えた福岡と甲府に圧倒的に負けていたのは,マイボールになった時の前へ出る迫力と球際の強さだったように思う。今日の試合でも何度かあったが,「そこはシュートでしょう!」という観客席の声をかき消すような積極性が全員に浸透しない限り,昇格への関門をくぐるためにはブラジルでのスカウティング頼みという,いつか来た道に戻るしかないだろう。
今日の試合では全く良いところがなかった三上や藤田を鍛え直してくれる,新しい伯楽の登場を期待したいが,新聞報道を観る限りそれも期待薄とあっては,ただひたすらチームの存続を願うだけという「いつかの甲府」状態に落ちてみるのも一つの道かもしれない。決して熱心とは言えないけれども地元のチームを愛する一人のサッカーファンとして,石崎体制2年目に収穫はあった,という判断をしたらしい首脳陣に対して,私は不信任を提案したい気分だ。
最終戦は都合があって観戦できないため,とにもかくにも今日で今年のホームゲーム観戦は終了。みなさん,ご苦労様。どんなことになるかは分からないけれども,とりあえずまた来年。
この試合のMVPにも選ばれた西嶋選手は,試合後のインタビューで「今シーズンは不甲斐ない成績で申し訳ない」と,ファンに対して涙ながらに謝罪の言葉を語っていた。その言葉を聞いて,まるで闘莉王の向こうを張るように,セットプレーでもないのにオーバーラップしたまま最前線に残って藤田のクロスを待ち構えていた理由が分かったような気がした。確かに「消化試合に来てくれた観客のためにも何とかしなくては」という気持ちが伝わってくるような,気力に溢れたプレーだった。
だがそんな気力と気持ちが全てのプレーヤーに共有されていたかと問われれば,残念ながら「そうではなかった」と言わざるを得ないゲームだった。
前半は相手の13番柿谷が作り出したビッグチャンスが2度徳島に生まれ,2度ともフリーになった相手アタッカーのミスで,札幌はどうにか失点することなく折り返した。
しかし前半のゲーム内容は最悪だった。今シーズンのホームゲームの多くと同様に,プレスのスピードと手駒で相手に見劣りする場面が多く現出する一方で,スペースにボールが出た時,前線に向けて長い距離を走ろうとする選手がいないために,パスを繋いで崩すどころか,フィードを待っている間に相手に囲まれてボールを失うケースが再三あった。
とうとうドーム開催ながら1万人を割ってしまったサポーターは,単純なミスに対してブーイングすることはなかった。だが「ゲームを楽しむ」という雰囲気があったかというとそんな風でもなく,眠気さえ漂う何とも侘びしい試合となってしまったのだが,それでもサポーター席に向かって攻めることとなった後半は,コンサのプレーヤーの走る量が明らかに増え,試合が動いた。グラウンダーでボールが動く距離と回数も飛躍的に増大し,点数が入った前後の時間帯にはピッチ上に「楽しさ」さえ生まれていた。
それでも札幌には徳島の柿谷に相当する選手がいないためか,シュートで終わるという意識が希薄で,なかなかフィニッシュまで持って行くことは出来ず,追加点を奪うことも出来なかった。
外国人の補強が叶わず,怪我人が続出し,移籍してきたアタッカーも力を発揮できなかった。今期の札幌の不振を語る言葉は山のようにあるけれども,頭一つ抜け出ていた柏は別格として,潜在能力では札幌とそう変わらないように思えた福岡と甲府に圧倒的に負けていたのは,マイボールになった時の前へ出る迫力と球際の強さだったように思う。今日の試合でも何度かあったが,「そこはシュートでしょう!」という観客席の声をかき消すような積極性が全員に浸透しない限り,昇格への関門をくぐるためにはブラジルでのスカウティング頼みという,いつか来た道に戻るしかないだろう。
今日の試合では全く良いところがなかった三上や藤田を鍛え直してくれる,新しい伯楽の登場を期待したいが,新聞報道を観る限りそれも期待薄とあっては,ただひたすらチームの存続を願うだけという「いつかの甲府」状態に落ちてみるのも一つの道かもしれない。決して熱心とは言えないけれども地元のチームを愛する一人のサッカーファンとして,石崎体制2年目に収穫はあった,という判断をしたらしい首脳陣に対して,私は不信任を提案したい気分だ。
最終戦は都合があって観戦できないため,とにもかくにも今日で今年のホームゲーム観戦は終了。みなさん,ご苦労様。どんなことになるかは分からないけれども,とりあえずまた来年。